「ご参考いただきたく存じます」の意味、ビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい使い方、注意点について。
ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。
※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ
意味と敬語
「ご参考いただきたく存じます」は「参考してもらいたいと思います」という意味。
なぜこのような意味になるのか?
そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。
“参考する”の意味
「ご参考の程」のもとになる語は「参考する」
「参考」のそもそもの意味としては…
「何かをしようとするときに、他人の意見や他の事例・資料などを引き合わせてみて、自分の考えを決める手がかりにすること。また、そのための材料」
たとえば、
- 【例文】ノマドブログを参考する
- 【例文】履歴書を書く上でノマドブログは参考になる
のようにして使います。
注意点として「参考になる」と「参考する」では意味がちがってきます。
- “参考する”だと「手がかりにする」の意味
- “参考になる”だと「手がかりになる」の意味
「ご参考いただく」のもとになる語は「参考する」であって「参考になる」ではありません。ご注意ください。
“ご参考いただきたく”の意味は「参考してもらいたい」
まずは前半部分。
“ご参考いただきたく〜”の意味は、
「参考してもらいたい〜」
「参考してもらいたく〜」
つまり、
「手がかりにしてもらいたい〜」
「手がかりにしてもらいたく〜」
のように解釈できます。
「ご参考」のもととなる単語は「参考」であり、「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」をつかって敬語にしています。
「いただきたく」の部分は謙譲語「いただく」に意思・希望「〜したい」をつかっています。
ここで「ご参考」の「お(ご)」の部分は向かう先を立てるために使う敬語であり謙譲語の「お(ご)」です。
余談ですが尊敬語にも「お(ご)」の使い方があり混同しがち。
難しく感じるかたは「お(ご)●●いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。
“存じます”の意味は「思います」
つづいて後半部分。
“存じます”の意味は「思います」
“思う”の敬語(謙譲語)「存じる」に丁寧語”ます”をつかって敬語にしています。
あわせると意味は「参考してもらいたいと思います」
- ご参考 = 参考すること
- ご・お~いただきたく = 「〜してもらいたい」の意味の敬語(謙譲語)
- 存じます = 「思います」の意味の敬語(謙譲語)
※「参考」の意味は…
「何かをしようとするときに、他人の意見や他の事例・資料などを引き合わせてみて、自分の考えを決める手がかりにすること。また、そのための材料」
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「ご参考いただきたく存じます」の意味は…
「参考してもらいたいと思います」
であり、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
「参考してください!」とストレートに言うのではなく遠回しに自分の意思や気持ちをつたえる、とても丁寧なフレーズですね。
ニュアンスとしては「参考してもらいたいと思うのだけど…」みたいなイメージ。
あまりに堅苦しくて大げさかもしれませんが、とにかく目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズになります。
敬語の解説
ややこしいので、これまでの敬語の解説をまとめておきます。
「ご参考いただきたく存じます」を敬語としてみていくと以下のとおりに成り立ちます。
- もとになる単語「参考」
- “〜してもらう”の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「ご参考いただく」
- 意思・希望”〜したい”で「ご参考いただきたい」
- “思う”の謙譲語「存じる」に丁寧語”ます”をくっつけて「存じます」
→ すべてあわせると「ご参考いただきたく存じます」という敬語の完成
このようにして元になる語「参考」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
なお「ご参考していただきたく存じます」は間違い敬語となりますのでご注意を。
この場合、謙譲語「お(ご)」をなくして「参考していただきたく存じます」とすれば正しい敬語になります。
理由は長くなるので省きますが、あくまでも「ご参考いただきたく存じます」をつかうことをオススメします。
それでは次項より使い方についても見ておきましょう。
使い方・ビジネスメール例文
こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。
ここでは「ご参考いただきたく存じます」の使い方をビジネスメール例文とともにご紹介。
どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。
【基本の使い方】参考してほしい!と伝えるビジネスメール
「ご参考いただきたく存じます」の使い方
文字どおり何かしら「参考してほしい!」と言いたいときのビジネスメールに使います。
取引先など社外あてに限らず、上司や目上など社内あてのメールにも使える丁寧なフレーズですね。
たとえば、
- 【例文】ご参考いただきたく存じます。
※「参考」の意味は…
「何かをしようとするときに、他人の意見や他の事例・資料などを引き合わせてみて、自分の考えを決める手がかりにすること。また、そのための材料」
のようにして何かの依頼・お願いをともなうビジネス文書やビジネスメールに使われます。
ようするに「参考してほしい!」という意味なのですが丁寧な敬語にすると、こんな風にややこしい文章になります。
なお「ご参考をいただきたく存じます」というように「を」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。
ビジネスメール例文:上司に参考してほしい
メール件名:返信Re: 資料作成のお願い
○○ 部長(社内上司)
お疲れ様です。
さて先般ご依頼の資料作成の件、完了しましたことを報告いたします。
資料は社内共有ドライブに保存しておりますので、
下記のアドレスよりアクセスをお願い致します。
●保存先URL:xxx
ABCプロジェクトを進める上でぜひご参考いただきたく存じます。
ご不明な点等がございましたら何なりとお申し付けください。
よろしくお願い致します。
********
メール署名
********
“ご参考いただければと存じます”だとなお丁寧
“参考してほしい!”と言いたいときに使える敬語。
「ご参考いただきたく存じます」でも十分に丁寧ではありますが…
「ご参考いただければと存じます」とすると、より丁寧な敬語になります。
たとえば、
- 【例文】xxをご参考いただければと存じます。
※「参考」の意味は…
「何かをしようとするときに、他人の意見や他の事例・資料などを引き合わせてみて、自分の考えを決める手がかりにすること。また、そのための材料」
のようにして使います。
意味と違い・使い方
どちらも言いたいことは結局のところ「参考してほしい」なのですが…
敬語の使い方に違いあり。
謙譲語「いただく」に仮定の「たら・れば」をくっつけると「いただければ」という敬語になります。
したがって「ご参考いただければと存じます」のニュアンスとしては「よかったら参考してもらえたらと思うのだけど」というような感じになります。
「ご参考いただきたく存じます」でも遠回しにあなたの希望を伝える敬語なのですが…
「ご参考いただければと存じます」だともっと大げさになります。
かな〜り遠回しにお願いをしているわけで、目上・上司・取引先への言葉づかいとしてはこの上なく丁寧ですね。
そんなに丁寧にする必要あるの?って思うくらい。
まぁ、ひとつのオプションとしてお好みでお使いください。
シンプルに”ご参考にどうぞ”でも丁寧
“参考してほしい!”と言いたいときに使える敬語。
「ご参考いただきたく存じます」「ご参考いただければと存じます」だけでなく、
「ご参考にどうぞ」もあります。
言いたいことは結局のところ「参考してほしい」なのですが…
たとえば、
- 【例文】xxの資料を作成いたしました。ご参考にどうぞ。
のようにして使います。
“存じます”ばかりのメールは気持ち悪い
ビジネスメールで「存じます」つまり「思います」を多用すると気持ち悪い文章になってしまいます。あなたの意思が伝わらずぼんや〜りとしたメールになって「結局なにが言いたいの?」ということになりかねません。
そんなときに活躍するのが「ご参考にどうぞ」です。
ほかにも使える丁寧な敬語
これまで紹介した例文のほかにも…
- 【例文】ご参考いただきたく、お願い致します
※意味は「参考してもらいたい、お願いします」 - 【例文】ご参考いただければ幸いです
※意味は「参考してもらえたら嬉しいです」 - 【例文】ご参考いただけますと幸いです
※意味は「参考してもらえると嬉しいです」 - 【例文】ご参考いただけましたら幸いです
※意味は「参考してもらえたら嬉しいです」 - 【例文】ご参考いただければ幸甚に存じます
※意味は「参考してもらえたら、とても嬉しく思います」 - 【例文】ご参考いただけますと幸甚に存じます
※意味は「参考してもらえると、とても嬉しく思います」 - 【例文】ご参考いただけましたら幸甚に存じます
※意味は「参考してもらえたら、とても嬉しく思います」
なども似たような意味であり、とても丁寧な敬語です。
※ 幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
※ 「幸い」は「幸せであること、嬉しい気持ち」の意味
※ 「存じる」は「思う」の謙譲語
※ 「いただきたく」は謙譲語「いただく」+希望「~したい」
※ 「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」
※ 「いただけましたら」は謙譲語「いただく」+丁寧語「ます」+仮定「たら・れば」
結局どれがもっとも丁寧?
あまりにも言い換え敬語フレーズがおおいので、どれを使うべきか迷ってしまうというあなたのために。
これまで紹介しきれなかった敬語もふくめ丁寧レベルごとにまとめておきます。
※ あくまでも目安としてお考えください。
①会話・電話対応につかえる丁寧レベル
下になればなるほど丁寧な敬語になります。また、おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。
- ご参考ください
- ご参考くださいませ
- ご参考いただけますか?
- ご参考いただけますでしょうか?
②ビジネスメール対上司・対社内につかえる丁寧レベル
おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。
- ご参考ください
- ご参考くださいませ
- ご参考いただけますか
- ご参考いただけますでしょうか
- ご参考をお願い致します
- ご参考いただきたく、お願い致します
- ご参考いただきたく存じます
- ご参考いただければと存じます
- ご参考のほどお願い申し上げます
- ご参考くださいますようお願い申し上げます
- ご参考いただきますようお願い申し上げます
- ご参考いただけますようお願い申し上げます
注)上下関係に厳しい上司や、社内でも相当のポジションにいる人にたいしては例文⑤以降あるいは次項のフレーズをつかいましょう。
・「存じる」は「思う」の謙譲語
・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+希望”~したい”
・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定”たら・れば”
・「いただけましたら」は謙譲語「いただく」+丁寧語”ます”+仮定”たら”
③ビジネスメール対取引先・対顧客につかえる丁寧レベル
おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。
- ご参考くださいませ
- ご参考をお願い致します
- ご参考いただきたく、お願い致します
- ご参考いただきたく存じます
- ご参考いただければと存じます
- ご参考いただきますようお願い申し上げます
- ご参考いただけますようお願い申し上げます
- ご参考くださいますようお願い申し上げます
- ご参考いただければ幸いです
- ご参考いただければ幸甚に存じます
- ご参考いただけましたら幸いです
- ご参考いただけますと幸いです
- ご参考いただけますと幸甚に存じます
- ご参考いただけましたら幸甚でございます
- ご参考いただけましたら幸甚に存じます
補)「お願い申し上げます=お願い致します」に言い換えOK
補)幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
なお「ご参考をいただけましたら幸いです」というように「を」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。
・「存じる」は「思う」の謙譲語
・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+希望”~したい”
・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定”たら・れば”
・「いただけましたら」は謙譲語「いただく」+丁寧語”ます”+仮定”たら”
④最上級の丁寧レベル
おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。
- ご参考賜りますようお願い申し上げます
- ご参考いただければ幸いです
- ご参考いただければ幸甚に存じます
- ご参考いただけましたら幸いです
- ご参考いただけましたら幸甚でございます
- ご参考いただけましたら幸甚に存じます
- ご参考賜りますと幸いです
- ご参考賜れますと幸いです
- ご参考賜りましたら幸いです
- ご参考賜れましたら幸いです
- ご参考賜りますと幸甚に存じます
- ご参考賜れますと幸甚に存じます
- ご参考賜りましたら幸甚に存じます
- ご参考賜れましたら幸甚に存じます
なお「ご参考を賜りましたら幸いです」というように「を」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。
・「お願い申し上げます=お願い致します」に言い換えOK
・幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
・賜る(たまわる)は公式なビジネス文書や手紙によくつかう
“ご参考いただく vs ご参考くださる”の使い方
ややこしいので「ご参考いただく vs ご参考くださる」の使い方について。
代表的なパターンを表にまとめておきます。
こまかく解説していくとそれだけで記事がおわってしまいますので、目的にあわせてお使いください。
“ご参考いただく”の使い方まとめ(すべて敬語)
①基本 | ②+丁寧語”ます” | ③その他 | |
---|---|---|---|
現 在 | ご参考いただく | ご参考いただきます | -頂くよう -頂きますよう |
過 去 | ご参考いただいた | ご参考いただきました | × |
進行形 | ご参考いただいている | ご参考いただいています | -頂いております |
過去~現在 | ご参考いただいていた | ご参考いただいていました | -頂いておりました |
希 望 依 頼 |
ご参考いただきたい ご参考いただきたく ご参考いただくよう |
ご参考いただきたいです ご参考いただきますよう ご参考いただけますよう |
-頂きたく思います -頂きたく存じます -頂ければと存じます |
可 能 | ご参考いただける | ご参考いただけます | -頂けるよう -頂けますよう |
仮 定 | ご参考いただければ | ご参考いただけましたら | × |
疑 問 | ご参考いただけるか? | ご参考いただけますか? | -頂けますでしょうか |
禁 止 | ご参考いただけない | ご参考いただけません | × |
命 令 | × | × | × |
※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります。
※ 「頂く」「いただく」は漢字でも平仮名でもOK
※「×」としたのは一般的につかわない
“ご参考くださる”の使い方まとめ(すべて敬語)
①基本 | ②+丁寧語”ます” | ③その他 | |
---|---|---|---|
現 在 | ご参考くださる | ご参考くださいます | -くださるよう -くださいますよう |
過 去 | ご参考くださった | ご参考くださいました | × |
進行形 | ご参考くださっている | ご参考くださっています | -くださっております |
過去~現在 | ご参考くださっていた | ご参考くださっていました | -くださっておりました |
希 望 |
ご参考くださるよう | ご参考くださいますよう | × |
可 能 | × | × | × |
仮 定 | × | × | × |
疑 問 | ご参考くださるか? | ご参考くださいますか? | × |
否 定 | ご参考くださらない | ご参考くださいません | × |
命 令 | ご参考ください | ご参考くださいませ | × |
※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります
※ 「下さる」「くださる」は漢字でも平仮名でもOK
※「×」としたのは一般的につかわない