「お許しいただけましたら幸いです」は「許してもらえたら嬉しいです」という意味。
ようは「許してほしい!」「許してください!」と言いたいわけですが・・・丁寧な敬語にするとこんな風にややこしい表現になります。
使い方は何かしら許してほしいときの謝罪・お詫びビジネスメール。社内上司や目上にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧なフレーズです。
くわしくは本文にて意味や敬語の種類、ビジネスシーンにふさわしい使い方、ビジネスメール例文、注意点を解説していきます。
なお注意点として…
ビジネスシーンで上司・取引先や目上に許してもらいたいときには「ご容赦=許すこと」をつかうのが一般的です。
また…
相手に納得してもらいたいときや、許可をもらいたいときには「ご了承=納得すること」「ご承諾=認めて受け入れること」をつかいます。
※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ
意味
まずは「お許しいただけましたら幸いです」の意味と敬語について順をおって解説します。
“お許しいただけましたら”の意味は「許してもらえたら」
まずは前半部分。
「お許しいただけましたら〜」の意味は…
「許してもらえたら〜」
このように解釈できます。
「お(ご)〜いただけましたら」は「〜してもらえたら」という意味の敬語(謙譲語+丁寧語)
「〜いただける」は謙譲語「いただく」の可能表現。可能の表現をつかっているので意味としては「〜してもらえる」となります。
おなじような可能の表現にはたとえば、
「泳ぐ → 泳げる」
「書く → 書ける」
「聞く → 聞ける」
などあり。どれも「〜できる」という意味になりますね。
こまかい敬語の解説は長くなるため次項にて。
なお表記は、
漢字表記「お許し頂けましたら」vs. ひらがな表記「お許しいただけましたら」の両方ともOK。どちらをつかっても正しい敬語です。
“幸いです”の意味は「嬉しいです、幸せです」
つづいて後半部分。
「幸いです」の意味は…
「嬉しいです」
「幸せです」
このように解釈できます。
もととなる単語は「幸い(さいわい)」であり、丁寧語「です」を使って敬語にしています。
あわせると意味は「許してもらえたら嬉しいです」
- お許し = 許すこと
- ご・お~いただけますと = 「〜してもらえたら」の意味の敬語
- 幸いです= 「幸せです、嬉しいです」の意味
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「お許しいただけましたら幸いです」の意味は…
「許してもらえたら嬉しいです」
のように解釈できます。
ようは「許してほしい!」「許してください!」ということなのですが、このままではあまりにストレートすぎて目上や上司・取引先につかうにはイマイチです。
そこで「~してもらえたらと嬉しいです」というように遠回しにして、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。
そんなに丁寧にお願いする必要あるの?って思うくらい。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
敬語の解説
「お許しいただけましたら幸いです」を敬語としてみていくと以下のとおりに成り立ちます。
難しいので敬語についてくわしく学ぶ必要のない方はスキップしてください。
- もとになる単語「許す」
- “〜してもらう”の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「お許しいただく」
- 可能形にして「お許しいただける」
- 丁寧語”ます”をくっつけて「お許しいただけます」
- 仮定の”たら”をくっつけて「お許しいただけましたら」
- “嬉しい”の意味である”幸い”に丁寧語”です”をくっつけて「幸いです」
→ すべてあわせると「お許しいただけましたら幸いです」という敬語の完成
このようにして元になる語「許す」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
なお「お許ししていただけましたら幸いです」は間違い敬語となりますのでご注意を。「許していただけましたら幸いです」とすれば正しい敬語ではありますが…
長くなるため理由は省略。
補足
- 漢字表記「お許し頂けましたら」vs. ひらがな表記「お許しいただけましたら」の両方ともOK。
- 「〜いただける」は謙譲語「いただく」の可能表現。可能の表現をつかっているので意味としては「〜してもらえる」となります。
ちなみに敬語「お(ご)」は…
- 「自分がお許しする」「相手にお許しいただく」のであれば謙譲語としての使い方。
- 上司・目上・取引先などの「相手がお許しくださる・お許しになる」のであれば尊敬語としての使い方。
というように2パターンあります。
難しく感じるかたは「お(ご)〜いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。
【使い方】許してほしい時の謝罪・お詫びビジネスメール
つづいて「お許しいただけましたら幸いです」の使い方について。
ようは「許してほしい!」「許してください!」という意味なので、そのような謝罪・お詫びビジネスメールに使います。
取引先など社外あてに限らず、上司や目上など社内あてのメールにも使える丁寧なフレーズですね。
①例文
たとえば、
- 【例文】お許しいただけましたら幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
- 【例文】お許しいただけましたら幸いです。よろしくお願い致します。
※ 意味は「許してもらえたら嬉しいです。よろしく」
のようにして何かの謝罪・お詫びをともなうビジネス文書やビジネスメールで結び・締めくくりとして使われます。
もちろん結びでなく文章の途中でつかっても丁寧です。
②ただし「ご容赦・ご了承」に言い換えるのが一般的
なお繰り返しにはなりますが…
ビジネスシーンで上司・取引先や目上に許してもらいたいときには「ご容赦=許すこと」をつかうのが一般的です。
また…
相手に納得してもらいたいときや、許可をもらいたいときには「ご了承=納得すること」「ご承諾=認めて受け入れること」をつかいます。
ビジネスメール例文(全文)
こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。
ここでは「お許しいただけましたら幸いです」の使い方をビジネスメール例文でご紹介。
どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。
なおビジネスメールにおいては以下の敬語もオススメです。
① それなりに丁寧「お許しくださいませ」
② 丁寧「お許しいただければと存じます」
③ かなり丁寧「お許しいただけましたら幸いです」など
④ ↓とくにビジネスメール結び/文末につかう↓
「お許し頂きますようお願い申し上げます」
「お許しくださいますようお願い致します」
ビジネスメール例文①年末年始休業お知らせ
【社外ビジネス・テンプレート】
・社外取引先への年末年始 営業日、休業お知らせビジネスメール例文
・テンプレートとして使えるもっともシンプルな例文
メール件名: 年末年始休業のお知らせ
お客様各位
拝啓 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
さて、誠に勝手ながら下記のとおり、年末年始を休業とさせて頂きます。期間中、お客様には大変ご不便をお掛けいたしますが、どうかご容赦いただけましたら幸いです。
来年も、本年同様お客様にご満足いただけるサービスの提供を目指し、より一層精進して参ります。今後とも変わらぬご愛顧のほど、宜しくお願い申し上げます。 敬具
記
休業期間 :12月31日(日)~1月3日(水)
※1月4日(木)より通常通りに営業を再開いたします。
以上
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メール署名
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ビジネスメール例文②営業時間変更のお知らせ
メール件名: 営業時間変更のお知らせ
◯◯株式会社
△△ 様
お世話になっております。
転職会社の転職太郎です。
さて首記の件、夏季休業にともない営業時間を以下のとおりに変更させていただきます。
期間中、大変ご迷惑をおかけ致しますが、どうかご容赦いただきますようお願い申し上げます。
記
- 期 間 8月10日から15日まで
- 営業時間 9:00-12:00
なお8月16日より通常の営業時間にて対応いたしております。
以上
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メール署名
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※「ご了承=納得すること」に言い換えても丁寧です。
ビジネスメール例文③メンテお知らせ
メール件名: システムメンテナンスのお知らせ(8/10 AM1:00-6:00)
◯◯株式会社 御中
貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
さて首記の件、
以下日程においてシステムメンテナンスを実施いたします。
- 日程
2017年8月10日(金)AM1:00~6:00 - メンテナンスの影響
人事、配送、販売システムはご利用できません
上記時間帯におきまして一部システムの利用が制限されますが、どうかご容赦いただけますと幸いです。
大変ご迷惑をおかけ致しますが、
何卒よろしくお願い申し上げます。
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メール署名
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※「ご了承=納得すること」に言い換えても丁寧です。
“お許し頂けますと幸いです”でも丁寧
「お許しいただけましたら幸いです」と似たような敬語には・・・
- 【例文】お許しいただけますと幸いです
もあります。言いたいことは「許してほしい」であり、どちらも丁寧な敬語なので使い分ける必要はありませんが…
いちおう意味と違いについて考えてみます。
“お許し頂けましたら vs. お許し頂けますと”の意味と違い
どちらも結局のところ「許してほしい!」「許してください!」という意味になるのですが…こまかくは以下のとおり意味と敬語の違いあり。
- 「お許しいただけましたら」だと意味は「許してもらえたら」
→ 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形+丁寧語”ます”+仮定”たら”
いっぽうで、
- 「お許しいただけますと」だと意味は「許してもらえると」
→ 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形+丁寧語”ます”+接続助詞”と”
となります。
「いただけますと」に仮定の「たら」をくっつけると「いただけましたら」という敬語になります。
※ 接続助詞「と」は助詞の一類。用言・助動詞について、それよりまえの語句をあとの語句に接続し、前後の語句の意味上の関係をしめすはたらきをする。
どちらも丁寧であり使い分けの必要はない
これまで見てきたように、どちらの敬語もこのうえなく丁寧なフレーズです。上司など社内の目上はもちろんのこと、社外取引先にもつかえる素晴らしく丁寧な敬語です。
どちらかお好きな方を使えばよく、使い分けする必要はありません。
“お許し頂けましたら幸甚に存じます”だとなお丁寧
さらに死ぬほど丁寧なメールや文書にしたいときには・・・
「幸い」ではなく「幸甚(こうじん)」をつかい、
- 【例文】お許し頂けましたら幸甚に存じます
→ 意味は「許してもらえたら、この上なく嬉しく思います」 - 【例文】お許し頂けましたら幸甚です
→ 意味は「許してもらえたら、この上なく嬉しいです」
とするともう、本当に死ぬほど丁寧になります。
※ 幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
※ 存じる(ぞんじる)は「思う」の敬語(謙譲語)
これまで紹介した敬語と言いたいことはおなじ。
ただ、幸甚(こうじん)というフレーズのほうがよりカチッとした表現になりますので、文書や手紙・公式なビジネスメールなど本当に堅苦しい文章にしたいときにオススメです。
普段づかいのメールであれば「幸い」で十分に丁寧です。
いちおう意味と違いについて簡単に解説しておきます。
“幸いです vs. 幸甚です”の意味と違い
どちらも結局のところ「嬉しいです!」「幸せです!」という意味になるのですが…
幸甚(こうじん)のほうがより、嬉しさや幸福度合いを強調したフレーズになります。
つまり「幸甚です」とすると意味は・・・
「とてつもなく嬉しいです!」「大変ありがたいです!」「この上なく幸せです!」という感じになりますね。
手紙や公式なビジネスメールにおすすめ
これまで見てきたように、どちらの敬語もこのうえなく丁寧なフレーズです。上司など社内の目上はもちろんのこと、社外取引先にもつかえる素晴らしく丁寧な敬語です。
ただ、より堅苦しいというかビジネス文書や手紙むけというか・・・
カチッとした表現は「幸甚(こうじん)」のほうです。
本当に死ぬほど丁寧なメールや文書にしたいときに使いましょう。
ほかにも使える丁寧な敬語
これまで紹介した例文のほかにも・・・
似たような言い換え敬語で、おなじように丁寧なフレーズをまとめておきます。
どれも「許してほしい!」「許してください!」と謝罪・お詫びしたいときのビジネスメールに使えます。
『お許しいただければ幸いです』
「お許し頂けましたら幸いです」だけじゃない丁寧なビジネス敬語
- 例文「お許しいただければ幸いです」
意味は『許してもらえたら嬉しいなぁ、幸せだなぁ』
つまり『許してもらえたら嬉しいです』
相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズですね。
「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+可能形+仮定の「~れば」
「幸いです」は「幸い」+丁寧語「です」
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
『お許し頂ければ幸甚に存じます』など
「お許し頂けましたら幸いです」だけじゃない丁寧なビジネス敬語
- 【例文】お許しいただければ幸甚に存じます/幸甚です
※意味は「許してもらえたら、とても有り難く思います/有り難いです」 - 【例文】お許しいただけますと幸甚に存じます/幸甚です
※意味は「許してもらえると、この上なく有り難く思います/有り難いです」 - 【例文】お許しいただけましたら幸甚に存じます/幸甚です
※意味は「許してもらえたら、この上なく有り難く思います/有り難いです」
なども似たような意味であり、とても丁寧な敬語です。
幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
「存じる」は「思う」の謙譲語
「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」
「いただけましたら」は謙譲語「いただく」+可能形+丁寧語「ます」+仮定「たら・れば」
『お許し賜れましたら幸甚に存じます』など
「お許し頂けましたら幸いです」だけじゃない丁寧なビジネス敬語
「いただく」よりもカチッとした敬語「賜る(たまわる)」をつかい、
- 【例文】お許し賜れますと幸甚に存じます/幸甚です
※意味は「許してもらえると、この上なく有り難く思います」 - 【例文】お許し賜れましたら幸甚に存じます/幸甚です
※意味は「許してもらえたら、とても有り難く思います/です」
とするとより丁寧な敬語になります。
幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
「存じる」は「思う」の謙譲語
「賜れますと」は謙譲語「賜る」+可能形+丁寧語「ます」+接続助詞”と”
「賜れましたら」は謙譲語「賜る」+可能形+丁寧語「ます」+仮定「たら・れば」
ビジネスメール結びをより丁寧にするコツ
あまり関係ないのかもしれませんが重要なので念のため。
ビジネスメールの文末・結び・締めとして使うことのおおい「お許し」
ここでは、
ビジネスメール結びをより丁寧にするためのコツをご紹介します。
①メール結びに使うときは「よろしく!」を加えると丁寧
ビジネスメール結びをより丁寧にするためのコツ。
「お許しいただけましたら幸いです」はそれだけではビジネスメール結び締めとしてイマイチ。
そこで結びにつかう時にはうしろに「よろしく!」的なフレーズを組み合わせて、セットで使うとより丁寧なメール結びになります。
すでに例文にはしましたが…
- 【例文】お許しいただけましたら幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
- 【例文】お許しいただけましたら幸いです。よろしくお願い致します。
- 【例文】お許しいただけましたら幸いです。よろしくお願い申し上げます。
ビジネスメールの結び締めに使うときにはこんな感じにするとよいでしょう。
②どうか・何卒+お許し
ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。
「お許し」の前置きに添える丁寧なお願いフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」を使うとより丁寧な印象のメールとなります。
たとえば以下のようなフレーズがあります。
- どうか/どうぞ
例文「どうかお許しくださいますようお願い申し上げます」
例文「どうかお許しくださいますようお願い致します」
例文「どうかお許しいただけましたら幸いです」
例文「どうかお許しいただければと存じます。何卒よろしくお願い申し上げます」 - 何卒(なにとぞ)
例文「何卒お許しくださいますようお願い申し上げます」
例文「何卒お許しくださいますようお願い致します」
例文「何卒お許しいただけましたら幸いです」
例文「何卒お許しいただければと存じます。よろしくお願い申し上げます」
③恐縮・お手数+お許し
ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。
「お許し」の前置きには強調するフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」だけでなく、申し訳なく思う気持ちや、相手を気づかうフレーズをもってきても丁寧です。
たとえば「誠に勝手を申し上げますが」などと組み合わせ、以下例文のようにすると好感がもてますね。上司や目上にはもちろんのこと、取引先のメールにも使える丁寧な例文にしています。
- 恐縮=申し訳なく思うこと
「お忙しいところ恐縮ではございますがお許し〜」
「大変恐縮ではございますがお許し〜」
「たびたび恐縮ではございますがお許し〜」 - 恐れ入る=申し訳なく思う
「お忙しいところ恐れ入りますがお許し〜」
「大変恐れ入りますがお許し〜」
「たびたび恐れ入りますがお許し〜」 - お手数=お手間
「お忙しいところお手数お掛けしますがお許し〜」
「大変お手数ではございますがお許し〜」 - 勝手を申し上げる=自分勝手を言う
「誠に勝手を申し上げますがお許し〜」 - ご無理申し上げる = 無理を言う
「ご無理申し上げますが、何卒お許しのほどお願い申し上げます」 - ご多忙とは存じますが=忙しいとは思うけど
「ご多忙とは存じますがお許し〜」