① お許しくださいますよう~
vs.
② お許しいただきますよう(頂きますよう)~
の敬語、意味と違い、目上・上司・取引先への使い方、注意点についてビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説していく記事。
まずは基本。
「お許しくださいますよう vs お許しいただきますよう」の意味はどちらも「許してほしい」の丁寧な敬語フレーズ。
どちらも正しい敬語であり使い方はたとえば…
- 【例文】お許しくださいますようお願い申し上げます
- 【例文】お許しいただきますようお願い致します
のようにしてメール文末・結びに使うと、上司・目上やビジネスパートナーに使えるすばらしい敬語フレーズになります。
どちらをつかっても丁寧な敬語であり使い分けの必要はありません。
ただし…
ビジネスシーンでは「許す」よりも「容赦(ようしゃ)」をつかうのが一般的。
たとえば、
- 例文①ご容赦ください
- 例文②ご容赦くださいませ
- 例文③ご容赦をお願い致します
- 例文④ご容赦いただきたく存じます
- 例文⑤ご容赦のほどお願い申し上げます
- 例文⑥ご容赦いただきますようお願い申し上げます
- 例文⑦ご容赦くださいますようお願い申し上げます
- 例文⑧ご容赦いただけますか?ご容赦いただけますでしょうか?
- 例文⑨ご容赦いただければ幸いです
- 例文⑩ご容赦賜りますようお願い申し上げます(”賜る”の読みは”たまわる”)
というように使います。
「容赦」とはつまり「許すこと」の意味であるため言い換えることができます。
これらの言い換えの丁寧レベルとしては「ご容赦ください」がもっとも低く「例文⑨ご容赦いただければ幸いです」「例文⑩ご容赦賜りますよう〜」がもっとも丁寧。
ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、本文中ではメール例文をまじえながらくわしく進めていきます。
※長文になりますので時間の無い方は「見出し」より目的部分へどうぞ。
意味と敬語の違い
まずは「お許しくださいますよう vs お許しいただきますよう」の意味と敬語における違いについて簡単に。
ようはどちらも「許してほしい」ということなのですが、あまりに乱暴なのでもう少しくわしく解説します。
“お許しくださいますよう”の意味・敬語
「お許しくださいますよう vs お許しいただきますよう」の違い
まず
「お許しくださいますよう」の辞書的な意味は…
「許してくれるよう~」であり、ビジネスシーンでなにかしら許してほしいとき。依頼・お願いにつかう敬語フレーズです。
「お許しいただきますよう」の敬語を細かくみていくと、以下のような成り立ちです。
- “渡し”に尊敬語「お(ご)」で「お許し」
- “くれる”の尊敬語「くださる」で「お許しくださる」
- 丁寧語「ます」+「~ように」で「お許しくださいますよう」
尊敬語をうまくつかい、この上なく丁寧な敬語表現となっていることがわかります。
「お許しください」単体としての意味は「〜してくれ」「〜して欲しい」の丁寧な言いまわしと考えることができます。
ところが、
「お許しください」は敬語ではあるものの、結局のところ命令形であるために強い口調となります。
そこで「ますようにお願い」と続けることで「お願い」とすり替え、やんわ〜りとした表現にしています。とても丁寧な敬語フレーズと言えますね。
したがって目上(上司・先輩・取引先)やビジネスメールにふさわしい敬語フレーズです。
ちなみに「お許し」の「お(ご)」は謙譲語と尊敬語の使い方があります。ここでは「相手が〜してくれる」というように相手を主語にしているため尊敬語としての使い方です。
【補足】
謙譲語とか尊敬語がむずかしく感じるあなたは「お(ご)~くださる」セットで敬語(尊敬語)と覚えておきましょう。
「~」の部分には「連絡」「査収」「了承」などいろいろ使えます。
なお謙譲語と尊敬語には両方とも「お(ご)〜」の使い方があります。くわしくは後ろで解説しています。
“お許しいただきますよう”の意味・敬語
「お許しくださいますよう vs お許しいただきますよう」の違い
つづいて
「お許しいただきますよう」の辞書的な意味は…
「許してもらうよう~」であり、ビジネスシーンでなにかしら許してほしいとき。依頼・お願いにつかう敬語フレーズです。
「お許しいただきますよう」の敬語を細かくみていくと、以下のような成り立ちです。
- “渡し”に謙譲語「お(ご)」で「お許し」
- “もらう”の謙譲語「いただく」で「お許しいただく」
- 丁寧語「ます」+「~ように」で「お許しいただきますよう」
謙譲語をうまくつかい、この上なく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。
したがって上司・目上やビジネスメールで使うのにふさわしい表現、と言えるでしょう。
ちなみに「お許し」の「お(ご)」は謙譲語と尊敬語の使い方があります。ここでは「自分が〜してもらう」というように自分を主語にしているため謙譲語としての使い方です。
【補足】
謙譲語とか尊敬語がむずかしく感じるあなたは「お(ご)~いただく」セットで敬語(謙譲語)と覚えておきましょう。
「~」の部分には「連絡」「査収」「了承」などいろいろ使えます。
違いはあるが、使い分けする必要はない
ここまで意味をみてきましたが「お許しくださいますよう vs お許しいただきますよう」の違いにお気づきでしょうか?
どちらも結局のところ言いたいことは同じ。
「許してほしい」
と言いたいわけですが…
- “お許しいただきますよう~“だと意味は「許してもらうよう」
→敬語は謙譲語「お(ご)〜いただく」
vs.
- “お許しくださいますよう~“だと意味は「許してくれるよう」
→敬語は尊敬語「お(ご)〜くださる」
というように意味と敬語の使い方が違います。
いい加減しつこいのですが、だからといって言いたいことは全く同じなわけです。
したがって、
敬語の使い方には違いはあれど、どちらもひとしく丁寧な敬語であり目上・上司・社外取引先につかえるフレーズです。
ただ少しニュアンスの違いというか敬語の使い方が違うよ、ということですね。
敬語”~いただく vs くださる”の違いをもっと!
せっかくですので「~いただく」「~くださる」の違いをもっと考えてみます。
たとえば結び・締めに使う「お願い」するときのシーンを考えましょう
すると…
「ご容赦くださいますようお願い申し上げます」
「ご容赦いただきますようお願い申し上げます」
「ご了承くださいますようお願い申し上げます」
「ご了承いただきますようお願い申し上げます」
「ご確認くださいますようお願い申し上げます」
「ご確認いただきますようお願い申し上げます」
こんな敬語フレーズをよく使います。
実はこれらは「くださる」を使うのが一般的です…
「いただく」としても丁寧ではありますが…
ところが、たとえば何かをもらった時のお礼のシーンを考えます。
「たいそうなお品をくださりありがとうございました」
「たいそうなお品をいただきありがとうございました」
もうひとつ、
「いつもご利用くださりありがとうございます」
「いつもご利用いただきありがとうございます」
上記の例文はどれも敬語としては正しい使い方。
ただ圧倒的に「いただき〜」とするほうが多いですね。
結び・締めに使うフレーズとしては「くださいますよう」のほうが一般的で、お礼に使うフレーズとしては「いただきありがとう」を使うのが一般的です。
ただし何度もしつこいのですが…
本来であればどれも丁寧な敬語であり、使い分けする必要はありません。
【補足】敬語の種類(ざっくり復習)
① 尊敬語とは?
相手をうやまって使う敬語の一種。
相手の行為にたいして使い、自分の行為には使わないことが基本。
敬語の種類はほかに②謙譲語、③丁寧語がある
② 謙譲語とは?
自分をへりくだって下にすることで、相手への敬意をあらわす敬語。
自分の行為に使い、相手の行為には使わないことが基本(例外あり)。
③ 丁寧語とは?
いわゆる「です・ます」口調のこと。
言い換え”ご容赦”の意味と敬語
冒頭でも解説したとおり「お許しくださいますよう vs お許しいただきますよう」と言いたいときには「ご容赦」をつかった敬語フレーズをよくつかいます。
「ご容赦ください」は「許してほしい」という意味。
なぜこのような意味になるのか?
そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。
ご容赦の意味は”許すこと”
ご容赦(読み:ごようしゃ)のそもそもの意味は…
- ゆるすこと、おおめに見ること
【例文】もう容赦してやろう - 手加減すること。控え目にすること。
たとえば、
【例文】このくらいで容赦してやろう →「許す」の意味
【例文】容赦のない攻撃に出る →「手加減する」の意味
のようにして使います。
ちなみに敬語は「容赦」に尊敬語or謙譲語「お(ご)」で「ご容赦」というようになります。
「自分がご容赦する」のであれば謙譲語としての使い方。
上司・目上・取引先などの「相手がご容赦くださる」のであれば尊敬語としての使い方。
というように2パターンあります。
“ご容赦ください”の意味は「許してくれ」
「ご容赦ください」としたときの意味は…
「許してほしい」
「許してくれ」
容赦するは「①許す」「②手加減する」のどちらかの意味であるためシンプルに要約すると、
①許してほしい
②手加減してほしい
のどちらかの意味に解釈できます。
ここで「ご容赦」の”お(ご)”は尊敬語。
使い方は文字どおり上司や目上・取引先になにかしら許してほしいときのビジネスシーンで使われます。
なお「ご容赦してください」は間違い敬語であるためご注意を。
「ご容赦ください」の敬語の種類
「ご容赦ください」を敬語としてみていくと…以下のようになりたちます。
- もとになる単語「容赦」に尊敬語”お(ご)”で「ご容赦」
- さらに「くれる」の尊敬語”くださる”で「ご容赦くださる」
- さらに命令形にして「ご容赦ください」
※ 漢字表記「下さい」vs ひらがな表記「ください」はどちらもOK
このようにして元になる語「容赦」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
なお「ご容赦してください」は間違い敬語となるのでご注意を
【基本の使い方】謝罪・お詫び
ご容赦くださいは「許してほしい」ということなので、謝罪・お詫びのビジネスシーンにつかわれます。
たとえば、
- 休業するのであれば「明日は休業とさせていただきます。どうかご容赦ください」
- 何かしら断るシーンで「すみません今回は見送ります。何卒ご容赦ください」
- ミスをした時の謝罪として「二度と同じ事のないよう、誠心誠意努めてまいります。どうかご容赦ください」
こんな感じで使いますね。
実際にはたいした問題ではなくても「許してね!」「受け入れてね!」というときに使うと相手も納得しやすくなるでしょう。
ただビジネスメールなど文書でつかうときには、より丁寧なフレーズに言い換えするべき。使い方をくわしく見ていきましょう。
“ご容赦ください”の使い方
ここまでの解説で、ビジネスでは「お許しくださいますよう vs お許しいただきますよう」ではなく「ご容赦」に言い換えればよいことが分かりました。
ここからは、
「ご容赦」の使い方を例文で紹介します。
①ご容赦ください
目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「ご容赦」の使い方
- 例文「ご容赦ください」
意味は『許してください』
※「お許しください」に言い換えてもOK
「許して」というフレーズを尊敬語「ご容赦」に言い換えているため丁寧レベルとしては「許してください」よりもだいぶマトモ。
ただやはり「〜ください」という命令形である点において、強い口調に感じられてしまうケースあり。
さきほどの繰り返しにはなりますが、時と場合によっては目上・上司・取引先に不快感をあたえてしまいます。
気になるかたは言い換え例文②以降をつかいましょう。
ちなみに”ご容赦ください”の敬語は以下のようになりたちます。
- もとになる単語「容赦」に尊敬語”お(ご)”で「ご容赦」
- さらに「くれる」の尊敬語”くださる”で「ご容赦くださる」
- さらに命令形にして”ご容赦ください”
※ 漢字表記「下さい」vs ひらがな表記「ください」はどちらもOK
このようにして元になる語「容赦」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
ちなみに敬語「お(ご)」は…
「自分がご容赦する」のであれば謙譲語としての使い方。
上司・目上・取引先などの「相手がご容赦くださる」のであれば尊敬語としての使い方。
というように2パターンあります。
なお「ご容赦してください」は間違い敬語となりますのでご注意を。
②ご容赦くださいませ
目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「ご容赦」の使い方
- 例文「ご容赦くださいませ」
意味は『許してください』
※「お許しくださいませ」に言い換えてもOK
尊敬語「ご容赦くださる」に丁寧語”ます”の命令形「ませ」をつかい丁寧な敬語フレーズにしています。
命令形である点において「許してください」とたいして違いはありませんが、丁寧語「ませ」を添えることで、よりやわらかい印象となりますね。
「〜くださいませ」は女性がよくつかうフレーズであるため、女性敬語だと言われることもあります。
ただ実際には男性であろうと女性であろうと違和感なくつかえます。
なお「ご容赦してくださいませ」は間違い敬語となりますのでご注意を。
③ご容赦いただきたく、お願い致します
目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「ご容赦」の使い方
- 例文「ご容赦いただきたく、お願い致します」
→意味は『許してもらいたい、お願いします』
あるいは単に、
- 例文「ご容赦をお願い致します」
→意味は『お許しをお願いします』
としてもOKです。
※「お願い申し上げます」としても丁寧
※「よろしくお願い致します」というようにしても丁寧
※「お許しいただきたくお願い致します」に言い換えできます。
いずれもシンプルかつ丁寧な敬語フレーズであり、ビジネスメールや電話対応でよくつかうフレーズです。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
「いただきたく」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+希望「~したい」
④ご容赦いただければと存じます
目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「ご容赦」の使い方
- 例文「ご容赦いただければと存じます」
意味は『許してもらえたらと思います』
※「お許しいただければと存じます」に言い換えOK
「~してもらえたらと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+仮定の「れば」
「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」
⑤ご容赦いただきたく存じます
目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「ご容赦」の使い方
- 例文「ご容赦いただきたく存じます」
意味は『許してもらいたいと思います』
※「お許しいただきたく存じます」としても丁寧
「~してもらいたいと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
「いただきたく」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+願望の「~たい」
「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
⑥ご容赦いただければ幸いです
目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「ご容赦」の使い方
- 例文「ご容赦いただければ幸いです」
意味は『許してもらえたら嬉しいなぁ、幸せだなぁ』
つまり『許してもらえたら嬉しいです』
※「お許しいただければ幸いです」としても丁寧
相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズですね。
「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+仮定の「~れば」
「幸いです」は「幸い」+丁寧語「です」
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
「~いただければ幸いです」という敬語フレーズはお願い・依頼のビジネスメールでよく使います。以下の例文もご参考にどうぞ。
ほかにも似たような敬語には以下のようなフレーズもあります。
- 例文「ご容赦いただけますと幸いです」
- 例文「ご容赦いただけましたら幸いです」
- 例文「ご容赦いただけますと幸甚に存じます」
- 例文「ご容赦いただけましたら幸甚に存じます」
- 例文「ご容赦いただければ幸甚に存じます」
- 例文「ご容赦いただけますと幸いです」
- 例文「ご容赦いただけますと幸甚に存じます」
補)幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
⑦ご容赦くださいますようお願い申し上げます
目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「ご容赦」の使い方
- 例文「ご容赦くださいますようお願い申し上げます」
- 例文「ご容赦くださいますようお願い致します」
意味は『許してくれるようお願いします』
※「お願い申し上げます = お願い致します」に言い換えOK
「ください」単体としての意味は「〜してくれ」「〜して欲しい」の丁寧な言いまわしと考えることができます。
が、
「ください」は敬語ではあるものの、結局のところ命令形であるために強い口調となります。
そこで「ますようにお願い」と続けることで「お願い」とすり替え、やんわ〜りとした表現にしています。とても丁寧な敬語フレーズと言えますね。
たとえば、
- ご査収くださいますようお願い申し上げます
意味「よく中身を確認して受け取ってくれるようお願い!」 - ご検討くださいますようお願い申し上げます
意味「検討してくれるようお願い!」 - ご確認くださいますようお願い申し上げます
意味「確認してくれるようお願い!」 - ご了承くださいますようお願い申し上げます
意味「納得してくれるようお願い!」
などのようにして使います。
これらはもともと「●●してください」という命令形なのですが、「●●くださいますようお願い〜」を使うことによって相手に強制しないやんわ〜りとした表現となっています。
ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。
⑧ご容赦いただきますよう・賜りますよう〜
目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「ご容赦」の使い方
- 例文「ご容赦いただきますようお願い申し上げます」
- 例文「ご容赦いただけますようお願い申し上げます」
- 例文「ご容赦賜りますようお願い申し上げます」
意味はどちらも『許してもらうようお願いします』
※「お願い申し上げます」は「お願い致します」に言い換えOK
「いただきますよう」は”〜してもらう”の謙譲語「お(ご)〜いただく」+丁寧語”ます”+”ように”
「いただけますよう」は”〜してもらう”の謙譲語「お(ご)〜いただく」+可能形+丁寧語”ます”+”ように”
「賜りますよう」は”〜してもらう”の謙譲語「お(ご)〜賜る」+丁寧語”ます”+”ように”
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
賜る(たまわる)という敬語のほうがよりカチッとした表現になりますので、文書など公式なビジネスシーンではかならず「賜る」を使います。
普段のメールであれば「いただきますよう」でOK。
「くださいますよう」「いただきますよう・いただけますよう・賜りますよう」はニュアンスが違うものの、どれも結局のところ「~してほしい」と言いたいので同じです。
⑨ご容赦のほどお願い申し上げます
目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「ご容赦」の使い方
- 例文「ご容赦のほどお願い申し上げます」
- 例文「ご容赦のほどお願い致します」
意味は「許してくれるようお願いします」となります。
※「お願い申し上げます」は「お願い致します」に言い換えOK
ここで「ご容赦のほど」の「のほど」は限定を避ける言い方で、意味としては「〜してもらうよう」「〜してくれるよう」と考えることができます。
断定をさけて表現をやわらげるのに用いる語です。
たとえば、
- ご査収のほどお願い申し上げます
意味「よく中身を確認して受け取るよう、お願い」 - お取り計らいのほどお願い申し上げます
意味「物事をうまく進めてくれるよう、お願い」 - ご検討のほどお願い申し上げます
意味「検討してくれるよう、お願い」 - ご了承のほどお願い申し上げます
意味「納得してくれるよう、お願い」
などのようにして使います。
これらはもともと「●●してください」という命令形なのですが、「〜のほど」を使うことによって相手に強制しないやんわ〜りとした表現となっています。
ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。
先ほどとおなじく「お願い申し上げます」は「お願いいたします」「お願い致します」と言い換えできます。
⑩~その他いろいろな言い換え敬語
敬語の種類というのは本当にいろいろあります。
ほんの一例ですが他にもある使い方を例文にまとめておきます。
- 例文「ご容赦をお願い致します」
※意味は「許しをお願いする」 - 例文「ご容赦いただきたく、お願い致します」
意味は「許してほしい、お願いします」 - 例文「ご容赦いただけましたら幸いです」
※意味は「許してもらえたら嬉しいです」 - 例文「ご容赦いただけましたら幸甚に存じます」
※意味は「許してもらえれば嬉しく思います」 - 例文「ご容赦いただければ幸甚に存じます」
※意味は「許してもらえれば嬉しく思います」 - 例文「ご容赦いただけますか?」
※意味は「許してもらえるか?」でとくに会話シーンで使われるフレーズ - 例文「ご容赦いただけますでしょうか?」
※意味は「許してもらえるだろうか?」でとくに会話シーンで使われるフレーズ - 例文「ご容赦いただけますと幸いです」
- 例文「ご容赦いただけますと幸甚に存じます」
- 例文「ご容赦賜りますと幸いです」
- 例文「ご容赦賜りますと幸甚に存じます」
- 例文「ご容赦賜れましたら幸いです」
- 例文「ご容赦賜れましたら幸甚に存じます」
※すべて「お許しいただく・お許しくださる」を使ったフレーズに言い換えOK
・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+願望「~たい」
・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」
・幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
ビジネス会話・電話対応では”申し訳ありません”で十分
ビジネスメールではなく会話や電話対応シーンであれば…
「ご容赦くださいますようお願い申し上げます」などは絶対につかいません。
長いうえに丁寧すぎて気持ち悪いですからね。
そこでビジネス会話・電話対応では…
- 【例文】大変申し訳ありません
- 【例文】大変申し訳ございません
※「誠に申し訳ありません」でもOK
といったふつうの謝罪・お詫びフレーズをつかいましょう。
謝罪シーンではなんども「申し訳ありません」繰り返すことが重要です。
そうしている内に怒っていた相手も冷静になってきます。
言い訳などは決してしないようにご注意ください。
ビジネスメール例文【全文】
こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。
ここでは「許してください」の丁寧な言い換えをつかったビジネスメール例文を紹介します。どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしていますので、ご参考にどうぞ。
ビジネスメール例文①年末年始休業お知らせ
【社外ビジネス・テンプレート】
・社外取引先への年末年始 営業日、休業お知らせビジネスメール例文
・テンプレートとして使えるもっともシンプルな例文
メール件名: 年末年始休業のお知らせ
お客様各位
拝啓 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
さて、誠に勝手ながら下記のとおり、年末年始を休業とさせて頂きます。期間中、お客様には大変ご不便をお掛けいたしますが、どうかご容赦くださいますようお願い申し上げます。
来年も、本年同様お客様にご満足いただけるサービスの提供を目指し、より一層精進して参ります。今後とも変わらぬご愛顧のほど、宜しくお願い申し上げます。 敬具
記
休業期間 :12月31日(日)~1月3日(水)
※1月4日(木)より通常通りに営業を再開いたします。
以上
————————
メール署名
————————
ビジネスメール例文②営業時間変更のお知らせ
メール件名: 営業時間変更のお知らせ
◯◯株式会社
△△ 様
お世話になっております。
転職会社の転職太郎です。
さて首記の件、夏季休業にともない営業時間を以下のとおりに変更させていただきます。
期間中、大変ご迷惑をおかけ致しますが、どうかご容赦いただければ幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
記
- 期 間 8月10日から15日まで
- 営業時間 9:00-12:00
なお8月16日より通常の営業時間にて対応いたしております。
以上
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メール署名
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ビジネスメール例文③メンテお知らせ
メール件名: システムメンテナンスのお知らせ(8/10 AM1:00-6:00)
◯◯株式会社 御中
貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
さて首記の件、
以下日程においてシステムメンテナンスを実施いたします。
- 日程
2017年8月10日(金)AM1:00~6:00 - メンテナンスの影響
人事、配送、販売システムはご利用できません
上記時間帯におきまして一部システムの利用が制限されますが、あらかじめご容赦いただければと存じます。
大変ご迷惑をおかけ致しますが、
何卒よろしくお願い申し上げます。
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メール署名
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ビジネスメール結びをより丁寧にするコツ
あまり関係ないのかもしれませんが重要なので念のため。
ビジネスメールの文末・結び・締めとして使うことのおおい「ご容赦」
ここでは、
ビジネスメール結びをより丁寧にするためのコツをご紹介します。
+前置きに添えるフレーズを!
ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。
「ご容赦」の前置きに添える丁寧なお願いフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」を使うとより丁寧な印象のメールとなります。
たとえば以下のようなフレーズがあります。
- どうか
例文「どうかご容赦くださいますようお願い申し上げます」
例文「どうかご容赦くださいますようお願い致します」
例文「どうかご容赦いただければ幸いです」
例文「どうかご容赦いただければと存じます。何卒よろしくお願い申し上げます」 - 何卒=どうか
例文「何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます」
例文「何卒ご容赦くださいますようお願い致します」
例文「何卒ご容赦いただければ幸いです」
例文「何卒ご容赦いただければと存じます。よろしくお願い申し上げます」
+気づかいの敬語フレーズもGood
ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。
「ご容赦」の前置きには強調するフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」だけでなく、申し訳なく思う気持ちや、相手を気づかうフレーズをもってきても丁寧です。
たとえば「誠に勝手を申し上げますが」などと組み合わせ、以下例文のようにすると好感がもてますね。上司や目上にはもちろんのこと、取引先のメールにも使える丁寧な例文にしています。
- ご迷惑かける
「大変ご迷惑をお掛け致しますがご容赦〜」
「お客様におかれましては多大なるご迷惑をお掛けしますがご容赦〜」 - ご不便かける
「大変ご不便をお掛け致しますがご容赦〜」
「お客様におかれましては大変ご不便お掛けしますがご容赦〜」 - 恐縮/恐れ入る = 申し訳ない
「大変恐縮ではございますが、何卒ご容赦賜りますようお願い申し上げます」
「ご不便お掛けし恐縮ですがご容赦~」
「恐れ入りますがご容赦~」 - 勝手を申し上げる=自分勝手を言う
「誠に勝手を申し上げますがご容赦〜」 - ご無理申し上げる = 無理を言う
「ご無理申し上げますが、何卒ご容赦のほどお願い申し上げます」 - ご多忙とは存じますが=忙しいとは思うけど
「ご多忙とは存じますがご容赦〜」
“●●の上ご容赦”も使う
あとはよく使われる「ご容赦くださる・いただく」の使い方は…
「●●の上、ご容赦~」
といった使い方もします。
意味としては「●●したのち許してほしい」
ココで使う「~の上」は「~したのち」という意味。
すると以下のような例文もビジネスメールでは使いますね。
- 例文「ご高察の上、ご容赦くださいますようお願い致します」
- 例文「ご理解の上、ご容赦いただきたく存じます」