「許してほしい」ときにつかえるビジネス敬語。
じつは…
これまで紹介した言い換え例文だけではなく、敬語フレーズというのはたくさんあります。
ということで、
ここではとくにビジネスメールにおいて活躍する丁寧な敬語フレーズを紹介します。
①お許しください
「許してほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語
- 【例文】お許しください
意味は『許してください』
敬語はもとになる単語「許す」に尊敬語「お(ご)~くださる」の命令形をつかっています。
あるいは命令形「許してくれ」の尊敬語が「お許しください」と考えることもできます。
いずれにせよ、
「お(ご)〜ください」という敬語は命令形である点において、強い口調に感じられてしまうケースあり。
時と場合によっては目上・上司・取引先に不快感をあたえてしまいます。
気になるかたは言い換え例文②以降をつかいましょう。
ちなみに”お許しください”の敬語は以下のようになりたちます。
- もとになる単語「許す」に尊敬語”お(ご)”で「お許し」
- さらに「くれる」の尊敬語”くださる”で「お許しくださる」
- さらに命令形にして”お許しください”
※ 漢字表記「下さい」vs ひらがな表記「ください」はどちらもOK
②お許しくださいませ
「許してほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語
- 例文「お許しくださいませ」
意味は『許してください』
尊敬語「お許しくださる」に丁寧語”ます”の命令形「ませ」をつかい丁寧な敬語フレーズにしています。
命令形である点において「お許しください」とたいして違いはありませんが、「ませ」を添えることで、よりやわらかい印象となりますね。
「〜くださいませ」は女性がよくつかうフレーズであるため、女性敬語だと言われることもあります。
ただ実際には男性であろうと女性であろうと違和感なくつかえます。
③お許しいただければと存じます
「許してほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語
- 例文「お許しいただければと存じます」
意味は『許してもらえたらと思います』
「~してもらえたらと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+仮定の「れば」
「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」
④お許しいただきたく存じます
「許してほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語
- 【例文】お許しいただきたく存じます
→ 意味は『許してもらいたいと思います』
あるいはシンプルに、
- 【例文】お許しいただきたく、お願い致します
としても丁寧です。
「~してもらいたいと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
「いただきたく」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+願望の「~たい」
「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
⑤お許しいただければ幸いです
「許してほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語
- 例文「お許しいただければ幸いです」
意味は『許してもらえたら嬉しいなぁ、幸せだなぁ』
つまり『許してもらえたら嬉しいです』
相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズですね。
「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+仮定の「~れば」
「幸いです」は「幸い」+丁寧語「です」
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
「~いただければ幸いです」という敬語フレーズはお願い・依頼のビジネスメールでよく使います。以下の例文もご参考にどうぞ。
ほかにも似たような敬語には以下のようなフレーズもあります。
- 例文「お許しいただけましたら幸いです」
- 例文「お許しいただけましたら幸甚に存じます」
- 例文「お許しいただければ幸甚に存じます」
- 例文「お許しいただけますと幸いです」
- 例文「お許しいただけますと幸甚に存じます」
- 例文「お許し賜りますと幸いです」
- 例文「お許し賜りますと幸甚に存じます」
補)幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
⑥~その他いろいろな言い換え敬語
敬語の種類というのは本当にいろいろあります。
ほんの一例ですが他にもある使い方を例文にまとめておきます。
- 例文「お許しいただきたく、お願い致します」
意味は「許してほしい、お願いします」 - 例文「お許しいただけましたら幸いです」
※意味は「許してもらえたら嬉しいです」 - 例文「お許しいただけましたら幸甚に存じます」
※意味は「許してもらえれば嬉しく思います」 - 例文「お許しいただければ幸甚に存じます」
※意味は「許してもらえれば嬉しく思います」 - 例文「お許しいただけますか?」
※意味は「許してもらえるか?」でとくに会話シーンで使われるフレーズ - 例文「お許しいただけますでしょうか?」
※意味は「許してもらえるだろうか?」でとくに会話シーンで使われるフレーズ - 例文「お許しいただけますと幸いです」
- 例文「お許しいただけますと幸甚に存じます」
・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+願望「~たい」
・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」
・幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
ビジネス会話・電話対応では”お許しいただけますか?”
ビジネスメールではなく会話や電話対応シーンであれば…
「お許しいただきますようお願い申し上げます」などは絶対につかいません。
長いうえに丁寧すぎて気持ち悪いですからね。
そこでビジネス会話・電話対応では…
- 【例文】お許しいただけますか?
- 【例文】お許しいただけますでしょうか?
- 【例文】お許し願えますでしょうか?
※もちろん「お許しください」「お許しくださいませ」としてもOK
といった質問フレーズをつかいましょう。
意味としては「許してもらえますか?」であり、敬語をつかって丁寧な表現にしています。
「〜いただけますか?」サラッと言えるためビジネスシーンで重宝するフレーズです。
敬語の解説
「お許しいただけますか?」「お許しいただけますでしょうか?」
の敬語の成り立ちとしては…
- “許す”に「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「お許しいただく」
- 可能形にして「お許しいただける」
- さらに丁寧語”ます”で「お許しいただけます」
- 疑問形にして「お許しいただけますか?」
“〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」を使うと「お許しいただけますでしょうか?」
どちらの表現も謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。
したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。
どちらかというと「〜いただけますでしょうか?」のほうが丁寧なのですが…バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけますか?」を使うのをオススメします。
“お許しいただく vs お許しくださる”の使い方
ややこしいので「お許しいただく vs お許しくださる」の使い方について。
代表的なパターンを表にまとめておきます。
こまかく解説していくとそれだけで記事がおわってしまいますので、目的にあわせてお使いください。
“お許しいただく”の使い方まとめ(すべて敬語)
①基本 | ②+丁寧語”ます” | ③その他 | |
---|---|---|---|
現 在 | お許しいただく | お許しいただきます | -頂くよう -頂きますよう |
過 去 | お許しいただいた | お許しいただきました | × |
進行形 | お許しいただいている | お許しいただいています | -頂いております |
過去~現在 | お許しいただいていた | お許しいただいていました | -頂いておりました |
希 望 依 頼 |
お許しいただきたい お許しいただきたく お許しいただくよう お許しいただけるよう |
お許しいただきたいです × お許しいただきますよう お許しいただけますよう |
-頂きたく思います -頂きたくお願いします -頂きたく存じます -頂ければと存じます |
可 能 | お許しいただける | お許しいただけます | -頂けるよう -頂けますよう |
①仮定 ②仮定+可能 |
①お許しいただいたら ②お許しいただければ |
①お許しいただきましたら ②お許しいただけましたら |
× |
①疑問+過去 ②疑問+可能 ③疑+可+過 |
①お許しいただいたか? ②お許しいただけるか? ③お許しいただけたか? |
お許しいただきましたか? お許しいただけますか? お許しいただけましたか? |
-頂きましたでしょうか -頂けますでしょうか -頂けましたでしょうか |
禁 止 | お許しいただけない | お許しいただけません | × |
命 令 | × | × | × |
※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります。
※ 「頂く」「いただく」は漢字でも平仮名でもOK
※「×」としたのは一般的につかわない
“お許しくださる”の使い方まとめ(すべて敬語)
①基本 | ②+丁寧語”ます” | ③その他 | |
---|---|---|---|
現 在 | お許しくださる | お許しくださいます | -くださるよう -くださいますよう |
過 去 | お許しくださった | お許しくださいました | × |
進行形 | お許しくださっている | お許しくださっています | -くださっております |
過去~現在 | お許しくださっていた | お許しくださっていました | -くださっておりました |
希 望 |
お許しくださるよう | お許しくださいますよう | × |
可 能 | × | × | × |
仮 定 | × | × | × |
疑 問 | お許しくださるか? | お許しくださいますか? | × |
否 定 | お許しくださらない | お許しくださいません | × |
命 令 | お許しください | お許しくださいませ | × |
※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります
※ 「下さる」「くださる」は漢字でも平仮名でもOK
※「×」としたのは一般的につかわない