投資家であれば誰もが知る、ウォーレン・バフェット氏の有名な2つのルール。
Rule No.1: Never lose money.
Rule No.2: Never forget rule No.1.
このあまりにも有名な言葉、あなたはどう日本語に訳しますか?
かつての僕は、何も考えずに「お金を失うな」と直訳していました。文字通り、物理的にお金を無くすな、と。しかし、化学メーカーの営業として海外の取引先と英語でやり取りする中で、この解釈が全くの間違いであることに気づいたのです。
ビジネス英語の”Lose Money”は「損をする」
言われてみれば当たり前なのですが、ビジネスの世界で “lose money” と言うと、それは「損をする、赤字になる」という意味合いで使われるのがほとんどです。
例えば、海外のビジネスニュースを読んでいると、こんな見出しがよく出てきます。
“Airline giant continues to lose money due to rising fuel costs.”
(大手航空会社、燃料費高騰により赤字続き)
この記事で、航空会社が「現金を失くした」わけではありませんよね。明らかに「損失を出している」という意味です。
つまり、バフェット氏が言いたかったのは「物理的にお金を無くすな」という単純な話ではなく、「(投資や事業において)損失を出すな、元本を毀損させるな」という、より深い戒めだったのです。このニュアンスの違いを理解した時、あの有名な言葉が、より重みを持って心に響くようになりました。
実際のビジネスシーンでは、こんな風に使います
実は、僕自身も海外の顧客との価格交渉の場面で、この “lose money” という表現をよく使います。例えば、こんな感じです。
相手: “Could you give us a further 5% discount on this order?”
(この注文、もう少し5%安くなりませんか?)自分: “I’m afraid that’s difficult. If we go any lower, we’ll lose money on this deal.”
(申し訳ありませんが、難しいです。これ以上価格を下げると、この取引で赤字になってしまいますので)
こんな風に、「損をしちゃうよ!」というニュアンスを伝えたい時に、非常に便利な表現なのです。
ちなみに「赤字になる」の他の表現は?
“Lose money” と似た表現で、会計的に「赤字になる」と言いたい時は “be in the red” というイディオムがよく使われます。
“Our new project has been in the red for three consecutive months.”
(我々の新規プロジェクトは、3ヶ月連続で赤字です)
これは、会計帳簿で赤字を赤インクで書いていたことに由来するそうです。日本語のニュアンスそのままなので、面白いですよね。
“Lose money” の反対語は?
では、逆に「儲ける」は何と言うでしょうか。
もちろん “make money” や “make a profit” が一般的ですが、”be in the red” の反対として “be in the black” という表現も覚えておくと便利です。
“Thanks to the new strategy, our company is finally in the black.”
(新戦略のおかげで、我が社はついに黒字になりました)
こちらも黒字を黒インクで書いていたことから来ています。セットで覚えると、グッと表現の幅が広がりますよ。
結論:ビジネス英語は、現場で揉まれて身につく
今回ご紹介したように、ビジネス英語には直訳するとニュアンスが変わってしまう表現がたくさんあります。
こればかりは、本で勉強するだけでなく、僕のように実際の交渉現場で冷や汗をかきながら慣れていくのが一番の近道なのかもしれませんね(笑)。
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