「ご報告いただきたく存じます」意味と使い方・ビジネスメール例文

「ご報告いただきたく存じます」の意味、ビジネスシーン（メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職）にふさわしい使い方、注意点について。

ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。

※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ

意味と敬語

「ご報告いただきたく存じます」は「報告してもらいたいと思います」という意味。

なぜこのような意味になるのか？

そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。

“ご報告いただきたく”の意味は「報告してもらいたい」

まずは前半部分。

“ご報告いただきたく〜”の意味は、

「報告してもらいたい〜」
「報告してもらいたく〜」

のように解釈できます。

ご報告のもとになる単語は”報告”であり、”〜してもらう”の謙譲語「お（ご）～いただく」をつかって敬語にしています。

“いただきたく”の部分は謙譲語”いただく”に意思・希望「〜したい」をつかっています。

ちなみに”ご報告”の「お（ご）」の部分は向かう先を立てるために使う敬語であり謙譲語の「お（ご）」です。

余談ですが尊敬語にも「お（ご）」の使い方があり混同しがち。

難しく感じるかたは「お（ご）●●いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。

“存じます”の意味は「思います」

つづいて後半部分。

“存じます”の意味は「思います」

“思う”の敬語（謙譲語）「存じる」に丁寧語”ます”をつかって敬語にしています。

あわせると意味は「報告してもらいたいと思います」

ご報告＝報告すること
ご・お～いただきたく＝「〜してもらいたい」の意味の敬語（謙譲語）
存じます = 「思います」の意味の敬語（謙譲語）

これらの単語を合体させて意味を考えます。

すると「ご報告いただきたく存じます」の意味は…

「報告してもらいたいと思います」

であり、とてもやわらか～いお願いの敬語フレーズになります。

「報告してください！」とストレートに言うのではなく遠回しに自分の意思や気持ちをつたえる、とても丁寧なフレーズですね。

ニュアンスとしては「報告してもらいたいと思うのだけど…」みたいなイメージ。

あまりに堅苦しくて大げさかもしれませんが、とにかく目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズになります。

敬語の解説

ややこしいので、これまでの敬語の解説をまとめておきます。

「ご報告いただきたく存じます」を敬語としてみていくと以下のとおりに成り立ちます。

もとになる単語「報告」
“〜してもらう”の謙譲語”お（ご）〜いただく”で「ご報告いただく」
意思・希望”〜したい”で「ご報告いただきたい」
“思う”の謙譲語「存じる」に丁寧語”ます”をくっつけて「存じます」

→ すべてあわせると「ご報告いただきたく存じます」という敬語の完成

このようにして元になる語「報告」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。

相手に強制しない、とてもやわらか～いお願いの敬語フレーズになります。

なお「ご報告していただきたく存じます」は間違い敬語となりますのでご注意を。

この場合、謙譲語「お（ご）」をなくして「報告していただきたく存じます」とすれば正しい敬語になります。

理由は長くなるので省きますが、あくまでも「ご報告いただきたく存じます」をつかうことをオススメします。

それでは次項より使い方についても見ておきましょう。

使い方・ビジネスメール例文

こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。

ここでは「ご報告いただきたく存じます」の使い方をビジネスメール例文とともにご紹介。

どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。

【基本の使い方】報告してほしい！と伝えるビジネスメール

「ご報告いただきたく存じます」の使い方

文字どおり何かしら「報告してほしい！」と言いたいときのビジネスメールに使います。

取引先など社外あてに限らず、上司や目上など社内あてのメールにも使える丁寧なフレーズですね。

たとえば、

【例文】xxの件につき、ご報告いただきたく存じます。

のようにして何かの依頼・お願いをともなうビジネス文書やビジネスメールに使われます。

ようするに「報告してほしい！」という意味なのですが丁寧な敬語にすると、こんな風にややこしい文章になります。

なお「ご報告をいただきたく存じます」というように「を」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。

ビジネスメール例文①目上に仕事の報告をしてほしい

メール件名：残業時間・見直しのお願い

●●部長

お疲れ様です。

さて首記の件、貴部署におきまして残業時間30H/月を超える部員が複数名、確認されております。

人事部におきましては、社員のより良いワークライフバランスを実現することを目的とし、規定の残業時間を超える部員への仕事割り振りの見直しをお願いしております。

なお対象となる部員を下記のとおりに連絡いたしますので、①超過残業となった理由、②是正処置、につきご確認の上、ご報告いただきたく存じます。

お忙しいところ恐れ入りますが、
ご対応のほどよろしくお願い申し上げます。

************
人事部　のまど
************

ビジネスメール例文②仕事の報告の催促

メール件名：転送Fw：【再送】残業時間・見直しのお願い

●●部長

たびたび失礼いたします。

さて、先般お願いしておりました貴部署における残業時間見直しの件、その後いかがでしょうか。

お忙しいところ大変恐れ入りますが、社長への報告が必要となっており、
明日中にご報告いただきたく存じます。

なお、行き違いでご連絡いただいておりましたら申し訳ありません。

たびたび恐れ入りますがご対応くださいますようお願い致します。

************
人事部　のまど
************

“ご報告いただければと存じます”だとなお丁寧

“報告してほしい！”と言いたいときに使える敬語。

「ご報告いただきたく存じます」でも十分に丁寧ではありますが…

「ご報告いただければと存じます」とすると、より丁寧な敬語になります。

たとえば、

【例文】xxの件につき、ご報告いただければと存じます。

のようにして使います。

意味と違い・使い方

どちらも言いたいことは結局のところ「報告してほしい」なのですが…

敬語の使い方に違いあり。

謙譲語「いただく」に仮定の「たら・れば」をくっつけると「いただければ」という敬語になります。

したがって「ご報告いただければと存じます」のニュアンスとしては「よかったら報告してもらえたらと思うのだけど」というような感じになります。

「ご報告いただきたく存じます」でも遠回しにあなたの希望を伝える敬語なのですが…

「ご報告いただければと存じます」だともっと大げさになります。

かな〜り遠回しにお願いをしているわけで、目上・上司・取引先への言葉づかいとしてはこの上なく丁寧ですね。

そんなに丁寧にする必要あるの？って思うくらい。

まぁ、ひとつのオプションとしてお好みでお使いください。

なお「ご報告をいただければと存じます」というように「を」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。

シンプルに”ご報告いただきたくお願い致します”でも丁寧

“報告してほしい！”と言いたいときに使える敬語。

「ご報告いただきたく存じます」「ご報告いただければと存じます」だけでなく、

「ご報告いただきたく、お願い致します」もあります。

言いたいことは結局のところ「報告してほしい」なのですが…

たとえば、

【例文】xxの件につき、ご報告いただきたく、お願い致します。
【例文】xxの件につき、ご報告いただきたく、お願い申し上げます。

のようにして使います。

“存じます”ばかりのメールは気持ち悪い

ビジネスメールで「存じます」つまり「思います」を多用すると気持ち悪い文章になってしまいます。あなたの意思が伝わらずぼんや〜りとしたメールになって「結局なにが言いたいの？」ということになりかねません。

そんなときに活躍するのが「ご報告いただきたく、お願い致します」です。

「ご報告いただきたく存じます」だと「報告してもらいたいと思います」という意味であり、

「ご報告いただきたく、お願い致します」だと「報告してもらいたい、お願い！」というような意味になります。

敬語としてはどちらも、これでもかというくらい丁寧なので使い分けする必要はありません。

文章のバランスを考えてお好みでお使いください。

なお「ご報告をいただきたく、お願い致します」というように「を」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。

敬語の解説

一応「ご報告いただきたく、お願い致します」の敬語の成り立ちをまとめておきます。

もとになる単語「報告」
“〜してもらう”の謙譲語”お（ご）〜いただく”で「ご報告いただく」
意思・希望”〜したい”で「ご報告いただきたい」
“願う”に謙譲語”お（ご）〜いたす”で「お願いいたす」
丁寧語”ます”をくっつけて「お願いいたします」

→ すべてあわせると「ご報告いただきたく、お願いいたします」という敬語の完成

※「お願い申し上げます=お願いいたします」言い換えOK

※「お願いいたします」の表記は漢字「お願い致します」としてもOK

謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

したがって上司・目上やビジネスメールで使うのにふさわしい表現、と言えるでしょう。

もっとシンプルに”ご報告をお願い致します”でもOK

“報告してほしい！”と言いたいときに使える敬語。

「ご報告いただきたく存じます」
「ご報告いただければと存じます」
「ご報告いただきたく、お願い致します」

だけでなくシンプルに「ご報告をお願い致します」としてもOKです。

意味としては「報告をお願いします！」であり、

言いたいことは結局のところ「報告してほしい」となります。

たとえば、

【例文】xxの件につき、ご報告をお願い致します。
【例文】xxの件につき、ご報告をお願いします。

のようにして使います。

社内メールや懇意にしている取引先につかう

基本の使い方はこれまでとおなじ。

なにかしら「報告してほしい！」というときに使います。

とくに懇意にしている社外取引先や社内コミュニケーション（上司・目上）であれば、そこまで堅苦しい敬語をつかう必要はありません。

あまりに丁寧すぎる敬語は相手との間に壁をつくってしまいますからね。

ということで相手をみてシンプルに「ご報告をお願い致します」としてもなんら問題はありません。

※ ただし上下関係に厳しい上司・目上や初めての相手には丁寧すぎるくらいの敬語がオススメです。

ほかにも使える丁寧な敬語

これまで紹介した例文のほかにも…

【例文】ご報告いただければ幸いです
※意味は「報告してもらえたら嬉しいです」
【例文】ご報告いただけますと幸いです
※意味は「報告してもらえると嬉しいです」
【例文】ご報告いただけましたら幸いです
※意味は「報告してもらえたら嬉しいです」
【例文】ご報告いただければ幸甚に存じます
※意味は「報告してもらえたら、とても嬉しく思います」
【例文】ご報告いただけますと幸甚に存じます
※意味は「報告してもらえると、とても嬉しく思います」
【例文】ご報告いただけましたら幸甚に存じます
※意味は「報告してもらえたら、とても嬉しく思います」

なども似たような意味であり、とても丁寧な敬語です。

※ 幸甚（こうじん）の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

※ 「幸い」は「幸せであること、嬉しい気持ち」の意味

※ 「存じる」は「思う」の謙譲語

※ 「いただきたく」は謙譲語「いただく」＋希望「～したい」

※ 「いただければ」は謙譲語「いただく」＋可能形＋仮定「たら・れば」

※ 「いただけましたら」は謙譲語「いただく」＋丁寧語「ます」＋仮定「たら・れば」

結局どれがもっとも丁寧？

あまりにも言い換え敬語フレーズがおおいので、どれを使うべきか迷ってしまうというあなたのために。

これまで紹介しきれなかった敬語もふくめ丁寧レベルごとにまとめておきます。

※ あくまでも目安としてお考えください。

①会話・電話対応につかえる丁寧レベル

下になればなるほど丁寧な敬語になります。また、おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。

ご報告ください
ご報告くださいませ
ご報告いただけますか？
ご報告いただけますでしょうか？

②ビジネスメール対上司・対社内につかえる丁寧レベル

おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。

ご報告ください
ご報告くださいませ
ご報告いただけますか
ご報告いただけますでしょうか
ご報告をお願い致します
ご報告いただきたく、お願い致します
ご報告いただきたく存じます
ご報告いただければと存じます
ご報告のほどお願い申し上げます
ご報告くださいますようお願い申し上げます
ご報告いただきますようお願い申し上げます
ご報告いただけますようお願い申し上げます

注）上下関係に厳しい上司や、社内でも相当のポジションにいる人にたいしては例文⑤以降あるいは次項のフレーズをつかいましょう。

・「存じる」は「思う」の謙譲語

・「いただきたく」は謙譲語「いただく」＋希望”～したい”

・「いただければ」は謙譲語「いただく」＋可能形＋仮定”たら・れば”

・「いただけましたら」は謙譲語「いただく」＋丁寧語”ます”＋仮定”たら”

③ビジネスメール対取引先・対顧客につかえる丁寧レベル

おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。

ご報告くださいませ
ご報告をお願い致します
ご報告いただきたく、お願い致します
ご報告いただきたく存じます
ご報告いただければと存じます
ご報告いただきますようお願い申し上げます
ご報告いただけますようお願い申し上げます
ご報告くださいますようお願い申し上げます
ご報告いただければ幸いです
ご報告いただければ幸甚に存じます
ご報告いただけましたら幸いです
ご報告いただけますと幸いです
ご報告いただけますと幸甚に存じます
ご報告いただけましたら幸甚でございます
ご報告いただけましたら幸甚に存じます

補）「お願い申し上げます＝お願い致します」に言い換えOK

補）幸甚（こうじん）の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

なお「ご報告をいただけましたら幸いです」というように「を」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。

・「存じる」は「思う」の謙譲語

・「いただきたく」は謙譲語「いただく」＋希望”～したい”

・「いただければ」は謙譲語「いただく」＋可能形＋仮定”たら・れば”

・「いただけましたら」は謙譲語「いただく」＋丁寧語”ます”＋仮定”たら”

④最上級の丁寧レベル

おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。

ご報告賜りますようお願い申し上げます
ご報告いただければ幸いです
ご報告いただければ幸甚に存じます
ご報告いただけましたら幸いです
ご報告いただけましたら幸甚でございます
ご報告いただけましたら幸甚に存じます
ご報告賜りますと幸いです
ご報告賜れますと幸いです
ご報告賜りましたら幸いです
ご報告賜れましたら幸いです
ご報告賜りますと幸甚に存じます
ご報告賜れますと幸甚に存じます
ご報告賜りましたら幸甚に存じます
ご報告賜れましたら幸甚に存じます

なお「ご報告を賜りましたら幸いです」というように「を」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。

・「お願い申し上げます＝お願い致します」に言い換えOK

・幸甚（こうじん）の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

・賜る（たまわる）は公式なビジネス文書や手紙によくつかう

“ご報告いただく vs ご報告くださる”の使い方

ややこしいので「ご報告いただく vs ご報告くださる」の使い方について。

代表的なパターンを表にまとめておきます。

こまかく解説していくとそれだけで記事がおわってしまいますので、目的にあわせてお使いください。

“ご報告いただく”の使い方まとめ（すべて敬語）

	①基本	②+丁寧語”ます”	③その他
現在	ご報告いただく	ご報告いただきます	-頂くよう -頂きますよう
過去	ご報告いただいた	ご報告いただきました	×
進行形	ご報告いただいている	ご報告いただいています	-頂いております
過去~現在	ご報告いただいていた	ご報告いただいていました	-頂いておりました
希望依頼	ご報告いただきたいご報告いただきたくご報告いただくよう	ご報告いただきたいですご報告いただきますようご報告いただけますよう	-頂きたく思います -頂きたく存じます -頂ければと存じます
可能	ご報告いただける	ご報告いただけます	-頂けるよう -頂けますよう
仮定	ご報告いただければ	ご報告いただけましたら	×
疑問	ご報告いただけるか？	ご報告いただけますか？	-頂けますでしょうか
禁止	ご報告いただけない	ご報告いただけません	×
命令	×	×	×

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります。

※ 「頂く」「いただく」は漢字でも平仮名でもOK

※「×」としたのは一般的につかわない

“ご報告くださる”の使い方まとめ（すべて敬語）

	①基本	②+丁寧語”ます”	③その他
現在	ご報告くださる	ご報告くださいます	-くださるよう -くださいますよう
過去	ご報告くださった	ご報告くださいました	×
進行形	ご報告くださっている	ご報告くださっています	-くださっております
過去~現在	ご報告くださっていた	ご報告くださっていました	-くださっておりました
希望	ご報告くださるよう	ご報告くださいますよう	×
可能	×	×	×
仮定	×	×	×
疑問	ご報告くださるか？	ご報告くださいますか？	×
否定	ご報告くださらない	ご報告くださいません	×
命令	ご報告ください	ご報告くださいませ	×