「お見送りいただきたく存じます」意味と使い方・ビジネスメール例文

「お見送りいただきたく存じます」の意味、ビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい使い方、注意点について。

ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。

※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ

意味と敬語

「お見送りいただきたく存じます」は「見送ってもらいたいと思います」という意味。

なぜこのような意味になるのか?

そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。

“見送る”の意味

見送る(読み:みおくる)のそもそもの意味は…

  1. 遠ざかる物や人をその後方で眺める。
  2. 出発する人をその場所まで行って送る。
  3. やりすごす。さしひかえる。
  4. 人が死ぬまで世話をする。
  5. 葬送する。

というように色々あり。

たとえば、

【例文】受付で客を見送る →「眺める」の意味

【例文】部長を空港まで見送る →「送る」の意味

【例文】マイホームの購入を見送る →「控える」の意味

のようにして使います。

ちなみに敬語は「見送る」に尊敬語or謙譲語「お(ご)」で「お見送り」というようになります。

「自分がお見送りする」のであれば謙譲語としての使い方。

上司・目上・取引先などの「相手がお見送りくださる」のであれば尊敬語としての使い方。

というように2パターンあります。

“お見送りいただきたく”の意味は「見送ってもらいたい」

まずは前半部分。

“お見送りいただきたく”の意味は、

見送ってもらいたい

見送ってもらいたく

のように解釈できます。

お見送りのもとになる単語は”見送る”であり、”〜してもらう”の謙譲語「お(ご)~いただく」をつかって敬語にしています。

“いただきたく”の部分は謙譲語”いただく”に意思・希望「〜したい」をつかっています。

ちなみに”お見送り”の「お(ご)」の部分は向かう先を立てるために使う敬語であり謙譲語の「お(ご)」です。

余談ですが尊敬語にも「お(ご)」の使い方があり混同しがち。

難しく感じるかたは「お(ご)●●いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。

なお表記は、

漢字表記「お見送り頂きたく」vs. ひらがな表記「お見送りいただきたく」の両方ともOK。どちらをつかっても正しい敬語です。

“存じます”の意味は「思います」

つづいて後半部分。

“存じます”の意味は「思います」

“思う”の敬語(謙譲語)「存じる」に丁寧語”ます”をつかって敬語にしています。

あわせると意味は「見送ってもらいたいと思います」

  1. お見送り = 見送ること
  2. お(ご)~いただきたく = 「〜してもらいたい」の意味の敬語(謙譲語)
  3. 存じます = 「思います」の意味の敬語(謙譲語+丁寧語)

※漢字表記「お見送り頂きたく」vs. ひらがな表記「お見送りいただきたく」の両方ともOK。

これらの単語を合体させて意味を考えます。

すると「お見送りいただきたく存じます」の意味は…

「見送ってもらいたいと思います」

であり、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

「見送ってください!」とストレートに言うのではなく遠回しに自分の意思や気持ちをつたえる、とても丁寧なフレーズですね。

ニュアンスとしては「見送ってもらいたいと思うのだけど…」みたいなイメージ。

あまりに堅苦しくて大げさかもしれませんが、とにかく目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズになります。

敬語の解説

ややこしいので、これまでの敬語の解説をまとめておきます。

「お見送りいただきたく存じます」を敬語としてみていくと以下のとおりに成り立ちます。

  • もとになる単語「見送る」
  • “〜してもらう”の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「お見送りいただく」
  • 意思・希望”〜したい”で「お見送りいただきたい」
  • “思う”の謙譲語「存じる」に丁寧語”ます”をくっつけて「存じます」

→ すべてあわせると「お見送りいただきたく存じます」という敬語の完成

このようにして元になる語「見送る」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。

相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

なお「お見送りしていただきたく存じます」は間違い敬語となりますのでご注意を。

この場合、謙譲語「お(ご)」をなくして「見送っていただきたく存じます」とすれば正しい敬語になります。

理由は長くなるので省きますが、あくまでも「お見送りいただきたく存じます」をつかうことをオススメします。

それでは次項より使い方についても見ておきましょう。

【使い方】見送ってほしい!と伝えるビジネスシーン

「お見送りいただきたく存じます」の使い方は…

意味のとおりで何かしら「見送ってほしい!」と言いたいビジネスシーンに使います。

①おもにビジネスメールに使われる

「お見送りいただきたく存じます」の使い方その1

「お見送りいただきたく存じます」にかぎらず「〜いただきたく存じます」という表現は電話対応や商談よりも、どちらかというとビジネスメールで多くつかいますね。

会話でつかうにはあまりに堅苦しいフレーズだからです。

だからと言って電話対応などにつかったら失礼とかではなく、堅苦しいというだけ。

ようするにビジネスメールで上司や目上・社外取引先に「見送ってほしい!」と言いたいシーンであれば使えます。

②電話対応・会話では”お見送りいただけますか?”など推奨

「お見送りいただきたく存じます」の使い方その2

わたし個人としては電話対応や会話シーンに「お見送りいただきたく存じます」のような堅苦しいフレーズをつかうのがあまり好きではありません。

そこで、

  • 【例文】お見送りください
  • 【例文】お見送りくださいませ
  • 【例文】お見送りいただけますか?
  • 【例文】お見送りいただけますでしょうか?

など会話シーンにふさわしい、ちょっとカジュアルな敬語をつかって意思や希望をつたえますね(下の例文ほど丁寧な敬語になります)。

とくに「〜いただけますか?」サラッと言えるためビジネスシーンで重宝するフレーズです。

※「~いただけますか?」の意味は「~してもらえますか?」

※「~いただけますでしょうか?」の意味は「~してもらえますでしょうか?」

会話シーン例文:xxを見送ってほしい

  • 【例文】出張と重なってしまいましたので、8月の販売会議は開催をお見送りいただけますでしょうか?
  • 【例文】新しい備品の購入はお見送りいただけますか?
  • 【例文】xx部長を空港までお見送りいただけますか?

※「すでに見送ってもらえましたか?」と催促・確認するときは過去形「お見送りいただけましたか?」「お見送りいただけましたでしょうか?」とすると丁寧。

敬語の補足

念のため「お見送りいただけますか?」「お見送りいただけますでしょうか?」の敬語について少し。

  • “見送る”に「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「お見送りいただく」
  • 可能形にして「お見送りいただける」
  • さらに丁寧語”ます”で「お見送りいただけます」
  • 疑問形にして「お見送りいただけますか?」

“〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」を使うと「お見送りいただけますでしょうか?」

どちらの表現も謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。

どちらかというと「〜いただけますでしょうか?」のほうが丁寧なのですが…

バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけますか?」でも十分に丁寧です。

“お見送りいただければと存じます”だとなお丁寧

“見送ってほしい!”と言いたいときに使える敬語。

「お見送りいただきたく存じます」でも十分に丁寧ではありますが…

「お見送りいただければと存じます」とすると、より丁寧な敬語になります。

意味と敬語

どちらも言いたいことは結局のところ「見送ってほしい」なのですが…

「お見送りいただければと存じます」の意味は…

「見送ってもらえたらと思います」と解釈できます。

謙譲語「お見送りいただく」を可能形にして「お見送りいただける」とし、

さらに仮定の「たら・れば」をくっつけると「お見送りいただければ」という敬語の完成。

かな〜り遠回しにお願いをしているわけで、目上・上司・取引先への言葉づかいとしてはこの上なく丁寧ですね。

そんなに丁寧にする必要あるの?って思うくらい。

違いと使い分け

「お見送りいただきたく存じます」vs.「お見送りいただければと存じます」の違いと使い分けについて簡単に。

  • 「お見送りいただきたく存じます」だと意味は「見送ってもらいたいと思います」
    → 敬語は”お(ご)~いただく”+希望”~したい”+謙譲語”存じる”+丁寧語”ます”

いっぽうで、

  • 「お見送りいただければと存じます」の意味は「見送ってもらえたらと思います」
    → 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形”いただける”仮定”たら・れば”+謙譲語”存じる”+丁寧語”ます”

「お見送りいただきたく存じます」だと「~してもらいたい」と言いながらも「思います」として、遠回しにあなたの希望を伝える敬語にしています。

いっぽうで、

「お見送りいただければと存じます」だと「~してもらえたらと思います」というように、もっと遠まわしかつ大げさなお願いのフレーズになります。

まぁ、どちらも丁寧な敬語であり使い分けの必要はありませんが…

より丁寧なメールがもとめられるシーンでは「お見送りいただければと存じます」を使うとよいでしょう。

シンプルに”お見送り頂きたくお願い致します”でも丁寧

“見送ってほしい!”と言いたいときに使える敬語。

「お見送りいただきたく存じます」「お見送りいただければと存じます」だけでなく、

「お見送りいただきたく、お願い致します」もあります。

言いたいことは結局のところ「見送ってほしい」なのですが…

“存じます”ばかりのメールは気持ち悪い

ビジネスメールで「存じます」つまり「思います」を多用すると気持ち悪い文章になってしまいます。

あなたの意思が伝わらずぼんや〜りとしたメールになって「結局なにが言いたいの?」ということになりかねません。

そんなときに活躍するのが「お見送りいただきたく、お願い致します」です。

「お見送りいただきたく存じます」だと「見送ってもらいたいと思います」という意味であり、

「お見送りいただきたく、お願い致します」だと「見送ってもらいたい、お願い!」というような意味になります。

敬語としてはどちらも、これでもかというくらい丁寧なので使い分けする必要はありません。

文章のバランスを考えてお好みでお使いください。

敬語の解説

一応「お見送りいただきたく、お願い致します」の敬語の成り立ちをまとめておきます。

  • もとになる単語「見送る」
  • “〜してもらう”の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「お見送りいただく」
  • 意思・希望”〜したい”で「お見送りいただきたい」
  • “願う”に謙譲語”お(ご)〜いたす”で「お願いいたす」
  • 丁寧語”ます”をくっつけて「お願いいたします」

→ すべてあわせると「お見送りいただきたく、お願いいたします」という敬語の完成

※「お願い申し上げます=お願いいたします」言い換えOK

※「お願いいたします」の表記は漢字「お願い致します」としてもOK

謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

したがって上司・目上やビジネスメールで使うのにふさわしい表現、と言えるでしょう。

ほかにも使える丁寧な敬語

これまで紹介した例文のほかにも…

  • 【例文】お見送りいただければ幸いです
    ※意味は「見送ってもらえたら嬉しいです」
  • 【例文】お見送りいただけますと幸いです
    ※意味は「見送ってもらえると嬉しいです」
  • 【例文】お見送りいただけましたら幸いです
    ※意味は「見送ってもらえたら嬉しいです」
  • 【例文】お見送りいただければ幸甚に存じます
    ※意味は「見送ってもらえたら、とても嬉しく思います」
  • 【例文】お見送りいただけますと幸甚に存じます
    ※意味は「見送ってもらえると、とても嬉しく思います」
  • 【例文】お見送りいただけましたら幸甚に存じます
    ※意味は「見送ってもらえたら、とても嬉しく思います」

なども似たような意味であり、とても丁寧な敬語です。

敬語の補足

※ 幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

※ 「幸い」は「幸せであること、嬉しい気持ち」の意味

※ 「存じる」は「思う」の謙譲語

※ 「いただきたく」は謙譲語「いただく」+希望「~したい」

※ 「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」

※ 「いただけましたら」は謙譲語「いただく」+可能形+丁寧語「ます」+仮定「たら・れば」

ビジネスメール例文

こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。

ここでは「お見送りいただきたく存じます」の使い方をビジネスメール例文とともにご紹介。

どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。

なおビジネスメールにおいては以下の敬語もオススメです。

① それなりに丁寧「お見送りくださいませ」

② 丁寧「お見送りいただければと存じます」

③ かなり丁寧「お見送りいただければ幸いです」など

④ ↓とくにビジネスメール結び/文末につかう↓

「お見送り頂きますようお願い申し上げます」

「お見送りくださいますようお願い致します」

ビジネスメール例文:来客を見送ってほしい

メール件名:お願い

生産部 xx 様

お疲れ様です。

たびたび失礼いたします。

先般お願いいたしました4/20三井化学来訪の件、帰りの交通アレンジを失念しておりました。小職、別件があるためお見送りすることが困難な状況です。

つきまして大変恐れ入りますが、どなたかお手すきの方がいらっしゃいましたら工場見学のあと顧客をxx空港までお見送りいただきたく存じます。

先方は3名ですので、車1台をご用意いただけますと大変助かります。

ご多忙とは存じますが、
ご対応の程よろしくお願い申し上げます。

***************
メール署名
***************

結局どれがもっとも丁寧?