【2019年版】電機メーカー(総合電機・重電・電子部品・半導体メーカーなど)の平均年収ランキング。
この記事では平均年収1000万円を超える企業7社および、ランキングTOP100までを紹介します。
2018年3月期あるいは同等の有価証券報告書からくる、最新の平均年収ランキングです。
就職・転職のご参考にどうぞ。
※「ホールディングス=HD」と省略。
【2019年版】電機メーカーの平均年収ランキングTOP100
平均年収だけでなく業種、平均年齢、平均勤続年数、従業員数、売上高、当期純利益も掲載しておく。ちょっと見にくいけどご了承を…
1~50位
※「ホールディングス=HD」と省略。
51~100位
ここでひとつ注意点を。
非上場企業は年収データを開示しておらず、とくに外資系企業(非上場が多い)に抜けがある点はご了承を。
実際には平均年収1000万円を超える企業はまだまだある。どんな業界あるいは企業が上位にランクインしているのか、傾向をザックリ把握するという使い方をオススメする。
まとめ
まずはザックリと全体のまとめ・総括をしておく。
1. キーエンスが断トツNo.1、ファナックも頭ひとつ抜けている
表をご覧のとおり。
電機メーカーの年収はキーエンスが平均年収2088万円で断トツのNo.1。なお日本の上場企業全体を見渡しても、平均年収2000万円を超えた企業はキーエンス含め2社しかない。もう一社はM&A仲介コンサルのM&Aキャピタルパートナーズ(平均年収2994万円)である。
電機メーカーにおいてNo.2はファナックの1374万円。同社もキーエンスと同じく年収上位ランキング常連企業であり、安定して高い年収を維持している。
あとはここ数年、需要の加速的な伸びによって業績好調な半導体装置メーカーや、半導体関連の企業がならぶ。東京エレクトロン(1076万円)などである。
また電機メーカー大手に位置づけされる総合電機メーカー8社(ソニー・日立・東芝・三菱電機・富士通・NEC・パナソニック・シャープ)にかつての勢いはない。
年収ランキングトップ10入りはソニー(1013万円)だけであり、14位 日立製作所(871万円)、18位 東芝(815万円)までがかろうじて平均年収800万円超。
ただし東芝は平均年収が実態よりも高く見えているため注意が必要である。→カラクリは個別企業のところで分析。
2. 持株会社は年収が高くでるので要注意
じつは平均年収1000万円を超えるようなメーカーの大半は、持株会社となっている。
たとえばTOP10入りした電機メーカーだと、
- 3位 GSユアサ 平均年収1129万円(年齢52.0歳)
- 5位 ユニデンHD 1041万円(46.7歳)
- 8位 SCREEN HD 911万円(43.8歳)
などあり。でもじつは持株会社も同業他社とたいして年収に違いは無い。
GSユアサが年収の高い企業のように見えるが、実際には決してそんなことはない。
では、なぜ持株会社の平均年収が高くなるかというと…
持株会社にはブルーワーカーがいないから。さらに従業員は管理職以上のおっさんばかりで構成されており結果として高年収となる。
たとえば、
- 部長50歳 年収1500万円
- 次長45歳 年収1200万円
- 課長40歳 年収1000万円
- 課長代理35歳 年収750万円
⇒ 平均年収1112万円、平均年齢42.5歳、従業員数4人
こんな感じの人員構成だと平均年収1112万円・平均年齢42.5歳になることがわかる。
そして、このような人員構成の部署なりグループが10個あると従業員数40人の持株会社で平均年収1112万円となるだろう。
したがって大卒総合職の年収を考えるのであれば、持株会社の年収は参考になる。いっぽうで現場ワーカーなどヒラ社員の年収を見るには不適切。まったく当てにならない。
逆にいうと持株会社にしていないメーカーで平均年収ランキングTOP100に入るような企業は総合職・一般職とわず確実に年収高い。
なお一般的にメーカーは工場など現場のブルーワーカーが全従業員の9割くらいを占める。もちろん、そのような社員の年収は低い。したがってメーカーの平均年収は商社などと比べて低くなりがち。
ところが残り1割の大卒総合職の年収を見ると…仕事量などを考えるとそんなに悪く無い。40歳前後で年収1000万円が見える(企業によって上も下もある)。
メーカーで年収の高い業界、低い業界
ところで。
電機メーカーにかぎらずメーカー業界の中でも細かい業種別に年収ランキングをつくるとしたら、
高年収「別格キーエンス >> ファナック >>>> 製薬≒石油元売 > 鉄鋼≒化学素材≒電気機器≒機械・重工業≒ビール≒非鉄金属≒自動車・自動車部品 > 食品」低年収
といった感じになる。これは大卒総合職だけでなく現場の一般職にもつうじる傾向であり、あとはその企業の業績によって毎年違う(±100万円くらいは簡単に変わる)。
もちろん企業によって違うので要、個別検証。
ランキングTOP20の解説
上位にランクインしているのは、いわゆる大手企業ではなくほとんど誰も知らない企業と思われるためTOP20については企業の補足とコメントをしておく。
1位 2088万円 キーエンス(35.9歳)
No.1の「キーエンス」。センサー業界では知らない人がいないほど有名、業界No.1企業。彼らも企業を相手にセンサーなどを売っているため一般人は知らなくて当たり前。
そして「営業利益の○○%はボーナスにあてる!」という素晴らしいポリシーであるため、営業利益が伸びれば伸びるほど年収も上がる仕組み。
数年前まで平均年収2000万円には届いてなかったけど、会社が右肩上がりに成長しているため、ついに平均2000万円超を達成。メーカーだが工場を持たず、利益率が驚異的に高い(営業利益率60%とか、普通ではあり得ない数字になる)。
なおキーエンスの年収事情については別記事でくわしく書いている。
2位 1347万円 ファナック(41.5歳)
No.2の「ファナック」は年収ランキング上位の常連企業。産業用ロボット(自動車の工程などでつかう)などを手がけるFA(Factory Automation)機器メーカーである。
最近は業績がすこしずつ落ちていて年収も下落傾向。かつてはNo.1キーエンスとともにメーカー1位・2位あらそいを演じていたが…キーエンスの伸びが凄すぎて置いてかれた感は否めない。かつての勢いはなく良くも悪くもフツーの大企業になってきた…。
まぁ、それでもこの平均年収だからすごい。テレビ局とおなじくらいはある(その代わり他メーカーと比べて激務)。
3位 1129万円 GSユアサ (52.0歳)
とくに自動車やフォークリフトのバッテリーなどを手がけるメーカー。
平均年収だけ見ると高給なように感じるが、それは平均年齢が高いことと、持株会社であることに起因する。実際にはソニーなどほかの電機メーカーのほうが年収高い。
ということで参考値程度にお考えを。
4位 1113万円 レーザーテック(43.2歳)
レーザー顕微鏡などの製品を手がける電気機器メーカー。同分野においてはオリンパス、キーエンスに次ぐ国内3位。たぶん誰も知らない企業と思うけど実は年収高いし、経営もしっかりしている高収益ニッチ企業。
5位 1076万円 東京エレクトロン (44.2歳)
半導体製造装置で世界No.3。電気機器メーカーである。半導体関連は装置メーカーだけでなく原料メーカー、末端ユーザーふくめてどの企業も2016年~2018年ころまで絶好調だった。
直近2018年後半から中国ー米国の貿易戦争により減速中だが、とりあえず好調な業績を反映して年収も急騰した。
5年前の2014年3月期は平均年収808万円(42.4歳)だったことを考えると、好業績を反映したボーナス増による一時的な年収増と考えたほうが良い。
とくに半導体は好不調の波が激しく、好景気のときにはところん良く、不況になるとたちまち赤字に転落することがフツーにある。したがって年収の安定感も無い…
BtoB(企業むけ)を主体とするメーカーは収益安定しているのが一般的なのだが半導体業界には当てはまらない。
6位 1041万円 ユニデンHD (46.7歳)
無線通信機器などをあつかう電機メーカー。
ブラック企業の代表格ともいえる存在。くわしくは語らないが不当解雇・給料未払いなどなどの問題があり従業員から訴訟が相次いでいる。
創業者(藤本秀朗)の強烈なワンマン経営で知られ、ビジネスの新規参入と撤退をくりかえしている。結果として2010年には10,000人以上(単体200人以上)いた社員は2019年現在、742人(単体33人)程度まで減少している。なんと10年足らずの間に従業員を10分の1にまで減らした(リストラした)鬼畜である。
なお持株会社であるため、従業員33人の平均年収であり参考値にしかならない。雇用の保証が一切無いブラック企業であることを考えると、47歳・年収1000万円というのは決して高い数字ではない。せめて2倍は支払うべきだ。
7位 1013万円 ソニー (42.3歳)
売上規模では電機メーカーNo.2 (日立製作所がNo.1)。
総合電機メーカー8社の一角ではあるが、旧来のテレビや携帯電話などハード面ではまったく上手くいっておらず、ゲーム・映画・音楽・金融(ソニー損保など)事業が業績をささえている。
あと、あまり知られてないが、子会社のソニーセミコンダクタソリューションズの手がけているCMOSイメージセンサ(スマホなどに搭載されている)において世界シェア40%超。今後、車の自動運転に搭載されるとさらに飛躍するかもしれない。
足元の業績だけみるとゲーム・音楽事業の好調で2011年度の巨額赤字以来、V字回復を成し遂げたかに見えるが…。
なお年収はソニー本体だけの従業員から導き出された平均値である。ソニーはほとんどの事業を分社化(子会社化)しており、本体にはたった2,428人しか従業員がいない(グループも含めると日本だけで44,000人ほどの従業員数)。したがって現場ワーカーや子会社の年収はもっと低い。
ソニーとして入社した大卒総合職の年収を見るのであれば、ランキングにしたとおり40歳1000万円が平均値と考えられる。
8位 999万円 アクセル (43.5歳)
LSI(半導体集積回路)などをあつかう電機メーカー。1996年創業。とくにパチンコ・パチスロに組み込むLSI分野につよく、工場を持たないファブレス企業である。
財務基盤はきわめて優良ではあるものの、2016年3月期以降の業績は思わしくない。とくに利益が低迷している。今後どう立て直していくのか、注視が必要。
会社の売上規模80億円そこそこと中小企業クラスではあるが、大企業をおしのけて年収上位ランキング入り。
9位 911万円 SCREEN HD (43.8歳)
京都に本社をおく半導体・液晶ディスプレイ工場につかう機器を手がけている装置メーカー。ベンチャー企業のような社名だが、1868年創業(当時・石田旭山印刷所)と歴史ある会社である。近年、半導体工場における設備投資が好調なこともあり業績が上向いている(東京エレクトロンなどと共通)。
持株会社であり、一部の共通部門にぞくする従業員からくる平均年収であるため参考値にしかならない。工場などの現場ワーカーの年収はもっと低い。大卒総合職だと平均年収くらいの期待値にはなりそう。
10位 892万円 ルネサスエレクトロニクス (45.3歳)
半導体メーカーであり、車載マイコンにおいて世界トップクラスのシェアを持つ。2010年にシステムLSI専業のNECエレクトロニクス(NECから分社化)とマイコンに強みのあったルネサステクロノジ(三菱電機および日立製作所から分社化)の2社が合併し誕生。
ただし半導体ロジック市場全体をみたときには韓国・米国勢にとおく及ばず弱小との位置付けに過ぎない。また同社は産業革新機構のもとに経営再建中である。近年、半導体市場が好調なこともあり回復に一定のめどは立っている。
経営状況のわりに年収は高いと言えるが、会社が傾いては元も子もない。
11位 892万円 アドバンテスト (45.2歳)
半導体検査装置の大手メーカー。とくにメモリテスターを始めとする半導体テストシステムの分野では世界シェアトップクラス。海外売上高比率9割。
1954年にタケダ理研工業として創業、1985年に現社名に変更した。「Advance – アドバンス」「Test – テスト」を合体させて「アドバンテスト」とし、テスター業界をリードしていくという意思がこめられている。
年収について特筆すべき点はなくフツーのメーカーの年収である。
12位 874万円 アルバック (42.7歳)
産業・研究機関むけ真空装置などの電機メーカー。1952年に日本真空技術として創業、2001年に現社名となった。現在では真空技術を応用した半導体・液晶ディスプレイ製造装置をメインに展開している。
13位 872万円 横河電機 (44.9歳)
計測事業で創業し、現在は生産設備(プラントなど)の制御システムの国内最大手メーカー。かつ世界No.3の売上規模である。
なお計量・計測機器メーカーの国内売上ランキングは1位 横河電機、2位 島津製作所、3位 堀場製作所、4位 アンリツとなっている。
また同社は積極的に海外展開を進めており、2018年3月期の海外売上高比率は約70%となった。とくに同社のコア事業である「制御事業」の海外売上高は2005年から13年間で約2倍となり成長を牽引している。2008年ごろのリーマンショックで一時は落ち込むも、その後V字回復。直近は好業績を維持しており、今後のさらなる成長に期待したい。
年収についてはとくに語るべき点はなく、一般的な大手企業の年収。大卒総合職であれば40歳 年収1000万円前後が見えるだろう(出世スピードにもよるが…)。
14位 871万円 日立製作所 (41.7歳)
売上規模では電機メーカーNo.1。
総合電機メーカー8社のひとつであり、売上規模において国内最大。重電3社(日立・三菱電機・東芝)と報道で用いられることもある。
白物家電(冷蔵庫・洗濯機など)も手がけてはいるが、同社の収益の柱となっているのは電力システム、社会・産業システムと情報通信システム事業などのBtoB(法人むけ)を主体とするビジネスである。
なお原発関連では2011年の福島原発事故以降、東芝と同様に苦しんでおり2019年3月期決算においてイギリス原発計画凍結にともなう減損3000億円を見込んでいる。
経営に影響のでない範囲であれば問題ないが、3000億円は全社利益がすべて吹っ飛んでしまいそうなインパクトである。さらに原発関連のウミをすべて出し切ってない可能性もあり、今後の動向には注視が必要。
業績が低迷すれば年収も低くなること必須。
15位 842万円 サクサHD (49.0歳)
情報通信機器(公衆電話、運賃箱など)やセキュリティシステムを手がけている電機メーカー。
サクサ株式会社を中核とするサクサグループの持株会社である。情報通信機器とその周辺事業を展開していることからNTTグループが主要顧客となっている。
売上・利益ともに中規模ながら、それなりの年収水準ではあるが、50歳842万円は決して高い数字とは言えない。持株会社で大卒ばかりの本社従業員から割り出された平均年収であることを考えると、年収は低いとも言える。
利益率の低いビジネスなので年収低くても仕方ないけど…。
16位 840万円 日本光電工業 (40.3歳)
医療機器メーカー国内大手。
AED(心肺蘇生機器)、生体情報モニタ、脳波計、筋電図検査装置、臨床用ポリグラフで国内No.1シェア。また脳波計は世界No.1シェア、国内市場で8割のシェアを占めるなど、ニッチマーケットで高シェアを持つ企業である。
BtoB(法人むけ)がメインであるため消費者にはあまり知られていないが年収もメーカー業界においては高く、ニッチ優良企業と思われる。ただし医療機器メーカーの営業は激務かつ、ツライ仕事であることはあらかじめご留意を。
17位 816万円 TDK (43.7歳)
フェライトやコンデンサなどを製造販売する電子部品メーカー。スマホむけ電子部品の開発に遅れをとっていたこともありリーマンショック直後には一時、苦境に立たされた。しかしその後、事業リストラや電子部品需要の回復もあり近年は好調を維持している。
電子部品業界はとくにスマホむけにおいて移り変わりが早いが、同社は自動車むけの電子部品が主体であるため動きが遅く、割りかしマッタリした雰囲気。
それなりに給料も高く、長く勤めるには悪くない会社である。
18位 815万円 東芝 (43.5歳)
総合電機メーカー8社の一角。※ただし最近は除外され総合電機7社とする場合もおおい。
ご存知のとおり2015年ごろ利益水増し不正会計問題をおこしたことでブランドにおおきく傷がついた。
それだけならまだしも、原子炉関連の米子会社ウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニー(以下、WEC)において8000億円以上の巨額損失を計上し2017年3月期の決算では最終赤字が1兆円をこえるなど、とんでもない事態に発展している。
このこともあり、さまざまな事業を売却・撤退し事業リストラを実施している。とくに儲かっていなかった白物家電(テレビ・家電・携帯電話・パソコン)ビジネスから撤退。
また、それなりに稼いでいた半導体事業も売却が予定されている。そうすると東芝には何も残らないかのような気もするが…
残した電子部品(HDDなど)の他、原子炉・重電機・軍事機器・鉄道車両など、BtoB(対法人むけ)の重工業分野を重点的に取り組む。
今後においては予測不能である。事態の一刻もはやい収束をのぞむ。
19位 815万円 カシオ計算機 (46.7歳)
消費者にはおなじみの時計メーカー。「CASIO」ブランドをグローバルに展開している。他には電卓や電子辞書なども手がける。時計業界における主要日系メーカーには他にシチズン・セイコー・リズム時計工業などがある。シチズン・カシオ・セイコーの3社はいずれも売上規模において似たようなものであり、だいぶ離れてリズム工業がくる。
ただし世界的にみると日系メーカーは世界No.1 スウォッチ(スイス)の売上 約9,000億円には遠く及ばない。また今後はApple Watchなどのスマートウォッチにシェアを奪われていく将来が容易に想像できる。どうするのだろうか?
20位 805万円 リコー (44.0歳)
プリンター・FAX・デジカメ製品などを手がけている電機メーカー。とくにオフィス向けのプリンターにつよく、商品の導入だけでなく消耗品(トナーなど)の販売や、メンテナンスサービスまで一貫して行っている。
リコーにおいてはこれらオフィス関連を手がけている「事務用機器事業」の売上高比率が9割弱であり、他プリンターメーカーと違いほぼオフィス用機器専業の形をとっている。が、近年はこのメイン事業の業績が低迷しているため苦しい状況。売上規模だけはデカイものの、利益率は低いという典型的な悪いビジネスサイクルに陥りつつある。
なお市場全体をみても事務用機器ビジネスはペーパーレス化などで市場自体が減退しており、リコーだけの問題ではない。ライバルメーカーの米HPやキャノン、富士ゼロックス、コニカなどもリコーとおなじく事務用機器事業において利益率が低迷している。
このような状況なので事業の構造改革が必須であり、2017年度からの中期経営計画では「リコー再起動」をかかげた。とくにコスト構造改革、ソリューション強化、商用・産業印刷などオフィス以外の印刷事業を強化することを謳っている。
メーカー業種別の平均年収ランキング
つづいて業種別の平均年収ランキングも掲載しておく。総合商社やテレビ局・コンサル・金融などの激務業界とくらべて年収はやはり低い傾向。
それでも平均1000万円超えるような企業もあり。
メーカーは一部の激務企業をのぞいて労働時間が短いので、コスパ重視の人にはオススメの就職・転職先である。
そして工場のブルーワーカーが圧倒的に多いので平均年収も低くなりがち。それなりの会社であれば総合職入社で40歳時・年収1000万円前後。もちろん、それより年収高い企業もたくさんある。くわしくは別記事でまとめている。
製薬メーカー
医薬品メーカーは2019年現在で67社の上場企業あるが、そのうち24社が全メーカー年収ランキングTOP100にランクイン。
製薬メーカーはメーカー業界の中において特異的に年収の高い企業がおおい。会社の規模はほとんど関係ない。大卒のMR(営業)および開発職の人数比率が高いためでもあるが、もともと他メーカーと比べても年収高い。※入社2~3年目でも年収700万円くらいは目指せるであろうMR(営業)が年収を押し上げているものと推測するが、間接部門や開発部門であれば仕事まったり高給である。
メーカーでかつ持株会社じゃないのに平均年収1000万円を超えている会社はガチで給料高い。いっぽうで製薬メーカーでも持株会社となっている企業については要個別検証である。
機械・電気機器・精密機器メーカー
機械・電気機器・精密機器メーカーは業績の上下が激しく、年収も結構振れる。好景気のときにはボーナスが弾み年収も高くなる傾向。
2016-2018年においては大半の企業が好業績であり、新たにランクインした企業もおおい。
化学素材メーカー(石油・繊維・ゴム・ガラス土石含む)
化学素材業界においては、三菱ケミカルが特別給料の高い会社というわけではなく基本、大企業であればどこも大差ない(ただしJXはそれを抜きにしてもメーカー業界では年収トップクラス)。
まとめると「石油関連 > 化学素材≒ガラス土石≒ゴム > 繊維」といった感じ。あとは企業の業績によってだいぶ上下するのでご注意を。将来性のありそうな企業を選ぶことが就職・転職においては最重要である。
食品・飲料メーカー(ビール含む)
食品飲料メーカーで全メーカーTOP100までにランクインしたのは持株会社(「●● HD」としてある企業および「●● 本社」に該当)が大半。プラス「サントリー食品」は実際のビジネスを子会社のサントリーフーズなどにやらせていて、サントリー食品としては統括機能がほとんどと思われるため持株会社と同様のあつかい。
すでに述べている通り持株会社の平均年収は大卒総合職の年収を把握するには役立つが、全従業員の平均年収を知るにはつかえない。
TOP100入りした13社のうち9社が持株会社である。
そんな中「味の素」「日本たばこ産業(JT)」「江崎グリコ」「日本ハム」は全従業員の平均年収であるにもかかわらずメーカーTOP100入り。実際の年収も高いことが伺えるうえに、大卒総合職の年収は必然的にもっと高くなるだろう。
また食品・飲料メーカーは薄利多売ビジネスの企業がおおく、年収はメーカーの中でもそんなに高くない。ただし企業にもよるので要、個別検証。
※サントリービールは非上場であるためランク外としたが、食品・飲料業界の中ではキリンビール・アサヒビールにつぐくらいの高年収が望める。
鉄鋼・非鉄金属・金属製品メーカー
鉄鋼・非鉄金属・金属製品メーカーの上場企業は2019年現在で174社ある。そのうちたった5社しか全メーカー年収ランキングTOP100入りしていない。
そしてランクインした企業もすべて持株会社であり、少数の従業員から割り出した平均にすぎず、まったく当てにならない。
年収が低く出ている理由は以下のとおり推測。
- 鉄鋼メーカーはリーマンショック以降の鉄鋼不況(市況価格低迷)により業績がイマイチ振るわないため、ボーナスも低く、結果として年収も低迷しがち。とくにJFEの低迷がヒドイ(絶頂期の2006年3月期は平均年収1246万円 / 44.5歳であり、鉄鋼不況の間に300万円も年収が下落している。逆に当時はバブっていたともとれるが…)。
- 非鉄金属業界はもともと利益率の低い企業が多く、したがって従業員への還元もイマイチ良くない。一部の有力企業をのぞいて年収増の要素があまり無い。
- 金属製品業界はビジネスが多岐にわたるため一概には言えないが、工場ワーカーの比率が高いため年収低くなりがち(人手が必要となるビジネスであるケースが多い)。
完成車・自動車部品・輸送機器メーカー
完成車・自動車部品・輸送機器メーカーの上場企業は2019年現在で95社ある。そのうちたった4社しかメーカー年収ランキングTOP100入りしていない。
年収が低く出ている理由は以下のとおり推測。
- 輸送機器業界は持株会社がすくなく、純粋な全従業員の平均年収で勝負している。
- とくに完成車メーカーは完成までの工程があまりに多すぎて、なんだかんだ人海戦術に頼っている部分もまだまだ沢山ある。結果として現場ワーカーが多くなり、平均年収を下げている。
反則ワザの持株会社にせず純粋に全従業員で勝負しているため、ランクインする企業が少なくても仕方ない。
実際にはトヨタ自動車やデンソーの年収は高いし、総合職であればトヨタ系列の主要自動車部品メーカーの年収も高い(メーカーの中ではという話)。あとはそれなりで、平均値以上ではある。
紙パルプ・その他製品メーカー
あとは紙パルプおよび、その他製品のメーカー年収ランキングTOP100入りした企業たち。
紙パルプ業界はNo1の王子HD(王子製紙を中核とする持株会社)ですら平均年収875万円であるため、年収の面では基本的にオワコン業界と考えて良い。
結論
で結論。
もっとも重要なのは現在〜将来にわたり業績拡大の期待できる企業に就職・転職すること。そうすれば自動的にボーナスが上がり、年収は高くなる。
ただしその見極めが非常に難しいのだけど…
当ブログではその判断材料をできる限り提供しているので、業界研究カテゴリーものぞいてみてほしい。