【2019年】IT企業の平均年収ランキング – SIer・モバイル・ゲーム等

【2019年版】IT業界の平均年収ランキング。

この記事では平均年収1000万円を超える企業5社および、ランキングTOP100までを紹介します。2018年3月期あるいは同等の有価証券報告書からくる、最新の平均年収ランキングです。

本ランキングのなかにはSIer(システムインテグレーター)、モバイル通信企業、WEBサービス企業、WEBゲーム会社、その他ITソリューションプロバイダーをふくみます。

就職・転職のご参考にどうぞ。

※「ホールディングス=HD」と省略。

【2019年版】IT業界の平均年収ランキングTOP100

平均年収だけでなく業種、平均年齢、平均勤続年数、従業員数、売上高、当期純利益も掲載しておく。ちょっと見にくいけどご了承を…

1~50位

51~100位

まとめ

まずはザックリと全体のまとめ・総括をしておく。

1. 大手SIerおよび大手情報通信が年収高い

IT企業の年収傾向をザックリまとめると。

大手SIer(ITシステムの企画〜開発〜保守運用までを手がける企業のこと)および大手情報通信企業は年収高い傾向にあり。

モバイル大手のKDDI(平均年収936万円)、NTTドコモ(873万円)がランクインしたほか、傘下にモバイル通信事業を抱えるソフトバンクG(1158万円)もランクイン。*ただしソフトバンクGは持株会社であるため年収が高く見えているが、実際にはそうでもない。

またNTTグループはNTTドコモだけでなく、SIerのNTTデータ(820万円)、NTTグループの総元締めとも言える日本電信電話(905万円)もランクインしている。

SIer分野では野村総合研究所(1166万円)、日本オラクル(1031万円)、三菱総合研究所(975万円)、オービック(877万円)、都築電気(868万円)、大塚商会(808万円)、伊藤忠ソリューションズ(855万円)、新日鉄住金ソリューションズ(877万円)などが上位にランクイン。

いずれの企業もシステム開発大手〜準大手である。SIer分野の企業はシステムの企画開発だけでなく、ITコンサル、経営コンサル、シンクタンク的な事業もかかえているケースが多い。たとえば三菱総合研究所や野村総合研究所などがそれに当たる。詳細は次項より解説していく。

2. スマホゲーム関連は競争激化により年収下落傾向

IT企業のなかで特筆すべき変化として、スマホゲーム関連の人材が飽和状態にあることだろう。

バブル状態になっていた5~10年前まではスマホゲーム開発に付随する人材の年収が高騰した。とくにゲームアプリ開発者、ゲームデザイナーなどは年収1000万円超の求人がザラにあった。

しかし近年ではスマホゲーム業界もバブル期は終焉し、競争激化によって収益性が悪化してきている。スマホゲーム業界国内トップのディー・エヌ・エーですらも平均年収757万円(平均年齢34.6歳)と、イマイチ振るわない結果となった。

3. ランキングに表れない高年収企業もある

なお本ランキングではNEC(平均年収788万円)や富士通(790万円)など、業界が電気機器に分類されている会社は除外した。

また外資系IT企業のIBMやマイクロソフト、グーグル、SAPなどは非上場企業であるためランキングできていない。

が、基本的に外資は同ランクの日系企業よりも高い年収がのぞめる。有名企業であれば平均年収1000万円超くらいの水準にはあるだろう。したがって年収だけを重視するヒトは外資への就職・転職をオススメする。

▼なお外資系企業の内情については別の記事にしているので、ご興味ある方はどうぞ。

IT業界の年収ランキングTOP20の解説

IT企業では順当に大手が年収上位ランクにいる結果となったが、あまり詳しくない方もいるかと思うのでTOP20については企業の補足とコメントをしておく。

※「ホールディングス=HD」と省略。

1位 1206万円 SRA HD (57.1歳)

No.1の「SRAホールディングス」は金融・製造組込・文教など向け独立系システム開発会社。技術先進性や海外展開に強みあるが、ここ10年の業績は横ばい。他のIT企業が成長していることを考えると物足りない感じがする。

そして年収ランキングNo.1と言っても、持株会社でありたった6人の従業員から割り出された平均年収であるため参考にならない。そして平均年齢が57.1歳とほとんど定年間際の社員ばかりで構成されていることも実際の年収との乖離を生んでいる。でも上場企業なので仕方なくランキングに組み込んだ。

  • 2018年3月期 1206万円 (57.1歳)
  • 2017年3月期 1123万円 (56.1歳)
  • 2016年3月期 1105万円 (56.7歳)

2位 1178万円 フューチャー (41.8歳)

胡散臭いベンチャー企業のようなダサい社名だが、創業1989年でありIT企業としてはそれなりに歴史ある会社。ITコンサルのフューチャーアーキテクトなどを傘下におく持株会社である。ITシステムの設計、開発、導入支援などを一貫して手がける企業で、要はSIer。また中堅企業向けのERPソフト(一元管理ソフト)や、ニュースメディア&ウェブサービス事業なども手がけている。売上の8割超がITコンサル&ITサービス事業。

近年の企業によるIT投資の高まりもあり、10年で売上・利益ともにおおよそ2倍のスケールとなった。

なお平均年収1000万円を超えているが、これは持株会社における数字のトリックである。たった34人の従業員から割り出された平均であるため参考値にしかならない。

持株会社移行前の2015年12月期の数字、761万円(35.4歳)が現実的なラインと思われる。まぁ35歳で年収761万円は決して悪い数字ではなく、年収高いほうである。人並みに働いていれば40歳で年収800-900万円くらいと推測する。

  • 2017年12月期 1178万円 (41.8歳)
  • 2016年12月期 905万円 (42.3歳) *持株会社へ移行
  • 2015年12月期 761万円 (35.4歳)
  • 2014年12月期 780万円 (35.6歳)
  • 2013年12月期 739万円 (34.9歳)

3位 1166万円 野村総合研究所 (40.2歳)

野村証券系のSIerで略称はNRI。コンサルティング、システム開発、運用などのITソリューションを一貫して提供。顧客との関係性構築のため「プライムアカウント戦略」を推進し、海外ではアジアに加えて欧米での事業基盤構築を図っている。

金融系のITソリューションが売上の50%超を占め、産業ITソリューション(30%)、コンサルティング(8%)、IT基盤サービス(6%)とつづく。

30代中盤で年収1000万超がほぼ確実である(ただし体育会系である上に激務なので年収の絶対額を見る人にだけオススメする)。

  • 2018年3月期 1166万円 (40.2歳)
  • 2017年3月期 1151万円 (39.9歳)
  • 2016年3月期 1156万円 (39.5歳)

4位 1158万円 ソフトバンク ク G (40.5歳)

モバイル通信会社のソフトバンク、米スプリント、各種WEBサービスのヤフーを中心に、半導体チップのアームなど広範な事業を展開している持株会社。2017年5月にはソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンドによる投資活動を開始するなど、事業投資会社としての性格を強めている。また2018年12月に子会社ソフトバンクのIPOにより、時代に逆行して親子上場させた。

大型M&Aの繰り返しで増え過ぎた有利子負債をなんとかするために、親子上場させて換金しなければいけないのだろう…

なおソフトバンクGはこれらのグループを統括する持株会社であるため、従業員は少なく、平均年収は参考値にしかならない。

  • 2018年3月期 1158万円 (40.5歳)
  • 2017年3月期 1164万円 (40.5歳)
  • 2016年3月期 1164万円 (40.2歳)

5位 1031万円 日本オラクル (43.1歳)

米大手SIer「オラクル」の日本法人だが東証一部に上場している。ソフトウェア開発(とくにERP)、組込みシステム開発、インフラ系ソフトウェアプラットフォームなど、情報システム構築のための一環したクラウドソリューションを手がける企業である。営業利益率が毎年30%前後と、ほかIT企業とくらべて高収益な体質にある。

外資系ということもあり、ERP市場における他ライバルの大手日系企業オービックや大塚商会よりも高い年収水準にある。なおERPにおいては非上場のワークスアプリケーションズ、独SAPなども有名(どちらも年収高いがいろいろ問題あり)。

  • 2018年5月期 1031万円 (43.1歳)
  • 2017年5月期 1027万円 (41.7歳)
  • 2016年5月期 1040万円 (41.3歳)

6位 975万円 三菱総合研究所 (43.2歳)

コンサルティング、ITサービスを軸とする三菱系の総合シンクタンク。官公庁、金融、一般 産業の特定領域に偏らない顧客層をもつ。自然科学系出身者が4分の3を占め、修士・博士号取得者多数。

シンクタンクはたとえば「みずほ総合研究所」「xx経済研究所」のように、政府系か民間金融グループの子会社であることが多いが、三菱総合研究所は上場企業である。

ただ現在ではシンクタンク・コンサル事業よりもITサービス事業の売上比率がおおきく、全社売上の約63%をITサービス事業がしめる。よく比較にあげられる野村総合研究所も似たようなものである。

年収は特筆すべき点がなく、フツーの大手企業といった感じ。各業界の大手企業で、大卒総合職であればたいていは40歳・年収1000万円前後が目安となる。

  • 2018年9月期 941万円 (42.7歳)
  • 2017年9月期 975万円 (43.2歳)
  • 2016年9月期 1031万円 (43.1歳)

7位 936万円 KDDI (42.4歳)

モバイル通信(au)と固定インターネット回線などを手がける総合通信事業者。傘下に沖縄セルラー 電話、CATV業界大手のジュピターテレコムなどをもつ。携帯電話の契約者数ではNTTドコモに次ぐ国内No.2。

年収には特筆すべき点がなく、メーカー大手とだいたい同じである。消費者向けの営業やauショップの運営は代理店(特約店)に任せているケースがほとんどなので、仕事も楽勝である(違ったらごめんなさい)。

仕事量を考えると年収は高い、コスパ良し(NTTドコモにも当てはまる)。

  • 2018年3月期 936万円 (42.4歳)
  • 2017年3月期 953万円 (42.2歳)
  • 2016年3月期 951万円 (42.0歳)

8位 932万円 インプレス HD (47.1歳)

IT分野を中心に音楽、山岳・自然など複数領域において、出版やコンテンツ制作、物 販などを行う子会社を持つ持株会社。スマートフォン向け情報提供サービス強化の方針。

WEB出版会社とした方が良いかもしれないが、いちおうランキングに入れておいた。

持株会社であるため平均年収は実態をあらわしていない。メディア業界自体の年収は高いがインプレスは売上・利益ともに中小規模であり、高年収は期待できない。

また業績もあまり思わしくなく、赤字決算が目立つ。さらにピーク時2008年3月期には約200億円あった売上も過去10年で大きく減少し、いまでは半分ほどになってしまった。

  • 2018年3月期 932万円 (47.1歳)
  • 2017年3月期 949万円 (47.3歳)
  • 2016年3月期 937万円 (44.5歳)

9位 915万円 トレンドマイクロ (39.4歳)

いま流行りの情報セキュリティーソフト開発会社。『ウイルスバスター』がコア商品となり個人・法人用で国内トップシェア、世界No.3シェアをもつ。高収益ニッチ企業である。

年収はこの規模の会社にしては高い方。ただし平均勤続年数が7.4年と、ベンチャー企業並みに短いのが気になる(少なくとも平均勤続10年超えてないと安心できない、優良企業なら15年は超える)。

ブラック企業臭するけど大丈夫か!?*違ったらごめんなさい。

  • 2017年12月期 915万円 (39.4歳)
  • 2016年12月期 937万円 (39.0歳)
  • 2015年12月期 821万円 (38.3歳)

10位 905万円 日本電信電話 NTT (41.3歳)

通信事業国内No.1のNTTグループを統括する持株会社。持株会社としてグループ会社を統括するほか、グループの企画開発部門の一部を社内にもち、規模的にも技術的にも世界屈指の研究所を保有する。

1985年に旧「日本電信電話公社」を民営化し設立され、現在、傘下には「NTT東日本・NTT西日本(固定通信)」「NTTコミュニケーションズ(長距離・国際通信)」「NTTドコモ」「NTTデータ(SIer)」「NTTファシリティーズ(建築・電力)」「NTTコムウェア(システム)」「NTT都市開発(不動産)」「NTTファイナンス(金融)」などをおく。

なお当時は固定電話による収益に依存していた同社であるが、現在は営業利益の7割がモバイル通信事業(携帯電話)に依存している状況。

年収について。

NTTはもとをたどると国営企業であったため、当時の年収体系を大きく崩していないだろう。したがって年収は驚くほど高いという訳ではなくそれなり。その分、手当や福利厚生がほかの民間より充実しているイメージ。

それでも仕事量に比べたら高年収であると言える、コスパ良し。

  • 2018年3月期 905万円 (41.3歳)
  • 2017年3月期 894万円 (41.2歳)
  • 2016年3月期 888万円 (41.0歳)

11位 897万円 電通国際情報サービス (40.9歳)

電通(広告代理店No.1)のITシステム子会社。親会社電通の社内システム構築が安定収益源となっているほか製造向け設計開発支援、金融向けなどに強みがある。

12位 877万円 オービック (36.2歳)

独立系SIer。ERPを主軸としており、中小・中堅から大企業むけに拡大している。持文法適用会社のオービック ビジネス コンサルタント(略称:OBC)のもつ財務会計用パッケージソフト「奉行シリーズ」が主力製品。

ERPにおいてライバルとなっている日本オラクルに比べると未だ弱小感は否めないが、財務内容は超優良。さらに毎年40%超の営業利益率をたたき出すなど、投資対象として魅力的な企業である(働くとなるとまた別だけど)。

13位 873万円 NTTドコモ (40.2歳)

言わずと知れたモバイル通信サービスなどを提供する会社。1968年に日本電信電話公社(現 NTT)が移動体通信サービスポケットベルを開始した事がNTTドコモの起源となる。「docomo」の名称は「Do Communications over the Mobile network」からくる。

2018年現在では「FOMA」(第3・第3.5世代移動通信システム、2001年サービス開始)、LTEを用いた「Xi」(第3.9世代移動通信システム、2010年サービス開始)、LTE-Advancedを用いた「PREMIUM 4G」(第4世代移動通信システム、2015年サービス開始)による携帯電話事業を中心として各種事業を展開している。

なお2018年8月末時点での携帯電話契約者数ランキングは以下のとおりで、携帯電話会社としての規模だけを純粋に比較すると国内No.1である。

  1. NTTドコモ・・・7705万件(+30万4400)
  2. au (KDDI)・・・5351万件(+62万3100)
  3. ソフトバンク・・4043万件(+52万6700)
  4. ワイモバイル (イー・アクセス)・・・非開示 ※ソフトバンクに吸収合併

年収は企業のランクを考えると控えめなように感じる。NTTグループはどこも国営企業であったため割と公務員に近い年収体系になっているのでは?と推測する。

14位 868万円 都築電気 (44.0歳)

読み方は「つづき でんき」。通信と情報システムが2本柱。いちおう独立系のSIerなのだが富士通とパートナー契約があり、彼らの下請け的に働く。また2017年には病院経営の麻生と資本業務提携した。

ビジネスおよび財務体質がイマイチ微妙であるため他と提携しないと生き残れない、という脆弱さを感じるIT企業である。年収は割と高いのかもしれないが、今の財務内容だけみると就職・転職にはオススメできない。

15位 866万円 構造計画研究所 (41.4歳)

構造設計から創業の独立系SIer。昭和34年創業と、情報通信分野においては老舗の部類にはいる。独自の防災、耐震、環境評価解析などのコンサル ティングやソフトウェア、システムの開発を行う。他社連携の強化や、再生医療シ ミュレーションなどの新規事業開拓に注力。

売上100億円そこそこと小規模ながら、毎年安定した利益を計上しているニッチ企業。こういう会社って働くには割と良いかもしれない。

16位 855万円 伊藤忠テクノソリューションズ (40.5歳)

システムの開発、運用・保守、管理、アウトソーシングなどのトータル・ソリューションの提供をおこなうシステムインテグレーター(SIer)。通称「CTC」。

5大総合商社の伊藤忠商事が過半の株をもち、同社の子会社となっている。

17位 844万円 JBCC HD (46.7歳)

人事交流含めIBMと密接な関係にあるITインフラ構築の大手。システム設計から開発、構築、運用までを総合的に手がけている。

18位 837万円 新日鉄住金ソリューションズ (39.4歳)

大手鉄鋼メーカー・新日鐵住金が過半の株を保有するシステムインテグレーター (SIer) 。新日鐵住金グループである。新日鐵グループではあるが売上高の約80%は新日鐵住金以外の企業・官公庁等むけであり、ビジネスのうち親会社向けが占める比率は小さい。

19位 820万円 NTTデータ (38.4歳)

国内最大手のシステムインテグレーター(SIer)。日本電信電話 (NTT) のデータ通信事業本部を起源とし、同社が過半数の株を保有し子会社となっている。NTTグループ主要企業の一つである。

20位 808万円 大塚商会(40.7歳)

IT機器やITシステムの提案から導入までを行なう「システムインテグレーション事業」を柱としているシステムインテグレーター(SIer)。独立系である。

社名に「商会」とついているが、商社ではない。大塚製薬や大塚食品で知られる「大塚ホールディングス」とも関係がない。

おもな事業領域は以下3つ。

  1. システムインテグレーション事業
    顧客の課題を分析し、その解決策となるシステムの設計・開発、搬入設置工事、ネットワーク構築など、最適なシステムを一括して提供する事業。
  2. サービス&サポート事業(運用支援)
    オフィス用品の通販サービス、IT機器およびソフトウェアの保守、テレホンサポート、Webサービスによる各種業務サポートなど、顧客の日々の業務やIT運用を支援する事業。
  3. ホテル事業
    企業研修や会議を行うことのできる会議室やホールを併設した宿泊施設や、福利厚生にご利用いただけるホテルなどの運営を行う。

自社WEBサイトにおいて「ITでオフィスを元気にする」というスローガンをかかげている。

参考記事