国内自動車メーカーのランキング-2015年度
●新車販売台数ランキング(国内外ふくむ集計)
- 1015万台|トヨタ自動車※レクサス・ダイハツ含む
- 542万台|日産
- 474万台|ホンダ
- 286万台|スズキ
- 153万台|マツダ
- 105万台|三菱自動車
- 96万台|ダイハツ工業※トヨタの数字に含む
- 95万台|富士重工業
- 64万台|いすゞ
- 16万台|日野
●新車販売台数ランキング(国内のみ集計)
- 205万台|トヨタ自動車※レクサス・ダイハツ含む
- 66万台|ホンダ
- 63万台|スズキ
- 58万台|ダイハツ工業※トヨタの数字に含む
- 57万台|日産
- 23万台|マツダ
- 14万台|富士重工業(SUBARU)
- 10万台|三菱自動車
- 8万台|いすゞ
- 6万台|日野
●売上ランキング(国内外すべて込み)
- 28兆4030億円|トヨタ自動車※レクサス・ダイハツ含む
- 14兆6011億円|ホンダ
- 12兆1895億円|日産
- 3兆4066億円|マツダ
- 3兆1087億円|スズキ
- 2兆8779億円|富士重工業
- 2兆2678億円|三菱自動車
- 1兆8794億円|いすゞ
- 1兆7455億円|日野
※ダイハツ工業はトヨタの完全子会社。トヨタの数字に含まれる。
日本国内市場は軽自動車が新車販売台数の30%以上を占めるが、頭打ち状態。エコカー減税の恩恵が少なく、車体価格も高いことが伸び悩みの要因。加えて2015年からガソリン価格が下落しており、燃費面でもさほどメリットを感じなくなってきた。→ 自動車メーカーのシェア国内ランキング(新車販売台数・売上・純利益)
自動車業界の今後(日本国内)
国内市場は減少、輸出は為替だのみ
まずは逃れられない運命として、自動車の新車販売台数は1990年の778万台から、ず〜っと減少傾向(もちろん浮き沈みはあるが長期のトレンドとして)。
- 778万台(ピーク時1990年の国内新車販売台数)
- 505万台(2015年・前年比▲9.3%)
なんとピーク時からすると4割ちかくも減少している。マーケットは依然として大きいものの、長期的にみると日本の人口は減っていくわけだから、今後も明るい材料はない。
販売台数が減ると、生産能力は余る。
そうすると国内のあまった生産能力をどうするか?ということを考えるのだが、今のところは輸出で埋めて何とかなっているものの…。当然ことながら輸出は結局、為替だのみになってしまう…。
ここ数年の決算では業績好調な自動車メーカー。
2012年以降、日系自動車メーカーの業績が上向いたのは円安による輸出好調(というよりも円安による利益改善)が大きい。自動車メーカーは当然、この課題を認識しており「現地生産」を進めてきた。ところが、それでもいまだに大きな影響がある(くわしくは後述)。
結論として為替が円安のまま推移することを祈るしかない状況。
国内はアフターケア・保険・ローンで稼ぐしかない
新車販売台数をみると、国内はすでに減少に転じていて回復するような見通しはない。この理由は主に以下5つある。
- 若者のクルマ離れ
- カーシェアの発達
- クルマに変わる交通手段の発達(電車・バス・飛行機など)
- 首都圏への人口集中(首都圏はクルマを持たない人も多い)
- 田舎の過疎化、高齢化(高齢になるとクルマ運転できない)
じゃあ自動車メーカーはどうやって国内市場で利益をだすのか?
というと「アフターケア、自動車保険の販売、および自動車ローンなど」である。※アフターケアとはオイル交換、メンテナンス、バッテリー交換とかのこと。自動車ローンとは借金のことで金利分がメーカー利益になる。
最近ではクルマを少しでも売りたいがために、ローンの審査もどんどん甘くなっているそうな…。
国内はますます軽自動車&ハイブリットカーへ
軽自動車やハイブリットカーといった、国内ガラパゴス市場に特化した製品を投入している会社はそれなりに安泰だろう。具体的には軽自動車のスズキ、ダイハツ(トヨタグループ)、ハイブリッドカーを得意としているトヨタといったブランド。
【おまけ】実際に自動車ディーラーに聞いてみた
余談ではあるが、私にも毎月のように自動車メーカーのディーラーから「メンテナンスどうですか?」「自動車保険どうですか?」「新車どうですか?100%ローンで買えますよ!」と電話なり手紙が送られてくる。
しかし正直なところ、日本車は性能よすぎてメンテナンスなんて、ほとんど必要ない…。で「なんでそんなに必死に営業するのですか?」と自動車ディーラーの担当者に質問してしまった(絶対にマネしないでください)。
すると「新車の売れ行きが悪いから、アフターケア&自動車保険、自動車ローンで売上と利益を補填するしかないのです…」という答えが帰ってきた。これは全体を表してない意見ではあるものの、数字からも明らかである。
※ちなみに私のクルマは日系メーカーの15年以上前のモデル。それでも全然まともに走る。
※接待ゴルフの時にボロい車を使っていると印象が良い(いかにも倹約家に見えるから)。「なんで買い換えないの? → ウチの会社って給料安くて大変なんですよぉ(実際にはどんな車でも買える)。もっと数量増やしてくださ〜い」というやりとりを、かれこれ5年くらいしている。これは私の美学。
コメント
私は17卒の学生です。就活の話や業界の裏事情など、いつも面白く読ませていただいております。
実は、内定先が鉄鋼業界のため、自動車の軽量化のことでお尋ねしたいことがあります。
すでにプラスチック(炭素繊維複合材)は航空機などで使用されているとはいえ、未だ生産性の問題で価格が高いなどと伺ったことがあります。
そこで、東レや帝人などの炭素繊維メーカーがこうした問題を解決するまで、あとどのくらいの年数だとお考えでしょうか?また、自動車における鉄やアルミとの競争はどのような結果になると予想されますか?
面倒な質問だと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
返信が遅くなりまして申し訳ありません。
おもしろいご質問だったため、(誠に勝手ながら)ご依頼のトピックスで記事を作成しました。
https://nomad-salaryman.com/post-3214
ご確認くださいませ。
管理人
いつも更新を楽しみにしております。
自動車メーカーの将来について疑問に思ったのでコメントをさせていただきました。
日系自動車メーカーが強い理由の一つに今まで培ってきたノウハウがあると思うのですが、その多くはエンジンの技術だと考えています。
しかし、EVについては比較的簡単な技術でできてしまうと聞きます。
EVが流行った場合、歴史ある自動車メーカーが持つガソリンエンジンの技術的ノウハウはアドバンテージでなくなり、差別化できないような気がするのですが、テスラなどの新規EV自動車メーカーに多くのシェアを奪われないのでしょうか?
私自身の偏見もあると思いますが、どう考えていますでしょうか。よろしくお願いします。
返信が遅くなりまして誠に申し訳ありません…
さて私の考えですが、EVがメジャーになると以下のようなことが懸念されます。
1.完成車メーカー自体は問題なし:
車は「部品を買って組み立てる」というビジネスで成り立っている以上、EVに移行したとしても大きな勢力図変更は想定できないかと。
EVに変われば、確かに大幅に簡単になりそうなイメージですが当然、何かしらの有効な特許をトヨタは抑えているでしょう。
ただエンジン周りの技術が勉強不足でして…
近しい人に状況をきいてみます!
2.上流の素材メーカー
EVが主流になったら…恐ろしいことになる化学メーカーがあります。
スパークプラグの日本特殊陶業、日本ガイシ。
排ガス浄化アルミナ繊維の三菱樹脂、イビデン。
排ガス浄化、ジルコニア触媒の東ソー。
など、完全に日系の独壇場なので、これらのメーカーは戦々恐々としているでしょう。
ただEVは肝心の電池性能がどうしてもボトルネックで、主流にはならないと考えています…
2040年までに全自動車の35%を占めるという統計はありますが、根拠がイマイチ明確ではなくて、現実はそう甘くないです。
EVの課題をざっくりと挙げます。
・急速充電に耐えうる電池の開発
・充電スタンドの整備、設備投資
・電池性能悪い(パワー、持続力、安全性、どれをとってもガソリン車に劣る)
・安全性第一のため、無駄が多い電池設計をしている。本当はもっと高性能になるのですが…
・安全第一のため、電池製造コストが高くつく
これは電池メーカーと化学メーカーが解決しないといけないのですが、LIBベースである限り全く出口が見えてません…
とりあえず課題は山積みで、何か新しいアイディアが必要ですね。
エンジン周り技術のことはもう少し勉強してみます!
ご参考になりましたら幸いです。
管理人
この度は大変参考になるブログを拝見させて頂き誠に有難うございました。
ブログに対しまして初めてコメントをさせて頂いていますが、称賛させて頂きたい内容でございましたので、お礼申し上げます。