「ご見学いただけますと幸いです」は「見学してもらえると嬉しいです」という意味。
ようは「見学してほしい!」「見学してください!」と言いたいわけですが・・・丁寧な敬語にするとこんな風にややこしい表現になります。
使い方は何かしら見学してほしいときのお願い・依頼ビジネスメール。社内上司や目上にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧なフレーズです。
くわしくは本文にて意味や敬語の種類、ビジネスシーンにふさわしい使い方、ビジネスメール例文、注意点を解説していきます。
※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ
意味
まずは「ご見学いただけますと幸いです」の意味と敬語について順をおって解説します。
“見学”の意味は「見て知識を広めること」
「見学」のそもそもの意味は…
- 実際のありさまを見て知識を広めること
- 体調などの都合で、体育実技などを実際に行わないで、見て学ぶこと
たとえば、
【例文】ビール工場を見学する。→「見て知識を広める」の意味
【例文】体調不良のため体育の授業を見学する。→「見て学ぶ」の意味
のようにして使います。
“ご見学いただけますと”の意味は「見学してもらえると」
まずは前半部分。
「ご見学いただけますと〜」の意味は…
「見学してもらえると〜」
このように解釈できます。
「お(ご)〜いただけますと」は「〜してもらえると」という意味の敬語(謙譲語+丁寧語)
「〜いただける」は謙譲語「いただく」の可能表現。可能の表現をつかっているので意味としては「〜してもらえる」となります。
おなじような可能の表現にはたとえば、
「泳ぐ → 泳げる」
「書く → 書ける」
「聞く → 聞ける」
などあり。どれも「〜できる」という意味になりますね。
こまかい敬語の解説は長くなるため次項にて。
なお表記は、
漢字表記「ご見学頂けますと」vs. ひらがな表記「ご見学いただけますと」の両方ともOK。どちらをつかっても正しい敬語です。
“幸いです”の意味は「嬉しいです、幸せです」
つづいて後半部分。
「幸いです」の意味は…
「嬉しいです」
「幸せです」
このように解釈できます。
もととなる単語は「幸い(さいわい)」であり、丁寧語「です」を使って敬語にしています。
あわせると意味は「見学してもらえると嬉しいです」
- ご見学 = 見学すること
- ご・お~いただけますと = 「〜してもらえると」の意味の敬語
- 幸いです= 「幸せです、嬉しいです」の意味
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「ご見学いただけますと幸いです」の意味は…
「見学してもらえると嬉しいです」
のように解釈できます。
ようは「見学してほしい!」「見学してください!」ということなのですが、このままではあまりにストレートすぎて目上や上司・取引先につかうにはイマイチです。
そこで「~してもらえると嬉しいです」というように遠回しにして、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。
そんなに丁寧にお願いする必要あるの?って思うくらい。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
敬語の解説
「ご見学いただけますと幸いです」を敬語としてみていくと以下のとおりに成り立ちます。
難しいので敬語についてくわしく学ぶ必要のない方はスキップしてください。
- もとになる単語「見学」
- “〜してもらう”の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「ご見学いただく」
- 可能形にして「ご見学いただける」
- 丁寧語”ます”をくっつけて「ご見学いただけます」
- 接続助詞”と”をくっつけて「ご見学いただけますと」
- “嬉しい”の意味である”幸い”に丁寧語”です”をくっつけて「幸いです」
→ すべてあわせると「ご見学いただけますと幸いです」という敬語の完成
このようにして元になる語「見学」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
なお「ご見学していただけますと幸いです」は間違い敬語となりますのでご注意を。「見学していただけますと幸いです」とすれば正しい敬語ではありますが…長くなるため理由は省略。
補足
- 漢字表記「ご見学頂けますと」vs. ひらがな表記「ご見学いただけますと」の両方ともOK。
- 「〜いただける」は謙譲語「いただく」の可能表現。可能の表現をつかっているので意味としては「〜してもらえる」となります。
- 接続助詞「と」は助詞の一類。用言・助動詞について、それよりまえの語句をあとの語句に接続し、前後の語句の意味上の関係をしめすはたらきをする。
ちなみに敬語「お(ご)」は…
- 「自分がご見学する」「相手にご見学いただく」のであれば謙譲語としての使い方。
- 上司・目上・取引先などの「相手がご見学くださる・ご見学になる」のであれば尊敬語としての使い方。
というように2パターンあります。
難しく感じるかたは「お(ご)〜いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。
【使い方】見学の依頼・お願いビジネスメール
つづいて「ご見学いただけますと幸いです」の使い方について。
ようは「見学してほしい!」「見学してください!」という意味なので、そのような依頼・お願いビジネスメールに使います。
取引先など社外あてに限らず、上司や目上など社内あてのメールにも使える丁寧なフレーズですね。
例文
たとえば、
- 【例文】ご見学いただけますと幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
- 【例文】ご見学いただけますと幸いです。よろしくお願い致します。
※ 意味は「見学してもらえると嬉しいです。よろしく」
のようにして何かの依頼・お願いをともなうビジネス文書やビジネスメールで結び・締めくくりとして使われます。
もちろん結びでなく文章の途中でつかっても丁寧です。
なお「ご了承をいただけますと幸いです」というように「を」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。
ビジネスメール例文(全文)
こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。
ここでは「ご見学いただけますと幸いです」の使い方をビジネスメール例文でご紹介。
どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。
なおビジネスメールにおいては以下の敬語もオススメです。
① それなりに丁寧「ご見学くださいませ」
② 丁寧「ご見学いただければと存じます」
③ かなり丁寧「ご見学いただけますと幸いです」など
④ ↓とくにビジネスメール結び/文末につかう↓
「ご見学頂きますようお願い申し上げます」
「ご見学くださいますようお願い致します」
「ご見学のほど宜しくお願い致します」
ビジネスメール例文①工場に見学に来てほしい(社外)
メール件名: 返信RE:RE:貴社製品に関するお問合せ
ビジネス株式会社
営業部 ○○ 様 (社外取引先)
いつもお世話になっております。
転職・ノマドです。
早速のご返答ありがとうございます。
さて、ご教示いただいた方法にて試作をしてみましたが、上手く使いこなせておりません。
具体的には、工程通過性が非常に悪く最終製品の収率が30%ほどダウンしてしまいます。
そこでよろしければ、一度弊社の設備・工場をご見学いただきアドバイスをいただけますと幸いです。
なお今回の試作条件等の詳細は添付ファイルにてまとめております。ご参照くださいませ。
ご多忙のところ大変恐れ入りますが、
ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。
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メール署名
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ビジネスメール例文②水族館を静かに見学してほしい(社外)
メール件名: 水族館ツアーご予約確定のご案内
ビジネス株式会社
営業部 ○○ 様
平素は「ツアーず.com」をご利用いただき誠にありがとうございます。
カスタマーサポート・ノマドと申します。
さて、ウェブサイトより下記のとおりご予約を賜りましたので、詳細につきご案内申し上げます。
記
①日時:
②人数:
③ツアー内容
④キャンセル規定
⑤ご注意事項
・水族館内はすべて禁煙となっております。
・館内ではお静かにご見学くださいませ。
以上
ご不明な点等がございましたらお気軽にお申し付けください。
よろしくお願い申し上げます。
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メール署名
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ビジネスメール例文③工場見学にきてほしい(社内)
メール件名: 返信RE:新人教育に関するご相談
営業部 xx課長 (社内上司・目上など)
お疲れ様です。
生産部・ノマドです。
ご連絡いただきありがとうございます。
ご依頼の件につき承知しました。
せっかくの機会ですので、新人だけでなく営業部の皆さまも対象としたレクチャーおよび事業所見学を実施したいと考えております。
ぜひ営業部の皆さまにお声掛けいただけますと幸いです。
よろしくお願い申し上げます。
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メール署名
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“ご見学いただけましたら幸いです”としても丁寧
「ご見学いただけますと幸いです」と似たような敬語には・・・
- 【例文】ご見学いただけましたら幸いです
もあります。言いたいことは「見学してほしい」であり、どちらも丁寧な敬語なので使い分ける必要はありませんが…
いちおう意味と違いについて考えてみます。
“ご見学頂けますと vs. ご見学頂けましたら”の意味と違い
どちらも結局のところ「見学してほしい!」「見学してください!」という意味になるのですが…こまかくは以下のとおり意味と敬語の違いあり。
- 「ご見学いただけますと」だと意味は「見学してもらえると」
→ 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形+丁寧語”ます”+接続助詞”と”
いっぽうで、
- 「ご見学いただけましたら」だと意味は「見学してもらえたら」
→ 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形+丁寧語”ます”+仮定”たら”
となります。
「いただけますと」に仮定の「たら」をくっつけると「いただけましたら」という敬語になります。
なお「ご見学をいただけましたら幸いです」というように「を」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。
どちらも丁寧であり使い分けの必要はない
これまで見てきたように、どちらの敬語もこのうえなく丁寧なフレーズです。上司など社内の目上はもちろんのこと、社外取引先にもつかえる素晴らしく丁寧な敬語です。
どちらかお好きな方を使えばよく、使い分けする必要はありません。
“ご見学賜れますと幸いです”だとなお丁寧
さらに死ぬほど丁寧なメールや文書にしたいときには・・・
「いただく」ではなく「賜る(たまわる)」をつかい、
- 【例文】ご見学賜れますと幸いです
- 【例文】ご見学賜れましたら幸いです
とします。
これまで紹介した敬語と言いたいことはおなじ。
ただ、賜る(たまわる)という敬語のほうがよりカチッとした表現になりますので、文書や手紙・公式なビジネスメールでは「賜る」をよく使います。
普段づかいのメールであれば「いただく」で十分に丁寧です。
いちおう意味と違いについて簡単に解説しておきます。
“ご見学頂けますと vs. ご見学賜れますと”の意味と違い
どちらも結局のところ「見学してほしい!」「見学してください!」という意味になるのですが…こまかくは以下のとおり意味と敬語の違いあり。
- 「ご見学いただけますと」だと意味は「見学してもらえると」
→ 敬語は謙譲語”お(ご)~いただく”+可能形+丁寧語”ます”+接続助詞”と”
いっぽうで、
- 「ご見学賜れますと」だと意味は「見学してもらえると」
→ 敬語は謙譲語“お(ご)~賜る”+可能形+丁寧語”ます”+接続助詞”と”
となります。
「お(ご)〜賜る」「お(ご)〜いただく」はどちらも「〜してもらう」の敬語(謙譲語)。
したがって意味としてはどちらも同じです。
ただし「賜る」のほうがよりカチッとした表現になりますので、文書や手紙・公式なビジネスメールでは「賜る」をよく使います。
なお「ご見学を賜れますと幸いです」というように「を」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。
手紙や公式なビジネスメールにおすすめ
これまで見てきたように、どちらの敬語もこのうえなく丁寧なフレーズです。上司など社内の目上はもちろんのこと、社外取引先にもつかえる素晴らしく丁寧な敬語です。
ただ、より堅苦しいというかビジネス文書や手紙むけというか・・・
カチッとした表現は「賜る」のほうです。
本当に死ぬほど丁寧なメールや文書にしたいときに使いましょう。
ほかにも使える丁寧な敬語
これまで紹介した例文のほかにも・・・
似たような言い換え敬語で、おなじように丁寧なフレーズをまとめておきます。
どれも「見学してほしい!」「見学してください!」と依頼・お願いしたいときのビジネスメールに使えます。
『ご見学いただければ幸いです』
「ご見学頂けますと幸いです」だけじゃない丁寧なビジネス敬語
- 例文「ご見学いただければ幸いです」
意味は『見学してもらえたら嬉しいなぁ、幸せだなぁ』
つまり『見学してもらえたら嬉しいです』
相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズですね。
「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+可能形+仮定の「~れば」
「幸いです」は「幸い」+丁寧語「です」
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
『ご見学いただけますと幸甚に存じます』など
「ご見学頂けますと幸いです」だけじゃない丁寧なビジネス敬語
- 【例文】ご見学いただければ幸甚に存じます
※意味は「見学してもらえたら、とても嬉しく思います」 - 【例文】ご見学いただけますと幸甚に存じます
※意味は「見学してもらえると、とても嬉しく思います」 - 【例文】ご見学いただけましたら幸甚に存じます
※意味は「見学してもらえたら、とても嬉しく思います」
なども似たような意味であり、とても丁寧な敬語です。
幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
「存じる」は「思う」の謙譲語
「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」
「いただけましたら」は謙譲語「いただく」+可能形+丁寧語「ます」+仮定「たら・れば」
『ご見学賜れますと幸甚に存じます』など
「ご見学頂けますと幸いです」だけじゃない丁寧なビジネス敬語
「いただく」よりもカチッとした敬語「賜る(たまわる)」をつかい、
- 【例文】ご見学賜れますと幸甚に存じます
※意味は「見学してもらえると、とても嬉しく思います」 - 【例文】ご見学賜れましたら幸甚に存じます
※意味は「見学してもらえたら、とても嬉しく思います」
とするとより丁寧な敬語になります。
幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
「存じる」は「思う」の謙譲語
「賜れますと」は謙譲語「賜る」+可能形+丁寧語「ます」+接続助詞”と”
「賜れましたら」は謙譲語「賜る」+可能形+丁寧語「ます」+仮定「たら・れば」
ビジネスメール結びをより丁寧にするコツ
あまり関係ないのかもしれませんが重要なので念のため。
ビジネスメールの文末・結び・締めとして使うことのおおい「ご見学」
ここでは、
ビジネスメール結びをより丁寧にするためのコツをご紹介します。
①メール結びに使うときは「よろしく!」を加えると丁寧
ビジネスメール結びをより丁寧にするためのコツ。
「ご見学いただけますと幸いです」はそれだけではビジネスメール結び締めとしてイマイチ。
そこで結びにつかう時にはうしろに「よろしく!」的なフレーズを組み合わせて、セットで使うとより丁寧なメール結びになります。
すでに例文にはしましたが…
- 【例文】ご見学いただけますと幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
- 【例文】ご見学いただけますと幸いです。よろしくお願い致します。
- 【例文】ご見学いただけますと幸いです。よろしくお願い申し上げます。
ビジネスメールの結び締めに使うときにはこんな感じにするとよいでしょう。
②どうか・何卒+ご見学
ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。
「ご見学」の前置きに添える丁寧なお願いフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」を使うとより丁寧な印象のメールとなります。
たとえば以下のようなフレーズがあります。
- どうか/どうぞ
例文「どうかご見学くださいますようお願い申し上げます」
例文「どうかご見学くださいますようお願い致します」
例文「どうかご見学いただけますと幸いです」
例文「どうかご見学いただければと存じます。何卒よろしくお願い申し上げます」 - 何卒(なにとぞ)
例文「何卒ご見学くださいますようお願い申し上げます」
例文「何卒ご見学くださいますようお願い致します」
例文「何卒ご見学いただけますと幸いです」
例文「何卒ご見学いただければと存じます。よろしくお願い申し上げます」
③恐縮・お手数+ご見学
ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。
「ご見学」の前置きには強調するフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」だけでなく、申し訳なく思う気持ちや、相手を気づかうフレーズをもってきても丁寧です。
たとえば「誠に勝手を申し上げますが」などと組み合わせ、以下例文のようにすると好感がもてますね。上司や目上にはもちろんのこと、取引先のメールにも使える丁寧な例文にしています。
- 恐縮=申し訳なく思うこと
「お忙しいところ恐縮ではございますがご見学〜」
「大変恐縮ではございますがご見学〜」
「たびたび恐縮ではございますがご見学〜」 - 恐れ入る=申し訳なく思う
「お忙しいところ恐れ入りますがご見学〜」
「大変恐れ入りますがご見学〜」
「たびたび恐れ入りますがご見学〜」 - お手数=お手間
「お忙しいところお手数お掛けしますがご見学〜」
「大変お手数ではございますがご見学〜」 - 勝手を申し上げる=自分勝手を言う
「誠に勝手を申し上げますがご見学〜」 - ご無理申し上げる = 無理を言う
「ご無理申し上げますが、何卒ご見学のほどお願い申し上げます」 - ご多忙とは存じますが=忙しいとは思うけど
「ご多忙とは存じますがご見学〜」