つづいて「存じます・存じ上げております」を使うときの注意点を解説します。
敬語を正しく使うことはもちろん、
ふさわしいビジネスシーンを考えて使いましょう。
×存じ上げてください はNG!
きわめて初歩的な敬語の使い方なのですが…
「存じる」は謙譲語(自分をへりくだって相手をうやまう敬語)であるため自分の行為だけにつかい、相手の行為に使うのは間違い。
相手の行為につかうときには尊敬語です。
ところが、
「知る」の尊敬語ってなに?を考えると「お知りになる」という聞いたことのないフレーズになってしまいます。
そこで「知っておいてください」といいたいときには「承知」をつかいます。
「ご承知おきください」となりますね。
×部長は存じ上げておりますか? はNG!
これもきわめて初歩的な間違い。
謙譲語「存じ上げております」は自分の行為につかい、相手の行為にはつかいません。
部長あるいは社外の取引先・目上のヒトにむかって「知っていますか?」と確認したいときには尊敬語を使います。
すると「お知りになっていますか?」となりますが…イマイチしっくりこない尊敬語です。
このばあいは、
「存知=理解していること、知っていること」という言葉をつかい「部長はご存知ですか?」とすると丁寧な敬語になります。
【シーン別】違いと使い分け
存じます のビジネスシーン(メール・手紙・上司・目上)にふさわしい使い方と、敬語フレーズを使った例文をみてきましたが…
こんなときにはどれを使う?
というビジネスシーンごとの使い分けを整理しておきます。
ビジネス会話なら…
- 例文「お忙しいとは思いますが…」
- 例文「はい、存じております」
会話で「存じます」を使いすぎるとバカ丁寧な感じがするため、「思います」で十分です。
例外としては「存じております=知っています」ですね。
このように会話ではサラッと言えるフレーズを使います。
ビジネスメール・文書なら…
- 例文「~とは存じますが」
- 例文「~のことと存じます」
ビジネスメール・手紙など文書の場合、
シンプルなフレーズではなくよりかしこまった表現を使うと好感度UP。
なぜなら、文章は会話と違って態度で敬意をしめすことができないから。
存じます のビジネスメール全文
さいごに「存じます」を使ったビジネスメールの例文を紹介します。
【例文】お中元のお礼(社外メール)
メール件名:お中元の御礼
就活株式会社
営業部 ○○様
お世話になっております。
転職株式会社の転職です。
この度は、ご丁寧なお中元をいただき、
誠にありがとうございました。
○○様には、いつも何かとお世話になり、
その上このようなお心遣いまでいただきまして、
大変恐縮いたしております。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
甚だ略儀とは存じますが、
まずはメールにてお礼申し上げます。
メール署名
・略儀ではございますが の意味は「礼儀を省略して申し訳ありませんが~」
・まずは の意味は「まずはじめに」
・言う の謙譲語「申す」
・たいそうな=結構な で言い換えできる
【例文】金品の辞退をする(社外メール)
メール件名:お中元の御礼
就活株式会社
営業部 ○○様
お世話になっております。
転職株式会社の転職です。
この度は、たいそうなお品をただき、
誠にありがとうございました。
いつもお心遣いを頂き大変恐縮でございます。
せっかくのご好意を無にするようで心苦しいのですが
弊社ではお取引先様からの贈り物は
お受けできないことになっております。
お心遣いだけありがたく頂戴し、
誠に勝手ながらお品は別便にて返送させていただきました。
無礼なこととは存じますが
ご理解の上、ご容赦くださいますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
甚だ略儀ではございますが、
まずはメールにてお礼ならびにお詫びを申し上げます。
メール署名
・略儀ではございますが の意味は「礼儀を省略して申し訳ありませんが~」
・まずは の意味は「まずはじめに」
・言う の謙譲語「申す」
・たいそうな=結構な で言い換えできる
・甚だ(はなはだ)の意味は「とても、大変」
・ご容赦くださいますよう の意味は「お許しくださいますよう」