外資系コンサルティングBIG4(デロイト・EY・PwC・KPMG)について、違いを比較していく記事。
まずは基本として
外資系コンサルBIG4の手がけるビジネスはどこも大差ありません。
どの企業もざっくりとは以下3つの事業から成り立ちます。
①監査
・決算書が正しいかを会計士がチェックし意見すること
②税務
・税務計画および世界各国の税制や移転価格税制にかんする法令遵守
③コンサルティング
・経営の改善、トランザクション、M&A、事業再生などのアドバイザリーおよびコンサルティング
ということなのですが本文中では
外資系コンサルティングBIG4の売上データ、年収ランキング、従業員数などから違いを比較していきます。
就活・転職のご参考にどうぞ。
この記事の目次
BIG4の違い①業務収入ランキング
外資系コンサルティングBIG4の違い。
まずは
「業務収入ランキング(全社・全事業)」
一般企業でいうところの売上のようなものです。
ここではグローバルでの収入(全事業)で比べてみます。
2016年の報告書によると
会社の規模における違いをみると以下のとおり。
・第1位 368億US$:
デロイト トウシュ トーマツ
・第2位 359億US$:
PwC (プライスウォーターハウスクーパース)
・第3位 296億US$:
EY (アーンスト・アンド・ヤング)
・第4位 254億US$:
KPMG
為替を1US$=110円として計算すると
No.1のデロイトトーマツは業務収入おおよそ4兆円。
No.4のKMPGですらも業務収入おおよそ2.8兆円。
この規模の大きさがBIG4と言われる理由ですね。
ここ数年の傾向としては
デロイトトーマツ・PwCがNo.1~No.2の座を争い、つづいてEY・KPMGがNo.3~No.4の争奪戦をしています。
また注意点として
BIG4はコンサルティングだけでなく監査法人もあり。この数字はコンサルタント業務だけでなく監査業務、税務なども含んでいます。
▼ 外資系コンサルBIG4の業務収入推移(FY2009-FY2016)
FY2016 億US$ |
FY2015 億US$ |
FY2014 億US$ |
FY2013 億US$ |
FY2012 億US$ |
FY2011 億US$ |
FY2010 億US$ |
FY2009 億US$ |
|
デロイト | 368 | 352 | 342 | 324 | 313 | 288 | 266 | 261 |
PwC | 359 | 354 | 340 | 321 | 315 | 292 | 266 | 262 |
EY | 296 | 287 | 274 | 258 | 244 | 229 | 212 | 214 |
KPMG | 254 | 244 | 248 | 234 | 230 | 227 | 207 | 201 |
BIG4の違い②成長率ランキング
外資系コンサルティングBIG4の違い。
つづいては
「年間成長率ランキング(全社・全事業)」
ここでは
業務収入の2009年から2016年までの平均成長率の違いをみていきましょう。
すると…
・第1位: デロイトトーマツ(平均105.1%)
・第2位: EY(平均104.8%)
・第3位: PwC(平均104.6%)
・第4位: KPMG(平均103.5%)
こんな感じの順位になります。
コンサルティング業界の成長率は年率4%くらい(海外調査会社より)ですのでどの企業もまぁ、堅調に規模拡大に成功しています。
KPMGだけが低い成長率なのは気になるところではありますが…
ちなみに
コンサルティング事業だけの成長率は後述。
ここ最近は
とくにM&A(事業買収)とコンサルティング事業の好調によって拡大している印象。どの企業もサイズが大きすぎて、オーガニック成長は限界をむかえているかと思われます。
▼ 外資系コンサルBIG4の成長率推移(FY2009-FY2016)
FY2016 対前年比 |
FY2015 対前年比 |
FY2014 対前年比 |
FY2013 対前年比 |
FY2012 対前年比 |
FY2011 対前年比 |
FY2010 対前年比 |
AVG. | |
デロイト |
104.5% |
102.9% |
105.6% |
103.5% |
108.7% |
108.3% |
101.9% |
105.1% |
PwC |
101.4% |
104.1% |
105.9% |
101.9% |
107.9% |
109.8% |
101.5% |
104.6% |
EY |
103.1% |
104.7% |
106.2% |
105.7% |
106.6% |
108.0% |
99.1% |
104.8% |
KPMG |
104.1% |
98.4% |
106.0% |
101.7% |
101.3% |
109.7% |
103.0% |
103.5% |
BIG4の違い③コンサルティング事業の業務収入
外資系コンサルティングBIG4の違い。
つづいては
「コンサルティング事業の業務収入(グローバル)」
さきほどまでは
グローバル・全事業での業務収入と成長率をみてきました。
ここからは
コンサル事業でのアクティビティーについて比較。
2016年の報告書から
コンサルティング事業の業務収入における違いをまとめると以下のとおり。
・第1位 164億US$: デロイトトーマツ
・第2位 115億US$: PwC
・第3位 100億US$: EY
・第4位 97億US$: KPMG
為替を1US$=110円として計算すると
No.1のデロイトトーマツは業務収入おおよそ1.8兆円。
No.4のKMPGですらも業務収入おおよそ1.1兆円。
となっており
どの企業も1兆円を超えています。
ここ数年の傾向としては、
デロイトが頭ひとつ抜けていてBIG4の中ではNo.1をキープ。
PwCとEYは拡大に成功してNo.2~No.3争い。
規模拡大にのり遅れたKPMGが最下位。トップの座をデロイトと争ったのはもはや過去の栄光となっています。
▼ 外資系コンサルBIG4の業務収入推移(FY2009-FY2016)
FY2016 億US$ |
FY2015 億US$ |
FY2014 億US$ |
FY2013 億US$ |
FY2012 億US$ |
FY2011 億US$ |
FY2010 億US$ |
FY2009 億US$ |
|
デロイト | 164 | 153 | 144 | 132 | 124 | 109 | 95 | 85 |
PwC | 115 | 112 | 100 | 92 | 87 | 75 | 62 | 61 |
EY | 100 | 98 | 89 | 79 | 71 | 63 | 55 | 55 |
KPMG | 97 | 91 | 91 | 82 | 79 | 75 | 66 | 61 |
*PwC = アドバイザリー事業
*デロイトトーマツ=コンサルティング事業・ファイナンシャルアドバイザリー事業の合計
*KPMG = アドバイザリー事業
*EY = アドバイザリー事業・TAS(トランザクション アドバイザリー)事業の合計
BIG4の違い④コンサルティング事業の成長率
外資系コンサルティングBIG4の違い。
つづいては
「コンサルティング事業の成長率(グローバル)」
ここでは
コンサルティング事業における業務収入について。2009年から2016年までの平均成長率の違いをみていきましょう。
すると…
・第1位: デロイトトーマツ(平均109.9%)
・第2位: PwC(平均109.7%)
・第3位: EY(平均109%)
・第4位: KPMG(平均106.9%)
こんな感じの順位になります。
繰り返しにはなりますが
コンサルティング業界の成長率は年率4%くらい(海外調査会社より)。したがって、どの企業もマーケットをうわまわる成長を実現しています。
なぜ好調となっているのか?
理由の分析は…
- 新興国の成長
とくに新興国で
マーケットは年々成長している - 経営課題は昔よりも増えている
グローバルで複雑化した時代になり、
下っ端〜ミドルマネジメント〜経営層まで
それぞれの課題は増えるばかり。
手っ取り早く解決するためにコンサルを雇う。 - ITとかテクノロジーの進歩
IoT、AI、クラウドとかいろいろ。
最新テクノロジーに乗り遅れないようコンサル雇う - M&A
あとは単純な事業買収・合併による拡大
こんな感じなのかと推測します。
とにかく経営に関する課題って決してなくならないのですよね。
▼ 外資系コンサルBIG4の成長率推移(FY2009-FY2016): コンサル事業のみ
FY2016 | FY2015 | FY2014 | FY2013 | FY2012 | FY2011 | FY2010 | AVG | |
デロイト |
107.2% |
106.3% |
109.1% |
106.5% |
113.8% |
114.7% |
111.8% |
109.9% |
PwC |
102.7% |
112.0% |
108.7% |
105.7% |
116.0% |
121.0% |
101.6% |
109.7% |
EY |
102.0% |
110.1% |
112.7% |
111.3% |
112.7% |
114.5% |
100.0% |
109.0% |
KPMG |
106.6% |
100.0% |
111.0% |
103.8% |
105.3% |
113.6% |
108.2% |
106.9% |
BIG4の違い⑤アジア地域での業務収入
外資系コンサルティングBIG4の違い。
つづいては
「コンサルティング事業の業務収入: アジアのみ」
先ほどまでグローバルでの
コンサルティング事業における業務収入をみてきました。
ただ就職・転職を考える上では
アジアでどれくらいのポジションにいるのかをみておくことも重要。
ほんらいであれば
日本法人の売上をみていくのがいいのですが…デロイトトーマツが非公開だったりするため、入手できるアジア地域の業務収入をまとめます。
外資系コンサルBIG4の
アジア地域での売上ランキングをまとめると…
・第1位 58億US$: PwC
・第2位 52億US$: デロイトトーマツ
・第3位 42億US$: EY
・第4位 41億US$: KPMG
為替を1US$=110円として計算すると
PwC・デロイトは業務収入おおよそ6000億円、わずかにPwCがリード。
No.3とNo.4は業務収入おおよそ4500億円、僅差でEYがリード。
いちおうランキングしましたが
BIG4のアジア地域でのアクティビティーは大差なく、どこがトップになってもおかしくない状況。
日本法人の売上を推測すると
どの企業もだいたい業務収入1000-2000億円の間におさまるものと思われます。
世界規模からしたら
どこも大したことはないですねぇ〜。日系企業も含めてライバルが多いからと推測。
▼ アジア地域: 外資系コンサルBIG4の業務収入推移(FY2009-FY2016)
FY2016 億US$ |
FY2015 億US$ |
FY2014 億US$ |
FY2013 億US$ |
FY2012 億US$ |
FY2011 億US$ |
FY2010 億US$ |
FY2009 億US$ |
|
デロイト | 52 | 50 | 48 | 49 | 49 | 42 | 36 | 34 |
PwC | 58 | 57 | 55 | 53 | 54 | 51 | 42 | 38 |
EY | 42 (10) |
41 (10) |
40 (11) |
41 | 41 | 38 | 33 | 31 |
KPMG | 41 | 38 | 39 | 39 | 41 | 40 | 34 | 31 |
*PwC, KPMG, デロイトトーマツ = パシフィック地域(オーストラリア・ニュージーランド)を含む
*EYは日本法人の公開情報あり( )内にて記載
BIG4の違い⑥アジア地域でのコンサルティング事業成長率
外資系コンサルティングBIG4の違い。
つづいては
「コンサルティング事業の成長率(アジア限定)」
アジア地域でBIG4がどれだけ収入を伸ばしているのか?
ランキングしてみましょう。
アジア地域でのコンサルティング事業について
2009年から2016年までの平均成長率の違いをみていきましょう。
すると…
・第1位: デロイトトーマツ(平均106.5%)
・第2位: PwC(平均106.4%)
・第3位: EY(平均104.6%)
・第4位: KPMG(平均104.3%)
こんな感じの順位になります。
なんどもしつこいですが
コンサルティング業界のグローバル成長率は年率4%くらい(海外調査会社より)。したがって、どの企業もマーケットをうわまわる成長を実現しています。
ただ新興国のおおいアジア地域においてこの成長率ではちょっと物足りないような気が…
▼ 外資系コンサルBIG4の成長率推移(FY2009-FY2016): アジア地域コンサル事業のみ
FY2016 | FY2015 | FY2014 | FY2013 | FY2012 | FY2011 | FY2010 | AVG | |
DT |
104.0% |
104.2% |
98.0% |
100.0% |
116.7% |
116.7% |
105.9% |
106.5% |
PwC |
101.8% |
103.6% |
103.8% |
98.1% |
105.9% |
121.4% |
110.5% |
106.4% |
EY |
102.4% |
102.5% |
97.6% |
100.0% |
107.9% |
115.2% |
106.5% |
104.6% |
KPMG |
107.9% |
97.4% |
100.0% |
95.1% |
102.5% |
117.6% |
109.7% |
104.3% |
BIG4の違い⑦従業員数
外資系コンサルティングBIG4の違い。
つづいては
「従業員数(グローバル)」
もうそろそろ疲れてきたので適当になりますが、ほとんど誤差の範囲。とくに違いはありません。売上規模を考えると相応の従業員数であるかと…
そして重要なポイントですが
売上の伸びとおなじくらい従業員数も増えています。
これの意味するところは…
新卒なり中途の新規採用をグローバルで増やしているということですね。