「納入いただけますか？」意味と使い方・ビジネス例文

「納入いただけますか？」は直訳すると「納入してもらえますか？」という意味。

ようは「納入してほしい！」「納入してください！」と言いたいわけですが・・・丁寧な敬語にするとこんな風にややこしい表現になります。

使い方は何かしら納入してほしいときのお願い・依頼のビジネスシーン。

どちらかというと商談や電話などの会話シーンでよくつかわれる敬語ではありますが、ビジネスメールにつかっても丁寧です。

もちろん社内上司や目上にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧なフレーズ。

くわしくは本文にて意味や敬語の種類、ビジネスシーンにふさわしい使い方、ビジネスメール例文、注意点を解説していきます。

※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ

意味と敬語

「納入いただけますか」は「納入してもらえますか」という意味。

なぜこのような意味になるのか？

そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。

“納入“の意味は「品物や金品を納めること」

たとえば、

【例文】商品を客先へ納入する

【例文】コンサル料を納入する

【例文】納入期日

のようにして使います。

“納入いただける”の意味は「納入してもらえる」

“納入”のもとになる単語は”納入”であり、「〜してもらう」の謙譲語「お（ご）～いただく」をつかって敬語にしています。

「いただける」の部分は謙譲語「いただく」の可能表現をつかっています。可能の表現をつかっているので意味としては「〜してもらえる」となります。

おなじような可能の表現にはたとえば、

「泳ぐ → 泳げる」
「書く → 書ける」
「聞く → 聞ける」

などあり。どれも「〜できる」という意味になりますね。

“ますか？”は丁寧語の疑問形

あわせると意味は「納入してもらえますか」

これらの単語を合体させて意味を考えます。

すると「納入いただけますか」の意味は…

「納入してもらえますか」

のように解釈できます。

ようするに「納入してほしい！」「納入してください！」というあなたの希望をあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。

そこで遠まわりに「～してもらえますか？」として、とてもやわらか～いお願いの敬語フレーズにしています。

そんなに丁寧にお願いする必要あるの？って思うくらい。

目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。

敬語の解説

ややこしいので、これまでの敬語の解説をまとめておきます。

「納入いただけますか」を敬語としてみていくと以下のとおりに成り立ちます。

このようにして元になる語「納入」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。

相手に強制しない、とてもやわらか～いお願いの敬語フレーズになります。

なお「納入していただけますか」でも正しい敬語です。

それでは次項より使い方についても見ておきましょう。

【使い方】納入してほしい！と伝えるビジネスシーン

「納入いただけますか」の使い方

意味のとおりで何かしら「納入してほしい！」と言いたいビジネスシーンに使います。

①おもに会話・電話対応シーンで使われる

「納入いただけますか」の使い方その１

「納入いただけますか」にかぎらず「〜いただけますか？」という表現はビジネスメールよりも、どちらかというと電話対応や商談・会話シーンで多くつかいますね。

だからと言ってメールにつかったら失礼とかではなく、ビジネスメールでもまぁ違和感はありません。

たとえば、

のいずれかの形で何かの依頼・お願いをともなうビジネスシーン（会話・電話対応・メール）に使われます。

ようするに「納入してほしい！」という意味なのですが丁寧な敬語にすると、こんな風にややこしい文章になります。

②ビジネスメールにも使えるけど…

「納入いただけますか」の使い方その２

わたし個人としてはビジネスメールに「納入いただけますか？」のような疑問文をつかうのがあまり好きではありません。

そこで、

• 【例文】納入をお願い致します
• 【例文】納入いただきたく存じます
• 【例文】納入いただきたく、お願い致します
• 【例文】納入いただければと存じます
• 【例文】納入いただければ幸いです

など、自分の意思や願望をつたえる敬語を代わりにえらびます（下の例文ほど丁寧な敬語になります）。

いっぽうで電話対応や会話では「〜いただけますか？」を多用します。

これは好みで分かれるところ。

おっさん営業マンのたわ言だと思ってスルーしてもらっても構いません。

まぁとにかく、

「〜いただけますか？」はシーンをえらばずに使える、とても便利な敬語フレーズ。

上司や目上など社内に限らず、取引先など社外にも使える丁寧な敬語ですね。

ビジネスメール・会話の例文

長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。

「納入いただけますか？」の使い方を簡単な例文で紹介しておきます。

①会話・電話対応シーン例文

②ビジネスメールにつかえる例文

とくにビジネスメールにおいては以下の敬語もオススメです。

1. それなりに丁寧
   例文「納入ください」
   例文「納入くださいませ」
   例文「納入をお願い致します」
2. 丁寧
   例文「納入いただきたく、お願い致します」
   例文「納入いただきたく存じます」
   例文「納入いただければと存じます」
3. かなり丁寧
   例文「納入いただければ幸いです」
   例文「納入いただけますと幸いです」
   例文「納入いただけましたら幸いです」
   例文「納入いただけますと幸甚に存じます／幸甚です」
4. とくにビジネスメール結び/文末につかう
   例文「納入頂きますようお願い申し上げます」
   例文「納入くださいますようお願い致します」
   例文「納入のほど宜しくお願い致します」

※「お願い致します＝お願い申し上げます」に言い換えできます

“納入いただけますか vs いただけましたか？”の違い

ここで”納入いただけますか vs いただけましたか？”の違いについて簡単に。

「依頼・お願い vs 確認・催促」の違いあり

これまで解説したとおり、

• 「納入いただけますか？」は現在形であるため「納入してもらえますか？」というお願い・依頼のフレーズになります。

いっぽうで、

• 「納入いただけましたか？」と過去形をつかうと「すでに納入したのか？」「もう納入したのか？」という催促や確認の意味でつかわれます。

まったく違う意味になりますのでご留意ください。

納入いただけますでしょうか？とするとなお丁寧

「納入してもらえますか？」と依頼・お願いしたいときに使える敬語。

「納入いただけますか」でも十分に丁寧ではありますが…

「納入いただけますでしょうか」とすると、よりやわらか〜い感じの敬語フレーズになります。

推測「〜だろうか？」の丁寧語「〜でしょうか？」を「納入いただけますか」に加えるとこうなります。

意味と使い方

「納入いただけますでしょうか」の意味は「納入してもらえるだろうか？」

つまり「納入してほしい」と言いたい訳ですね。

使い方は「納入いただけますか」とおなじく依頼・お願いのビジネスシーン（電話・会話・ビジネスメール）。

例文は重複するため省略します。

“いただけますか vs いただけますでしょうか”の違い

「納入いただけますか？」vs「納入いただけますでしょうか？」の意味と違い。

どちらも言いたいことは結局のところ「納入してもらえるか？」なのですが…

敬語の使い方に違いあり。

というように意味と敬語の使い方が違います。

いただけますでしょうか？の方が丁寧

いずれも上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語です。

が、どちらかというと「〜いただけますでしょうか？」のほうが丁寧です。

ただしバカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけますか？」で差し支えありません。

私の場合・・・

ビジネスメールでは「～いただけますでしょうか？」をつかうことが多く、会話シーンであれば「納入いただけますか？」とします。

会話は多少カジュアルに、メールは堅苦しく、というのが私のポリシーです。

でも結局のところあなたの好みです。あまりお気になさらないように。

敬語の解説

「納入いただけますでしょうか？」

の敬語の成り立ちとしては…

どちらの表現も謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。

“納入いただけましたら幸いです”だと更に丁寧

“納入してほしい！”と言いたいときに使える敬語。

• 【例文】納入いただけましたら幸いです

あるいは、

• 【例文】納入いただければ幸いです

とすると、さらに素晴らしく丁寧な敬語になります。

意味としてはどちらも「納入してもらえたら嬉しいです」

ようするに「納入してほしい！」「納入してください！」というあなたの希望をあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。

そこで遠まわしに「～してもらえたら嬉しいなぁ」として、とてもやわらか～いお願いの敬語フレーズにしています。

ビジネスメールでは”納入のほど”もよく使う

他にもビジネスメールでよく使う敬語には「納入のほど」もあります。

ビジネスメールではとかく「いただく」「くださる」ばかりになってしまい、文章が気持ち悪くなってしまうのですよね。

そこで活躍するのが「納入のほど～」です。

使い方にはたとえば

などあり。

“納入のほど”の「ほど」ってどんな意味？

ここで「納入のほど」の「のほど」は限定を避ける言い方で、意味としては「〜してもらうよう」「〜してくれるよう」と考えることができます。

断定をさけて表現をやわらげるのに用いる語です。

もともと、とくに深い意味はありません。

ビジネスでは下手（したて）に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。

ちなみに「納入の程」というように漢字をもちいてもOK。あなたのお好みでお使いください。

シンプルに”納入をお願い致します”でも丁寧

“納入してほしい！”と言いたいときに使える敬語。

「納入いただけますか？」

「納入いただければと存じます」

「納入のほどお願い致します」

「納入いただきたく、お願い致します」

だけでなくシンプルに「納入をお願い致します」としてもOKです。

意味としては「納入をお願いします！」であり、

言いたいことは結局のところ「納入してほしい」となります。

たとえば、

のようにして使います。

社内メールや懇意にしている取引先につかう

基本の使い方はこれまでとおなじ。

なにかしら「納入してほしい！」というときに使います。

とくに懇意にしている社外取引先や社内コミュニケーション（上司・目上）であれば、そこまで堅苦しい敬語をつかう必要はありません。

あまりに丁寧すぎる敬語は相手との間に壁をつくってしまいますからね。

ということで相手をみてシンプルに「納入をお願い致します」としてもなんら問題はありません。