米国株だけで大丈夫?落とし穴と、日本株を入れるメリット・デメリット

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皆さん、こんにちは!
新NISAが始まり、多くの方が「S&P500」や「ナスダック100」といった米国株の投資信託で、資産形成の第一歩を踏み出していると思います。

「世界最強のアメリカ経済に投資しておけば間違いない!」
「GAFAMをはじめ、世界を動かす企業はみんなアメリカだもんね!」

その気持ち、すごくよく分かります。実際に、米国株はこれまで素晴らしいリターンを出し続けてきましたし、これからも世界経済の中心であることは間違いないでしょう。

でも、もしあなたのNISA口座の中身が「米国株100%」だとしたら…少しだけ立ち止まって考えてみてほしい視点があります。

それは「為替(かわせ)リスク」「隠れた集中投資」という、見過ごされがちな2つの大きな落とし穴です。この記事では、あなたの資産を長期で守り、育てるために、なぜ「日本株」を少し加えることが有効なのかを、私の実体験も交えながらお話ししていきますね。


一番の落とし穴、「円高になったらどうする?」問題

「米国株に投資して、資産が10%増えた!やったー!」

今の円安の状況だと、こんな嬉しい報告をよく聞きますよね。米国株のドルでの値上がりに加え、円安(円の価値が下がること)が追い風となって、日本円に換算した時の利益がさらに大きく見えるからです。

でも、もしこの状況が逆転したら…と考えたことはありますか?
つまり、歴史的な「円高」が再びやってきたら、どうなるでしょうか。

例えば、2011年の東日本大震災の後、日本は超円高時代に突入し、1ドル=80円を割る水準が続きました。今が1ドル=150円台だと考えると、信じられないような円の強さですよね。

ここで、簡単なシミュレーションをしてみましょう。

あなたが150万円(1ドル=150円の時に1万ドル分)の米国株投資信託を買ったとします。
1年後、その投資信託がドル建てで10%値上がりして、1万1,000ドルになりました。素晴らしい成績です!

しかし、もしこの1年で急激な円高が進み、為替が1ドル=130円になっていたらどうでしょう?

あなたの資産を日本円に換算すると…
1万1,000ドル × 130円 = 143万円

なんと、ドルでは10%も増えたのに、日本円に直すと2%も減ってしまう、という悲しい現象が起きてしまうのです。これが「為替リスク」の正体です。

【体験談】海外旅行で痛感した、為替の本当の怖さ

私が為替の怖さを肌で感じたのは、投資の話ではありません。海外旅行です。

2011年頃の超円高時代、海外旅行はまさに天国でした。1ドル80円くらいだったので、300ドルのホテルに泊まっても一泊2万4千円ほど。ブランド物も食事も、何を見ても「安い!」と感じられたものです。

しかし、今の円安ではどうでしょう?同じ300ドルのホテルは、一泊4万5千円を超えてきます。ランチで気軽に3,000円が飛んでいく感覚。「海外旅行は高嶺の花になった」「行く気すら起きない」と感じているのは、私だけではないはずです。

アメリカでのホテルの値段は変わっていないのに、私の持っている日本円の価値が半分近くになってしまった。この経験は、「自分の資産をすべて米ドル建てで持つことは、為替という自分ではコントロールできないものに、生活のすべてを委ねることに等しい」と気づかせてくれた、強烈な原体験です。

米ドルが紙くずになる可能性は低いですが、為替が大きく円高に振れる可能性はゼロではありません。その時、せっかくの米国株の上昇分が、為替によってチャラになってしまうかもしれない。このリスクを、私たちは常に頭の片隅に置いておく必要があります。


それ、本当に分散?「米国株=ハイテク株」という現実

「S&P500は、アメリカの優良企業500社に分散投資できるから安心だ」
これもよく言われることですが、その中身をもう少し詳しく見てみましょう。

以下の表は、代表的な米国株指数である「S&P500」と「ナスダック100」の、組入上位銘柄を比べたものです。(2025年9月時点のデータ)

順位S&P500 組入上位ナスダック100 組入上位
1マイクロソフトマイクロソフト
2アップルアップル
3エヌビディアエヌビディア
4アマゾン・ドット・コムアマゾン・ドット・コム
5メタ・プラットフォームズメタ・プラットフォームズ
6アルファベット(Google)ブロードコム
7ブロードコムアルファベット(Google)

見てください、どちらも顔ぶれがほとんど同じで、巨大ハイテク企業が上位を独占しているのが一目瞭然ですよね。実は、これらのほんの一部の企業の業績が、指数全体の動きを大きく左右しているのが現実です。

つまり、あなたが「米国経済全体」に投資しているつもりでも、実態は「アメリカの巨大ハイテク企業の未来に全賭けしている」のに近い状態かもしれないのです。

【体験談】ハイテクブームを冷静に見ていた話

コロナ禍の頃、いわゆる「巣ごもり銘柄」としてもてはやされた米国のハイテク企業が、ものすごい勢いで株価を上げていました。私の周りでも、それらの銘柄に集中投資して大きな利益を上げた人がいて、正直うらやましい気持ちもありました。

しかし、その後の金融引き締め局面で、あれだけ輝いて見えた株の多くが8割、9割と価値を失っていくのを目の当たりにしました。「永遠に続くブームはない」という市場の鉄則を、改めて痛感した出来事です。この光景を見ていたからこそ、「今の勝ち組である巨大ハイテク企業も、10年後、20年後はどうなっているか分からない。だからこそ、自分の全資産を賭けるのはやめておこう」という、冷静な視点を保つことができています。

もちろん、これらの企業が素晴らしいことは間違いありません。でも、どんなにすごい企業でも、未来永劫勝ち続ける保証はありませんよね。「100%米国株」という選択は、あなたが思っている以上に、特定の産業に偏ったリスクを取っている可能性がある、ということです。


ちなみに、私が今すぐ米国株に集中投資しない理由

ここで、私の個人的な投資スタンスをこっそりお話ししますね。実は私、今のポートフォリオに米国株はほとんど入っていません。理由は2つです。

  1. 「わからないもの」には投資しない
    投資の神様ウォーレン・バフェットの「自分の理解できる範囲(サークル・オブ・コンピテンス)に投資せよ」という教えを、私はとても大切にしています。正直に言うと、今の巨大ハイテク企業のビジネスモデルや競争優位性を、私は完璧には理解できていません。だから、今は手を出さない。ただそれだけです。
  2. 円安の今、大きなリスクは取れない
    私の投資スタイルは、良いと思ったものに大きく賭ける「集中投資」です。為替がこれだけ円安の今、数千万円や1億円といった大きなお金を米ドルに換えて投資するのは、高値掴みになるリスクが高いと感じています。少なくとも、もう少し円高になる局面が来るまで、静かに機会を待つ、というスタンスです。

じゃあ、日本株はどうなの?メリット・デメリットまとめ

では、米国株のリスクを和らげるために、日本株を組み入れることにはどんな意味があるのでしょうか。まず、日本市場全体を表す代表的な指数「TOPIX」の上位銘柄を見てみましょう。

順位TOPIX 組入上位
1トヨタ自動車
2ソニーグループ
3三菱UFJフィナンシャル・グループ
4キーエンス
5東京エレクトロン
6日立製作所
7信越化学工業
8三井住友フィナンシャルグループ
9NTT(日本電信電話)
10三菱商事

トヨタ(自動車)、三菱UFJ(金融)、ソニー(電機・エンタメ)、NTT(通信)、三菱商事(総合商社)…と、米国の指数と比べて業種が幅広く分散されているのが分かりますよね。これが、米国株のハイテク偏重リスクを和らげる効果につながります。

その上で、日本株の良い点と注意点をまとめてみました。

日本株の良い点(メリット)

  • 為替リスクがない:当たり前ですが、これが最大のメリット。円高になっても資産価値が目減りする心配がありません。
  • 割安な優良株が多い:世界的に見ても、日本にはPBR1倍割れ(会社の解散価値よりも株価が安い状態)の優良企業がまだまだたくさん眠っています。
  • 株主還元の強化に期待大:今、国を挙げて企業に「もっと株主に還元しなさい!」というプレッシャーがかかっています。増配や自社株買いが今後さらに増える可能性があります。

【体験談】暴落時に実感した「日本株の配当金」のありがたみ

私が日本株を持っていて「本当に良かった」と心から感じたのは、市場全体が下落する暴落時です。米国株も日本株も関係なく、資産評価額がどんどん減っていく中で、ある日、証券口座に一通の通知が届きました。それは、私が保有する日本の大手企業の『配当金入金のお知らせ』でした。

金額の大小ではありません。世界中がパニックになっている中でも、この会社はちゃんと利益を出し、株主に還元してくれている。その事実が、数字以上に大きな安心感を私に与えてくれました。評価額という砂上の楼閣ではなく、キャッシュを産んでくれる『金のニワトリ』を自分は持っているんだと。

もちろん、誤解しないでいただきたいのは、株主還元の「積極性」で言えば、米国企業の方が進んでいることが多いのも事実です。特に自社株買いを組み合わせた総還元利回りは、多くの米国企業が非常に高い水準にあります。

それでも私が日本株の配当を重視するのは、為替リスクなく『日本円で』受け取れる絶対的な安心感と、自分がよく知る国内企業が困難な状況でも事業を続けているという『手触り感』です。これがポートフォリオの精神的な安定剤になってくれるのです。

日本株の注意点(デメリット)

  • 景気や世界情勢に弱い:日本株はトヨタのような輸出企業や、景気の波に左右されやすい企業が多いです。世界的な不況が来ると、米国株以上に大きく下落することもあります。

【具体例】まず何から?おすすめの日本株ETF・投資信託

「日本株のメリットは分かったけど、具体的に何を買えばいいの?」という方のために、代表的な選択肢を3つご紹介します。これらはNISA口座で簡単に買うことができますよ。

① TOPIX連動型 ETF・投資信託

特徴:日本の株式市場全体(約2,000社)にまるっと投資するイメージ。本当の意味での分散投資に最適です。
メリット:幅広い業種に分散されているため、特定の業界の不調に強い。日本経済の平均点を狙う、王道の選択肢です。
デメリット:良くも悪くも「平均」なので、爆発的なリターンは狙いにくいです。 具体的な商品例:『eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)』、『NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信(1306)』など。

② 日経平均株価(日経225)連動型 ETF・投資信託

特徴:日本を代表する有名企業225社に絞って投資します。ニュースで毎日聞く「今日の日経平均は…」という、あの指数です。
メリット:トヨタやソニー、ユニクロなど、誰もが知っている企業が中心なので、値動きの理由が分かりやすく、投資の入門として親しみやすいです。
デメリット:TOPIXと違い、一部の特定銘柄(値がさ株)の影響を強く受けるため、市場全体の値動きとズレることがあります。
具体的な商品例:『eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)』、『NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信(1321)』など。

③ 日本の高配当株ETF・投資信託

特徴:日本の企業の中から、特に配当金をたくさん出している企業(30〜50社程度)に絞って投資します。
メリット:株価の値上がりだけでなく、定期的に配こ当金(インカムゲイン)を受け取れるのが魅力。暴落時も配当が心の支えになります。
デメリット:配当が高い企業は、成熟産業が多く、大きな成長(株価の値上がり)は期待しにくい場合があります。
具体的な商品例:『iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF(1478)』、『NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信(1489)』など。


結論:答えは「どっちか」ではなく「どっちも」

ここまで米国株100%のリスクや、日本株のメリット・デメリットをお話ししてきましたが、私が言いたいのは「米国株はダメだ!」ということでは全くありません。

むしろ、逆の視点も忘れてはいけません。もし将来、日本円の価値が大きく下がってしまった時、資産の一部を米ドル(米国株)で持っていることは、最強の守りになります。米国株を持っていることは、米ドルで貯金しているのと同じ意味を持つのです。

私の尊敬してやまない投資家、バフェット氏も言っています。「アメリカの成長に逆らうな」と。

そう、答えは「米国株か、日本株か」という二者択一ではないのです。

  • 世界の成長を牽引する「攻めの米国株」
  • 為替リスクから資産を守る「守りの日本株」

この両方を、あなたが心地よいと感じるバランスで持つこと。それが、今の時代、私たち日本の個人投資家が目指すべき、一つの理想の形ではないでしょうか。

「みんながやっているから」と米国株100%にするのではなく、一度立ち止まって、ご自身のポートフォリオに「日本株」というお守りを加えてみることを、検討してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

大手化学メーカー営業。純資産1億円のサイドFIRE投資家。

20代借金300万から副業と資産運用で人生を逆転。30代で資産1億円を達成し会社に縛られないサイドFIRE生活に。

自身の経験を元にサラリーマンが自由を手に入れるための戦略を語ります。

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