「拝聴したいです」と言いたい時につかえる丁寧な敬語を紹介する記事。
まずは簡単にまとめ。
「拝聴したいです」と言いたいときにはビジネスシーンにおうじて以下のような敬語をつかうと丁寧。
- 【丁寧】拝聴したく存じます。
- 【かなり丁寧】拝聴いたしたく存じます。
- 【かなり丁寧】拝聴させてください。
- 【バカ丁寧】拝聴させていただきたく存じます。
- 【その他】拝聴してもよろしいでしょうか。/拝聴できればと存じます。他
ざっくりとした解説はこれにて終了。
くわしくは本文中にてそれぞれの敬語の意味と使い方、注意点を述べていきます。
※長文になりますので、時間の無い方は「見出し」より目的部分へどうぞ。
①拝聴したく存じます
「拝聴したい」と言いたい時につかえる丁寧な敬語、その1「拝聴したく存じます」。
意味と使い方・例文
「拝聴したく存じます」の意味は「聞きたいと思います」。
敬語をつかっているため実際にはもっと丁寧なニュアンス。「聞きたいです!」と直接的に言うのではなく「聞きたいと思います」とすることでやんわ~りとしたお願いのフレーズになりますね。
- 【例文】xx先生の講演を拝聴したく存じます。
- 【例文】新曲を拝聴したく存じます。
- 【例文】社長のご挨拶を拝聴したく存じます。
- 【例文】あいにく出張に出ておりますので、出張先より電話会議にて拝聴したく存じます。
たとえば上記のように上司や目上・取引先を前にして「何かしら聞きたいと思います」というビジネスシーン(メール・会話・電話対応)につかうと丁寧です。
どの例文も社内メールで目上(上司や先輩)につかっても、社外のビジネスメールにつかってもよい丁寧な敬語表現。
敬語の補足
※「存じる」は「思う」の意味の敬語(謙譲語)。「~したく存じます」だと「~したいと思います」の意味になる。
②拝聴いたしたく存じます
「拝聴したい」と言いたい時につかえる丁寧な敬語、その2「拝聴いたしたく存じます」。
意味と使い方・例文
「拝聴いたしたく存じます」の意味は「聞きたいと思います」。
使い方は「拝聴したく存じます」とおなじ。
ただ「拝聴したく」の部分にさらに敬語をつかい「拝聴いたしたく」としているため、こちらの方が丁寧です。
- 【例文】xx教授の講演を拝聴いたしたく存じます。
- 【例文】よろしければ新曲を拝聴いたしたく存じます。
- 【例文】あいにく出張に出ておりますので、出張先より電話会議にて拝聴いたしたく存じます。
たとえば上記のように上司や目上・取引先を前にして「何かしら聞きたいと思います」というビジネスシーン(メール・会話・電話対応)につかうと丁寧です。
どの例文も社内メールで目上(上司や先輩)につかっても、社外のビジネスメールにつかってもよい丁寧な敬語表現。
敬語の補足
※「いたしたく」は「する」の謙譲語「いたす」に希望・願望の「~たい」をくっつけた敬語
※「存じる」は「思う」の意味の敬語(謙譲語)。「~したく存じます」だと「~したいと思います」の意味になる。
③拝聴させてください
「拝聴したい」と言いたい時につかえる丁寧な敬語、その3「拝聴させてください」。
意味と使い方・例文
「拝聴させてください」の意味は直訳すると「聞かせてください」。ようは相手から「聞くことを許してほしい」という許可をえるような感じのニュアンスになります。
使い方は「拝聴したく存じます」や「拝聴いたしたく存じます」とおなじ。
ただし許可をえるときの敬語フレーズ「させてください」をつかっているため、こちらの方が丁寧です。
- 【例文】よろしければ電話会議にて拝聴させてください。
- 【例文】よろしければ新曲を拝聴させてください。
- 【例文】よろしければxx部長の講演を拝聴させてください。
たとえば上記のように許可を得るときに「何かしら聞かせてほしいです」というビジネスシーン(メール・会話・電話対応)につかうと丁寧です。
どの例文も社内メールで目上(上司や先輩)につかっても、社外のビジネスメールにつかってもよい丁寧な敬語表現。
敬語の補足
※「させてください」は「させてくれる」の尊敬語「させてくださる」を命令形にした敬語
④拝聴させていただきたく存じます
「拝聴したい」と言いたい時につかえる丁寧な敬語、その4「拝聴させて頂きたく存じます」。
意味と使い方・例文
「拝聴させて頂きたく存じます」の意味は直訳すると「聞かせてもらいたいと思います」。ようは相手に「聞くことを許してほしい」という許可をえるような感じのニュアンスになります。
使い方はこれまでとおなじ。
ただしあまりに遠まわしすぎてうっとおしく感じられるフレーズです。シーンを選んで慎重につかう必要があるため、敬語ビギナーはこれまで紹介した例文をつかいましょう。
敬語の補足
※「させていただきたく」は「させてもらいたい」の謙譲語
※「存じる」は「思う」の意味の敬語(謙譲語)。「~したく存じます」だと「~したいと思います」の意味になる。
⑤拝聴してもよろしいでしょうか?など
「拝聴したい」と言いたい時につかえる丁寧な敬語、その5「拝聴してもよろしいでしょうか」。
「拝聴してもよろしいでしょうか」の意味は「聞いてもいいでしょうか?」。ようは相手に「聞くことを許可してほしい」という許可をえるような感じのニュアンスになります。
使い方はこれまでとおなじため省略しますが、シンプルに言い換えてつかえます。
その他いろいろ
あとは。
ほかにも「拝聴したい」ときにつかえそうな敬語フレーズをまとめておきます。ご参考にどうぞ。
- 【例文】拝聴できますでしょうか?
※意味は「聞くことができるでしょうか?」つまり「聞いてもいいですか?」 - 【例文】拝聴できればと存じます。
※意味は「聞くことができたらと思います」
【注意点】”拝聴しました”はこう使う!
つづいて「拝聴しました」の使い方というか注意点について簡単に。
①”ご拝聴しました”は二重敬語!
「拝聴しました」をつかうときの注意点その一。
もっとも初歩的な敬語の使い方なのですが…「ご拝聴しました」はNGです。
「拝聴」はすでに「聞くこと」の敬語(謙譲語)なのに、さらに謙譲語「ご」をくわえてしまっています…
結果として「聞くこと」に①謙譲語「拝聴」+②謙譲語「ご」としており二重敬語になりますね。※二重敬語とはひとつの単語におなじ種類の敬語を2回つかうことでありNGです。
あるいは。
「お(ご)~する」のひとかたまりを謙譲語として見たとき。「ご拝聴しました」でもいいんじゃないのか?とする意見もあります。ただ「~」の謙譲語が「お(ご)~する」だという解釈を適用した場合には「拝聴」が謙譲語であるため、そもそも二重敬語ということになります。
②”拝聴しましたか?””拝聴していただく”は間違い敬語!
「拝聴」をつかうときの注意点その二。
こちらも初歩的な敬語の使い方なのですが…
×「聞きましたか?」と言いたいときに「拝聴しましたか?」は間違い敬語です。
×「聞いていただけますか?」と言いたいときに「拝聴していただけますか?」も間違い敬語。
「拝聴」は謙譲語であるため自分の行為につかい相手の行為にはつかいません。
たとえば以下の使い方は間違い敬語となりNGです。十分にお気をつけください。
- NG例×上司なり目上・取引先が拝聴しています「採用戦略にかんする講演を開きますのでよかったら拝聴してください」
- NG例×上司なり目上・取引先に拝聴いただく「自作した音楽を拝聴していただけますか」
相手の行為には基本的に謙譲語ではなく尊敬語をつかいます。※例外あり
したがって相手に聞いてほしいときには。
聞くことの尊敬語「お聞きくださる」や例外的に謙譲語「お聞きいただく」をつかいます。以下のようにすると正しい敬語になりますね。
- 正しい例◎「講演を開きますのでよろしければご参加(ご出席・ご臨席)くださいませ」
- 正しい例◎「自作した音楽をお聞きいただけますか?」
いずれも上司なり目上・取引先に何かしら「聞いてください・聞いてほしい」といいたいときに使える敬語になります。
③”拝聴いたしました”は二重敬語ではない!
あとは注意点というよりもよくある敬語の勘違いについて。
「拝聴いたしました」は二重敬語だから誤りだという意見もあります。ただし答えは二重敬語ではなく100%正しい敬語です。
なぜ「拝聴いたします」「拝聴いたしました」が間違い敬語のように感じてしまうかというと…
「拝聴」はすでに謙譲語であり、さらに「する」の謙譲語「いたす」をつかって「拝聴いたす」としているから…
「拝聴=謙譲語」×「いたす=謙譲語」
「拝聴いたします」は「謙譲語 x 謙譲語」だから二重敬語??
このようなロジックで二重敬語だという意見がでてくるのかと。
ただし答えは…「二重敬語ではない」です。
二重敬語とは「ひとつの語におなじ敬語を二回つかうこと」であり敬語のマナー違反です。
たとえば「お伺いいたす」「お伺いする」などが二重敬語の例。「行く・尋ねる」の謙譲語「伺う」をつかっているのに、さらに「お〜いたす」「お〜する」という謙譲語をつかっているためです。
ところが。
「拝聴いたす」は以下のように「①聞くこと」「②する」という2つの異なる単語にそれぞれ謙譲語を用いているため二重敬語ではなく、正しい敬語の使い方をしているのですね。
①「拝聴」=「聞くこと」の意味の謙譲語(単体では名詞)
②「いたす」=「する」の意味の謙譲語
くわしくは以下の記事にて。
④”拝聴させていただきました”も正しい敬語だが…
あとはこちらもよくある敬語の勘違い。
「拝聴させていただく」「拝聴させて頂きました」は二重敬語だから誤りだという意見もあります。ただし答えは二重敬語ではなく100%正しい敬語です。
「拝聴させていただく」は以下のように「①聞くこと」「②させてもらう」という2つの異なる単語にそれぞれ謙譲語を用いているため二重敬語ではなく、正しい敬語の使い方をしているのですね。
①「拝聴」=「聞くこと」の意味の謙譲語(単体では名詞)
②「させていただく」=「させてもらう」の意味の謙譲語
ただし。
使うシーンによっては日本語としておかしくなるため注意が必要。
「拝聴させていただく」の意味は「聞かせてもらう」ということですから、相手にとって利益がまったくない事にたいして許可を得るようなニュアンスです。
たとえば。
◉上司や社長の講演なり挨拶を聞かなければいけないときに…「あいにく出張に出ておりますので、電話会議にて接続し拝聴させていただきます/拝聴させてください」としたとき。社長の講演というのは本来なら出席して聞かなければいけないような重大なイベントです。ところが予定が立て込んでいてどうしても出席できない場合、テレビ会議なり電話会議システムをつかって聞く必要があります。
そこで。対面では出席せず電話会議なりのシステムをつかって聞くことにたいして許しをえるために「恐れ多くも電話会議システムをつかって聞かせてもらいますよ、許してね」というニュアンスで「拝聴させていただく」をつかうのは何ら問題ではありません。正しい日本語の使い方です。
あとは許容される使い方として。
◯「講演を拝聴させていただきました」とした場合。講演というのは基本的に参加するためには申し込みあるいは、お金が必要です。つまり講演の主催者なりに許可を得ないと出席できないものがほとんどでしょう。あるいは講演の主催者は別にあなたに聞いてもらいたくて講演している訳じゃないのかもしれません。そんなときに「恐れ多くも講演を聞かせてもらったよ、許してね」というようようなニュアンスとして使うのも何ら問題ではありません。
もし。申し込みも必要なく、誰でもフリーで参加OKな講演会があるとしたらそんなときには不適切な使い方かもしれませんが…常識的には先に述べた解釈でつかえます。
ところが。
×「英会話ラジオをいつも拝聴させていただいております」とした場合。ラジオというのは基本的に無料で誰もが聞けるツールですね。いろいろなヒトに聞いてもらいたくてラジオという形にして放送しているハズ。それなのにこの使い方だと「恐れ多くもラジオ番組を聞かせてもらったよ、許してね」というようような許可を得るようなニュアンスになります。
もし、そのラジオが極秘情報やスキャンダルばかりで、ほかの誰にも公開してはいけない、あるいは相手にとってネガティブな要素をふくむとき。「拝聴させていただきました」で問題ありません。
ところがほとんどの場合、常識的にはそうじゃない訳です。
したがってこんな時には「ラジオを拝聴しました/拝聴いたしました」が正しい日本語の使い方ということになります。
【例文】ビジネスメール全文
こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。
ここでは「拝聴したい」ときのビジネスメール例文を全文でご紹介。
どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。
ビジネスメール例文①講演を拝聴したい(to社外)
メール件名:講演 拝聴のお願い
株式会社ビジネス
営業部 xx部長 (社外取引先)
平素はお世話になっております。
(株)転職・ノマドです。
標記の件、10月1日にビッグサイトで催される「IT業界大集合」のイベントにてxx様がご講演なさるとのことを伺い、よろしければ講演を拝聴したく連絡いたしました。
いかがでしょうか。
不躾なお願いにて大変恐れ入りますが、
ご連絡いただけますと幸いです。
宜しくお願い申し上げます。
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メール署名
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ビジネスメール例文②講演を拝聴したい(to社内上司)
メール件名:お願い
xx部長 (社内上司・目上など)
お疲れ様です。
さて、来る10月1日にビッグサイトで催される「金融業界大集合」のイベントにてxx部長がご講演なさるとのことを○○さんに伺いました。
私個人として当ご講演に大変興味があり、外部向けのイベントではありますが勉強のため拝聴したく存じますが、いかがでしょうか。
なお当日の業務に支障をきたさないよう、あらかじめxxさんにサポートをお願いする所存です。何卒ご承諾いただければ幸いです。
宜しくお願い致します。
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メール署名
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