【2019年版】インフラ業界(電気ガス企業)の平均年収ランキング。
インフラ業界は2019年時点で上場企業数が24社と限られるため、すべての企業についてランキングしていきます。2018年3月期あるいは同等の有価証券報告書からくる、最新の平均年収ランキングです。
就職・転職のご参考にどうぞ。
※「ホールディングス=HD」と省略。
【2019年版】インフラ業界の平均年収ランキング
平均年収だけでなく業種、平均年齢、平均勤続年数、従業員数、売上高、当期純利益も掲載しておく。ちょっと見にくいけどご了承を…
まとめ
まずはザックリと全体のまとめ・総括をしておく。
1. 電力 >> ガス会社の構図は鮮明
インフラ業界(電気ガスなど)の年収傾向をザックリまとめ。
ランキングを見てのとおり。
上位はほぼ電力会社で占められ、ガス会社の平均年収は低い。
あとは再生エネ関連の新電力、レノバ(948万円)、イーレックス(802万円)が2トップとなったがいずれも平均1000万円は超えなかった。またこれらの企業は平均勤続年数が4年弱と短く、長く勤めるには向かない。
電力会社のぬるま湯をイメージして入社すると、後々とんでもない事になるかもしれないのでご注意を。
2. 電力会社の年収は回復傾向
インフラ業界の年収のなかで特筆すべき変化として、電力会社とくに大手10社の年収が回復傾向にあることだろう。
2011年の福島原発事故からくる原発停止により、業績低迷した企業もおおくボーナス支給ゼロあるいは大幅減という悲惨な状況に陥っていた。
でも2018年でついにボーナスゼロの電力会社は東京電力だけとなった。他大手はボーナス平均100~150万円(年間)が支給された。*電力総連データより
その意味で大手電力10社のなかでもっとも年収の低いのは東京電力ということになるハズ。なのだけど…東電は大手10社中、平均年収No.1となっている。理由は長くなるので東電の個別企業コメントに記載した。
総じて。
リストラなどは(公には)実施しておらず、基本給も変わりようがないためボーナス要因によって2011年~2018年の間に大きく年収回復した企業がおおい。
インフラ企業の個別解説
インフラ業界では電力大手10社と再生可能エネルギー会社が年収上位ランクにいる結果となったが、あまり詳しくない方もいるかと思うのザックリと企業の補足とコメントをしておく。
※「ホールディングス=HD」と省略。
1位 948万円 レノバ (41.5歳)
メガソーラー、バイオマス、風力、地熱等の再生可能エネルギーによって発電をおこなう再生エネ電力会社。2000年設立、2017年に上場したばかりの新しい会社であり、電力会社としては小規模。
たしかに年収は高いがベンチャー企業的な位置づけであり、平均勤続年数4年弱とみじかい。ブラック企業臭するけど大丈夫か!?
- 2018年5月期 948万円 (41.5歳)
- 2017年5月期 942万円 (41.0歳)
2位 802万円 イーレックス (41.6歳)
独立系の特定規模電気事業者。新電力のひとつ。2000年の電力自由化で各施設に電力の小売販売を手がけている。電力は工場が所有している発電設備の余剰分、すなわち余剰電力をメインに調達。代理店を活用した電力小売事業を展開。
ベースロード電源に連結子会社のバイオマス発電をもつがいかんせん脆弱であり、今後の課題となっている。
たしかに年収は高いがベンチャー企業的な位置づけであり、平均勤続年数4年弱とみじかい。レノバとおなじくブラック企業臭するけど大丈夫か!?
3位 802万円 東京電力 HD (44.9歳)
もとは東京電力。2016年4月から、家庭用電力の小売り全面自由化に対応するため東京電力からホールディングス会社へ移行して社名変更した。営業地域は首都圏1都7県および静岡県の富士川以東をメインとする。
2011年福島原発事故の復旧および損害賠償のために、日本国政府による公的資金が注入され原子力損害賠償・廃炉等支援機構(実質は日本国政府)が大株主となった。結果としてなかば国営化されたような状態である。
年収は公務員に毛がはえた程度である。でも仕事量を考えると高年収ともいえる(原発関連を除く)。
そして、大手電力会社10社のなかでは一番年収が高いように見えるが、決してそんなことはない。なぜならボーナスがほとんどゼロの状態がつづいているから。
持株会社へ移行したことで給料の低い実務部隊が分社化され、平均年収があがったものと推測。
したがって平均値としてくらべるなら、持株会社移行前の709万円(2015年3月期)とみるのが正しいだろう。そうすると大手電力会社のなかでは北陸電力(667万円)、北海道電力(700万円)につぐワースト3の低年収となる。
みぞうの大事故を引き起こしたのだから仕方ない…
- 2018年3月期 802万円 (44.9歳)
- 2017年3月期 822万円 (44.7歳)
—— - 2015年3月期 709万円 (42.6歳/勤続22.7年/従業員32,831人)*持株会社への移行前
4位 778万円 中国電力 (43.8歳)
中国地方5県(広島・岡山・山口・島根・鳥取)を中心とした周辺地域を営業区域とする電力会社。本社を広島県広島市におく。電力大手10社のひとつであり、電力会社としては国内6位の規模である。
中国電力は山口県営の電力事業などをもとに発足した経緯から、山口県が大株主となっている(保有比率9.16%)。発電タイプ別には「火力>>>水力>原子力>>>新エネルギー」となっており、火力発電が過半を占める。
売上規模は電力業界No.6だが、平均年収では大手10社中No.2。それでもあまり多くは期待できない。大卒総合職であれば40代中盤で1000万円が見えるくらいであり、大手メーカーと似たようなもの。
原発事故の影響をあまり受けずに業績も安定しているため、年収もとくに変化なし。
- 2018年3月期 778万円 (43.8歳) *うち賞与3.58ヶ月分/年
- 2017年3月期 777万円 (43.6歳)
- 2016年3月期 764万円 (43.1歳)
5位 768万円 メタウォーター (42.9歳)
2008年にNGK水環境システムズ(日本ガイシの子会社)と富士電機水環境システムズ(富士電機の子会社)が合併する形で発足された合弁企業。この合併により水処理専業で国内最大手となった。いちおうインフラ関係ということでランキングに入れておいた。年収は公務員に毛が生えた程度である。
- 2018年3月期 768万円 (42.9歳)
- 2017年3月期 762万円 (42.6歳)
- 2016年3月期 789万円 (42.3歳)
6位 766万円 四国電力 (43.9歳)
四国地方4県(香川県、徳島県、高知県、愛媛県)のほぼ全域を営業区域とする電力会社。本店は香川県高松市に置いている。同社における発電キャパは「火力>>原子力>水力>>>>新エネルギー」の順。電力大手10社の中ではNo.7の売上規模。
ここ数年、年収が伸びているのはボーナス(賞与)が伸びているため。
- 2018年3月期 766万円 (43.9歳) *うち賞与153万円
- 2017年3月期 743万円 (43.7歳)
- 2016年3月期 698万円 (43.4歳) *うち賞与59万円
7位 766万円 中部電力 (42.6歳)
中部地方(愛知・長野・岐阜・三重・静岡の富士川以西)を主な営業地域とする電力会社。名古屋の有力企業「四摂家(東邦ガス・名鉄・松坂屋・中部電力)」の1社だった。
電力大手10社のひとつであり、東京電力・関西電力に次いで国内3位の規模である。
トヨタを筆頭とする自動車産業の一大生産地であり、さらに域内に多くの人口をかかえる名古屋市があることから売上規模がおおきくなっている。発電タイプ別には「火力>>>水力>原子力>>>>新エネルギー」となっており、火力発電が過半を占める。
仕事量を考えると年収は高い、コスパ良し(他の大手電力にも当てはまる)。給料では公務員よりは全然マシだけど、メーカー大手に多少おとる。
原発稼動停止の影響はさほど受けず、年収は安定している。
- 2018年3月期 766万円 (42.6歳)*うち賞与151万円/年
- 2017年3月期 765万円 (42.3歳)
- 2016年3月期 719万円 (42.1歳)*うち賞与141万円/年
8位 762万円 九州電力 (43.0歳)
九州地方7県(福岡県、長崎県、大分県、佐賀県、宮崎県、熊本県、鹿児島県)に展開する電力会社。九電本体では広島県の一部に電力を供給しているほか、海外事業も展開している。また子会社の「九電みらいエナジー」は九州以外に、関東地方での電力販売や、福島県や山口県などでの再生可能エネルギー発電プロジェクトを展開している。
電力大手10社のひとつであり、電力会社としては国内5位の規模である。
発電タイプ別には「火力>>>原子力>>水力>>>>新エネルギー」となっており、火力発電が過半を占める。また関連会社において九州地域に多数のメガソーラーを保有するなど、太陽光発電にも力を入れている。
年収について特筆すべき点は無い。年収だけで語ると公務員よりは全然マシだけど、メーカー大手に多少おとる。なぜ2016年3月期の年収がこんなに低いのか、よくわからない。
- 2018年3月期 762万円 (43.0歳)*うち賞与3.79ヶ月/年
- 2017年3月期 757万円 (42.6歳)
- 2016年3月期 597万円 (42.2歳)*うち賞与3.5ヶ月/年
9位 760万円 電源開発 (41.0歳)
愛称:J-Power(ジェイパワー)。北海道から沖縄まで、どこの地域にも属さず各地に発電所をもつ電力会社。発電キャパは1,800万Kwあり、電力会社No.6の発電量を誇る。
歴史的には戦後の電力不足を解消するために国によって設立された会社であり、2004年に東証一部上場して完全民営化を果たした。
なお、つくった電気は末端消費者や企業ユーザーには販売せず、電力会社・新電力会社に販売している(卸売り)。そのため消費者にはなじみの無い企業である。
- 2018年3月期 760万円 (41.0歳)
- 2017年3月期 752万円 (41.2歳)
- 2016年3月期 747万円 (41.1歳)
10位 757万円 関西電力 (43.0歳)
近畿地方2府4県(京都府、大阪府、滋賀県、兵庫県、奈良県、和歌山県)および福井県(三方郡美浜町以西)、三重県(熊野市以南)、さらには岐阜県の一部を営業区域とする電力会社。
戦前まで近畿地方を拠点に全国展開していた旧・大同電力、旧・宇治川電気、旧・日本電力、旧・東邦電力の資産を継承しているため畿地方以外の発電所などの設備を多く持つ。
発電タイプ別には「火力>>>原子力≒水力>>>>新エネルギー」となっている。一時は原子力発電による比率が約55%(設備別比重)と過半をしめていた。しかし2011年の福島原発事故をうけて停止・廃炉決定した原発が複数あり、現在では火力発電が過半をしめる。
また本来の電力供給エリア外である富山県の黒部川流域などに、最大出力30万kW超の大型の水力発電所も所有する。
ここ3年でもっとも年収改善した電力会社。原発停止による業績悪化によって2012年~2016年まで賞与ゼロ状態だったのが解除。ようやく通常時にもどった感じ。
- 2018年3月期 757万円 (43.0歳)*うち賞与162万円/年
- 2017年3月期 681万円 (42.7歳)
- 2016年3月期 604万円 (42.3歳)*賞与ゼロ
11位 753万円 沖縄電力 (39.4歳)
供給地域は沖縄県内のみであり、日本の電力会社の中で最小。なぜ九州電力の一部ではなく独立しているのか不明なほど。ただし沖縄県においては大手企業の一つであり、優良就職先。なお沖縄電力の発電設備のほとんどは火力であり、日本で唯一、原子力発電所を持たない電力会社である。電力大手10社の一角。
全国的な原発稼動停止の影響を一切受けず、年収は良くも悪くも安定している。
12位 745万円 東北電力 (42.8歳)
東北地方6県(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)および新潟県を営業区域とする電力会社。本社は宮城県仙台市。
電力大手10社のひとつであり、東京電力・関西電力・中部電力に次いで国内4位の規模である。
なお東北電力と東京電力は、互いに多くの電力融通を行っている。これは東北電力管内では冬の電力需要が多く、夏の電力需要に対しては若干の供給の余裕があるという事情がある。夏季は多くの電力を東京電力に融通し、多額の売電収入を得ている。また東北電力と東京電力がともに50Hzであるため互いに融通しやすい側面もある(東京電力に隣接する中部電力は60Hz)。
さらに東北電力では子会社である東北天然ガスが、新潟市〜仙台市間 (260km) のパイプラインを保有しており、都市ガス事業も手がけている。新潟東港にはLNGを取り扱う事が出来る施設があり、仙台港にLNG施設を新設するよりも安上がりであるという事情が背景にある。仙台市と隣接地域で都市ガス事業を行っている仙台市ガス局は、このパイプラインを通じて供給を受けている。
発電タイプ別には「火力>>>水力>>原子力>>>>新エネルギー」となっており、火力発電が過半を占める。また東京電力の原子力発電所はすべて東北電力の管轄内にある。
13位 700万円 北海道電力 (41.3歳)
北海道の全域を営業区域とする電力会社。同社における発電キャパは「火力>>原子力>水力>>>>新エネルギー」の順。電力大手10社の中ではNo.6の売上規模。
14位 695万円 静岡ガス (42.0歳)
静岡県中東部(静岡市、富士市、沼津市、三島市など)を営業エリアとするガス会社。また近隣の一般ガス事業者などに卸売りを行っており、山梨県や長野県など静岡県外へも同社のガスが送出されている。都市ガスの販売量は、東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガスに次ぐ全国5位。
年収ランキングはガス会社のなかでトップ。それでも電力会社にみおとりし平均700万円をきるのだから、公務員のほうがまだマシかもしれない。
15位 667万円 北陸電力 (42.0歳)
主に北陸3県(詳細は営業地域を参照)を営業地域とする電力会社。同社における発電キャパは「火力>>水力≒原子力>>>>新エネルギー」の順。平均年収667万円。報道などで用いられる電力大手10社の一角。
16位 658万円 大阪ガス (43.5歳)
近畿地方を中心としたガス会社。都市ガス大手4社(東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガス)の一つであり、ガス会社No.2の売上規模。
戦前は野村財閥の中核企業のひとつであり、大和銀行(現・りそな銀行)と親密である。現在も本社ビル(大阪瓦斯ビルヂング、通称ガスビル)の1階には、主力銀行でもあるりそな銀行の御堂筋支店がある。また同社は旧大和銀行系列の企業集団に当たる大輪会にも加盟している。
なお2018年3月より「大阪ガス」は新しいブランドとして「Daigasグループ」となった。新グループブランドは、大阪ガス・中核会社であるオージス総研、大阪ガスケミカル、大阪ガス都市開発をはじめとし、全てのグループ会社に適用される。
17位 636万円 東京ガス (43.6歳)
関東地方1都6県の主要都市を営業区域とする都市ガス会社。総延長約6万kmのガス導管を持ち、都市ガス会社として世界最大。言うまでもなく日本国内最大手である。
ほかのガス会社とおなじく2016年の電力自由化が契機となり、ガスだけでなく電力もセット販売することで事業拡大をこころみている。ガス・電気をセット契約することで割引を受けられる料金プランなどを打ち出している。
なお東京ガスは2020年代に発電量を2017年10月現在の3倍、原子力発電所5基分に相当する500万kWに増強すると発表しており、ビジネス拡大に余念がない。
18位 599万円 西部ガス (44.0歳)
福岡市に本社を置く都市ガス会社。北部九州をメインの営業エリアとするガス会社である。東京ガス、大阪ガス、東邦ガスにつぐ大手都市ガス4社の一角。
19位 594万円 京葉ガス (43.0歳)
千葉県内で世帯数が多い北西部を主な供給区域とするガス事業者。ガス料金のメニュー多様化や低廉化、ガスと電気のマルチエネルギー供給などを通してサービス価値向上を目指す。
20位 591万円 東邦ガス(42.6歳)
名古屋市に本社を置く、東海3県(愛知・岐阜・三重)をエリアとするガス会社。東京ガス、大阪ガス、西部ガスと共に都市ガス大手4社の一つに数えられる。また名古屋経済界の有力企業「五摂家(東海銀行、松坂屋、名鉄、中部電力、東邦ガス)」の一社に挙げられる。
電力会社2018年ボーナス(賞与)一覧
電力会社は、地域ごとの物価がちがうので都会に位置するほど基本給がたかくなる。
でも結局のところ給与体系はどの電力会社もあまり変わらず、ボーナスによってほとんど年収が決まる(もちろん地域による物価補正はある)。そこで電力会社のボーナスも紹介しておく。
「ボーナス高い≒高年収」と考えて良いだろう。ただしボーナスは会社の状況によって変わるので将来にわたっての保証は無いけど…。
【電力会社の年間賞与一覧2018年】
- 北海道電力 3.58ヵ月
- 東北電力 1,433,000円
- 東京電力 一時金90,000円のみ
- 中部電力 1,513,000円
- 北陸電力 1,094,000円
- 関西電力 1,628,000円
- 中国電力 3.58ヵ月
- 四国電力 1,536,000円
- 九州電力 3.79ヵ月
- 沖縄電力 1,485,000円
- 日本原電 ゼロ
- 電源開発 非公開
- 日本原燃 1,109,000円
※なお福島原発事故前までは年間賞与170万円前後の企業がほとんどであった。それを考えるとピーク時の年収にはまだ回復していない。
※出所:電力総連