「ご準備ください」よりも丁寧な言い換え敬語10選

「ご準備ください」は上司・目上に失礼?

ビジネスメールに使えるもっと丁寧な敬語ってなに?

とご心配のあなたへ。

「ご準備ください」は目上や上司・取引先へのビジネスメールに使っても失礼ということでは無いのですが…

時と場合によっては上から目線に感じられてしまうことがあります。

会話や電話対応であれば問題ないものの、ビジネスメールなど顔の見えないコミュニケーションではより丁寧な敬語に言い換えすると好感度UP。

より丁寧な言い換えにはたとえば、

  • 【例文】ご準備いただきたく存じます
  • 【例文】ご準備いただければ幸いです
  • 【例文】ご準備のほどお願い申し上げます
  • 【例文】ご準備いただきますようお願い申し上げます
  • 【例文】ご準備くださいますようお願い申し上げます
  • 【例文】ご準備いただけますか?ご準備いただけますでしょうか?

などあり。くわしい解説は本文にて。

それでは、

「ご準備ください」の意味、目上につかえるより丁寧な言い換え敬語、ビジネスシーンでの使い方(電話・メール・手紙・文書・社内上司・社外取引先・目上・就活・転職)、メール例文を紹介します。

意味・敬語の解説

「ご準備ください」は「準備してほしい」という意味。

なぜこのような意味になるのか?

そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。

「ご準備ください」の意味は「準備してくれ」

「ご準備ください」のそもそもの意味は…

「準備してほしい」
「準備してくれ」

このように解釈できます。

ここで「ご準備」の”お(ご)”は尊敬語。尊敬語をつかっているため自分の行為ではなく、相手に「準備してくれ!」「準備してほしい!」という意味になります。

使い方は文字どおり上司や目上・取引先になにかしら準備してほしいときのビジネスシーンで使われます。

「ご準備ください」の敬語の種類

「ご準備ください」を敬語としてみていくと…以下のようになりたちます。

  • もとになる単語「準備」に尊敬語”お(ご)”で「ご準備」
  • さらに「くれる」の尊敬語”くださる”で「ご準備くださる」
  • さらに命令形にして「ご準備ください」

このようにして元になる語「準備」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。

ちなみに敬語「お(ご)」は…

「自分がご準備する」のであれば謙譲語としての使い方。

上司・目上・取引先などの「相手がご準備くださる」のであれば尊敬語としての使い方。

というように2パターンあります。

強い口調となる敬語”ご準備ください”

ここでひとつ注意点を。

「ご準備ください」だけでなく「お(ご)~ください」という敬語は、つよい口調に感じられることがあります。

なぜなら「ください」は敬語ではあるものの結局のところ命令形であるから。

極端なたとえですが、よく母親が子供に

「はやく片付けなさい!!」
「静かにしなさい!!」

といっているのを耳にします。

「~なさい」は”する”の尊敬語”なさる”の命令形。

尊敬語”くださる”の命令形「お(ご)~ください」と似たような成り立ちです。

どちらかというと「お(ご)~ください」のほうが丁寧ではありますが…どちらも結局のところ命令形であり、上から目線に感じられることがあります。

もちろん人それぞれ、感じ方はことなります。

私のようにまったく気にしない人もいれば気分を損ねる上司・目上もいます。

だからといって敬語は丁寧であればよいというわけでもなく、バカ丁寧だとそれはそれで問題あり(”慇懃無礼”-“いんぎんぶれい”といいます)。

で、

シンプルな敬語をつかいすぎると失礼だと言われたり…

本当にむずかしいのですよね。

したがってどんな敬語を使うかは状況や相手を考えてあなたの判断にゆだねられます。

いろんな敬語を知っておくことが重要

もっとも重要なことは、

いろんな敬語フレーズを知っておくこと。

そうすればビジネスシーンに応じてふさわしい敬語を選ぶことができるようになります。

社内の上司にメールするときは「ご準備ください」をつかい、取引先にメールするときは「ご準備いただければ幸いです」をつかい…

というような感じ。

引き出しを多くもっておくと臨機応変に使い分けすることができます。

そういう意味でこれから紹介する言い換え敬語はどれも本当によくつかいます。

覚えておくと必ず役に立つことでしょう。

丁寧な言い換え敬語

ここまでの解説で「ご準備ください」が敬語として正しいこと、時と場合によってはイマイチになるということが分かりました。

ここからは、

じゃあどういう風に言い換えすればより丁寧な敬語になるの?

という点についてみていきます。

①ご準備いただければと存じます

目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「ご準備ください」の言い換え敬語

  • 例文「ご準備いただければと存じます」

意味は『準備してもらえたらと思います』

「~してもらえたらと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。

「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+仮定の「れば」

「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」

②ご準備いただきたく存じます

目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「ご準備ください」の言い換え敬語

  • 例文「ご準備いただきたく存じます」

意味は『準備してもらいたいと思います』

「~してもらいたいと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

「いただきたく」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+願望の「~たい」

「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」

というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。

③ご準備いただければ幸いです

目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「ご準備ください」の言い換え敬語

  • 例文「ご準備いただければ幸いです」

意味は『準備してもらえたら嬉しいなぁ、幸せだなぁ』

つまり『準備してもらえたら嬉しいです』

相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズですね。

「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+仮定の「~れば」

「幸いです」は「幸い」+丁寧語「です」

というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。

「~いただければ幸いです」という敬語フレーズはお願い・依頼のビジネスメールでよく使います。以下の例文もご参考にどうぞ。

ほかにも似たような敬語には以下のようなフレーズもあります。

  • 例文「ご準備いただけましたら幸いです」
  • 例文「ご準備いただけましたら幸甚に存じます」
  • 例文「ご準備いただければ幸甚に存じます」

④ご準備くださいますようお願い申し上げます

目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「ご準備ください」の言い換え敬語

  • 例文「ご準備くださいますようお願い申し上げます」
  • 例文「ご準備くださいますようお願い致します」

意味は『準備してくれるようお願いします』

「ください」単体としての意味は「〜してくれ」「〜して欲しい」の丁寧な言いまわしと考えることができます。

が、

「ください」は敬語ではあるものの、結局のところ命令形であるために強い口調となります。

そこで「ますようにお願い」と続けることで「お願い」とすり替え、やんわ〜りとした表現にしています。とても丁寧な敬語フレーズと言えますね。

たとえば、

  1. ご査収くださいますようお願い申し上げます
    意味「よく中身を確認して受け取ってくれるようお願い!」
  2. ご検討くださいますようお願い申し上げます
    意味「検討してくれるようお願い!」
  3. ご確認くださいますようお願い申し上げます
    意味「確認してくれるようお願い!」
  4. ご了承くださいますようお願い申し上げます
    意味「納得してくれるようお願い!」

などのようにして使います。

これらはもともと「●●してください」という命令形なのですが、「●●くださいますようお願い〜」を使うことによって相手に強制しないやんわ〜りとした表現となっています。

ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。

⑤ご準備いただきますよう・賜りますよう〜

目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「ご準備ください」の言い換え敬語

  • 例文「ご準備いただきますようお願い申し上げます」
  • 例文「ご準備いただけますようお願い申し上げます」
  • 例文「ご準備賜りますようお願い申し上げます」

意味はどちらも『準備してもらうようお願いします』

「いただきますよう」は”〜してもらう”の謙譲語「お(ご)〜いただく」+丁寧語”ます”+”ように”

「いただけますよう」は”〜してもらう”の謙譲語「お(ご)〜いただく」+可能形+丁寧語”ます”+”ように”

「賜りますよう」は”〜してもらう”の謙譲語「お(ご)〜賜る」+丁寧語”ます”+”ように”

というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。

賜る(たまわる)という敬語のほうがよりカチッとした表現になりますので、文書など公式なビジネスシーンではかならず「賜る」を使います。

普段のメールであれば「いただきますよう」でOK。

「くださいますよう」「いただきますよう・いただけますよう・賜りますよう」はニュアンスが違うものの、どれも結局のところ「~してほしい」と言いたいので同じです。

なお「ご了承賜りますよう~」というように「」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。

⑥ご準備のほどお願い申し上げます

目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「ご準備ください」の言い換え敬語

  • 例文「ご準備のほどお願い申し上げます」
  • 例文「ご準備のほどお願い致します」

意味は「準備してくれるようお願いします」となります。

ここで「ご準備のほど」の「のほど」は限定を避ける言い方で、意味としては「〜してもらうよう」「〜してくれるよう」と考えることができます。

断定をさけて表現をやわらげるのに用いる語です。

たとえば、

  1. ご査収のほどお願い申し上げます
    意味「よく中身を確認して受け取るよう、お願い」
  2. お取り計らいのほどお願い申し上げます
    意味「物事をうまく進めてくれるよう、お願い」
  3. ご検討のほどお願い申し上げます
    意味「検討してくれるよう、お願い」
  4. ご了承のほどお願い申し上げます
    意味「納得してくれるよう、お願い」

などのようにして使います。

これらはもともと「●●してください」という命令形なのですが、「〜のほど」を使うことによって相手に強制しないやんわ〜りとした表現となっています。

ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。

先ほどとおなじく「お願い申し上げます」は「お願いいたします」「お願い致します」と言い換えできます。

⑦その他いろいろな言い換え敬語

敬語の種類というのは本当にいろいろあります。

ほんの一例ですが他にもある使い方を例文にまとめておきます。

  • 例文「ご準備をお願い致します
    ※意味は「準備をお願いする」
  • 例文「ご準備いただきたく、お願い致します
    意味は「準備してほしい、お願いします」
  • 例文「ご準備いただけましたら幸いです
    ※意味は「準備してもらえたら嬉しいです」
  • 例文「ご準備いただけましたら幸甚に存じます
    ※意味は「準備してもらえれば嬉しく思います」
  • 例文「ご準備いただければ幸甚に存じます
    ※意味は「準備してもらえれば嬉しく思います」
  • 例文「ご準備いただけますか?
    ※意味は「準備してもらえるか?」でとくに会話シーンで使われるフレーズ
  • 例文「ご準備いただけますでしょうか?
    ※意味は「準備してもらえるだろうか?」でとくに会話シーンで使われるフレーズ
・「存じる」は「思う」の謙譲語
・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+願望「~たい」
・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」

ビジネス会話・電話対応では”ご準備いただけますか?”

ビジネスメールではなく会話や電話対応シーンであれば…

「ご準備くださいますようお願い申し上げます」などは絶対につかいません。

長いうえに丁寧すぎて気持ち悪いですからね。

そこでビジネス会話・電話対応では…

  • 【例文】ご準備いただけますか?
  • 【例文】ご準備いただけますでしょうか?
  • 【例文】ご準備願えますでしょうか?

※もちろん「ご準備ください」としてもOK

といった質問フレーズをつかいましょう。

意味としては「準備してもらえますか?」であり、敬語をつかって丁寧な表現にしています。

「〜いただけますか?」サラッと言えるためビジネスシーンで重宝するフレーズです。

敬語の解説

ご準備いただけますか?」「ご準備いただけますでしょうか?

の敬語の成り立ちとしては…

  • “準備”に「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「ご準備いただく」
  • 可能形にして「ご準備いただける」
  • さらに丁寧語”ます”で「ご準備いただけます」
  • 疑問形にして「ご準備いただけますか?」

“〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」を使うと「ご準備いただけますでしょうか?」

どちらの表現も謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。

どちらかというと「〜いただけますでしょうか?」のほうが丁寧なのですが…バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけますか?」を使うのをオススメします。

ビジネスメール例文【全文】

こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。

ここでは「ご準備ください」の丁寧な言い換えをつかったビジネスメール例文を紹介します。どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしていますので、ご参考にどうぞ。

ビジネスメール例文①準備の依頼・お願い

メール件名:社長送迎車・手配のお願い

製造部 ○○ 様(社内)

突然のご連絡失礼いたします。
営業部ノマドです。

さて、すでにご承知のこととは存じますが4月20日、xx社長が工場視察にいらっしゃいます。

そこで以下のとおり送迎車をご準備いただきたく存じます。

①日時:
②お迎え:9:00@xxホテルロビー → xx工場
③お送り:18:00@xx駐車場 → xx空港
④同乗者(計2名)
xx社長
zz秘書

ご多忙のところ大変お手数ではございますが、ご手配いただければ幸いです。

よろしくお願い致します。

************
営業部 ノマド
************

ビジネスメール例文②準備の依頼・お願い

メール件名:4月20日展示会・準備のお願い

営業部 ○○ さん(社内)

お疲れ様です。

さて、すでにご承知のこととは存じますが4月20日、xx展示会に営業部より新商品を出展する運びとなりました。

そこで準備にお力添えいただきたく存じます。

具体的には以下の物品リストを前日までにご準備いただきたく、お願い致します。手持ちにない品に関しましてはご購入ください。

①セロテープx10個
②クラッカーx20個
③水・お茶x20本
④お菓子(適量)

なお展示会の詳細につきましては添付ファイルをご参照ください。

ご多忙のところ大変お手数ではございますが、ご手配いただければ幸いです。

よろしくお願い致します。

************
営業部 ノマド
************

ビジネスメール例文③準備のお礼

メール件名:返信Re: 社長送迎車・手配のお願い

製造部 ○○ 様(社内)

早速のご手配、誠にありがとうございます。

それでは当日、ご準備くださいました通りにお願い致します。

ご不明な点等ございましたら何なりとお申し付けください。

よろしくお願い致します。

************
営業部 ノマド
************

ビジネスメール結びをより丁寧にするコツ

あまり関係ないのかもしれませんが重要なので念のため。

ビジネスメールの文末・結び・締めとして使うことのおおい「ご準備」

ここでは、

ビジネスメール結びをより丁寧にするためのコツをご紹介します。

+前置きに添えるフレーズを!

ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。

「ご準備」の前置きに添える丁寧なお願いフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」を使うとより丁寧な印象のメールとなります。

たとえば以下のようなフレーズがあります。

  • どうか
    例文「どうかご準備くださいますようお願い申し上げます」
    例文「どうかご準備くださいますようお願い致します」
    例文「どうかご準備いただければ幸いです」
    例文「どうかご準備いただければと存じます。何卒よろしくお願い申し上げます」
  • 何卒=どうか
    例文「何卒ご準備くださいますようお願い申し上げます」
    例文「何卒ご準備くださいますようお願い致します」
    例文「何卒ご準備いただければ幸いです」
    例文「何卒ご準備いただければと存じます。よろしくお願い申し上げます」

+気づかいの敬語フレーズもGood

ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。

「ご準備」の前置きには強調するフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」だけでなく、申し訳なく思う気持ちや、相手を気づかうフレーズをもってきても丁寧です。

たとえば「誠に勝手を申し上げますが」などと組み合わせ、以下例文のようにすると好感がもてますね。上司や目上にはもちろんのこと、取引先のメールにも使える丁寧な例文にしています。

  • 恐縮=申し訳なく思うこと
    「お忙しいところ恐縮ではございますがご準備〜」
    「お忙しいところ大変恐縮ではございますがご準備〜」
    「たびたび恐縮ではございますがご準備〜」
  • 恐れ入る=申し訳なく思う
    「お忙しいところ恐れ入りますがご準備〜」
    「お忙しいところ大変恐れ入りますがご準備〜」
    「たびたび恐れ入りますがご準備〜」
  • お手数=お手間
    「お忙しいところお手数お掛けしますがご準備〜」
    「お忙しいところ大変お手数ではございますがご準備〜」
  • 勝手を申し上げる=自分勝手を言う
    「誠に勝手を申し上げますがご準備〜」
  • ご無理申し上げる = 無理を言う
    「ご無理申し上げますが、何卒ご準備のほどお願い申し上げます」
  • ご多忙とは存じますが=忙しいとは思うけど
    「ご多忙とは存じますがご準備〜」

【まとめ】ご準備の使い方

いろいろと散らかってきたので「ご準備ください」の言い換えと、ほかにもビジネスシーンで使える「ご準備」の使い方をまとめます。