「お控えいただきたく存じます」意味と使い方・ビジネスメール例文

「お控えいただきたく存じます」の意味、ビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい使い方、注意点について。

ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。

なお…

ビジネスシーンで相手になにか控えて(やめて)もらいたいときには「ご遠慮」をつかうのが一般的です。

「ご遠慮いただければ幸いです」意味と使い方・メール例文

「控えてください」の意味・より丁寧な言い換え敬語

※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ

意味と敬語

「お控えいただきたく存じます」は「控えてもらいたいと思います」という意味。

なぜこのような意味になるのか?

そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。

控えるの意味

控える(ひかえる)の意味は…

  1. 待つ・待機する
  2. そばにいる
  3. 空間・時間が迫っている、近くに位置する、近くに予定される
  4. 度を越さないように、分量・度数などを少なめにおさえる。節制する
  5. 自制や配慮をして、それをやめておく。見合わせる

たとえば、

【例文】面接会場の外で控える →「待つ」の意味

【例文】最後の大会が8月に控えている →「迫る」の意味

【例文】ダイエット中にお酒を控える →「やめておく」の意味

のようにして使います。

ちなみに敬語はにするときは尊敬語or謙譲語「お(ご)」で「お控え」というようにします。

「自分がお控えする」のであれば謙譲語としての使い方。

上司・目上・取引先などの「相手がお控えくださる」のであれば尊敬語としての使い方。

“お控えいただきたく”の意味は「控えてもらいたい」

まずは前半部分。

“お控えいただきたく〜”の意味は、

「控えてもらいたい〜」
「控えてもらいたく〜」

のように解釈できます。

お控えのもとになる単語は”控える”であり、”〜してもらう”の謙譲語「お(ご)~いただく」をつかって敬語にしています。

“いただきたく”の部分は謙譲語”いただく”に意思・希望「〜したい」をつかっています。

ちなみに”お控え”の「お(ご)」の部分は向かう先を立てるために使う敬語であり謙譲語の「お(ご)」です。

余談ですが尊敬語にも「お(ご)」の使い方があり混同しがち。

難しく感じるかたは「お(ご)●●いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。

“存じます”の意味は「思います」

つづいて後半部分。

“存じます”の意味は「思います」

“思う”の敬語(謙譲語)「存じる」に丁寧語”ます”をつかって敬語にしています。

あわせると意味は「控えてもらいたいと思います」

  1. お控え = 控えること
  2. ご・お~いただきたく = 「〜してもらいたい」の意味の敬語(謙譲語)
  3. 存じます = 「思います」の意味の敬語(謙譲語)

※ 控えるの意味は「①待つ」「②そばにいる」「③近い」「④自制する」「⑤やめておく」のどれか

これらの単語を合体させて意味を考えます。

すると「お控えいただきたく存じます」の意味は…

「控えてもらいたいと思います」

であり、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

「控えてください!」とストレートに言うのではなく遠回しに自分の意思や気持ちをつたえる、とても丁寧なフレーズですね。

ニュアンスとしては「控えてもらいたいと思うのだけど…」みたいなイメージ。

あまりに堅苦しくて大げさかもしれませんが、とにかく目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズになります。

敬語の解説

ややこしいので、これまでの敬語の解説をまとめておきます。

「お控えいただきたく存じます」を敬語としてみていくと以下のとおりに成り立ちます。

  • もとになる単語「控える」
  • “〜してもらう”の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「お控えいただく」
  • 意思・希望”〜したい”で「お控えいただきたい」
  • “思う”の謙譲語「存じる」に丁寧語”ます”をくっつけて「存じます」

→ すべてあわせると「お控えいただきたく存じます」という敬語の完成

このようにして元になる語「控える」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。

相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

なお「お控えしていただきたく存じます」は間違い敬語となりますのでご注意を。

この場合、謙譲語「お(ご)」をなくして「控えていただきたく存じます」とすれば正しい敬語になります。

理由は長くなるので省きますが、あくまでも「お控えいただきたく存じます」をつかうことをオススメします。

それでは次項より使い方についても見ておきましょう。

使い方・ビジネスメール例文

こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。

ここでは「お控えいただきたく存じます」の使い方をビジネスメール例文とともにご紹介。

どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。

【基本の使い方】控えてほしい!と伝えるビジネスメール

「お控えいただきたく存じます」の使い方

文字どおり何かしら「控えてほしい!」と言いたいときのビジネスメールに使います。

取引先など社外あてに限らず、上司や目上など社内あてのメールにも使える丁寧なフレーズですね。

たとえば、

  • 【例文】xxをお控えいただきたく存じます。
  • 【例文】xxはお控えいただきたく存じます。

※ 控えるの意味は「①待つ」「②そばにいる」「③近い」「④自制する」「⑤やめておく」のどれか

のようにして何かの依頼・お願いをともなうビジネス文書やビジネスメールに使われます。

ようするに「控えてほしい!」という意味なのですが丁寧な敬語にすると、こんな風にややこしい文章になります。

ビジネスメール例文:マナーを欠く行為は控えてほしい

メール件名:【全社】懇親会開催のご案内

●●グループ
社員の皆さま (社内全員)

お疲れ様です。
幹事を務めさせて頂きます、総務部・ノマドと申します。

さて首記の件、日頃のご慰労をかねて●●グループ全社の懇親会を下記のとおり開催いたします。

仕事では関わることの少ない部署間の交流を深めるための、懇親の場といたしたく存じます。
皆様お誘い合わせの上、ぜひご参加ください。

どうぞよろしくお願いいたします。

①日時:1月30日(木)18:30~
※本社1階に18:00集合 → 移動
②場所:●●ホテル15階
※地図を別途添付いたします
③会費:1000円/人(当日受付にて徴収)
④緊急連絡先:
・xxx(幹事・ノマド)
・xxx(副幹事・野間子)

なお会場は貸切となりますが、ホテルには宿泊の方々・ゲストもいらっしゃいます。マナーを欠くような行為はくれぐれもお控えいただきたく存じます。

以上

************
幹事
総務部 ノマド
************

※「周囲の方々へ十分にご配慮いただきますようお願い申し上げます」というように「ご配慮」をつかった言い換えもOK

※ また「ご遠慮」を使っても丁寧

公式なメールで箇条書きを使うときには「記~箇条書き~以上」のようにする。「記」は中央ぞろえ、「以上」は右寄せだが、ビジネスメールでは相手のメール環境によってレイアウトが崩れるのでどちらも左寄せでよい

“お控えいただければと存じます”だとなお丁寧

“控えてほしい!”と言いたいときに使える敬語。

「お控えいただきたく存じます」でも十分に丁寧ではありますが…

「お控えいただければと存じます」とすると、より丁寧な敬語になります。

たとえば、

  • 【例文】xxをお控えいただければと存じます。
  • 【例文】xxはお控えいただければと存じます。

※ 控えるの意味は「①待つ」「②そばにいる」「③近い」「④自制する」「⑤やめておく」のどれか

のようにして使います。

意味と違い・使い方

どちらも言いたいことは結局のところ「控えてほしい」なのですが…

敬語の使い方に違いあり。

謙譲語「いただく」に仮定の「たら・れば」をくっつけると「いただければ」という敬語になります。

したがって「お控えいただければと存じます」のニュアンスとしては「よかったら控えてもらえたらと思うのだけど」というような感じになります。

「お控えいただきたく存じます」でも遠回しにあなたの希望を伝える敬語なのですが…

「お控えいただければと存じます」だともっと大げさになります。

かな〜り遠回しにお願いをしているわけで、目上・上司・取引先への言葉づかいとしてはこの上なく丁寧ですね。

そんなに丁寧にする必要あるの?って思うくらい。

まぁ、ひとつのオプションとしてお好みでお使いください。

シンプルに”お控え頂きたくお願い致します”でも丁寧

“控えてほしい!”と言いたいときに使える敬語。

「お控えいただきたく存じます」「お控えいただければと存じます」だけでなく、

「お控えいただきたく、お願い致します」もあります。

言いたいことは結局のところ「控えてほしい」なのですが…

たとえば、

  • 【例文】xxをお控えいただきたく、お願い致します。
  • 【例文】xxはお控えいただきたく、お願い申し上げます。

※ 控えるの意味は「①待つ」「②そばにいる」「③近い」「④自制する」「⑤やめておく」のどれか

のようにして使います。

“存じます”ばかりのメールは気持ち悪い

ビジネスメールで「存じます」つまり「思います」を多用すると気持ち悪い文章になってしまいます。あなたの意思が伝わらずぼんや〜りとしたメールになって「結局なにが言いたいの?」ということになりかねません。

そんなときに活躍するのが「お控えいただきたく、お願い致します」です。

「お控えいただきたく存じます」だと「控えてもらいたいと思います」という意味であり、

「お控えいただきたく、お願い致します」だと「控えてもらいたい、お願い!」というような意味になります。

敬語としてはどちらも、これでもかというくらい丁寧なので使い分けする必要はありません。

文章のバランスを考えてお好みでお使いください。

敬語の解説

一応「お控えいただきたく、お願い致します」の敬語の成り立ちをまとめておきます。

  • もとになる単語「控える」
  • “〜してもらう”の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「お控えいただく」
  • 意思・希望”〜したい”で「お控えいただきたい」
  • “願う”に謙譲語”お(ご)〜いたす”で「お願いいたす」
  • 丁寧語”ます”をくっつけて「お願いいたします」

→ すべてあわせると「お控えいただきたく、お願いいたします」という敬語の完成

※「お願い申し上げます=お願いいたします」言い換えOK

※「お願いいたします」の表記は漢字「お願い致します」としてもOK

謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

したがって上司・目上やビジネスメールで使うのにふさわしい表現、と言えるでしょう。

ほかにも使える丁寧な敬語

これまで紹介した例文のほかにも…

  • 【例文】お控えいただければ幸いです
    ※意味は「控えてもらえたら嬉しいです」
  • 【例文】お控えいただけますと幸いです
    ※意味は「控えてもらえると嬉しいです」
  • 【例文】お控えいただけましたら幸いです
    ※意味は「控えてもらえたら嬉しいです」
  • 【例文】お控えいただければ幸甚に存じます
    ※意味は「控えてもらえたら、とても嬉しく思います」
  • 【例文】お控えいただけますと幸甚に存じます
    ※意味は「控えてもらえると、とても嬉しく思います」
  • 【例文】お控えいただけましたら幸甚に存じます
    ※意味は「控えてもらえたら、とても嬉しく思います」

なども似たような意味であり、とても丁寧な敬語です。

敬語の補足

※ 幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

※ 「幸い」は「幸せであること、嬉しい気持ち」の意味

※ 「存じる」は「思う」の謙譲語

※ 「いただきたく」は謙譲語「いただく」+希望「~したい」

※ 「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」

※ 「いただけましたら」は謙譲語「いただく」+丁寧語「ます」+仮定「たら・れば」

結局どれがもっとも丁寧?

あまりにも言い換え敬語フレーズがおおいので、どれを使うべきか迷ってしまうというあなたのために。

これまで紹介しきれなかった敬語もふくめ丁寧レベルごとにまとめておきます。

※ あくまでも目安としてお考えください。

①会話・電話対応につかえる丁寧レベル

下になればなるほど丁寧な敬語になります。また、おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。

  1. お控えください
  2. お控えくださいませ
  3. お控えいただけますか?
  4. お控えいただけますでしょうか?

②ビジネスメール対上司・対社内につかえる丁寧レベル

おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。

  1. お控えください
  2. お控えくださいませ
  3. お控えいただけますか
  4. お控えいただけますでしょうか
  5. お控えいただきたく、お願い致します
  6. お控えいただきたく存じます
  7. お控えいただければと存じます
  8. お控えくださいますようお願い申し上げます
  9. お控えいただきますようお願い申し上げます
  10. お控えいただけますようお願い申し上げます

注)上下関係に厳しい上司や、社内でも相当のポジションにいる人にたいしては例文⑤以降あるいは次項のフレーズをつかいましょう。

・「存じる」は「思う」の謙譲語

・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+希望”~したい”

・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定”たら・れば”

・「いただけましたら」は謙譲語「いただく」+丁寧語”ます”+仮定”たら”

③ビジネスメール対取引先・対顧客につかえる丁寧レベル

おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。

  1. お控えくださいませ
  2. お控えいただきたく、お願い致します
  3. お控えいただきたく存じます
  4. お控えいただければと存じます
  5. お控えいただきますようお願い申し上げます
  6. お控えいただけますようお願い申し上げます
  7. お控えくださいますようお願い申し上げます
  8. お控えいただければ幸いです
  9. お控えいただければ幸甚に存じます
  10. お控えいただけましたら幸いです
  11. お控えいただけますと幸いです
  12. お控えいただけますと幸甚に存じます
  13. お控えいただけましたら幸甚でございます
  14. お控えいただけましたら幸甚に存じます

補)「お願い申し上げます=お願い致します」に言い換えOK

補)幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

・「存じる」は「思う」の謙譲語

・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+希望”~したい”

・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定”たら・れば”

・「いただけましたら」は謙譲語「いただく」+丁寧語”ます”+仮定”たら”

④最上級の丁寧レベル

おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。

  1. お控え賜りますようお願い申し上げます
  2. お控えいただければ幸いです
  3. お控えいただければ幸甚に存じます
  4. お控えいただけましたら幸いです
  5. お控えいただけましたら幸甚でございます
  6. お控えいただけましたら幸甚に存じます

・「お願い申し上げます=お願い致します」に言い換えOK

・幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

・賜る(たまわる)は公式なビジネス文書や手紙によくつかう

“お控えいただく vs お控えくださる”の使い方

ややこしいので「お控えいただく vs お控えくださる」の使い方について。

代表的なパターンを表にまとめておきます。

こまかく解説していくとそれだけで記事がおわってしまいますので、目的にあわせてお使いください。

“お控えいただく”の使い方まとめ(すべて敬語)

①基本 ②+丁寧語”ます” ③その他
現 在 お控えいただく お控えいただきます -頂くよう
-頂きますよう
過 去 お控えいただいた お控えいただきました ×
進行形 お控えいただいている お控えいただいています -頂いております
過去~現在 お控えいただいていた お控えいただいていました -頂いておりました
希 望
依 頼
お控えいただきたい
お控えいただきたく
お控えいただくよう
お控えいただきたいです
お控えいただきますよう
お控えいただけますよう
-頂きたく思います
-頂きたく存じます
-頂ければと存じます
可 能 お控えいただける お控えいただけます -頂けるよう
-頂けますよう
仮 定 お控えいただければ お控えいただけましたら ×
疑 問 お控えいただけるか? お控えいただけますか? -頂けますでしょうか
禁 止 お控えいただけない お控えいただけません ×
命 令 × × ×

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります。

※ 「頂く」「いただく」は漢字でも平仮名でもOK

※「×」としたのは一般的につかわない

“お控えくださる”の使い方まとめ(すべて敬語)

①基本 ②+丁寧語”ます” ③その他
現 在 お控えくださる お控えくださいます -くださるよう
-くださいますよう
過 去 お控えくださった お控えくださいました ×
進行形 お控えくださっている お控えくださっています -くださっております
過去~現在 お控えくださっていた お控えくださっていました -くださっておりました
希 望
お控えくださるよう お控えくださいますよう ×
可 能 × × ×
仮 定 × × ×
疑 問 お控えくださるか? お控えくださいますか? ×
否 定 お控えくださらない お控えくださいません ×
命 令 お控えください お控えくださいませ ×

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります

※ 「下さる」「くださる」は漢字でも平仮名でもOK

※「×」としたのは一般的につかわない