「ご賛同いただけましたか?」は直訳すると「賛同してもらえましたか?」という意味。
ようは「すでに賛同したか?」「賛同したのか?」と言いたいわけですが・・・丁寧な敬語にするとこんな風にややこしい表現になります。
使い方は何かしら賛同したかを確認・催促するときのビジネスシーン。
どちらかというと商談や電話などの会話シーンでよくつかわれる敬語ではありますが、ビジネスメールにつかっても丁寧です。
社内上司や目上にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧なフレーズですね。
くわしくは本文にて意味や敬語の種類、ビジネスシーンにふさわしい使い方、ビジネスメール例文、注意点を解説していきます。
※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ
この記事の目次
意味と敬語
「ご賛同いただけましたか?」は「賛同してもらえましたか」という意味。
なぜこのような意味になるのか?
そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。
“賛同”の意味
賛同(さんどう)の意味は・・・
「他人の意見・提案などに、賛成・同意すること」
たとえば、
【例文】銀行から3億円かりることに関して、社内の賛同をえた。
【例文】あなたの考えに賛同します。
のようにして使います。
“ご賛同いただける”の意味は「賛同してもらえる」
まずは前半部分。
「ご賛同いただける」の意味は…
「賛同してもらえる」と解釈できます。
“ご賛同”のもとになる単語は”賛同”であり、「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」をつかって敬語にしています。
「いただける」の部分は謙譲語「いただく」の可能表現をつかっています。可能の表現をつかっているので意味としては「〜してもらえる」となります。
おなじような可能の表現にはたとえば、
「泳ぐ → 泳げる」
「書く → 書ける」
「聞く → 聞ける」
などあり。どれも「〜できる」という意味になりますね。
ちなみに”ご賛同”の「お(ご)」の部分は向かう先を立てるために使う敬語であり謙譲語の「お(ご)」です。余談ですが尊敬語にも「お(ご)」の使い方があり混同しがち。
むずかしく感じるかたは「お(ご)●●いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。
“ましたか?”は丁寧語の疑問形+過去形
つづいて後半部分。
「〜ましたか?」は丁寧語「ます」の疑問形を過去形にしたもの。
意味としてはシンプルに「〜したか?」というような質問・疑問の形になります。
目上・上司や取引先に質問するときにはたとえば、
「泳げたか? → 泳げましたか?」
「書けたか? → 書けましたか?」
「聞けたか? → 聞けましたか?」
このように丁寧語の疑問形をつかうと丁寧です(例文を使うかどうかは別として…)。
ちなみに、
「ご賛同いただけますか?」と現在形をつかうと「賛同してもらえますか?」というお願い・依頼のフレーズになります。
あわせると意味は「賛同してもらえましたか」
- ご賛同 = 賛同すること
- お(ご)~いただける = 「〜してもらえる」の意味の敬語(謙譲語)
- ますか = 「〜か?」という意味の敬語(丁寧語)
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「ご賛同いただけましたか?」の意味は…
「賛同してもらえましたか?」
のように解釈できます。
ようするに「すでに賛同したのか?」「もう賛同したのか?」という催促や確認の意味をあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司・取引先に使うにはイマイチです。
そこで遠まわりに「~してもらえましたか?」として、とてもやわらか~い確認・催促の敬語フレーズにしています。
そんなに丁寧に催促する必要あるの?って思うくらい。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
敬語の解説
ややこしいので、これまでの敬語の解説をまとめておきます。
「ご賛同いただけましたか」を敬語としてみていくと以下のとおりに成り立ちます。
- もとになる単語「賛同」
- “〜してもらう”の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「ご賛同いただく」
- 可能形にして「ご賛同いただける」
- 丁寧語”ます”の疑問形「ますか」を過去形にして「ましたか?」
→ すべてあわせると「ご賛同いただけましたか?」という敬語の完成
※「お(ご)」を省いて「賛同いただけましたか?」でも正しい敬語です。
このようにして元になる語「賛同」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
相手に強制しない、とてもやわらか~い確認・催促の敬語フレーズになります。
なお「ご賛同していただけましたか?」は間違い敬語となりますのでご注意を。
この場合、謙譲語「お(ご)」をなくして「賛同していただけましたか?」とすれば正しい敬語になります。
理由は長くなるので省きますが、あくまでも「ご賛同いただけましたか?」をつかうことをオススメします。
それでは次項より使い方についても見ておきましょう。
使い方
つづいて「ご賛同いただけましたか」の使い方について。
①基本:賛同してもらえたか?と催促・確認するビジネスシーン
「ご賛同いただけましたか」の使い方
意味のとおりで何かしら「すでに賛同してもらえたか?」と催促したい、あるいは確認したいときのビジネスシーンで使います。
「ご賛同いただけましたか」にかぎらず「〜いただけましたか?」という表現はビジネスメールよりも、どちらかというと電話対応や商談・会話シーンで多くつかいますね。
だからと言ってメールにつかったら失礼とかではなく、ビジネスメールにつかっても違和感はありません。
②例文
たとえば、
- 【例文】部長はご賛同いただけましたか?
- 【例文】このたびの投資案件に社長はご賛同いただけましたか?
※「ご同意」と言い換えても丁寧です。相手に認めてもらいたいのであれば「ご承諾・ご承認=認めること・受け入れること」に言い換えできます。
のようにして催促や確認をともなうビジネスシーン(会話・電話対応・メール)に使われます。
ようするに「すでに賛同してもらえたか?」という意味なのですが丁寧な敬語にすると、こんな風にややこしい文章になります。
③賛同してもらえるか?と依頼する時は”ご賛同頂けますか?”
これまで見てきたように「ご賛同いただけましたか?」は「すでに賛同したのか?」という催促や確認の意味をあらわしています。
で、
賛同してもらえるか?と依頼・お願いしたいときには…
- 【例文】ご賛同いただけますか?
- 【例文】ご賛同いただけますでしょうか?
のように現在形「〜いただけますか?」をつかうと丁寧です。
あるいは尊敬語「お(ご)〜くださる」をつかい…
- 【例文】ご賛同くださいますか?
- 【例文】ご賛同くださいますでしょうか?
のように「〜くださいますか?」をつかっても丁寧。
こうすると意味は「賛同してくれるか?」となります。
ニュアンスと敬語の使い方は違いますが、言いたいことは同じでありどちらも丁寧です。
“ご賛同頂けましたか vs 頂けますか?”の違い
ここで「ご賛同いただけましたか? vs ご賛同いただけますか?」の違いについて簡単にまとめ。
「確認・催促 vs 依頼・お願い」の違いあり
これまで解説したとおり、
- 「ご賛同いただけましたか?」は過去形であるため「すでに賛同したのか?」「もう賛同したのか?」という催促や確認の意味でつかわれます。
いっぽうで、
- 「ご賛同いただけますか?」と現在形をつかうと「賛同してもらえますか?」というお願い・依頼のフレーズになります。
まったく違う意味になりますのでご留意ください。
ご賛同頂けましたでしょうか?とするとなお丁寧
「賛同してもらえましたか?」と催促・確認したいときに使える敬語。
「ご賛同いただけましたか」でも十分に丁寧ではありますが…
「ご賛同いただけましたでしょうか」とすると、よりやわらか〜い感じの敬語フレーズになります。
推測「〜だろうか?」の丁寧語「〜でしょうか?」を「ご賛同いただけましたか」に加えるとこうなります。
意味と使い方
「ご賛同いただけましたでしょうか」の意味は「賛同してもらえただろうか?」
つまり「すでに賛同しただろうか?」と言いたい訳ですね。
使い方は「ご賛同いただけましたか」とおなじく確認・催促のビジネスシーン(電話・会話・ビジネスメール)。
例文は重複するため省略します。
いただけましたでしょうか?の方が丁寧
いずれも上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語です。
が、どちらかというと「〜いただけましたでしょうか?」のほうが丁寧です。
ただしバカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけましたか?」で差し支えありません。
私の場合・・・
ビジネスメールでは「~いただけましたでしょうか?」をつかうことが多く、会話シーンであれば「ご賛同いただけましたか?」とします。
会話は多少カジュアルに、メールは堅苦しく、というのが私のポリシーです。
でも結局のところあなたの好みです。あまりお気になさらないように。
ちなみに、
「ご賛同いただけますでしょうか?」と現在形をつかうと「賛同してもらえるだろうか?」というお願い・依頼のフレーズになります。
敬語の解説
「ご賛同いただけましたでしょうか?」
の敬語の成り立ちとしては…
- “賛同”に「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「ご賛同いただく」
- 可能形にして「ご賛同いただける」
- 丁寧語”ます”の過去形”ました”をくっつけて「ご賛同いただけました」
- 疑問形にして「ご賛同いただけましたか?」
- さらに”〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」をくっつけると「ご賛同いただけましたでしょうか?」
どちらの表現も謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。
したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。
どちらかというと「〜いただけましたでしょうか?」のほうが丁寧なのですが…バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけましたか?」でオッケー。
ご賛同くださいましたか?としても丁寧
「賛同してもらえましたか?」と催促・確認したいときにつかえる敬語。
「ご賛同いただけましたか?」「ご賛同いただけましたでしょうか?」だけでなく…
- 【例文】ご賛同くださいましたか?
→意味は「賛同してくれたか?」 - 【例文】ご賛同くださいましたでしょうか?
→意味は「賛同してくれただろうか?」
※「~してくれる」の尊敬語「お(ご)~くださる」をつかって敬語にしています。
もあります。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
“いただけましたか vs くださいましたか”意味と違い・使い方
「ご賛同いただけましたか?」vs「ご賛同くださいましたか?」の意味と違い。
どちらも言いたいことは結局のところ「すでに賛同したか?」なのですが…
敬語の使い方に違いあり。
- “ご賛同いただけましたか?“だと意味は「賛同してもらえたか?」
→敬語は謙譲語「お(ご)〜いただく」の可能形+丁寧語
vs.
- “ご賛同くださいましたか?“だと意味は「賛同してくれたか?」
→敬語は尊敬語「お(ご)〜くださる」+丁寧語
というように意味と敬語の使い方が違います。
が、
結局のところ言いたいことはどちらも全く同じなわけです。
いただけましたか?のほうが丁寧
「賛同してくれたか?=ご賛同くださいましたか?」
よりも”いただく+可能形”をつかって、
「賛同してもらえたか?=ご賛同いただけましたか?」
としたほうが丁寧な印象のフレーズとなります。
ただ、
敬語の使い方には違いはあれど、どちらもひとしく丁寧な敬語であり目上・上司・社外取引先につかえるフレーズです。
ただ少しニュアンスの違いというか敬語の使い方が違うよ、ということですね。
これは好みで分かれるところ。
どちらかというと「いただく」を使ったほうがやんわ~りとした表現になりますが、心底どちらでも差し支えありません。
まぁ、ひとつのオプションとしてお好みでお使いください。
ご賛同いただきましたか?でも丁寧
「賛同してもらえましたか?」と催促・確認したいときにつかえる敬語。
これまで紹介した例文のほかにも…
- 【例文】ご賛同いただきましたか?
→意味は「賛同してもらったか?」 - 【例文】ご賛同いただきましたでしょうか?
→意味は「賛同してもらっただろうか?」
※「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」をつかって敬語にしています。
※「お(ご)」を省いて「賛同いただきましたか?」でも正しい敬語です。
もあります。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
“いただけましたか vs いただきましたか”の意味と違い・使い方
「ご賛同いただけましたか?」vs「ご賛同いただきましたか?」の意味と違い。
どちらも言いたいことは結局のところ「すでに賛同したか?」なのですが…
敬語の使い方に違いあり。
- “ご賛同いただけましたか?“だと意味は「賛同してもらえたか?」
→敬語は謙譲語「お(ご)〜いただく」の可能形+丁寧語
vs.
- “ご賛同いただきましたか?“だと意味は「賛同してもらったか?」
→敬語は謙譲語「お(ご)〜いただく」+丁寧語
というように、
可能形をいれるかどうかという点において違いますね。
が、結局のところ言いたいことはどちらも全く同じなわけです。
いただけましたか?のほうが丁寧
「賛同してもらいましたか?=ご賛同いただきましたか?」
よりも可能形をつかって、
「賛同してもらえましたか?=ご賛同いただけましたか?」
というほうが丁寧な印象のフレーズとなります。
ホントに些細なことなので誰も気にしないかもしれませんけど…。
まぁとにかく、これまで紹介した例文はどれを用いても丁寧ではあります。
シンプルに”ご賛同になりましたか?”でもOK
「賛同してもらえましたか?」と催促・確認したいときにつかえる敬語。
いい加減くどいのですが、まだまだあります…
とくに会話や電話対応はビジネスメールとちがって堅苦しい敬語は好まれません。
そこでシンプルに、
- 【例文】ご賛同になりましたか?
→意味は「賛同しましたか?」 - 【例文】ご賛同になりましたでしょうか?
→意味は「賛同しましたでしょうか?」
※「~する」の尊敬語「お(ご)~になる」をつかって敬語にしています。
でも十分に丁寧です。
「賛同する」に尊敬語「お(ご)〜になる」をつかい、さらに丁寧語の疑問形をつけくわえると例文のような敬語になります。
こちらも目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
いただけましたか?のほうが丁寧
「賛同しましたか?=ご賛同になりましたか?」
よりも”いただく+可能形”をつかって、
「賛同してもらえましたか?=ご賛同いただけましたか?」
というほうが丁寧な印象のフレーズとなります。
結局どれがもっとも丁寧?
敬語の種類というのは本当にいろいろあります。
あまりにも言い換え敬語フレーズがおおいので、どれを使うべきか迷ってしまうというあなたのために。
ここまで紹介した言い換えだけでなく、思いつくかぎりの敬語フレーズを丁寧レベルごとに整理しておきます。
どれも「賛同してもらえましたか?」「賛同してくれましたか?」と催促・確認したいときにつかえる敬語です。
※ あくまでも目安としてお考えください。
①会話・電話対応につかえる丁寧レベル
「賛同してもらえましたか?」「賛同してくれましたか?」と催促・確認したいときの敬語。
まずは会話や電話対応シーンでよくつかう敬語フレーズから。
下にいくほど丁寧な敬語になります。また、おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。
- 賛同してくれましたか?
- 賛同してもらえましたか?
- 賛同していただきましたか?
- 賛同していただけましたか?
- ご賛同になりましたか?
- ご賛同なさいましたか?
- ご賛同されましたか?
- ご賛同いただきましたか?
- ご賛同くださいましたか?
- ご賛同いただけましたか?
②ビジネスメール対上司・対社内につかえる丁寧レベル
「賛同してもらえましたか?」「賛同してくれましたか?」と催促・確認したいときの敬語。
つづいて、上司や社内目上のビジネスメールにふさわしい敬語フレーズをご紹介。
下にいくほど丁寧な敬語になります。おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。
- ご賛同になりましたか?
- ご賛同なさいましたか?
- ご賛同されましたか?
- ご賛同いただきましたか?
- ご賛同くださいましたか?
- ご賛同いただけましたか?
- ご賛同になりましたでしょうか?
- ご賛同なさいましたでしょうか?
- ご賛同されましたでしょうか?
- ご賛同いただきましたでしょうか?
- ご賛同くださいましたでしょうか?
- ご賛同いただけましたでしょうか?
注)上下関係に厳しい上司や、社内でも相当のポジションにいる人にたいしては例文⑥以降をつかいましょう。
【敬語の補足】
・「なさる/される」は”〜する”の尊敬語
・「お(ご)〜になる」は”〜する”の尊敬語
・「お(ご)〜くださる」は”〜してくれる”の尊敬語
・「お(ご)〜いただく」は”〜してもらう”の謙譲語
・「〜でしょうか」は”〜だろうか”の丁寧語
③ビジネスメール対取引先・対顧客につかえる丁寧レベル
「賛同してもらえましたか?」「賛同してくれましたか?」と催促・確認したいときの敬語。
最後に、社外取引先や顧客のビジネスメールにふさわしい敬語フレーズをご紹介。
下にいくほど丁寧な敬語になります。おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。
- ご賛同いただきましたか?
- ご賛同くださいましたか?
- ご賛同いただけましたか?
- ご賛同になりましたでしょうか?
- ご賛同なさいましたでしょうか?
- ご賛同されましたでしょうか?
- ご賛同いただきましたでしょうか?
- ご賛同くださいましたでしょうか?
- ご賛同いただけましたでしょうか?
【敬語の補足】
・「なさる/される」は”〜する”の尊敬語
・「お(ご)〜になる」は”〜する”の尊敬語
・「お(ご)〜くださる」は”〜してくれる”の尊敬語
・「お(ご)〜いただく」は”〜してもらう”の謙譲語
・「〜でしょうか」は”〜だろうか”の丁寧語