「ご高覧のほど」意味・使い方のすべて「お願い申し上げます」他

高覧（読み：こうらん）の意味は…

「相手を敬って、その人が見ることをいう語。」

ご高覧の程〜の意味は「見てもらうよう〜」あるいは「見てくれるよう〜」

「ご高覧」にかぎらず敬語「お（ご）」には①尊敬語もしくは②謙譲語の２パターンあり。

たとえば、

1. 上司/目上などの相手が「ご高覧くださる」「ご高覧だ」→①尊敬語“お（ご）”
2. 「自分がご高覧する」「相手にご高覧いただく」→②謙譲語“お（ご）”

というようになります。

ここではどちらの使い方かイマイチはっきりしないですが、とにかくいずれも正しい敬語であるためあまり深く考える必要はありません。

ここで「ご高覧の程」の「のほど」は断定をさけて表現をやわらげるのに用いる語。

意味としては「〜してもらうよう」「〜してくれるよう」のどちらかに考えることができます。

• 【例文】ご高覧の程よろしくお願い致します
• 【例文】ご高覧のほど何卒よろしくお願い致します
• 【例文】ご高覧の程お願い申し上げます
• 【例文】ご高覧のほど何卒よろしくお願い申し上げます

• 【例文】ご高覧賜りますようお願い申し上げます
• 【例文】ご高覧を賜りますようお願い申し上げます
• 【例文】ご高覧を賜れますと幸いです
• 【例文】ご高覧を賜れますと幸甚に存じます

※ 幸甚（こうじん）の意味は「とても嬉しいこと、とても幸せであること」

ビジネスメール例文

こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。

ここでは「ご高覧の程」の使い方をビジネスメール例文とともにご紹介。どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。

ビジネスメール例文①リニューアルしたので見てほしい（社内）

メール件名：社長室リニューアルのお知らせ

総務部　xx部長　（社内上司・目上など）

お疲れ様です。
業務部・ノマドです。

さて標記の件、ご依頼いただいておりました社長室のリニューアルが完了いたしましたことをご報告申し上げます。

つきまして一度ご高覧いただき、
お気付きの点等ございましたらお申し付けくださいませ。

大変お手数ではございますが、どうぞ宜しくお願い致します。

**************
メール署名
**************

ビジネスメール例文②資料を見てほしい（社内）

メール件名：会議資料送付の件

営業部　各位　（社内上司・目上など）

お疲れ様です。

さて標記の件、10月度の販売会議資料を添付ファイルにて送付いたします。

大変お手数ではございますがご高覧の上、
資料に不備等がありましたらお申し付けください。

ご査収のほど宜しくお願い致します。

**************
メール署名
**************

※「お目通し＝目を通すこと」「ご一読＝ひと通り読むこと」に言い換えても丁寧

ビジネスメール例文③資料を見てほしい（社外）

メール件名：マーケット調査に関するご報告

株式会社ビジネス
営業部　ｘｘ部長　（社外取引先）

平素はお世話になっております。
（株）転職・ノマドです。

このたびはマーケット調査をご依頼いただき誠にありがとうございます。

さて、その後の進捗状況を添付ファイルにてご報告申し上げます。

大変お手数ではございますが、
お手すきの際にご高覧のほどお願い致します。

以上

ご不明な点等ございましたら何なりとお申し付けください。

ご査収の程よろしくお願い申し上げます。

**************
メール署名
**************

※「お目通し＝目を通すこと」「ご一読＝ひと通り読むこと」に言い換えても丁寧

転職メール例文④履歴書を添付する（突然Ver）

メール件名: 履歴書送付の件（転職のまど）

転職株式会社
人事部　転職　様

突然のご連絡、大変失礼いたします。
転職ノマドと申します。貴社の求人広告を拝見し連絡いたしました。

このたび、貴社求人にてご記載の営業職に応募いたしたく、
添付にて履歴書を送付いたします。

お忙しいところ大変恐れ入りますが、
ご高覧いただければ幸いです。

宜しくお願い申し上げます。

************************************
転職のまど
〒xxx-xxxx
●●県●●市●●Δ-Δ-Δ
電話：00-0000-0000
携帯：090-0000-0000
E-mail：nomad@gmail.com
************************************

※「お目通し＝目を通すこと」「ご一読＝ひと通り読むこと」に言い換えても丁寧

• 【転職】履歴書をメールに添付して送るときの例文・書き方
• 【転職】応募書類をメールに添付して送るときの書き方・例文

ご高覧の程・くださいますよう・いただきますよう・賜りますよう・ご高覧いただければ幸いです の違い

ところで「ご高覧」の使い方というか続くフレーズには、

「ご高覧くださいますようお願い致します」

「ご高覧のほどお願い致します」

「ご高覧いただきますようお願い致します」

「ご高覧賜りますようお願い致します」

「ご高覧いただければ幸いです」

というように主に５つあります。これって何が違うのでしょうか？

となり「ご高覧くださる」なのか「ご高覧いただく」なのか「ご高覧の程」なのか「ご高覧いただければ〜」なのかでニュアンスが違います。

どれを使っても丁寧ではありますが使い分けについても考えてみます。

もっとも丁寧なのは”ご高覧いただければ幸いです”

いろいろと考えてはみましたがこれまで示した例文はどれも丁寧であり、使い分けする必要性はありません。

強いて言うのであれば「ご高覧いただければ幸いです」がもっとも丁寧なお願い・依頼のフレーズ。

ほかにも似たような敬語フレーズには、

などもあり。どれをつかっても丁寧な敬語です。

なお「ご高覧をいただけましたら幸いです」というように「を」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。

・「存じる」は「思う」の謙譲語
・「いただきたく」は謙譲語「いただく」＋希望「～したい」
・「いただければ」は謙譲語「いただく」＋可能形＋仮定「たら・れば」
・「いただけましたら」は謙譲語「いただく」＋丁寧語「ます」＋仮定「たら・れば」

かしこまった文章には「ご高覧賜りますよう~」

かしこまった文章、カチッとしたビジネスメールに好まれる敬語は「賜る」をつかったフレーズですね。

「いただく」も同じく「もらう」の謙譲語ではありますが、「賜る」のほうが堅苦しい表現になります。

• 例文「ご高覧賜りますようお願い申し上げます」
• 例文「ご高覧賜りますようお願い致します」

のようにしてビジネスメールの結びに使うと丁寧ですね。

ビジネスメールによく使うのは「ご高覧の程」

「ご高覧いただければ幸いです」「ご高覧賜りますよう~」が丁寧なフレーズではありますが…

ビジネスメールでもっともよく使われるのは「ご高覧の程お願い申し上げます」「ご高覧の程お願い致します」です。

ビジネスメールではとかく「いただく」「くださる」ばかりになってしまい、文章が気持ち悪くなってしまうのですよね。

そこで活躍するのが「ご高覧のほど～」です。

シンプルかつ丁寧なフレーズであり、すばらしい敬語ですね。

親しい取引先や上司・社内の目上などに対する普段のビジネスメールで、無駄にかしこまった敬語フレーズを使う必要はありません。

“いただく vs くださる”はどちらも丁寧

せっかくですので「ご高覧いただきますようお願い」「ご高覧くださいますようお願い」の違いを考えてみます。

たとえば結び・締めに使う「お願い」するときのシーンを考えましょう

すると…

「ご容赦くださいますようお願い申し上げます」
「ご容赦いただきますようお願い申し上げます」
「ご了承くださいますようお願い申し上げます」
「ご了承いただきますようお願い申し上げます」
「ご検討くださいますようお願い申し上げます」
「ご検討いただきますようお願い申し上げます」

こんな敬語フレーズをよく使います。

実はこれらは「くださる」を使うのが一般的です…
「いただく」としても丁寧ではありますが…

ところが、たとえば何かをもらった時のお礼のシーンを考えます。

「たいそうなお品をくださりありがとうございました」
「たいそうなお品をいただきありがとうございました」

もうひとつ、

「いつもご利用くださりありがとうございます」
「いつもご利用いただきありがとうございます」

上記の例文はどれも敬語としては正しい使い方。
ただ圧倒的に「いただき〜」とするほうが多いですね。

で結論としては使う語によって「くださる」がよいのか「いただく」がよいのか、相性がありなんとも言えません。

結び・締めに使うフレーズとしては「くださいますよう」のほうが一般的で、お礼に使うフレーズとしては「いただきありがとう」を使うのが一般的です。

【まとめ】結局どれがもっとも丁寧？

あまりにも言い換え敬語フレーズがおおいので、どれを使うべきか迷ってしまうというあなたのために。

ここまで紹介した言い換え例文の丁寧レベルを整理しておきます。

※ あくまでも目安としてお考えください。

①会話・電話対応につかえる丁寧レベル

下になればなるほど丁寧な敬語になります。また、おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。

1. ご高覧ください
2. ご高覧くださいませ
3. ご高覧いただけますか？
4. ご高覧いただけますでしょうか？

②ビジネスメール対上司・対社内につかえる丁寧レベル

おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。

1. ご高覧ください
2. ご高覧くださいませ
3. ご高覧をお願い致します
4. ご高覧いただけますか
5. ご高覧いただけますでしょうか
6. ご高覧いただきたく、お願い致します
7. ご高覧いただきたく存じます
8. ご高覧いただければと存じます
9. ご高覧のほどお願い申し上げます
10. ご高覧くださいますようお願い申し上げます
11. ご高覧いただきますようお願い申し上げます
12. ご高覧いただけますようお願い申し上げます

注）上下関係に厳しい上司や、社内でも相当のポジションにいる人にたいしては例文⑤以降あるいは次項のフレーズをつかいましょう。

補）「お願い申し上げます＝お願い致します」に言い換えOK

③ビジネスメール対取引先・対顧客につかえる丁寧レベル

おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。

1. ご高覧くださいませ
2. ご高覧をお願い致します
3. ご高覧いただけますか
4. ご高覧いただけますでしょうか
5. ご高覧いただきたく、お願い致します
6. ご高覧いただきたく存じます
7. ご高覧いただければと存じます
8. ご高覧のほどお願い申し上げます
9. ご高覧いただきますようお願い申し上げます
10. ご高覧いただけますようお願い申し上げます
11. ご高覧くださいますようお願い申し上げます
12. ご高覧いただけますと幸いです
13. ご高覧いただければ幸いです
14. ご高覧いただけましたら幸いです
15. ご高覧いただけますと幸甚に存じます
16. ご高覧いただければ幸甚に存じます
17. ご高覧いただけましたら幸甚でございます
18. ご高覧いただけましたら幸甚に存じます

④最上級の丁寧レベル

おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。

1. ご高覧賜りますようお願い申し上げます
2. ご高覧いただけますと幸いです
3. ご高覧いただければ幸いです
4. ご高覧いただけましたら幸いです
5. ご高覧いただけますと幸甚に存じます
6. ご高覧いただければ幸甚に存じます
7. ご高覧いただけましたら幸甚でございます
8. ご高覧いただけましたら幸甚に存じます
9. ご高覧賜りますと幸いです
10. ご高覧賜れますと幸いです
11. ご高覧賜りましたら幸いです
12. ご高覧賜れましたら幸いです
13. ご高覧賜りますと幸甚に存じます
14. ご高覧賜れますと幸甚に存じます
15. ご高覧賜りましたら幸甚に存じます
16. ご高覧賜れましたら幸甚に存じます

なお「ご高覧をいただけましたら幸いです」というように「を」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。

+ビジネスメール結び・締めによく使うフレーズ

これまで紹介した例文のなかには、とくにビジネスメール結び・締め・文末によくつかうフレーズもあります。

念のためまとめておきますね。

1. ご高覧のほどお願い申し上げます
2. ご高覧いただきますようお願い申し上げます
3. ご高覧いただけますようお願い申し上げます
4. ご高覧くださいますようお願い申し上げます
5. ご高覧賜りますようお願い申し上げます

“ご高覧いただく vs ご高覧くださる”の使い方

ややこしいので「ご高覧いただく vs ご高覧くださる」の使い方について。

代表的なパターンを表にまとめておきます。

こまかく解説していくとそれだけで記事がおわってしまいますので、目的にあわせてお使いください。

“ご高覧いただく”の使い方まとめ（すべて敬語）

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります。

※ 「頂く」「いただく」は漢字でも平仮名でもOK

※「×」としたのは一般的につかわない

“ご高覧くださる”の使い方まとめ（すべて敬語）

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります

※ 「下さる」「くださる」は漢字でも平仮名でもOK

※「×」としたのは一般的につかわない