【2019年版】年収の低い薄給企業ランキング。この記事では平均年収300万円以下の企業5社および、ランキング・ワースト100までを紹介します。
2018年3月期あるいは同等の有価証券報告書からくる、最新の平均年収ワーストランキングです。就職・転職のご参考にどうぞ。
※「ホールディングス=HD」と省略。
【2019年版】年収の低い薄給企業ランキング100
ランキング・ワースト1-50位
平均年収だけでなく業種、平均年齢、平均勤続年数、従業員数、売上高、当期純利益も掲載しておく。ちょっと見にくいけどご了承を…
50-100位
ランキング・ワースト50-100は平均年収、業種、売上、当期純利益のみにとどめておく。
平均年収の低い企業の特徴3つ
平均年収の低い企業にはいくつか、特徴がある。まずはその点について簡単に解説を。
1. 仕事が簡単で頭脳を必要としない
じつは給料の低い企業のほとんどは、この問題をかかえている。
誰でもできるような仕事、頭脳を必要としない仕事が多い企業は必然的に給料も低くなる。なぜなら給料が低くても働く人材はいくらでも居るから。人手不足ならテキトーな外人を連れてこれば良い訳だし。
たとえばショップで日々接客するだけのヒトと、あたらしいスマホの研究をしているヒトとでは給料が違って当たり前である。
そういった意味で、アパレルショップの社員、居酒屋店員、クリーニング店の社員、介護の仕事、警備員の仕事、清掃、サービス業界、小売業界…などはどう頑張っても給料低い。
2. 平均年齢が20代~30代前半
画像でしめした薄給企業ランキング・ワースト1-50位までを見ると、50社のうち13社が平均年齢20代である。そして平均年齢36歳以下ともなると、おおよそ半分に達する。
これはとくにアパレルやサービス、小売業界に多い。たとえばアパレルブランドのサマンサタバサ(平均年収306万円・平均年齢27.3歳)が良い例である。
もちろん日本の企業は年功序列の給料体系がほとんど。年齢が高いほど年収も高い。平均年齢が20代ないしは30代前半であれば、その先に上がっていくことが予測されるので、そこまで心配する必要は無いのかもしれない。
なお平均年齢が低いパターンには大きく2つある。①離職率が高くヒトが定着しない、②起業して間もないベンチャー。言うまでもなく①は給料に見合わない仕事だと考えられる。
したがって就職・転職先を決めるときには平均勤続年数もしっかりと見よう。
3. 業績が悪い、あるいは薄利
当然のことながら、儲かっていない企業は社員に給料として還元することもできない。薄給企業ランキング・ワースト1-50位までを見ると、50社のうち9社が2017-2018年に最終赤字決算をしている。
たとえばワースト4位のミサワ、ワースト8位のショクブンなどはいつ潰れてもおかしく無い。なおワースト5位のシベール(ラスク・菓子メーカー)は2019年に経営破綻した。
給料うんぬんの前に、存続する価値のない万年赤字企業はドンドン淘汰されていくのが経済原則である。
そんな泥舟に乗ってしまわないように、せめて就職・転職する先の企業の経営状況くらいはしっかりと見ておこう。
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その他、理由を挙げればキリはない。企業が属する業界によっても年収の高い低いがあるし、リタイアして再雇用したおっさんしかいないような小規模の会社も平均年収が低い。
でも概ね上記3つの理由でたいていは説明がつくと思う。
薄給企業ワースト10の特徴、解説
上位にランクインしているのは、いわゆる大手企業ではなくほとんど誰も知らない企業と思われるためワースト10については企業の補足とコメントをしておく。
No.1 トスネット|平均年収253万円
宮城県仙台市に本社をおく警備会社。東北地方を中心に、東京・神奈川などにも展開しているローカル警備会社である。
従業員は建築現場や工事現場、ビルなどの警備員がメインということになる。これらの仕事は大きな付加価値を生み出さず、頭の良さなども一切必要ないため一般的に年収が低い。
でも平均年齢40.3歳で平均年収250万円そこそこって、ちょっとヒドくないか??
と思うけど言ってしまえば誰でもできる仕事であるうえに、たいして価値を生み出さない仕事なのだから仕方ない。
しかし勤続年数は8.8年とそんなに悪くない。すくなくともブラックな労働環境では無いだろう。
No.2 エヌリンクス|平均年収270万円
2010年設立のベンチャー企業。「ウェブxリアル」を掲げているが正直ナゾ企業である。ようは消費者むけITサービスの会社。部屋探しサポート「イエプラ」、ゲーム後略情報「アルテマ」、「営業代行」などのウェブサービスを手がけており、そこからの広告収入あるいは手数料で成り立っている。業績は右肩上がり、2018年4月にはマザーズ上場を果たした。
安定した収益を上げているのだから、さすがに給料に反映しなきゃダメじゃないか?と思う。若者のやりがいを搾取している恐れあり。平均年齢の若さ(28.3歳)と平均勤続年数の短さ(2年2ヶ月)がそれを物語っている。ちなみにベストベンチャー100に選出されるなど、外面はよい。
No.3 バナーズ|平均年収284万円
昭和25年「埼玉製糸」として創業の老舗企業。もともと繊維会社であったが今は不動産事業をメインとし、子会社で自動車販売をおこなうなど多角化している。
上場企業でありながら、売上・利益ともに小規模。細々と事業を継続しているが、事業拡大に対するヤル気をまったく感じない。6人のおっさんにより成り立っている会社で、おそらくその6人も別に給料が欲しくて働いている訳じゃないと思われる。あってもなくても誰も困らない会社。
No.4 ミサワ|平均年収297万円
家具・インテリア・雑貨などの輸入販売をするアパレル会社。「UNICO」の名前で全国のショッピングモールなどに展開している。
小売なので給料は低くても仕方ないけど、平均年収300万円以下って、バイトのほうがまだマシじゃないか…と思えるレベル。しかも平均勤続2.8年って本当にバイトみたい。ただし平均年齢29歳なので、年収は小売業界の平均値くらいなのかもしれない。
No.5 シベール|平均年収300万円
昭和45年創業。山形県に本社をおき、山形~仙台などでパン・ラスク・その他お菓子などを製造販売する食品メーカー。ラスクの成功で上場を果たしたが、近年は競争激化などで厳しい経営が続いていた。2019年1月に経営破綻し、上場廃止となったため今後どうなるかわからない、ともかく上場廃止なので来年からの薄給ランキングからは消える。
No.6 井筒屋|平均年収302万円
昭和10年創業の老舗企業。福岡県北九州市とその周辺地域に百貨店などを展開している。ローカル百貨店である。
平均年齢46.3歳にもかかわらず平均年収300万円そこそこ、というのはちょっと信じがたい数字である。平均勤続年数12.9年は、離職率の高い小売業界の中では決して悪い数字ではないものの、とりあえず年収低すぎ。おそらく派遣やバイトに置き換えても良いような人材を正社員で多く抱えているためと思われる(推測です)。でもまぁブラック企業臭はしない(平均勤続年数がそれなりに長いため)。
No.7 北日本紡績|平均年収304万円
昭和23年創業。石川県に本社をおき紡績などを手がける繊維メーカー。上場企業とはいえ売上・利益規模ともに中小サイズであり、吹けば飛ぶような会社である。
平均年齢43.5歳にもかかわらず平均年収300万円そこそこ。大卒・新人で年収300万円を余裕で超える企業もたくさんあることを考えると一体、世の中どうなっているのだろうと思う。格差社会?
とにかくビジネスを存続させる気すらも感じられない会社である。こんなのでも上場企業を名乗れるのだから、日本ってホントに素晴らしい国だ。
No.7 ショクブン|平均年収304万円
愛知県名古屋市に本社をおき、食材配達などを手がける会社。東海3県(愛知・岐阜・三重)に営業所をおおく持つ。
まず年収うんぬんの前に経営状況が悪すぎる。赤字決算が目立つうえ、2017年3月末時点で自己資本比率がたった12%しかない。つまり借金が多すぎて、いつ潰れてもおかしくない。
したがって薄給で当たり前、何も驚くべき点はない。
No.9 サマンサタバサ ジャパン リミテッド|平均年収306万円
女性にはお馴染みのアパレルブランド「サマンサタバタ」を手がける会社。外資系のようなネーミングだが、日本の上場企業である。日本のみならず海外展開もしており、米国・シンガポール・香港などにもショップを持っている。
平均年齢27.3歳と若いため年収が低くても驚きはない。さらに会社自体あまり儲かっていないし、そもそもブランドが陳腐化しつつあるため将来性に不安がある。腰掛け程度に就職・転職するならまぁ許容範囲かもしれない。
No.10 アップルインターナショナル|平均年収308万円
三重県四日市に本社をおく中古車販売の会社。スマホiPhoneなどで有名な米アップル社とは一切関係なし。以上。
同10位 光ハイツ・ヴェラス|平均年収308万円
北海道札幌市に本社をおく、老人ホームなどを手がける会社。札幌市などに高級老人ホームを展開している。
介護業界はもともと年収が低いことで有名、3K(キツイ・汚い・危険)な職場としても悪評高い。だけど経営状況は決して悪くなく、もう少し給料上げても良いんじゃないの?と個人的には思う会社のひとつ。まぁ北海道だから年収低くても生活には困らないのかも。
なお、年収にカウントされる従業員には常用パートもふくんでいるため、実際にはバイトのような仕事しかしない社員も年収計算に入れている。だから平均年収が低く出ているのかも。
どちらにせよ介護業界は年収1000万円超えるような高い給料は決して望めない(今のところ)。
年収の低い業界ランキング(正社員のみ)
ちなみに…
業界ごとにどうしても年収の高い低いがでてくる。あまり就職をオススメしない年収の低い業界ランキングもいちおうご紹介までに。ご参考にどうぞ。
正社員のみの統計を示しますが、派遣であっても傾向はおなじ。当たり前のことながら正社員の給料が低い会社は派遣の給料も低いですね。
※これから紹介するデータの出所はすべて厚生労働省(HPリンク)
ワースト1 宿泊業、飲食サービス|月給26.2万円
年収の低い業界ワースト1は宿泊業、飲食サービス業界。ホテル受付とか居酒屋・飲食店の社員などのこと。当業界における男女ごとの平均月給は以下のとおり。
- 男性 月給28.6万円 平均年齢42.3歳 平均勤続9.5年
- 女性 月給21.6万円 平均年齢40.6歳 平均勤続7.4年
- 男女計 月給26.2万円
※時間外・その他手当・ボーナス除く。6月に支払われた所定内給与の平均。
あとは企業ごとのボーナスや残業代によって年収が決まる。平均月給26.2万円という事はボーナスを仮に月給の4ヶ月分とすると年収419万円になる。
日本の労働人口の平均年齢が40歳そこそこであることを考えると40歳・平均年収419万円というとんでもない低年収の業界である。
なお全上場企業の平均年収はだいたい610万円くらいである(2018年度実績)。宿泊や飲食サービスの仕事がいかに年収の低い職業であるかが分かるだろう。もちろん企業・役職にもよるのだけど…
ワースト2 サービス業|月給28.5万円
年収の低い業界ワースト2はサービス業界。サービス業といっても色々あり、代表的なものには警備員とかアミューズメント関連、WEBサービス企業などがある。当業界における男女ごとの平均月給は以下のとおり。
- 男性 月給29.9万円 平均年齢45.4歳 平均勤続9.5年
- 女性 月給23.8万円 平均年齢42.0歳 平均勤続6.6年
- 男女計 月給28.5万円
※時間外・その他手当・ボーナス除く。6月に支払われた所定内給与の平均。
年収の低い企業ワースト10の2トップがサービス業界の企業であったことからも、年収の低い業界であることが分かる。
ここでは月給しか紹介していないが、あとは企業ごとのボーナスや残業代によって年収が決まる。平均月給28.5万円という事はボーナスを仮に月給の4ヶ月分とすると年収456万円になる。
日本の労働人口の平均年齢が40歳そこそこであることを考えると40歳・平均年収456万円というとんでもない低年収の業界である。独身なら生きていけるが、結婚して子供のいる家族だと日々の暮らしに困るレベルである。
なお全上場企業の平均年収はだいたい610万円くらい(2018年度実績)。
ワースト3 運輸業、郵便業|月給28.7万円
年収の低い業界ワースト3は運輸、郵便業界。代表的なものにはトラック運転手などがある。当業界における男女ごとの平均月給は以下のとおり。
- 男性 29.2万円 平均年齢47.2歳 平均勤続12.5年
- 女性 24.4万円 平均年齢41.6歳 平均勤続9.2年
- 男女計 月給28.7万円
平均年収は仮にボーナスを4ヶ月分とするならば460万円となる。全上場企業の平均年収が610万円であることを考えると年収は低い。
そして運輸業・郵便業の社員は平均年齢が高いので実際にはもっと低い年収となるだろう。
給料の高い業界は?
あとは気になる給料の高い業界は?というのを示したのが以下の画像。
※時間外・その他手当・ボーナス除く、6月に支払われた所定内給与の平均。出所は厚生労働省(HPリンク)
意外にも教育・学習支援業界が平均月収39.4万円でNo.1となっている。
教育関連は基本、知的労働であるため肉体労働をするブルーワーカーがいない。したがって給料の平均値としては高くなる。ボーナスを4ヶ月分とするならば平均年収630万円となり、上場企業の平均610万円を超える。
ただし、おなじホワイカラーの仕事であればメーカー(製造業)や金融のほうが年収は圧倒的に高い。この辺りは統計のトリックであるため語っても仕方ない。
また。
年収の低い業種としてあげたサービス業の中にも平均年収2994万円のM&Aキャピタルパートナーズ(M&A仲介)、同1777万円のストライク(M&A仲介)などのように年収の高い企業もあり、注意が必要。
あくまでこのランキングは傾向を判断するために使い、あとは個別企業ごとに検証しよう。