野村総合研究所の定義によれば、純金融資産1億円以上の世帯は「富裕層」と呼ばれます。
先日、僕はその「富裕層」の仲間入りを果たしました。
しかし、その称号に強い違和感を覚えています。世間が定義する「富裕層」と、僕が考える「本当の豊かさ」との間には、あまりにも大きな隔たりがあるからです。
なぜなら、僕が確信する本当の富裕層、つまり、人生が完全に「上がり」になる状態は、そこからさらに上の『資産3億円』から始まると結論づけたからです。
今回は、なぜ資産1億円では足りないのか。そして、なぜ「3億円」という数字が、人生を真に自由にする魔法の数字なのか。その具体的な根拠を、僕自身のリアルな経験と、偉大な投資家たちの言葉を借りながらお話しします。
なぜ資産1億円では「富裕層」ではないのか?
「資産1億円」と聞けば、多くの人はもうお金に困らない生活を想像するでしょう。しかし、現実はまったく違います。
その理由は、資産額(ストック)の大きさと、そこから生まれる現金(キャッシュフロー)の大きさは、まったくの別問題だからです。
現在の僕の状況を、正直に数字で見てみましょう。
- 金融資産(ストック):約1億円
- 年間配当金(フロー・税引き後):約300万円
- 年間生活費(フロー):約1000万円
年間の収支は、300万円 – 1000万円 = マイナス700万円。大赤字です。
「足りないなら、また副業で稼げばいいじゃないか」と思うかもしれません。しかし、僕はこの道を二度もとおりました。そして、二度とも燃え尽きました。自分の時間を切り売りする「労働所得」でこの赤字を埋め続けるのは、もはや僕の人生の選択肢にはありません。
では、虎の子である1億円の資産を取り崩すか?それも絶対にあり得ません。
僕が尊敬するウォーレン・バフェット氏の有名なルールは二つだけです。「ルールその1:絶対に損をしないこと。ルールその2:ルールその1を絶対に忘れないこと」。資産(ストック)を取り崩すことは、この第一原則に反します。
つまり、僕は今もサラリーマンとしての給料(労働所得)に完全に依存しているのです。これのどこが「富裕層」なのでしょうか。
資産1億円の今より、月収250万円時代の方がよほど金持ちだった
皮肉な話ですが、「自分は金持ちだ」という感覚は、資産1億円を達成した今よりも、副業と給料で月収250万円を稼いでいた30代前半の方が、はるかに強かったです。
当時は、文字どおり「使っても使ってもなくならない魔法の財布」を持っているような感覚でした。その結果が、200万円のモルディブ旅行などの愚かな浪費です。
今思えば、この感覚は20代にギャンブルで作った借金地獄の心理と表裏一体でした。どちらも、将来の資産(ストック)をまったく意識せず、目先の現金(フロー)の大きさに一喜一憂しているだけ。まったく成長していませんでした。
労働収入は、働けばまたすぐに稼げるという万能感を与え、消費へのハードルを下げてしまいます。一方で、投資で得た利益は「資本」。次の利益を生むための大切なタネ銭であり、未来の自分を支える生命線です。これを浪費することは、将来の可能性を自ら摘み取る行為に他なりません。
提案:本当の「富裕層」は、資産3億円から始まる
世間の定義に文句を言うつもりはありません。
しかし、僕自身の経験から、本当の意味で人生が「上がり」になる、つまり、心から「富裕層」だと実感できるのは、純資産3億円からだと提唱したいです。
なぜ、3億円なのか。
資産3億円 × 税引き後利回り3.3% = 年間キャッシュフロー 約1000万円
この計算式が、すべてを物語っています。
資産3億円あれば、年間1000万円の不労所得が生まれる。僕の現在の生活費を、資産を一切取り崩すことなく、不労所得だけで完全にまかなえるのです。
税引き後利回り3.3%は十分に実現できる
ここで「税引き後利回り3.3%(税引き前で約4.2%)なんて、本当に現実的なの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。結論から言えば、十分に現実的です。
僕自身、1億円で年間配当300万円(税引き後・利回り3%)なので、すこし頑張ればよいだけで十分可能と思っています。
また現在の日本株市場には、財務が健全で、かつ配当利回りが4%を超える優良な高配当株が数多く存在します。さらに昨今の株主還元強化のながれから、今後も配当を強化する企業はどんどん増えていくでしょう。もちろん配当金には約20%の税金がかかりますが、確定申告で配当控除などを活用すれば、手取りの利回りを3.3%以上に高めることは、戦略的に可能です。
これは入念な企業分析と適切なポートフォリオ管理が前提であり、誰でも簡単に達成できる数字ではありません。しかし決して非現実的な夢物語ではないのです。
資産3億円の木から毎年1000万円の果実が取れる、それこそが富裕層
バフェット氏はこうも言いました。「誰かが木陰で休んでいるのは、ずっと昔に、誰かが木を植えてくれたからだ」と。
資産とは、まさにこの「木」です。そして、配当金はその木から実る「果実」。資産3億円とは、自分と家族が十分に果実を食べても、なお木が成長し続ける状態を意味します。そうなって初めて、人は労働から完全に解放され、人生の時間を100%自分のために使えるようになる。これこそが、真の経済的自由です。
資産1億円はゴールではなく、最強のスタートライン
では、資産1億円という目標は無意味だったのか?
いいえ、全くそんなことはありません。
バフェットの相棒、チャーリー・マンガーは「最初の10万ドル(その後のインフレなども加味すると現在価値で1億円ほどか?)を貯めるのが一番難しい」と言いました。資産形成は、最初のタネ銭作りが最も過酷なのです。
まさにこれを今、実感しています。最初の1億円をつくり、あとは複利の力で雪だるま式に増えるフェーズにに来たことをようやく実感しました。
その意味で資産1億円はゴールテープではありません。本当の富裕層である「資産3億円」を目指すための、最強のスタートラインなのです。
複利の力が発揮され、資産が爆発的に増える(予定)
1億円という資産から生まれる年間300万円の配当金。これをすべて再投資に回すことで、複利の力は爆発的に加速すると思っています。ここからが、本当の戦いの始まりなのです。
達成した瞬間に僕が流した涙は、ゴールした安堵の涙ではありません。苦難の末に、ようやく本当のスタートラインに立てたことへの、武者震いだったのかもしれません。
結論:目指すべきは「資産額」ではなく「キャッシュフロー」
「富裕層」という言葉は、ただの記号に過ぎません。その言葉の響きに惑わされ、資産額の大きさだけを追い求めても、本当の豊かさは手に入らないかもしれません。
大切なのは、自分の人生にとって、年間いくらのキャッシュフローがあれば心から満足できるのかを知ること。そして、そのキャッシュフローを生み出す資産を、いかに築き上げるか。
僕の旅は、まだ続きます。次の目標である「資産3億円」への道のりも、このブログで皆さんと共有していけたらと思っています。
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