「お済ませいただけますか?」は直訳すると「済ませて(終わらせて)もらえますか?」という意味。
ようは「済ませて(終わらせて)ほしい!」「済ませてください!」と言いたいわけですが・・・丁寧な敬語にするとこんな風にややこしい表現になります。
使い方は何かしら済ませてほしいときのお願い・依頼のビジネスシーン。
どちらかというと商談や電話などの会話シーンでよくつかわれる敬語ではありますが、ビジネスメールにつかっても丁寧です。
もちろん社内上司や目上にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧なフレーズ。
くわしくは本文にて意味や敬語の種類、ビジネスシーンにふさわしい使い方、ビジネスメール例文、注意点を解説していきます。
※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ
この記事の目次
意味と敬語
「お済ませいただけますか」は「済ませてもらえますか」という意味。
なぜこのような意味になるのか?
そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。
“済ませる”の意味
済ませる(すませる)は動詞「済ます」の可能形。
意味は・・・
- なすべき物事を全部してしまう。「宿題を済ませる」「仕事を済ませる」
- 借りた金などをすっかり返す。返済する。「借金の返済はお済みでしょうか?」
- 代わりのもので問題が解決したことにする。その場はそれでよいことにする。間に合わせる。「知らなかったでは済まされない」「ランチはコンビニ弁当で済ました」
- (動詞の連用形に付いて)すっかり、そのものになる。うまく、しおおせる。「コジキになり済ました強盗」
“お済ませいただける”の意味は「済ませてもらえる」
まずは前半部分。
「お済ませいただける」の意味は…
「済ませて(終わらせて)もらえる」と解釈できます。
“お済ませ”のもとになる単語は”済ませる”であり、「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」をつかって敬語にしています。
「いただける」の部分は謙譲語「いただく」の可能表現をつかっています。可能の表現をつかっているので意味としては「〜してもらえる」となります。
おなじような可能の表現にはたとえば、
「泳ぐ → 泳げる」
「書く → 書ける」
「聞く → 聞ける」
などあり。どれも「〜できる」という意味になりますね。
ちなみに”お済ませ”の「お(ご)」の部分は向かう先を立てるために使う敬語であり謙譲語の「お(ご)」です。余談ですが尊敬語にも「お(ご)」の使い方があり混同しがち。
むずかしく感じるかたは「お(ご)●●いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。
“ますか?”は丁寧語の疑問形
つづいて後半部分。
「〜ますか?」は丁寧語「ます」の疑問形。
意味としてはシンプルに「〜か?」というような質問・疑問の形になります。
目上・上司や取引先に質問するときにはたとえば、
「泳げるか? → 泳げますか?」
「書けるか? → 書けますか?」
「聞けるか? → 聞けますか?」
このように丁寧語の疑問形をつかうと丁寧です(例文を使うかどうかは別として…)。
あわせると意味は「済ませてもらえますか」
- お済ませ = 済ませること
- お(ご)~いただける = 「〜してもらえる」の意味の敬語(謙譲語)
- ますか = 「〜か?」という意味の敬語(丁寧語)
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「お済ませいただけますか」の意味は…
「済ませて(終わらせて)もらえますか」
のように解釈できます。
ようするに「済ませてほしい!」「済ませてください!」というあなたの希望をあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。
そこで遠まわりに「~してもらえますか?」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。
そんなに丁寧にお願いする必要あるの?って思うくらい。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
敬語の解説
ややこしいので、これまでの敬語の解説をまとめておきます。
「お済ませいただけますか」を敬語としてみていくと以下のとおりに成り立ちます。
- もとになる単語「済ませる」
- “〜してもらう”の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「お済ませいただく」
- 可能形にして「お済ませいただける」
- 丁寧語”ます”の疑問形「ますか」
→ すべてあわせると「お済ませいただけますか」という敬語の完成
このようにして元になる語「済ませる」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
なお「お済ませしていただけますか」は間違い敬語となりますのでご注意を。
この場合、謙譲語「お(ご)」をなくして「済ませていただけますか」とすれば正しい敬語になります。
理由は長くなるので省きますが、あくまでも「お済ませいただけますか」をつかうことをオススメします。
それでは次項より使い方についても見ておきましょう。
【使い方】済ませてほしい!と伝えるビジネスシーン
「お済ませいただけますか」の使い方
意味のとおりで何かしら「済ませて(終わらせて)ほしい!」と言いたいビジネスシーンに使います。
①おもに会話・電話対応シーンで使われる
「お済ませいただけますか」の使い方その1
「お済ませいただけますか」にかぎらず「〜いただけますか?」という表現はビジネスメールよりも、どちらかというと電話対応や商談・会話シーンで多くつかいますね。
だからと言ってメールにつかったら失礼とかではなく、ビジネスメールでもまぁ違和感はありません。
たとえば、
- 【例文】お済ませいただけますか。
- 【例文】お済ませいただけますでしょうか。
※ “でしょうか?”は「だろうか?」の丁寧語(敬語)
のいずれかの形で何かの依頼・お願いをともなうビジネスシーン(会話・電話対応・メール)に使われます。
ようするに「済ませてほしい!」という意味なのですが丁寧な敬語にすると、こんな風にややこしい文章になります。
②ビジネスメールにも使えるけど…
「お済ませいただけますか」の使い方その2
わたし個人としてはビジネスメールに「お済ませいただけますか?」のような疑問文をつかうのがあまり好きではありません。
そこで、
- 【例文】お済ませいただきたく存じます
- 【例文】お済ませいただきたく、お願い致します
- 【例文】お済ませいただければと存じます
- 【例文】お済ませいただければ幸いです
- 【例文】お済ませくださいますようお願い致します
など、自分の意思や願望をつたえる敬語を代わりにえらびます(下の例文ほど丁寧な敬語になります)。
いっぽうで電話対応や会話では「〜いただけますか?」を多用します。
これは好みで分かれるところ。
おっさん営業マンのたわ言だと思ってスルーしてもらっても構いません。
まぁとにかく、
「〜いただけますか?」はシーンをえらばずに使える、とても便利な敬語フレーズ。
上司や目上など社内に限らず、取引先など社外にも使える丁寧な敬語ですね。
【敬語の補足】
・「幸いです」は「嬉しいです」の意味
・「存じる」は「思う」の謙譲語
・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+希望「~したい」
・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」
③済ませていただけますか?でもOK
ここでは「お済ませいただけますか?」というようにしましたが・・・
会話や電話対応シーンではもう少しカジュアルに「済ませていただけますか?」としてもまぁ丁寧です。
「~していただけますか?」の意味は「~してもらえますか?」であり、敬語をつかって丁寧な表現にしています。
もちろん「お済ませいただけますか?」のほうが丁寧。
ただ会話シーンで堅苦しい敬語をつかいすぎると相手とのあいだに壁をつくってしまいます。
そういう意味で会話ではややカジュアルな敬語フレーズをつかっても差し支えありません。
ビジネスメール・会話の例文
長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。
「お済ませいただけますか?」の使い方を簡単な例文で紹介しておきます。
①会話・電話対応シーン例文
- 【例文】事前に検尿をお済ませいただけますか?
- 【例文】まずは検尿をお済ませいただけますか?
- 【例文】食事をお済ませいただけますか?
②ビジネスメールにつかえる例文
とくにビジネスメールにおいては以下の敬語もオススメです。
- それなりに丁寧
例文「お済ませください」
例文「お済ませくださいませ」 - 丁寧
例文「お済ませいただきたく、お願い致します」
例文「お済ませいただきたく存じます」
例文「お済ませいただければと存じます」 - かなり丁寧
例文「お済ませいただければ幸いです」
例文「お済ませいただけますと幸いです」
例文「お済ませいただけましたら幸いです」
例文「お済ませいただけますと幸甚に存じます/幸甚です」 - とくにビジネスメール結び/文末につかう
例文「お済ませ頂きますようお願い申し上げます」
例文「お済ませくださいますようお願い致します」
※「お願い致します=お願い申し上げます」に言い換えできます
“お済ませ頂けますか vs 頂けましたか?”の違い
ここで「お済ませいただけますか? vs お済ませいただけましたか?」の違いについて簡単にまとめ。
「依頼・お願い vs 確認・催促」の違いあり
これまで解説したとおり、
- 「お済ませいただけましたか?」は過去形であるため「すでに済ませたのか?」「もう済ませたのか?」という催促や確認の意味でつかわれます。
いっぽうで、
- 「お済ませいただけますか?」と現在形をつかうと「済ませてもらえますか?」というお願い・依頼のフレーズになります。
まったく違う意味になりますのでご留意ください。
お済ませいただけますでしょうか?とするとなお丁寧
「済ませてもらえますか?」と催促・確認したいときに使える敬語。
「お済ませいただけますか」でも十分に丁寧ではありますが…
「お済ませいただけますでしょうか」とすると、よりやわらか〜い感じの敬語フレーズになります。
推測「〜だろうか?」の丁寧語「〜でしょうか?」を「お済ませいただけますか」に加えるとこうなります。
意味と使い方
「お済ませいただけますでしょうか」の意味は「済ませてもらえるだろうか?」
つまり「済ませてほしい」と言いたい訳ですね。
使い方は「お済ませいただけますか」とおなじく依頼・お願いのビジネスシーン(電話・会話・ビジネスメール)。
例文は重複するため省略します。
“いただけますか vs いただけますでしょうか”の違い
「お済ませいただけますか?」vs「お済ませいただけますでしょうか?」の意味と違い。
どちらも言いたいことは結局のところ「済ませてもらえるか?」なのですが…
敬語の使い方に違いあり。
- “お済ませいただけますか?“だと意味は「済ませてもらえるか?」
→敬語は謙譲語「お(ご)〜いただく」の可能形+丁寧語”ます”
vs.
- “お済ませいただけますでしょうか?“だと意味は「済ませてもらえるだろうか?」
→敬語は謙譲語「お(ご)〜いただく」の可能形+丁寧語”ます”+推量”だろうか”の丁寧語「でしょうか」
というように意味と敬語の使い方が違います。
いただけますでしょうか?の方が丁寧
いずれも上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語です。
が、どちらかというと「〜いただけますでしょうか?」のほうが丁寧です。
ただしバカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけますか?」で差し支えありません。
私の場合・・・
ビジネスメールでは「~いただけますでしょうか?」をつかうことが多く、会話シーンであれば「ご支持いただけますか?」とします。
会話は多少カジュアルに、メールは堅苦しく、というのが私のポリシーです。
でも結局のところあなたの好みです。あまりお気になさらないように。
ちなみに、
「ご支持いただけましたでしょうか?」と過去形をつかうと「すでに支持してもらえただろうか?」という催促・確認のフレーズになります。
敬語の解説
「お済ませいただけますでしょうか?」
の敬語の成り立ちとしては…
- “済ませる”に「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「お済ませいただく」
- 可能形にして「お済ませいただける」
- さらに丁寧語”ます”で「お済ませいただけます」
- 疑問形にして「お済ませいただけますか?」
“〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」を使うと「お済ませいただけますでしょうか?」
どちらの表現も謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。
したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。
“お済ませいただけましたら幸いです”だと更に丁寧
“済ませてほしい!”と言いたいときに使える敬語。
- 【例文】お済ませいただけましたら幸いです
あるいは、
- 【例文】お済ませいただければ幸いです
とすると、さらに素晴らしく丁寧な敬語になります。
意味としてはどちらも「済ませてもらえたら嬉しいです」
ようするに「済ませてほしい!」「済ませてください!」というあなたの希望をあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。
そこで遠まわしに「~してもらえたら嬉しいなぁ」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。
敬語の解説
念のため敬語の解説を。
「お済ませいただければ幸いです」を敬語としてみていくと以下のとおりに成り立ちます。
- もとになる単語「済ませる」
- “〜してもらう”の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「お済ませいただく」
- 仮定「たら・れば」で「お済ませいただければ」
- “嬉しい”の意味である「幸い」に丁寧語”です”をくっつけて「幸いです」
→ すべてあわせると「お済ませいただければ幸いです」という敬語の完成
ついでに「お済ませいただけましたら」の敬語の成り立ちも。
- もとになる単語「済ませる」
- “〜してもらう”の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「お済ませいただく」
- 仮定「たら・れば」で「お済ませいただけたら」
- 丁寧語”ます”で「お済ませいただけましたら」
- “嬉しい”の意味である「幸い」に丁寧語”です”をくっつけて「幸いです」
→ すべてあわせると「お済ませいただけましたら幸いです」という敬語の完成
このようにして元になる語「済ませる」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
ほかにも使える丁寧な敬語
これまで紹介した例文のほかにも…
- 【例文】お済ませいただけますと幸いです
※意味は「済ませてもらえると嬉しいです」 - 【例文】お済ませいただければ幸甚に存じます
※意味は「済ませてもらえたら、とても嬉しく思います」 - 【例文】お済ませいただけますと幸甚に存じます
※意味は「済ませてもらえると、とても嬉しく思います」 - 【例文】お済ませいただけましたら幸甚に存じます
※意味は「済ませてもらえたら、とても嬉しく思います」
なども似たような意味であり、とても丁寧な敬語です。
※ 幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
ビジネスメールでは”お済ませ頂きたく存じます”も使う
他にもビジネスメールでよく使う敬語には
- 【例文】お済ませいただきたく存じます
→意味は「済ませてもらいたいと思います」
もあります。
「済ませてください!」とストレートに言うのではなく遠回しに自分の意思や気持ちをつたえる、とても丁寧なフレーズですね。
ニュアンスとしては「済ませてもらいたいと思うのだけど…」みたいなイメージ。
あまりに堅苦しくて大げさかもしれませんが、とにかく目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズになります。
“お済ませいただければと存じます”だとなお丁寧
“済ませてほしい!”と言いたいときに使える敬語。
「お済ませいただきたく存じます」
でも十分に丁寧ではありますが…
- 【例文】お済ませいただければと存じます
→意味は「済ませてもらえたらと思います」
とすると、より丁寧な敬語になります。
意味と違い・使い方
「お済ませいただきたく存じます」vs「お済ませいただければと存じます」の意味と違い。
どちらも言いたいことは結局のところ「済ませてほしい」なのですが…
敬語の使い方に違いあり。
謙譲語「いただく」に仮定の「たら・れば」をくっつけると「いただければ」という敬語になります。
したがって「お済ませいただければと存じます」のニュアンスとしては「よかったら済ませてもらえたらと思うのだけど」というような感じになります。
「お済ませいただきたく存じます」でも遠回しにあなたの希望を伝える敬語なのですが…
「お済ませいただければと存じます」だともっと大げさになります。
かな〜り遠回しにお願いをしているわけで、目上・上司・取引先への言葉づかいとしてはこの上なく丁寧ですね。
そんなに丁寧にする必要あるの?って思うくらい。
まぁ、ひとつのオプションとしてお好みでお使いください。
敬語の解説
ややこしいので、これまでの敬語の解説をまとめておきます。
「お済ませいただきたく存じます」を敬語としてみていくと以下のとおりに成り立ちます。
- もとになる単語「済ませる」
- “〜してもらう”の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「お済ませいただく」
- 意思・希望”〜したい”で「お済ませいただきたい」
- “思う”の謙譲語「存じる」に丁寧語”ます”をくっつけて「存じます」
→ すべてあわせると「お済ませいただきたく存じます」という敬語の完成
さらに、
仮定「たら・れば」を組み合わせると「お済ませいただければと存じます」という敬語の完成
シンプルに”お済ませ頂きたくお願い致します”でも丁寧
“済ませてほしい!”と言いたいときに使える敬語。
「お済ませいただけますか?」
「お済ませいただきたく存じます」
「お済ませいただければと存じます」
だけでなくシンプルに、
- 【例文】お済ませいただきたく、お願い致します
としても十分に丁寧です。
意味としては「済ませてもらいたい、お願いします」
言いたいことは結局のところどれも同じく「済ませてほしい」なのですが…敬語の使い方がそれぞれ違うため、なんとな〜くニュアンスが違ってきます(どれをつかっても丁寧です)。
たとえば、
- 【例文】お済ませいただきたく、お願い致します。
- 【例文】お済ませいただきたく、お願い申し上げます。
のようにして使いますね。
“存じます”ばかりのメールは気持ち悪い
ビジネスメールで「存じます」つまり「思います」を多用すると気持ち悪い文章になってしまいます。あなたの意思が伝わらずぼんや〜りとしたメールになって「結局なにが言いたいの?」ということになりかねません。
そんなときに活躍するのが「お済ませいただきたく、お願い致します」です。
「お済ませいただきたく存じます」だと「済ませてもらいたいと思います」という意味であり、
「お済ませいただきたく、お願い致します」だと「済ませてもらいたい、お願い!」というような意味になります。
敬語としてはどちらも、これでもかというくらい丁寧なので使い分けする必要はありません。
文章のバランスを考えてお好みでお使いください。
敬語の解説
一応「お済ませいただきたく、お願い致します」の敬語の成り立ちをまとめておきます。
- もとになる単語「済ませる」
- “〜してもらう”の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「お済ませいただく」
- 意思・希望”〜したい”で「お済ませいただきたい」
- “願う”に謙譲語”お(ご)〜いたす”で「お願いいたす」
- 丁寧語”ます”をくっつけて「お願いいたします」
→ すべてあわせると「お済ませいただきたく、お願いいたします」という敬語の完成
※「お願い申し上げます=お願いいたします」言い換えOK
※「お願いいたします」の表記は漢字「お願い致します」としてもOK
謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。
したがって上司・目上やビジネスメールで使うのにふさわしい表現、と言えるでしょう。
結局どれがもっとも丁寧?
あまりにも言い換え敬語フレーズがおおいので、どれを使うべきか迷ってしまうというあなたのために。
ここまで紹介した言い換え例文の丁寧レベルを整理しておきます。
※ あくまでも目安としてお考えください。
①会話・電話対応につかえる丁寧レベル
下になればなるほど丁寧な敬語になります。また、おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。
- お済ませください
- お済ませくださいませ
- お済ませいただけますか?
- お済ませいただけますでしょうか?
②ビジネスメール対上司・対社内につかえる丁寧レベル
おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。
- お済ませください
- お済ませくださいませ
- お済ませいただけますか
- お済ませいただけますでしょうか
- お済ませいただきたく、お願い致します
- お済ませいただきたく存じます
- お済ませいただければと存じます
- お済ませくださいますようお願い申し上げます
- お済ませいただきますようお願い申し上げます
- お済ませいただけますようお願い申し上げます
注)上下関係に厳しい上司や、社内でも相当のポジションにいる人にたいしては例文⑤以降あるいは次項のフレーズをつかいましょう。
・「存じる」は「思う」の謙譲語
・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+希望”~したい”
・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定”たら・れば”
・「いただけましたら」は謙譲語「いただく」+丁寧語”ます”+仮定”たら”
③ビジネスメール対取引先・対顧客につかえる丁寧レベル
おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。
- お済ませくださいませ
- お済ませいただきたく、お願い致します
- お済ませいただきたく存じます
- お済ませいただければと存じます
- お済ませいただきますようお願い申し上げます
- お済ませいただけますようお願い申し上げます
- お済ませくださいますようお願い申し上げます
- お済ませいただければ幸いです
- お済ませいただければ幸甚に存じます
- お済ませいただけますと幸いです
- お済ませいただけましたら幸いです
- お済ませいただけますと幸甚に存じます
- お済ませいただけましたら幸甚でございます
- お済ませいただけましたら幸甚に存じます
補)「お願い申し上げます=お願い致します」に言い換えOK
補)幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
・「存じる」は「思う」の謙譲語
・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+希望”~したい”
・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定”たら・れば”
・「いただけましたら」は謙譲語「いただく」+丁寧語”ます”+仮定”たら”
④最上級の丁寧レベル
おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。
- お済ませいただければ幸いです
- お済ませいただければ幸甚に存じます
- お済ませいただけますと幸いです
- お済ませいただけましたら幸いです
- お済ませいただけますと幸甚に存じます
- お済ませいただけましたら幸甚でございます
- お済ませいただけましたら幸甚に存じます
・「お願い申し上げます=お願い致します」に言い換えOK
・幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま。