「ご活用いただきたく存じます」意味と使い方・ビジネスメール例文

「ご活用いただきたく存じます」は「活用してもらいたいと思います」という意味。

ようは「活用してほしい!」「活用してください!」と言いたいわけですが・・・丁寧な敬語にするとこんな風にややこしい表現になります。

使い方は何かしら活用してほしいときのお願い・依頼ビジネスメール。社内上司や目上にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧なフレーズです。

くわしくは本文にて意味や敬語の種類、ビジネスシーンにふさわしい使い方、ビジネスメール例文、注意点を解説していきます。

※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ

意味と敬語

「ご活用いただきたく存じます」は「活用してもらいたいと思います」という意味。

なぜこのような意味になるのか?

そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。

“活用”の意味は「効果的に利用すること」

活用(かつよう)の意味は・・・

  1. 物や人の機能・能力を十分に生かして用いること。効果的に利用すること。
    【例文】営業管理にセールスフォースを活用する。
    【例文】WEBカレンダーを活用する。
    【例文】学習に図書館を活用する。
  2. 文法で、語がその用法の違いによって体系的に語形変化をすること。また、その変化の体系。

“ご活用いただきたく”の意味は「活用してもらいたい」

まずは前半部分。

“ご活用いただきたく〜”の意味は、

活用してもらいたい

活用してもらいたく

のように解釈できます。

「ご活用」のもととなる単語は「活用」であり、「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」をつかって敬語にしています。

「いただきたく」の部分は謙譲語「いただく」に意思・希望「〜したい」をつかっています。

ここで「ご活用」の「お(ご)」の部分は向かう先を立てるために使う敬語であり謙譲語の「お(ご)」です。

余談ですが尊敬語にも「お(ご)」の使い方があり混同しがち。

難しく感じるかたは「お(ご)●●いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。

なお表記は、

漢字表記「ご活用頂きたく」vs. ひらがな表記「ご活用いただきたく」の両方ともOK。どちらをつかっても正しい敬語です。

“存じます”の意味は「思います」

つづいて後半部分。

“存じます”の意味は「思います」

“思う”の敬語(謙譲語)「存じる」に丁寧語”ます”をつかって敬語にしています。

あわせると意味は「活用してもらいたいと思います」

  1. ご活用 = 活用すること
  2. お(ご)~いただきたく = 「〜してもらいたい」の意味の敬語(謙譲語)
  3. 存じます = 「思います」の意味の敬語(謙譲語)

※漢字表記「ご活用頂きたく」vs. ひらがな表記「ご活用いただきたく」の両方ともOK。

これらの単語を合体させて意味を考えます。

すると「ご活用いただきたく存じます」の意味は…

「活用してもらいたいと思います」

であり、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

「活用してください!」とストレートに言うのではなく遠回しに自分の意思や気持ちをつたえる、とても丁寧なフレーズですね。

ニュアンスとしては「活用してもらいたいと思うのだけど…」みたいなイメージ。

あまりに堅苦しくて大げさかもしれませんが、とにかく目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズになります。

敬語の解説

ややこしいので、これまでの敬語の解説をまとめておきます。

「ご活用いただきたく存じます」を敬語としてみていくと以下のとおりに成り立ちます。

  • もとになる単語「活用」
  • “〜してもらう”の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「ご活用いただく
  • 意思・希望”〜したい”で「ご活用いただきたい
  • “思う”の謙譲語「存じる」に丁寧語”ます”をくっつけて「存じます

→ すべてあわせると「ご活用いただきたく存じます」という敬語の完成

このようにして元になる語「活用」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。

相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

なお「ご活用していただきたく存じます」は間違い敬語となりますのでご注意を。

この場合、謙譲語「お(ご)」をなくして「活用していただきたく存じます」とすれば正しい敬語になります。

理由は長くなるので省きますが、あくまでも「ご活用いただきたく存じます」をつかうことをオススメします。

それでは次項より使い方についても見ておきましょう。

【使い方】活用してほしい!と伝えるビジネスシーン

「ご活用いただきたく存じます」の使い方は…

意味のとおりで何かしら「活用してほしい!」と言いたいビジネスシーンに使います。

①おもにビジネスメールに使われる

「ご活用いただきたく存じます」の使い方その1

「ご活用いただきたく存じます」にかぎらず「〜いただきたく存じます」という表現は電話対応や商談よりも、どちらかというとビジネスメールで多くつかいますね。

会話でつかうにはあまりに堅苦しいフレーズだからです。

だからと言って電話対応などにつかったら失礼とかではなく、堅苦しいというだけ。

ようするにビジネスメールで上司や目上・社外取引先に「活用してほしい!」と言いたいシーンであれば使えます。

②電話対応・会話では”ご活用いただけますか?”など推奨

「ご活用いただきたく存じます」の使い方その2

わたし個人としては電話対応や会話シーンに「ご活用いただきたく存じます」のような堅苦しいフレーズをつかうのがあまり好きではありません。

そこで、

  • 【例文】ご活用ください
  • 【例文】ご活用くださいませ
  • 【例文】ご活用いただけますか?
  • 【例文】ご活用いただけますでしょうか?

など会話シーンにふさわしい、ちょっとカジュアルな敬語をつかって意思や希望をつたえますね(下の例文ほど丁寧な敬語になります)。

とくに「〜いただけますか?」サラッと言えるためビジネスシーンで重宝するフレーズです。

※「~いただけますか?」の意味は「~してもらえますか?」

※「~いただけますでしょうか?」の意味は「~してもらえますでしょうか?」

敬語の補足

念のため「ご活用いただけますか?」「ご活用いただけますでしょうか?」の敬語について少し。

  • “活用”に「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「ご活用いただく」
  • 可能形にして「ご活用いただける」
  • さらに丁寧語”ます”で「ご活用いただけます」
  • 疑問形にして「ご活用いただけますか?」

“〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」を使うと「ご活用いただけますでしょうか?」

どちらの表現も謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。

どちらかというと「〜いただけますでしょうか?」のほうが丁寧なのですが…

バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけますか?」でも十分に丁寧です。

“ご活用いただければと存じます”だとなお丁寧

“活用してほしい!”と言いたいときに使える敬語。

「ご活用いただきたく存じます」でも十分に丁寧ではありますが…

「ご活用いただければと存じます」とすると、より丁寧な敬語になります。

意味と敬語

どちらも言いたいことは結局のところ「活用してほしい」なのですが…

「ご活用いただければと存じます」の意味は…「活用してもらえたらと思います」

謙譲語「ご活用いただく」を可能形にして「ご活用いただける」とし、

さらに仮定の「たら・れば」をくっつけると「ご活用いただければ」という敬語の完成。

かな〜り遠回しにお願いをしているわけで、目上・上司・取引先への言葉づかいとしてはこの上なく丁寧ですね。

そんなに丁寧にする必要あるの?って思うくらい。

違いと使い分け

「ご活用いただきたく存じます」vs.「ご活用いただければと存じます」の違いと使い分けについて簡単に。

  • 「ご活用いただきたく存じます」だと意味は「活用してもらいたいと思います」
    → 敬語は”お(ご)~いただく”+希望”~したい”+謙譲語”存じる”+丁寧語”ます”

いっぽうで、

  • 「ご活用いただければと存じます」の意味は「活用してもらえたらと思います」
    → 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形”いただける”仮定”たら・れば”+謙譲語”存じる”+丁寧語”ます”

「ご活用いただきたく存じます」だと「~してもらいたい」と言いながらも「思います」として、遠回しにあなたの希望を伝える敬語にしています。

いっぽうで、

「ご活用いただければと存じます」だと「~してもらえたらと思います」というように、もっと遠まわしかつ大げさなお願いのフレーズになります。

まぁ、どちらも丁寧な敬語であり使い分けの必要はありませんが…

より丁寧なメールがもとめられるシーンでは「ご活用いただければと存じます」を使うとよいでしょう。

シンプルに”ご活用いただきたくお願い致します”でも丁寧

“活用してほしい!”と言いたいときに使える敬語。

「ご活用いただきたく存じます」「ご活用いただければと存じます」だけでなく、

「ご活用いただきたく、お願い致します」もあります。

言いたいことは結局のところ「活用してほしい」なのですが…

“存じます”ばかりのメールは気持ち悪い

ビジネスメールで「存じます」つまり「思います」を多用すると気持ち悪い文章になってしまいます。あなたの意思が伝わらずぼんや〜りとしたメールになって「結局なにが言いたいの?」ということになりかねません。

そんなときに活躍するのが「ご活用いただきたく、お願い致します」です。

「ご活用いただきたく存じます」だと「活用してもらいたいと思います」という意味であり、

「ご活用いただきたく、お願い致します」だと「活用してもらいたい、お願い!」というような意味になります。

敬語としてはどちらも、これでもかというくらい丁寧なので使い分けする必要はありません。

文章のバランスを考えてお好みでお使いください。

なお「ご活用いただきたく、お願い致します」というように「」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。

敬語の解説

一応「ご活用いただきたく、お願い致します」の敬語の成り立ちをまとめておきます。

  • もとになる単語「活用」
  • “〜してもらう”の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「ご活用いただく
  • 意思・希望”〜したい”で「ご活用いただきたい
  • “願う”に謙譲語”お(ご)〜いたす”で「お願いいたす
  • 丁寧語”ます”をくっつけて「お願いいたします

→ すべてあわせると「ご活用いただきたく、お願いいたします」という敬語の完成

※「お願い申し上げます=お願いいたします」言い換えOK

※「お願いいたします」の表記は漢字「お願い致します」としてもOK

謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

したがって上司・目上やビジネスメールで使うのにふさわしい表現、と言えるでしょう。

もっとシンプルに”ご活用をお願い致します”でもOK

“活用してほしい!”と言いたいときに使える敬語。

あとはシンプルに、

  • 【例文】ご活用をお願い致します/ご活用をお願い申し上げます
  • 【例文】ご活用をお願いします

としてもOKです。

意味としては「活用をお願いします!」であり、

言いたいことは結局のところ「活用してほしい」となります。

社内メールや懇意にしている取引先につかう

基本の使い方はこれまでとおなじ。

なにかしら「活用してほしい!」というときに使います。

とくに懇意にしている社外取引先や社内コミュニケーション(上司・目上)であれば、そこまで堅苦しい敬語をつかう必要はありません。

あまりに丁寧すぎる敬語は相手との間に壁をつくってしまいますからね。

ということで相手をみてシンプルに「ご活用をお願い致します」としてもなんら問題はありません。

※ ただし上下関係に厳しい上司・目上や初めての相手には丁寧すぎるくらいの敬語がオススメです。

ほかにも使える丁寧な敬語

これまで紹介した例文のほかにも…

  • 【例文】ご活用いただければ幸いです
    ※意味は「活用してもらえたら嬉しいです」
  • 【例文】ご活用いただけますと幸いです
    ※意味は「活用してもらえると嬉しいです」
  • 【例文】ご活用いただけましたら幸いです
    ※意味は「活用してもらえたら嬉しいです」
  • 【例文】ご活用いただければ幸甚に存じます
    ※意味は「活用してもらえたら、とても嬉しく思います」
  • 【例文】ご活用いただけますと幸甚に存じます
    ※意味は「活用してもらえると、とても嬉しく思います」
  • 【例文】ご活用いただけましたら幸甚に存じます
    ※意味は「活用してもらえたら、とても嬉しく思います」

なども似たような意味であり、とても丁寧な敬語です。

補足

※ 幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

※ 「幸い」は「幸せであること、嬉しい気持ち」の意味

※ 「存じる」は「思う」の謙譲語

※ 「いただきたく」は謙譲語「いただく」+希望「~したい」

※ 「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」

※ 「いただけましたら」は謙譲語「いただく」+丁寧語「ます」+仮定「たら・れば」

ビジネスメール例文

こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。

ここでは「ご活用いただきたく存じます」の使い方をビジネスメール例文とともにご紹介。

どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。

なおビジネスメールにおいては以下の敬語もオススメです。

① それなりに丁寧「ご活用くださいませ」

② 丁寧「ご活用いただければと存じます」

③ かなり丁寧「ご活用いただければ幸いです」など

④ ↓とくにビジネスメール結び/文末につかう↓

「ご活用頂きますようお願い申し上げます」

「ご活用くださいますようお願い致します」

「ご活用のほど宜しくお願い致します」

ビジネスメール例文①会議室を改装したので活用してほしい

メール件名:来客用会議室リニューアルのお知らせ

営業部の皆さま

お疲れ様です。

このたび、社員の皆さまのご要望を受け、来客用会議室が一部リニューアルいたしましたので下記のとおりお知らせいたします。

▼リニューアル内容

①プレゼン用スクリーンを完備
②製品カタログの常備
③1部屋増築

以上

ご不明な点等ございましたらお気軽にお申し付けください。

これを機にぜひご活用いただけましたら幸いです。

よろしくお願い致します。

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※「お役立て」「ご利用」にも言い換えできます。

例文②新規サービスお知らせビジネスメール

メール件名:新規サービス開始のお知らせ

●● 様

いつも弊社サービス「スーパー銀行」をご利用いただき誠にありがとうございます。

このたび、弊社では投資信託の販売サービス「ハイパー投信」を開始いたしましたので、下記のとおり仔細につきお知らせいたします。

少額からはじめられることに加え、契約もウェブ上だけで完結し、いつでも売買可能なサービスとなっております。

①サービス名:
URL:xxx

②特徴:

③その他:

以上

ご不明な点等ございましたら、カスタマーサポート(担当ノマド:TELxxx)までお気軽にお問い合わせください。

これを機にぜひご活用くださいますようお願い申し上げます。

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結局どれがもっとも丁寧?