【2019年版】建設業界(ゼネコン・電気工事・プラント建設など)の平均年収ランキング。
平均年収1000万円を超える3社と、年収の高い建設会社TOP100までをランキングしていきます。2018年3月期あるいは同等の有価証券報告書からくる、最新の平均年収ランキングです。
就職・転職のご参考にどうぞ。
※「ホールディングス=HD」と省略。
【2019年版】建設業界の平均年収ランキング
平均年収だけでなく業種、平均年齢、平均勤続年数、従業員数、売上高、当期純利益も掲載しておく。ちょっと見にくいけどご了承を…
1~50位
51~100位
まとめ
まずはザックリと全体のまとめ・総括をしておく。
1. ゼネコン大手が順当にランキング上位
建設業界(ゼネコン・電気工事・プラント建設など)の年収傾向をザックリまとめ。
ランキングを見てのとおり。
ゼネコン大手5社の鹿島建設(1102万円)、大林組(1046万円)、大成建設(987万円)、清水建設(967万円)はいずれも年収1000万円前後でランキング上位。
なおゼネコン大手5社に数えられる竹中工務店は非上場であるため年収データはないが、同等の年収となるだろう。
また年収ランキングNo.1はショーボンドHDの1341万円だったが、ちょっとした数字のトリックで年収が高く見えているに過ぎず、実際には大したことはない(詳しくは後述)。
つづいてゼネコン準大手の奥村組(967万円)および東急建設(944万円)も大手5社に引けを取らない高年収でトップ10入り。
あとは意外性のある会社として、通信インフラ工事最大手のコムシスHD(981万円)がNo.5にランクインした。
2. ミニ建設バブルの恩恵を受けて年収上昇傾向が鮮明
あとは建設業界に特筆すべき点として。
2020東京オリンピックにともなう再開発・建設ラッシュを受け、ゼネコン各社の業績は2017年〜2018年にかけて大幅に改善した。
ゼネコン各社のなかには5年前とくらべて利益が10倍増している企業もあり、まさにミニ建設バブルと言える。
そんなこんなで、最近の好業績を反映して年収上昇が著しい業界でもある(まったく上がっていない企業もあるが)。
ただしこれは一過性のものであり、業界が根本的に抱える競争過多の問題はいずれにせよついて回る。突如として湧いたミニバブルにより業界再編のチャンスを逸した状態であるため、将来的にはジリ貧になる会社もおおいだろう。
3. ブルーワーカーが少ないため平均値が高くなる
あとはひとつ注意点を。
工場を持っているメーカーと違い、ゼネコンはその本体に工場などの設備を持たないことが多い(研究所や試験設備は持っているが…)。
したがって工場で働くブルーワーカー(給料低い)の多いメーカーなどと違い、ゼネコンには大卒ホワイトカラー層(年収高い)の社員が過半を占める。
結果として平均年収は高くなりがち。メーカーと比べる際には注意が必要である。
建設業界TOP20の解説
建設業界では大手ゼネコンといくつかの建設会社が年収上位ランクにいる結果となったが、あまり詳しくない方もいるかと思うのでザックリと企業の補足とコメントをしておく。
※「ホールディングス=HD」と省略。
1位 1341万円 ショーボンドHD(52.0歳)
ショーボンド建設などを傘下におく持株会社。
自社サイトで「コンクリート構造物の総合メンテナンス企業」とうたっているとおり、橋の補修工事をコアとしつつも材料の開発製造なども手がけている総合メンテナンス会社である。
大手ゼネコンをおさえて建設業界No.1年収となったが、平均年齢が高いうえに、持株会社でたった8名の従業員の平均年収であるためまったく実態を反映していない。
実際の年収を知るには持株会社へ移行する前の2007年の平均年収を見ると良い。
40歳659万円(2007年/6月期)からの業績UPによるボーナスUPで40歳750万円がせいぜいだろう。
ということで公開年収を参考にするとランキングNo.1になるが、実際にはしょぼい年収しか期待できないのでご注意を。
- 2018年6月期 1341万円 (52.0歳)
- 2017年6月期 1085万円 (47.8歳)
- 2016年6月期 986万円 (47.8歳)
===== - 2007年6月期 659万円 (40.8歳/勤続13.7年/637名) *持株会社へ移行する前の数字
2位 1102万円 鹿島建設 (44.1歳)
ゼネコン大手5社の一角。
大林組・大成建設・清水建設・竹中工務店(非上場)などと共に「スーパーゼネコン」とも呼ばれる。
超高層ビル事業を得意とし、ゼネコン大手としての施工実績は数知れず。東京駅の八重洲口再開発や汐留地区、秋葉原地区などの開発事業や海外でのプロジェクトにも実績が豊富である。
2020東京オリンピックにともなう建設ラッシュで建設業界はここ3年くらい業績がいい(小バブル状態になっている)。そうなると必然的に年収も上がる。
年収は3年前にくらべてなんと200万円UPし、平均年収1000万円の大台をあっさり突破。
でも一時的なイベントに過ぎないので、あまり手放しに喜べないところではある。
- 2018年3月期 1102万円 (44.1歳)
- 2017年3月期 947万円 (43.9歳)
- 2016年3月期 892万円 (43.7歳)
3位 1046万円 大林組 (42.4歳)
ゼネコン大手5社の一角であり、鹿島建設・大成建設・清水建設・竹中工務店(非上場)などと共に「スーパーゼネコン」とも呼ばれる。
施工実績は国内外に多数あり。東京スカイツリー、明石海峡大橋、梅田阪急ビル、USS、丸ビルなどが有名。
鹿島建設のコメントと重複するが、ここ2〜3年はバブル期以来の建設ラッシュでありゼネコン各社の業績は大幅に改善した。
そのことが年収UP(ボーナスUP)につながっている。
- 2018年3月期 1046万円 (42.4歳)
- 2017年3月期 950万円 (42.3歳)
- 2016年3月期 915万円 (42.3歳)
4位 987万円 大成建設 (43.0歳)
ゼネコン大手5社の一角であり、スーパーゼネコンの1社。スーパーゼネコンでは唯一の非同族会社である。
市街地再開発事業に強みを持ち、近年は東南アジアや中東などを中心に海外市場を開拓。
おもな施工実績には、品川アクアスタジアム、横浜ベイブリッジ、横浜ランドマークタワーなどあり。
また最近では新国立競技場やリニア中央新幹線(山梨工区)を受注した。
年収はここ3年で70万円UP。直近の好業績を反映しているがほか大手ゼネコンと比べて伸びはさほど良くない(安定しているとも言う)。
- 2018年3月期 987万円 (43.0歳)
- 2017年3月期 950万円 (42.9歳)
- 2016年3月期 917万円 (42.8歳)
5位 981万円 コムシス HD (47.8歳)
日本コムシスを中心とした持株会社。電気通信工事などの通信インフラを手がけている。たとえば海底ケーブル、通信鉄塔建設、通信専用トンネル築造といった大規模工事から、NTT電話局内設備工事、一般住宅での電話線の引き込み等の小規模のものまで色々。
ニッチ企業ではあるが、通信インフラ工事分野においては業界No.1。財務内容も建設業界においては珍しく優良・堅実である。
NTTグループへの売上依存度が高いものの、NTTとの関係を維持している限りは将来安泰。ゼネコンなどと違い、景気に左右されないビジネスをメインに展開している。
年収は持株会社であるため参考値にしかならない。そして平均年齢を考えるとこの年収は決して高いとは言えない。
- 2018年3月期 981万円 (47.8歳)
- 2017年3月期 911万円 (48.8歳)
- 2016年3月期 902万円 (48.5歳)
6位 967万円 清水建設 (43.1歳)
ゼネコン大手5社(鹿島・大林組・大成・清水・竹中工務店)の一角であり、スーパーゼネコンの1社。
おもな施工実績には、東京大学安田講堂、横浜スタジアム、警視庁本部庁舎、ヒルトン東京ベイなど多数あり。
43歳・平均年収960万円はもちろん高いのだけど、それくらいならメーカー大手でも十分に到達する。
あえて激務なゼネコンに就職・転職するとしたら、それなりの覚悟を持つべき。
- 2018年3月期 967万円 (43.1歳)
- 2017年3月期 966万円 (43.3歳)
- 2016年3月期 906万円 (43.3歳)
7位 946万円 奥村組 (43.4歳)
関西地盤のゼネコン準大手。トンネル施工、免震等の技術に強み。土木・建築事業のほか不動産賃貸事業や新規事業の拡大を図っている。
おもな施工実績には天王寺MiO、青函トンネル、新幹線・高速道路のトンネル工事などあり。
年収はここ数年で130万円ほどUPし平均1000万円の大台に迫るところまできている。大手ゼネコン5社にも引けを取らない年収水準である。
が、年収UPは一過性の建設ミニバブルによる好業績からくる。ほか建設会社も同じだが、長期にわたって好業績を残し続けられるかには疑問が残る。
- 2018年3月期 946万円 (43.4歳)
- 2017年3月期 849万円 (43.7歳)
- 2016年3月期 811万円 (43.9歳)
8位 944万円 東急建設(45.8歳)
東急グループ(東急電鉄グループ)の建設会社。ゼネコン準大手。
住宅やビル・商業施設の建築のほか、土木事業も手がけている。また東急電鉄の鉄道関連工事やグループの地盤を生かし渋谷・南町田などで都市開発を行っている。
年収はメーカー大手に毛が生えた程度であり、彼らのやっている仕事を考えるともっと高く設定しても良いと思う。
- 2018年3月期 944万円 (45.8歳)
- 2017年3月期 896万円 (41.0歳)
- 2016年3月期 896万円 (41.1歳)
9位 928万円 明豊ファシリティワークス (42.0歳)
建設コンサル的な会社。
オフィス移転、公共施設や大規模施設の建設などでコストやスケジュール管理などのコンサルを手がけている。
売上高は60億円と中小規模ながら年収は高い。なおコンサル業界は会社の規模をとわず、年収の高い企業が多い。
- 2018年3月期 928万円 (42.0歳)
- 2017年3月期 896万円 (44.7歳)
- 2016年3月期 859万円 (43.8歳)
10位 905万円 朝日工業社 (44.8歳)
おもに空調設備や給排水・配管設備、クリーンルームなどの設備工事を手がけている会社。空調・衛生工事関連では中堅。
年収は業績回復も手伝ってここ3年で120万円UP。
売上1000億円にも満たない会社であることを考えると、年収高い。
- 2018年3月期 905万円 (44.8歳)
- 2017年3月期 855万円 (44.7歳)
- 2016年3月期 786万円 (44.4歳)
11位 905万円 長谷工コーポレーション(41.2歳)
おもに分譲マンションを手がける建設会社。ゼネコン準大手の部類にはいり、マンション開発においては業界No.1。
自社で企画・提案から施工まで行うワンストップサービスが強みとなっている。
12位 904万円 NIPPO (44.6歳)
高速道路などの道路舗装工事の国内最大手。石油元売メーカー国内No.1のJXTGホールディングスの子会社。
なお道路舗装だけでなく建築事業、舗装材料の製造販売事業も展開している。
年収について特に語るべき点はなく、大企業らしくそれなりの水準にある。
13位 900万円 ダイダン (42.5歳)
空調設備工事を中心に、衛生工事、電気工事などを手がける電気工事会社。オフィス、医療施設、各種工場などをおもな営業ターゲットにしている。
売上1400億円程度と、お世辞にも大手とは言い難いが年収はそれなり。
14位 894万円 大気社 (43.8歳)
電気等の設備工事会社。ビルや産業用空調設備の施工事業者。
空調、塗装、衛生設備の設計・監理・施工などを行っている。また自動車むけの塗装設備の施工も展開しており、同分野では国内No.1、世界No.2である。
建設業界にはめずらしく、海外売上比率が約半分と高い。
15位 894万円 日揮 (43.7歳)
世界トップクラスのプラントエンジニアリング会社。
石油や天然ガス、石化プラントの施工をおもに手がけている。海外売上高比率は8割程度。とくにLNGプラントでは、これまでに世界の生産量の30%以上を占めるプラントを設計・建設してきた。
なお日揮はライバルの東洋エンジニアリング、千代田化工建設と共に「エンジニアリング御三家」と呼ばれたが2019年現在、純利益および受注残高において日揮が大きく他2社を引き離している。
年収もまぁ悪くない水準にある。メーカーと同等。
16位 893万円 大和ハウス工業 (38.7歳)
住宅メーカー国内最大手。戸建住宅をコア事業に、賃貸住宅、分譲マンション、商業施設、一般建築などあらゆる分野に展開している。
なお住宅メーカーの営業は就職にはオススメできない。住宅メーカー営業はいつの時代も不人気職種であり常に求人であふれている。すなわちいつでも転職できるので、新卒ではいる意味など無い。
17位 881万円 前田建設工業 (43.7歳)
ゼネコン準大手。おもな施工実績には福岡ドーム、シティタワー広島、関門橋などがある。年収はとくに可もなく不可もなくといった感じ。
18位 872万円 鉄建建設 (43.6歳)
鉄道建設に強みをもつ中堅ゼネコン。JR東日本が筆頭株主となっており、同社との結びつきが強く受注割合も高い。
19位 871万円 大東建託 (41.2歳)
住宅メーカー(おもに賃貸アパート・マンション)。
賃貸住宅の管理戸数では業界No.1、供給ベースでも業界No.2の大手である。
賃貸情報Webサイト「いい部屋ネット」で知られ、同サイトにおいて自社物件の「DK SELECT」ブランドなどを掲載している。
20位 867万円 福田組 (45.0歳)
新潟を地盤とし全国展開している中堅ゼネコン。
新潟県に地盤を持っていた政治家、(故)田中角栄とのパイプを活かして急成長した企業である。
中堅ゼネコンでは珍しく、自社技術で超高層ビルを建築することができる。東日本地区のイオンモールに施工実績をおおく持つほか、首都高速や新東名高速の一部区間においても受注実績あり。
新潟県に本社を置く企業としては、おそらくNo.1の平均年収と思われる。