「お目通し頂きますようお願い申し上げます」意味と使い方・例文

「目を通してほしい」ときにつかえるビジネス敬語。

じつは…

これまで紹介した言い換え例文だけではなく、敬語フレーズというのはたくさんあります。

ということで、

ここではとくにビジネスメールにおいて活躍する丁寧な敬語フレーズを紹介します。

①お目通しください

「目を通してほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語

【例文】お目通しください

意味は『目を通してください』

敬語はもとになる単語「目を通す」に尊敬語「お（ご）～くださる」の命令形をつかっています。

あるいは命令形「目を通してくれ」の尊敬語が「お目通しください」と考えることもできます。

いずれにせよ、

「お（ご）〜ください」という敬語は命令形である点において、強い口調に感じられてしまうケースあり。

時と場合によっては目上・上司・取引先に不快感をあたえてしまいます。

気になるかたは言い換え例文②以降をつかいましょう。

ちなみに”お目通しください”の敬語は以下のようになりたちます。

もとになる単語「目を通す」に尊敬語”お（ご）”で「お目通し」
さらに「くれる」の尊敬語”くださる”で「お目通しくださる」
さらに命令形にして”お目通しください”

※ 漢字表記「下さい」vs ひらがな表記「ください」はどちらもOK

②お目通しくださいませ

「目を通してほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語

例文「お目通しくださいませ」

意味は『目を通してください』

尊敬語「お目通しくださる」に丁寧語”ます”の命令形「ませ」をつかい丁寧な敬語フレーズにしています。

命令形である点において「お目通しください」とたいして違いはありませんが、「ませ」を添えることで、よりやわらかい印象となりますね。

「〜くださいませ」は女性がよくつかうフレーズであるため、女性敬語だと言われることもあります。

ただ実際には男性であろうと女性であろうと違和感なくつかえます。

③お目通しいただければと存じます

「目を通してほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語

例文「お目通しいただければと存じます」

意味は『目を通してもらえたらと思います』

「～してもらえたらと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか～いお願いの敬語フレーズになります。

目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。

「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お（ご）〜いただく」＋仮定の「れば」

「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」＋丁寧語「ます」

④お目通しいただきたく存じます

「目を通してほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語

【例文】お目通しいただきたく存じます
→ 意味は『目を通してもらいたいと思います』

あるいはシンプルに、

【例文】お目通しいただきたく、お願い致します

としても丁寧です。

「～してもらいたいと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか～いお願いの敬語フレーズになります。

「いただきたく」は「〜してもらう」の謙譲語「お（ご）〜いただく」＋願望の「～たい」

「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」＋丁寧語「ます」

というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。

⑤お目通しいただければ幸いです

「目を通してほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語

例文「お目通しいただければ幸いです」

意味は『目を通してもらえたら嬉しいなぁ、幸せだなぁ』

つまり『目を通してもらえたら嬉しいです』

相手に強制しない、とてもやわらか～いお願いの敬語フレーズですね。

「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お（ご）〜いただく」＋仮定の「～れば」

「幸いです」は「幸い」＋丁寧語「です」

というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。

「～いただければ幸いです」という敬語フレーズはお願い・依頼のビジネスメールでよく使います。以下の例文もご参考にどうぞ。

ほかにも似たような敬語には以下のようなフレーズもあります。

例文「お目通しいただけましたら幸いです」
例文「お目通しいただけましたら幸甚に存じます」
例文「お目通しいただければ幸甚に存じます」
例文「お目通しいただけますと幸いです」
例文「お目通しいただけますと幸甚に存じます」
例文「お目通し賜りますと幸いです」
例文「お目通し賜りますと幸甚に存じます」

補）幸甚（こうじん）の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

⑥~その他いろいろな言い換え敬語

敬語の種類というのは本当にいろいろあります。

ほんの一例ですが他にもある使い方を例文にまとめておきます。

例文「お目通しいただきたく、お願い致します」
意味は「目を通してほしい、お願いします」
例文「お目通しいただけましたら幸いです」
※意味は「目を通してもらえたら嬉しいです」
例文「お目通しいただけましたら幸甚に存じます」
※意味は「目を通してもらえれば嬉しく思います」
例文「お目通しいただければ幸甚に存じます」
※意味は「目を通してもらえれば嬉しく思います」
例文「お目通しいただけますか？」
※意味は「目を通してもらえるか？」でとくに会話シーンで使われるフレーズ
例文「お目通しいただけますでしょうか？」
※意味は「目を通してもらえるだろうか？」でとくに会話シーンで使われるフレーズ
例文「お目通しいただけますと幸いです」
例文「お目通しいただけますと幸甚に存じます」
例文「お目通しいただけましたら幸いです」
例文「お目通しいただけましたら幸甚に存じます」

・「存じる」は「思う」の謙譲語
・「いただきたく」は謙譲語「いただく」＋願望「～たい」
・「いただければ」は謙譲語「いただく」＋可能形＋仮定「たら・れば」
・幸甚（こうじん）の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

ビジネス会話・電話対応では”お目通し頂けますか？”

ビジネスメールではなく会話や電話対応シーンであれば…

「お目通しいただきますようお願い申し上げます」などは絶対につかいません。

長いうえに丁寧すぎて気持ち悪いですからね。

そこでビジネス会話・電話対応では…

【例文】お目通しいただけますか？
【例文】お目通しいただけますでしょうか？
【例文】お目通し願えますでしょうか？

といった質問フレーズをつかいましょう。

「お（ご）～いただけますか？」の意味としては「～してもらえますか？」であり、敬語をつかって丁寧な表現にしています。

※もちろん「お目通しください」「お目通しくださいませ」としても丁寧

目を通して頂けますか？でもOK

あるいはもっとシンプルに、

【例文】目を通していただけますか？
【例文】目を通していただけますでしょうか？

としてもOKです。

「～いただけますか？」の意味は「～してもらえますか？」であり、敬語をつかって丁寧な表現にしています。

「〜いただけますか？」サラッと言えるためビジネスシーンで重宝するフレーズです。

※「すでにお目通ししましたか？」と催促・確認するときは過去形「お目通しいただけましたか？」「お目通しいただけましたでしょうか？」とすると丁寧。もちろん「目を通していただけましたか？」でもOK。

※「お目通しください」「お目通しくださいませ」としても丁寧

敬語の解説

「お目通しいただけますか？」「お目通しいただけますでしょうか？」

の敬語の成り立ちとしては…

“目を通す”に「〜してもらう」の謙譲語「お（ご）〜いただく」で「お目通しいただく」
可能形にして「お目通しいただける」
さらに丁寧語”ます”で「お目通しいただけます」
疑問形にして「お目通しいただけますか？」

“〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」を使うと「お目通しいただけますでしょうか？」

どちらの表現も謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。

どちらかというと「〜いただけますでしょうか？」のほうが丁寧なのですが…バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけますか？」を使うのをオススメします。

【まとめ】結局どれがもっとも丁寧？

あまりにも言い換え敬語フレーズがおおいので、どれを使うべきか迷ってしまうというあなたのために。

ここまで紹介した言い換え例文の丁寧レベルを整理しておきます。

※ あくまでも目安としてお考えください。

①会話・電話対応につかえる丁寧レベル

下になればなるほど丁寧な敬語になります。また、おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。

お目通しください
お目通しくださいませ
お目通しいただけますか？
お目通しいただけますでしょうか？

②ビジネスメール対上司・対社内につかえる丁寧レベル

おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。

お目通しください
お目通しくださいませ
お目通しいただけますか
お目通しいただけますでしょうか
お目通しいただきたく、お願い致します
お目通しいただきたく存じます
お目通しいただければと存じます
お目通しくださいますようお願い申し上げます
お目通しいただきますようお願い申し上げます
お目通しいただけますようお願い申し上げます

注）上下関係に厳しい上司や、社内でも相当のポジションにいる人にたいしては例文⑤以降あるいは次項のフレーズをつかいましょう。

補）「お願い申し上げます＝お願い致します」に言い換えOK

③ビジネスメール対取引先・対顧客につかえる丁寧レベル

おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。

お目通しくださいませ
お目通しいただきたく、お願い致します
お目通しいただきたく存じます
お目通しいただければと存じます
お目通しいただきますようお願い申し上げます
お目通しいただけますようお願い申し上げます
お目通しくださいますようお願い申し上げます
お目通しいただけますと幸いです
お目通しいただければ幸いです
お目通しいただけましたら幸いです
お目通しいただけますと幸甚に存じます
お目通しいただければ幸甚に存じます
お目通しいただけましたら幸甚でございます
お目通しいただけましたら幸甚に存じます

【敬語の補足】

・「幸いです」は「嬉しいです」の意味

・幸甚（こうじん）の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

・「存じる」は「思う」の謙譲語

・「いただきたく」は謙譲語「いただく」＋希望「～したい」

・「いただければ」は謙譲語「いただく」＋可能形＋仮定「たら・れば」

④最上級の丁寧レベル

おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。

お目通しいただけますと幸いです
お目通しいただければ幸いです
お目通しいただけましたら幸いです
お目通しいただけますと幸甚に存じます
お目通しいただければ幸甚に存じます
お目通しいただけましたら幸甚でございます
お目通しいただけましたら幸甚に存じます

・「お願い申し上げます＝お願い致します」に言い換えOK

・幸甚（こうじん）の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

・賜る（たまわる）は公式なビジネス文書や手紙によくつかう

+ビジネスメール結び・締めによく使うフレーズ

これまで紹介した例文のなかには、とくにビジネスメール結び・締め・文末によくつかうフレーズもあります。

念のためまとめておきますね。

お目通しいただきますようお願い申し上げます
お目通しいただけますようお願い申し上げます
お目通しくださいますようお願い申し上げます

“お目通しいただく vs お目通しくださる”の使い方

ややこしいので「お目通しいただく vs お目通しくださる」の使い方について。

代表的なパターンを表にまとめておきます。

こまかく解説していくとそれだけで記事がおわってしまいますので、目的にあわせてお使いください。

“お目通しいただく”の使い方まとめ（すべて敬語）

	①基本	②+丁寧語”ます”	③その他
現在	お目通しいただく	お目通しいただきます	-頂くよう -頂きますよう
過去	お目通しいただいた	お目通しいただきました	×
進行形	お目通しいただいている	お目通しいただいています	-頂いております
過去~現在	お目通しいただいていた	お目通しいただいていました	-頂いておりました
希望依頼	お目通しいただきたいお目通しいただきたくお目通しいただくようお目通しいただけるよう	お目通しいただきたいです × お目通しいただきますようお目通しいただけますよう	-頂きたく思います -頂きたくお願いします -頂きたく存じます -頂ければと存じます
可能	お目通しいただける	お目通しいただけます	-頂けるよう -頂けますよう
①仮定 ②仮定+可能	①お目通しいただいたら ②お目通しいただければ	①お目通しいただきましたら ②お目通しいただけましたら	×
①疑問+過去 ②疑問+可能 ③疑+可+過	①お目通しいただいたか？ ②お目通しいただけるか？ ③お目通しいただけたか？	お目通しいただきましたか？お目通しいただけますか？お目通しいただけましたか？	-頂きましたでしょうか -頂けますでしょうか -頂けましたでしょうか
禁止	お目通しいただけない	お目通しいただけません	×
命令	×	×	×

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります。

※ 「頂く」「いただく」は漢字でも平仮名でもOK

※「×」としたのは一般的につかわない

“お目通しくださる”の使い方まとめ（すべて敬語）

	①基本	②+丁寧語”ます”	③その他
現在	お目通しくださる	お目通しくださいます	-くださるよう -くださいますよう
過去	お目通しくださった	お目通しくださいました	×
進行形	お目通しくださっている	お目通しくださっています	-くださっております
過去~現在	お目通しくださっていた	お目通しくださっていました	-くださっておりました
希望	お目通しくださるよう	お目通しくださいますよう	×
可能	×	×	×
仮定	×	×	×
疑問	お目通しくださるか？	お目通しくださいますか？	×
否定	お目通しくださらない	お目通しくださいません	×
命令	お目通しください	お目通しくださいませ	×