「ご一読いただけましたか」の意味、ビジネスシーンにふさわしい使い方（メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職）、注意点について。
ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。
※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ
意味と敬語
「ご一読いただけましたか？」は「一読してもらえましたか」という意味。
なぜこのような意味になるのか？
そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。
一読の意味は”ひととおり読むこと”
一読（読み：いちどく）のそもそもの意味は…
- 一度読むこと
- ひととおり読むこと
たとえば、
【例文】会議資料をご一読いただけますか？ →「ひととおり読む」の意味
【例文】一読の価値もないマンガ →「一度読む」の意味
のようにして使います。
ちなみに敬語は「一読」に尊敬語or謙譲語「お（ご）」で「ご一読」となります。
「自分がご一読する」のであれば謙譲語としての使い方。
上司・目上・取引先などの「相手がご一読くださる」のであれば尊敬語としての使い方。
というように２パターンあります。
“ご一読いただける”の意味は「一読してもらえる」
まずは前半部分。
「ご一読いただける」の意味は…
つまり、
「ひと通り読んでもらえる」
「一度読んでもらえる」
と解釈できます。
“ご一読”のもとになる単語は”一読”であり、「〜してもらう」の謙譲語「お（ご）～いただく」をつかって敬語にしています。
「いただける」の部分は謙譲語「いただく」の可能表現をつかっています。可能の表現をつかっているので意味としては「〜してもらえる」となります。
おなじような可能の表現にはたとえば、
「泳ぐ → 泳げる」
「書く → 書ける」
「聞く → 聞ける」
などあり。どれも「〜できる」という意味になりますね。
ちなみに”ご一読”の「お（ご）」の部分は向かう先を立てるために使う敬語であり謙譲語の「お（ご）」です。余談ですが尊敬語にも「お（ご）」の使い方があり混同しがち。
むずかしく感じるかたは「お（ご）●●いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。
“ましたか？”は丁寧語の疑問形+過去形
つづいて後半部分。
「〜ましたか？」は丁寧語「ます」の疑問形を過去形にしたもの。
意味としてはシンプルに「〜したか？」というような質問・疑問の形になります。
目上・上司や取引先に質問するときにはたとえば、
「泳げたか？ → 泳げましたか？」
「書けたか？ → 書けましたか？」
「聞けたか？ → 聞けましたか？」
このように丁寧語の疑問形をつかうと丁寧です（例文を使うかどうかは別として…）。
ちなみに、
「ご一読いただけますか？」と現在形をつかうと「一読してもらえますか？」というお願い・依頼のフレーズになります。
あわせると意味は「一読してもらえましたか」
- ご一読 ＝ 一読すること
- お（ご）～いただける ＝ 「〜してもらえる」の意味の敬語（謙譲語）
- ますか = 「〜か？」という意味の敬語（丁寧語）
※ 一読（いちどく）の意味は「一度読むこと、ひととおり読むこと」
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「ご一読いただけましたか？」の意味は…
「一読してもらえましたか？」
のように解釈できます。
ようするに「すでに一読したのか？」「もう一読したのか？」という催促や確認の意味をあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司・取引先に使うにはイマイチです。
そこで遠まわりに「～してもらえましたか？」として、とてもやわらか～いお願いの敬語フレーズにしています。
そんなに丁寧に催促する必要あるの？って思うくらい。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
敬語の解説
ややこしいので、これまでの敬語の解説をまとめておきます。
「ご一読いただけましたか」を敬語としてみていくと以下のとおりに成り立ちます。
- もとになる単語「一読」
- “〜してもらう”の謙譲語「お（ご）〜いただく」で「ご一読いただく」
- 可能形にして「ご一読いただける」
- 丁寧語”ます”の疑問形「ますか」を過去形にして「ましたか？」
→ すべてあわせると「ご一読いただけましたか？」という敬語の完成
※「お（ご）」を省いて「一読いただけましたか？」でも正しい敬語です。
このようにして元になる語「一読」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
相手に強制しない、とてもやわらか～いお願いの敬語フレーズになります。
なお「ご一読していただけましたか？」は間違い敬語となりますのでご注意を。
この場合、謙譲語「お（ご）」をなくして「一読していただけましたか？」とすれば正しい敬語になります。
理由は長くなるので省きますが、あくまでも「ご一読いただけましたか？」をつかうことをオススメします。
それでは次項より使い方についても見ておきましょう。
使い方
つづいて「ご一読いただけましたか」の使い方について。
【基本】一読してもらえたか？と催促・確認するビジネスシーン
「ご一読いただけましたか」の使い方
意味のとおりで何かしら「すでに一読してもらえたか？」と催促したい、あるいは確認したいときのビジネスシーンで使います。
「ご一読いただけましたか」にかぎらず「〜いただけましたか？」という表現はビジネスメールよりも、どちらかというと電話対応や商談・会話シーンで多くつかいますね。
だからと言ってメールにつかったら失礼とかではなく、ビジネスメールにつかっても違和感はありません。
例文
たとえば、
- 【例文】顧客へのプレゼン資料はご一読いただけましたか。
- 【例文】お手元の資料はご一読いただけましたか？
※「お（ご）」を省いて「一読いただけましたか？」でも正しい敬語です。
※ 一読（いちどく）の意味は「一度読むこと、ひととおり読むこと」
のようにして催促や確認をともなうビジネスシーン（会話・電話対応・メール）に使われます。
ようするに「すでに一読してもらえたか？」という意味なのですが丁寧な敬語にすると、こんな風にややこしい文章になります。
“ご一読いただけますか vs いただけましたか？”の違い
“ご一読いただけますか vs いただけましたか？”の違いについて簡単に。
これまで解説したとおり、
- 「ご一読いただけましたか？」は過去形であるため「すでに一読したのか？」「もう一読したのか？」という催促や確認の意味でつかわれます。
いっぽうで、
- 「ご一読いただけますか？」と現在形をつかうと「一読してもらえますか？」というお願い・依頼のフレーズになります。
まったく違う意味になりますのでご留意ください。
ご一読いただけましたでしょうか？とするとなお丁寧
「一読してもらえましたか？」と催促・確認したいときに使える敬語。
「ご一読いただけましたか」でも十分に丁寧ではありますが…
「ご一読いただけましたでしょうか」とすると、よりやわらか〜い感じの敬語フレーズになります。
推測「〜だろうか？」の丁寧語「〜でしょうか？」を「ご一読いただけましたか」に加えるとこうなります。
意味と使い方・例文
「ご一読いただけましたでしょうか」の意味は「一読してもらえただろうか？」
使い方はおなじでたとえば、
- 【例文】新人レポートはご一読いただけましたでしょうか。
- 【例文】今朝の日経新聞はご一読いただけましたでしょうか。
※ “でしょうか？”は「だろうか？」の丁寧語（敬語）
※ 意味は「一読してもらえただろうか？」
※「お（ご）」を省いて「一読いただけましたでしょうか？」でも正しい敬語です。
のようにして催促や確認をともなうビジネスシーン（会話・電話対応・メール）に使われます。
もちろん上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語です。
で、どちらを使うかは結局のところあなたの好み。
どちらかというと「〜いただけましたでしょうか？」のほうが丁寧なのですが…
バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけましたか？」でも差し支えありません。
敬語の解説
「ご一読いただけましたでしょうか？」
の敬語の成り立ちとしては…
- “一読”に「〜してもらう」の謙譲語「お（ご）〜いただく」で「ご一読いただく」
- 可能形にして「ご一読いただける」
- さらに丁寧語”ます”で「ご一読いただけます」
- 疑問形にして「ご一読いただけますか？」
“〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」を使うと「ご一読いただけますでしょうか？」
どちらの表現も謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。
したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。
どちらかというと「〜いただけましたでしょうか？」のほうが丁寧なのですが…バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけましたか？」でオッケー。
ご一読くださいましたか？としても丁寧
「一読してもらえましたか？」と催促・確認したいときにつかえる敬語。
「ご一読いただけましたか？」「ご一読いただけましたでしょうか？」だけでなく…
- 【例文】ご一読くださいましたか？
→意味は「一読してくれたか？」 - 【例文】ご一読くださいましたでしょうか？
→意味は「一読してくれただろうか？」
※「～してくれる」の尊敬語「お（ご）～くださる」をつかって敬語にしています。
※ 一読（いちどく）の意味は「一度読むこと、ひととおり読むこと」
もあります。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
“いただけましたか vs くださいましたか”意味と違い・使い方
「ご一読いただけましたか？」vs「ご一読くださいましたか？」の意味と違い。
どちらも言いたいことは結局のところ「すでに一読したか？」なのですが…
敬語の使い方に違いあり。
- “ご一読いただけましたか？“だと意味は「一読してもらえたか？」
→敬語は謙譲語「お（ご）〜いただく」の可能形＋丁寧語
vs.
- “ご一読くださいましたか？“だと意味は「一読してくれたか？」
→敬語は尊敬語「お（ご）〜くださる」＋丁寧語
というように意味と敬語の使い方が違います。
が、
結局のところ言いたいことはどちらも全く同じなわけです。
いただけましたか？のほうが丁寧
「一読してくれたか？＝ご一読くださいましたか？」
よりも”いただく＋可能形”をつかって、
「一読してもらえたか？＝ご一読いただけましたか？」
としたほうが丁寧な印象のフレーズとなります。
ただ、
敬語の使い方には違いはあれど、どちらもひとしく丁寧な敬語であり目上・上司・社外取引先につかえるフレーズです。
ただ少しニュアンスの違いというか敬語の使い方が違うよ、ということですね。
これは好みで分かれるところ。
どちらかというと「いただく」を使ったほうがやんわ～りとした表現になりますが、心底どちらでも差し支えありません。
まぁ、ひとつのオプションとしてお好みでお使いください。
ご一読いただきましたか？でも丁寧
「一読してもらえましたか？」と催促・確認したいときにつかえる敬語。
これまで紹介した例文のほかにも…
- 【例文】ご一読いただきましたか？
→意味は「一読してもらったか？」 - 【例文】ご一読いただきましたでしょうか？
→意味は「一読してもらっただろうか？」
※「～してもらう」の謙譲語「お（ご）～いただく」をつかって敬語にしています。
※「お（ご）」を省いて「一読いただきましたか？」でも正しい敬語です。
もあります。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
“いただけましたか vs いただきましたか”の意味と違い・使い方
「ご一読いただけましたか？」vs「ご一読いただきましたか？」の意味と違い。
どちらも言いたいことは結局のところ「すでに一読したか？」なのですが…
敬語の使い方に違いあり。
- “ご一読いただけましたか？“だと意味は「一読してもらえたか？」
→敬語は謙譲語「お（ご）〜いただく」の可能形＋丁寧語
vs.
- “ご一読いただきましたか？“だと意味は「一読してもらったか？」
→敬語は謙譲語「お（ご）〜いただく」＋丁寧語
というように、
可能形をいれるかどうかという点において違いますね。
が、結局のところ言いたいことはどちらも全く同じなわけです。
いただけましたか？のほうが丁寧
「一読してもらいましたか？＝ご一読いただきましたか？」
よりも可能形をつかって、
「一読してもらえましたか？＝ご一読いただけましたか？」
というほうが丁寧な印象のフレーズとなります。
ホントに些細なことなので誰も気にしないかもしれませんけど…。
まぁとにかく、これまで紹介した例文はどれを用いても丁寧ではあります。
シンプルに”ご一読なさいましたか？”でもOK
「一読してもらえましたか？」と催促・確認したいときにつかえる敬語。
いい加減くどいのですが、まだまだあります…
とくに会話や電話対応はビジネスメールとちがって堅苦しい敬語は好まれません。
そこでシンプルに、
- 【例文】ご一読なさいましたか？
→意味は「一読しましたか？」 - 【例文】ご一読なさいましたでしょうか？
→意味は「一読しましたでしょうか？」
※「～する」の尊敬語「お（ご）～なさる」をつかって敬語にしています。
※ 一読（いちどく）の意味は「一度読むこと、ひととおり読むこと」
でも十分に丁寧です。
「一読する」に尊敬語「お（ご）〜なさる」をつかい、さらに丁寧語の疑問形をつけくわえると例文のような敬語になります。
こちらも目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
いただけましたか？のほうが丁寧
「一読しましたか？＝ご一読なさいましたか？」
よりも”いただく＋可能形”をつかって、
「一読してもらえましたか？＝ご一読いただけましたか？」
というほうが丁寧な印象のフレーズとなります。
結局どれがもっとも丁寧？
敬語の種類というのは本当にいろいろあります。
あまりにも言い換え敬語フレーズがおおいので、どれを使うべきか迷ってしまうというあなたのために。
ここまで紹介した言い換えだけでなく、思いつくかぎりの敬語フレーズを丁寧レベルごとに整理しておきます。
どれも「一読してもらえましたか？」「一読してくれましたか？」と催促・確認したいときにつかえる敬語です。
※ あくまでも目安としてお考えください。
①会話・電話対応につかえる丁寧レベル
「一読してもらえましたか？」「一読してくれましたか？」と催促・確認したいときの敬語。
まずは会話や電話対応シーンでよくつかう敬語フレーズから。
下にいくほど丁寧な敬語になります。また、おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。
- 一読してくれましたか？
- 一読してもらえましたか？
- 一読していただきましたか？
- 一読していただけましたか？
- ご一読になりましたか？
- ご一読なさいましたか？
- ご一読されましたか？
- ご一読いただきましたか？
- ご一読くださいましたか？
- ご一読いただけましたか？
②ビジネスメール対上司・対社内につかえる丁寧レベル
「一読してもらえましたか？」「一読してくれましたか？」と催促・確認したいときの敬語。
つづいて、上司や社内目上のビジネスメールにふさわしい敬語フレーズをご紹介。
下にいくほど丁寧な敬語になります。おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。
- ご一読になりましたか？
- ご一読なさいましたか？
- ご一読されましたか？
- ご一読いただきましたか？
- ご一読くださいましたか？
- ご一読いただけましたか？
- ご一読になりましたでしょうか？
- ご一読なさいましたでしょうか？
- ご一読されましたでしょうか？
- ご一読いただきましたでしょうか？
- ご一読くださいましたでしょうか？
- ご一読いただけましたでしょうか？
注）上下関係に厳しい上司や、社内でも相当のポジションにいる人にたいしては例文⑥以降をつかいましょう。
【敬語の補足】
・「なさる／される」は”〜する”の尊敬語
・「お（ご）〜になる」は”〜する”の尊敬語
・「お（ご）〜くださる」は”〜してくれる”の尊敬語
・「お（ご）〜いただく」は”〜してもらう”の謙譲語
・「〜でしょうか」は”〜だろうか”の丁寧語
③ビジネスメール対取引先・対顧客につかえる丁寧レベル
「一読してもらえましたか？」「一読してくれましたか？」と催促・確認したいときの敬語。
最後に、社外取引先や顧客のビジネスメールにふさわしい敬語フレーズをご紹介。
下にいくほど丁寧な敬語になります。おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。
- ご一読いただきましたか？
- ご一読くださいましたか？
- ご一読いただけましたか？
- ご一読になりましたでしょうか？
- ご一読なさいましたでしょうか？
- ご一読されましたでしょうか？
- ご一読いただきましたでしょうか？
- ご一読くださいましたでしょうか？
- ご一読いただけましたでしょうか？
【敬語の補足】
・「なさる／される」は”〜する”の尊敬語
・「お（ご）〜になる」は”〜する”の尊敬語
・「お（ご）〜くださる」は”〜してくれる”の尊敬語
・「お（ご）〜いただく」は”〜してもらう”の謙譲語
・「〜でしょうか」は”〜だろうか”の丁寧語
