コンサルタントとは何か?
コンサルタントとはどのような仕事かについて、知識ゼロの状態からコンサルと話ができるレベルになるための、全知識を提供する記事。
まずは基本としてコンサルタントの仕事とは、
相手の課題にたいして何かしらの解決策をしめす仕事である。
ここで相手とは企業や経営者だけでなく、個人・政府などをふくむ。
横文字になっているためややこしく感じるが、やっている仕事はとてもシンプル。
「クライアントの困りごとを解決する仕事」だと言える。
したがってIT企業であろうとメーカーであろうと、
クライアントの困りごとを解決するために働くひとはコンサルタント。
困りごとの内容はどんなものでもよく、
・従業員をリストラしたいけど、どうしよう?
・ライバル企業から訴訟されたけど、どうしよう?
・グローバル展開したいけど、どうしよう?
・新規事業やりたいけど、どうしよう?
・M&Aしたいけど、どうしよう?
といった例がある。
身近な例でわかりやすく説明すると、
以下のような職種もじつはコンサルタントである。
- デパート化粧品売場の販売員(ビューティー コンサルタント)
→ 顧客の困りごとを理解したうえで商品をすすめる - 保険のセールス(ファイナンシャル アドバイザー)
→ 顧客の困りごとを理解して最適な金融商品を考える
※営業とコンサルタントの違いは本文中にて
コンサルタントの種類
コンサルタントをわかりやすく理解するために、身近なたとえで解説してみたものの…
就活生・転職者がめざす「コンサルタント」はデパートの化粧品販売員とは違う。
そこでコンサルタントについて、
ざっくりとその種類と市場規模をみていこう。
種類①経営・戦略コンサルタント(総合ふくむ)
経営・戦略コンサルタントとは
経営者やトップマネジメントの経営課題を解決する仕事。
もっとも高度な知識が要求される業種である。
経営課題とひとことにしても、その内容はたくさんある。
たとえば以下のような経営課題にたいする解決策をしめすのが経営・戦略コンサルタントである。
- 長期の経営ビジョン、どうする?
- いまのビジネスを維持するべき?セル・アウトするべき?
- この市場に参入するべき?やめるべき?
- 自社ビジネスを効率化するには何をするべき?
- どうやって効率的に利益をあげる?
- M&Aしたいけどアイディアがない
- コスト削減したい!
・国内の市場規模は推定3000-4000億円/年
・年成長率マイナス3%/年
(出所; IDC Japan)
▼経営戦略コンサルタント会社まとめ
- 外資系コンサルファームBIG3またはMBB
マッキンゼー、ボストンコンサルティング グループ、ベイン・アンドカンパニー - MBBと同格の経営コンサルファーム
L.E.Kコンサルティング、オリバーワイマン、A.T.カーニー - 外資系コンサルファームBIG4
EYコンサルティング、デロイトトーマツ、KPMG、PwC - BIG4と同格
IBMビジネスサービス、FTIコンサルティング - ほか外資系大手コンサル
ローランド・ベルガー、アーサー・D・リトル、アイ&カンパニー
- 日系大手コンサルティング会社
またはシンクタンク
野村総合研究所、三菱総合研究所、アビームコンサルティング、三菱UFJリサーチ&コンサルティング、ビジネスコンサルタント、日本総合研究所、日本能率協会コンサルティング、船井総合研究所、クニエ、大和総研、みずほ情報総研、みずほ総合研究所、りそな総合研究所、富士通総研、価値総合研究所、ちばぎん総合研究所、浜銀総合研究所、プルータス・コンサルティング、経営共創基盤、日本経営、船井総研、タナベ経営、SMBCコンサルティング、リンクアンドモチベーション - 独立系コンサルティング会社
コーポレイト・ディレクション、ドリーム・インキュベーターほか多数
種類②ITコンサルタント会社
ITコンサルタントとはITまわりの課題を解決する仕事。
SIer(システム・インテグレーター)もITコンサルタントの一種である。
ITの課題とひとことにしても、その内容はたくさんある。
たとえば以下のようなIT課題にたいする解決策をしめすのが経営・戦略コンサルタントである。
- 新しい金融システムを導入したい!
- SAPをカスタマイズして欲しい!
- 営業ツールを充実させたい!CRMとか…
- 社内クラウドシステムを導入したい!
自社・SE職によるカスタマイズもあれば完成品を売る場合もある。
また自社でリソースをもたずにコンサルティング業務だけを行う企業もあり、形態はさまざま。
・国内の市場規模は推定3500億円/年
・年成長率10-20%/年
(出所; IDC Japan)
▼ITコンサルタント会社まとめ
- 総合系すべて
- アビームコンサルティング
- 日立コンサルティング
- NTTデータ経営研究所
- ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ
- SAPジャパン(自社ERP)
- 日本オラクル(自社ERP)
- ワークスアプリケーションズ(自社ERP)
- デル (ハード系、MS、Oracle、SAP)
- マイクロソフト (自社製品)
- サン・マイクロシステムズ(自社製品)
- ほか多数
種類③土木・建設コンサルタント会社
土木建設コンサルタントとは、インフラとか建築にかんするコンサルティング業務をする人のこと。
地質調査とか環境調査、設計などの仕事がメインとなる。
業界最大手の日本工営ですら売上800億円程度であり、中小規模の会社が乱立している状況。
・国内の市場規模は推定3000-4000億円/年
(土木建設コンサルの売上から推測)
▼土木建設コンサルタント会社まとめ
- 日本工営
- 応用地質
- 建設技術研究所
- ACKグループ
- 長大
- E・Jホールディングス
- NJS
- いであ
- オオバ
- 大日本コンサルタント
- 構造計画研究所
- ウエスコHD
- 川崎地質
- 福山コンサルタント
- 協和コンサルタンツ
- ほか多数
④その他・業種ごとにあるコンサルタント
その他にもコンサルティングというのはどの業種にもある。
マーケティング系・広告系・金融系・メーカー系などなど。
誰かの困りごとがあるかぎり、そこには必ず何かしらのコンサルタントがいる。
コンサルティング業界全体の市場規模は?
コンサルティング市場の規模は、グローバルで15兆円とも20兆円ともいわれている。
とくに欧米ではコンサルタントにアドバイスをもとめることは普通であり、市場のほとんどを占めている。
海外のリサーチを参照すると市場規模は以下のとおり。
(出所:Statista.comのデータを基に筆者推定)
グローバル市場規模
※為替を1$=110円とした
- 2016年:1326億$(14.5兆円)
- 2015年:1258億$(13.8兆円)
- 2014年:1202億$(13.2兆円)
- 2013年:1158億$(12.7兆円)
- 2012年:1118億$(12.3兆円)
- 2011年:1075億$(11.8兆円)
企業の課題というのは尽きることがない。
下っ端クラス~マネージャークラス~経営層のそれぞれで困りごとはいくらでも出てくる。
したがって市場が成長し続けることは間違いないであろう。
ちなみに市場成長率は4~5%/年となっている。
国内市場規模
国内のコンサルティング業界の市場規模を以下にまとめる。
(出所:IDC Japan)
- 2016年:6850億円(前年比+6.0%)??
- 2015年:6463億円(前年比+6.3%)
- 2014年:6080億円
- 2013年:2847億円(前年比+5.1%)
- 2012年:2709億円
※市場規模=ビジネスコンサルティング市場+ITコンサルティング市場、ほかは含まない。
日系企業はむかしから、コンサルタントに経営アドバイスを求めるようなことをしてこなかった。
したがってグローバル市場からみた日本の規模はとてつもなく小さい。
はっきりいってゼロに限りなく近い。
(ただし他にもいろいろあるコンサルティングをふくむと市場はもっと大きいハズ)
ところが最近は企業のIT投資がふえるにともなって、ITコンサルティングの需要が激増。デロイトトーマツ・アクセンチュアなどを中心に採用数を増やしている。
とくにIT業界のCRM分野、クラウド分野、金融分野、AI分野などは
年間成長率2桁%~となっている。
今後のさらなるマーケット成長に期待したい。
コンサルタントの仕事内容は?
コンサルティング企業の仕事内容はとにかくたくさんある。
でもベースはシンプルなルールに基づいている。
繰り返しになるが「クライアントの困りごとを解決すること」
言うのは簡単だけど実際には
「クライアントの困りごとを解決するために何が必要なのか?」
ず~~っと考える必要がある。
事実=ファクトを集めてロジカルに語る必要がある。
アイディアを出し続ける必要もある。
クライアントを失望させると契約を切られる。
だからつねにベストを尽くしてガムシャラに働かないといけない。
そしてコンサルタントに答えはない。
答えのないことを考え続けるのだから、仕事には終わりがない。
どこで妥協するか?
どのレベルであれば許されるか?
という妥協によってはじめて仕事がおわる。
これが「コンサルタント=超絶激務」だと言われる理由である。
並大抵のひとであれば3年も続けられず、離職率はきわめて高い。
だからこそ中途採用も積極的におこなっている。
コンサルタントのやりがい
なぜここまで激務な仕事をやり続けられるひとがいるのか?
コンサルタントのやりがいについて考えてみる。
やりがいは大きく以下3つある。
- 年収が高いこと(企業によるけど)
→ 20代・年収1000万円は射程内
→ 30歳・マネージャーまで生き残れば年収2000万円も見える(MBBの場合)
→ ただし残業時間によっては時給換算でアルバイト並みになるため要注意 - 自己成長
→ 上位のコンサルティングファームで3年間やれば、MBAコース(難関資格)を取得するのとおなじバリューがある。
→ これを目的に就職する人がほとんどかと - クライアントに感謝されること
→ クライアントに感謝されることもやりがいのひとつ
→ 逆にくだらない仕事をすれば客に罵倒される
コンサルタントに必要な資格ってある?
コンサルタントに資格って必要なの?
ということですが結論としては必要なし。
転職を検討されているのでしたら資格よりも前職の経験とスキル、
新卒で就職されるのでしたら資格よりも論理的思考やタフネス、ポテンシャルが重視される。
なぜならコンサルティングの仕事というのは多岐にわたり、
クライアントの要求をみたすためには色々な知識・ノウハウが必要だから。
プログラミングの知識とか特定のスキルよりも
「どうやってクライアントの課題を解決するか?」という手法を知っていることが重要。
そうすると必然的にやくにたつ資格は限られる。
ただし特定分野の業務だけをおこなるコンサルタント、たとえばCRMなどといったITテクノロジーのコンサルタントにはCRM分野での経験とスキルだけあれば何とかなる。
これは一概にはいえず、
その企業のカルチャーと手がけるコンサルの種類による。
いちおう、持っておくと多少は役に立つ資格をまとめておく。
資格①MBA(経営学修士)
コンサルタントなら持っておきたい資格のNo.1はMBA。
MBAとは、Master of Business Administration の略称。
組織にとっての経営資源であるヒト(人的資源管理)、カネ(財務会計)、モノ・サービス(オペレーション、マーケティング)、情報、に関わるテーマをすべて学べる。
これに経済を理解するためのマクロ・ミクロ経済学がくわわり、基本的なMBAの科目が構成される。
つまり、MBAとは経営の基礎をすべて習得できるすぐれた資格である。
基礎(経営学)のないものに応用(コンサルティング)は務まらない。
未経験であれば就職先か転職先で鍛える必要あり。
ちなみにMBAは国家資格ではなく民間資格であり、大学院で習得する。
とくにハーバードやスタンフォード大など海外有名大学のMBAコースをもっていると、それだけで経歴にハクがつく。
繰り返しにはなるが、
べつにMBAをもっていなくてもコンサルタントはできるし、コンサルファームに就職すると優秀層は会社のカネで海外MBAコースに留学できる。
なくてもいいけどあったらハクがつく。という程度。
資格②中小企業診断士
経営コンサルティングにかんする唯一の国家資格であり、難易度も高い。
したがって持っていると一目置かれる存在となる。
中小企業診断士は企業のよきパートナーとして、企業経営の診断・指導をおこなう。
それだけでなく経営にかんする専門知識をつかって企業と行政とのパイプ役として、中小企業施策への提言を行うなど幅広い活動も行う。
ただ、中小企業診断士じゃないとコンサルタントになれないか?
というと全くそんなことはない。
持っていると役に立つ、というだけ。
資格③ITコーディネータ
ITコーディネータとは2001年に設けられた国家資格。
これをもっていると経営とITの両面に精通したプロフェッショナルである、と認められる。
経営者にたいして「IT経営」をコンサルティングするための資格。
こちらもITコンサルタントに必須というわけではなく、もっているとハクがつくという程度である。
ちなみにITコーディネータは以下2種類ある。
① ITコーディネータ試験(だれでも受験可能)
② 専門スキル特別認定試験(公認会計士、税理士、中小企業診 断士など、特定の資格を保有している人だけ受験可能)