「暴落」に備えよ。お祭り相場で考えるべき、本当のリスク管理

サイドFIRE

日経平均、トピックスともに史上最高値を更新し、アメリカの主要指数S&P500、ダウ、ナスダック他も連日の最高値更新と、力強い動きを見せています。まさに世界的な「お祭り相場」ですね。

NISAを始めたばかりの方も、日に日に資産が増えていくのを見て、投資の楽しさを実感しているのではないでしょうか。

市場が熱気に包まれている時、私たちの心は楽観に傾きがちです。「このまま上がり続けるんじゃないか」「もっとリスクを取って大きく儲けたい!」と。

しかし、私が尊敬してやまない投資の神様、ウォーレン・バフェットはこう言いました。

“Be fearful when others are greedy, and greedy when others are fearful.”
(皆が貪欲になっているときに恐怖心を抱き、皆が恐怖心を抱いているときに貪欲になれ)

まさに「今」のような熱狂の中でこそ、私たちは一度立ち止まり、冷静になる必要があるのかもしれません。今日の記事では、このお祭り相場の裏側で静かに考えるべき「暴落への備え」について、私の壮絶な失敗談と共にお話しします。


私の失敗の歴史:裸で泳ぎ、チャンスを逃し続けた過去

なぜ私がこれほど「暴落への備え」を訴えるのか。それは、私自身が過去の暴落で準備不足を痛感し、絶好のチャンスを何度も指をくわえて見送ってきた、悔しい経験があるからです。

2009年 リーマンショック:熱狂の果てに裸で放り出された

私が株式投資を始めたのは、何を隠そうリーマンショックのほんの少し前。当時の経済も今と同じように絶好調で、「株で儲けよう!」という本や広告が溢れ返っていました。

これにまんまと乗せられた20代の私は、なけなしの数十万円の貯金を握りしめ、デイトレードの世界へ。結果はご想像の通り、ほぼ全額を溶かすという惨敗でした。

今思えば、これは幸運でした。もしあの時ビギナーズラックで調子に乗っていたら、その後のリーマンショック本番で、自己資金以上の取り返しのつかない大火傷を負っていたでしょう。

バフェット氏はこんな言葉も残しています。

“Only when the tide goes out do you discover who’s been swimming naked.”
(潮が引いたときにはじめて、誰が裸で泳いでいるかわかる)

まさに、熱狂という満ち潮に乗せられて、リスク管理も知らずに裸で泳いでいたのは、私自身だったのです。

そして、本当の悔しさはその後にやってきました。リーマンショックで世界中の株価が歴史的なバーゲンセールになった時、私は300万円の借金を抱える生活を送っており、1株たりとも買うことができませんでした。

「こんな時に株を買えるだけの現金があったなら…」

この時の悔しさが、私の投資家人生の原点です。私は漠然と、しかし強く心に誓いました。「次の暴落までには、必ず買えるだけのキャッシュを作る!」と。

2011年 東日本大震災ショック:またしても見送った買い場

その後の東日本大震災ショック。この時も凄まじい暴落でした。しかし、相変わらずの借金生活で投資余力はなく、またしても私は最高の買い場をただ眺めることしかできませんでした。「暴落はチャンスだ」と頭では分かっているのに、参加資格すらない。この無力感は、今でも忘れられません。


ついに来た大舞台「コロナショック」と、またもや犯した過ち

それから長い年月をかけてキャッシュを貯め、来るべき日に備えていた私。2019年半ばごろ、ついに満を持して株式投資を本格的に再開した、まさにその矢先でした。

コロナショックという、歴史的な大暴落がやってきたのです。

「やっとチャンスが来た!」と思うべきこの局面で、私が取った行動は、これまでの決意とは真逆のものでした。

市場がパニックに陥る中、私も冷静さを失い、保有していた銘柄のほとんどを狼狽売りしてしまったのです。さらに「もっと下がるはずだ」と血迷った私は、人生初の「空売り」にまで手を出しました。

結果は、またしても惨敗。市場が驚異的なスピードで反発する中、私の空売りは巨額の損失を生み、初手から大きく資産を溶かしてしまいました。

この大失敗から、私は骨身にしみて学びました。
暴落の底を正確に当てることなど誰にもできない。そして、最もやってはいけないのは、恐怖に駆られて相場から完全に退場したり、再起不能になるほどの致命傷を負ったりすることだ、と。


地獄からのV字回復:億り人への道

狼狽売りと空売りで数百万の損失を出し、頭が真っ白になりました。しかし、ここで腐ったらリーマンショックの時と同じことの繰り返しだ、と自分を奮い立たせたのです。

まずやったのは、全てのポジション整理でした。下落にかけていた空売りやオプション取引を、数百万円の損失を確定させてでも全て損切りしました。これは、一度頭を空っぽにし、冷静さを取り戻すための「儀式」でした。

そしてゼロになったポートフォリオを前に、私は新しい戦略を立てました。それは過去の失敗から学んだ3つのシンプルな戦略です。

① 安値で放置されていた「バリュー株」を拾う
パニック相場では、優良企業の株ですら不当に安く売られます。財務健全で、本来の実力よりも明らかに割安になっている株を探しました。

② 素晴らしい企業を「適正な価格」で買う
これはバフェット氏の有名な教えです。

“It’s far better to buy a wonderful company at a fair price than a fair company at a wonderful price.”
(素晴らしい企業を適正な価格で買うことは、平凡な企業を格安で買うことよりずっと良い)

暴落は、まさに「素晴らしい企業」の株が「適正な価格(フェアバリュー)」まで下がってくる絶好の機会でした。

③ 相場全体の地合いに左右されにくい「高配当株」で足場を固める
配当金は、株価が低迷している時の精神的な支えになります。キャッシュフローを生み出してくれる高配当株をポートフォリオの土台に据えました。

この3つの戦略にシフトし、冷静に買い向かった結果、幸運にもその後の歴史的な金融緩和と相場回復の波に乗ることができました。

そして、あの地獄のような大失敗から数年。私の資産はV字回復を遂げ、現在は1億円を超え、「億り人」となることができました。
これは自慢話ではありません。大失敗をしても、そこから学び、正しく行動すれば、道は開けるということを、どうしても伝えたかったのです。


【コラム】歴史が証明。日経平均は何度も暴落を乗り越えてきた

私が経験したコロナショックは「100年に一度の危機」などと呼ばれましたが、実は日本の株式市場の歴史は、暴落の歴史そのものなのです。

「暴落は必ず来る」という事実を、まずは過去の歴史から見てみましょう。

チャートを見ると分かるように、私たちの先輩投資家たちも、数々の悪夢のような暴落を経験してきました。特に有名なものをいくつかご紹介します。

  • ① バブル崩壊(1990年〜)
    原因:行き過ぎた好景気と不動産・株式市場の過熱。
    下落:1989年末に付けた史上最高値38,915円から、底を打つ2009年3月には7,054円まで下落。ピークからの下落率は約-82%に達し、「失われた30年」の引き金となりました。日本の株式市場における最大のトラウマです。
  • ② ITバブル崩壊(2000年)
    原因:インターネット関連企業の株価が、期待だけで実態なく高騰。
    下落:世界的な現象で、日本のハイテク株も軒並み大暴落。日経平均は2000年4月の高値から、約1年半で-50%以上下落しました。熱狂が冷めるのは一瞬でした。
  • ③ リーマンショック(2008年)
    原因:アメリカの住宅ローン問題(サブプライムローン)が金融危機に発展。
    下落:世界同時株安。日経平均も2007年の高値から、わずか1年数ヶ月で-60%以上下落するパニック相場に。私が投資を始め、一度退場した直後の出来事です。
  • ④ コロナショック(2020年)
    原因:新型コロナウイルスの世界的なパンデミック。
    下落:経済が止まるという恐怖から、約1ヶ月で-30%以上も下落。歴史上、最も速いスピードの暴落でした。

このように、暴落の原因や規模、スピードは様々ですが、およそ10年に一度のペースで大きな危機が訪れていることが分かります。

そして、最も重要な事実があります。それは、どんな暴落の後でも、日経平均株価は時間をかけて必ず回復し、ついには過去の最高値を更新してきたということです。

この歴史を知っておくだけで、「暴落はいつか来る。そして、いつか終わる」という心の準備ができるはずです。


【本題】失敗から学んだ、暴落前に「今」できる3つの備え

では、歴史が証明する「来るべき日」のために、熱狂の今、私たち個人投資家は何をすべきなのでしょうか。私の数々の失敗から導き出された、具体的な3つの備えをご紹介します。

備え1:「致命傷を負わない」ポートフォリオを組む

まず、自分のリスク許容度を超えた投資をしていないか、点検しましょう。特定の銘柄への一点集中投資や、身の丈に合わない信用取引は、暴落時に一発退場につながります。

その上で、ポートフォリオの一部にディフェンシブ銘柄を組み込むことをお勧めします。電力・ガス、通信、医薬品といった、景気の影響を受けにくい業種のことです。コロナショックの時も、これらの株は他の銘柄に比べて下落率が明らかにマイルドでした。ポートフォリオの「緩衝材」として、精神的な安定剤にもなります。

備え2:「買い向かう」ための現金を確保する

リーマンショックの時に私が最も後悔した、キャッシュの準備です。これは生活防衛資金とは別に、「暴落時に使う」と決めた投資用の待機資金です。

株価が右肩上がりの時に現金を持っていると、「機会損失だ」と焦る気持ちも分かります。しかし、キャッシュポジションもまた、暴落という最大のチャンスを掴むための「攻めの戦略」なのです。

備え3:「心の準備」をしておく

これが最も重要かもしれません。それは「暴落は、いつか必ず来る」と覚悟を決めておくことです。

「もし今、自分の資産が30%、いや50%下落したら、自分はどう行動するだろうか?」
「その時、パニックにならずに買い増すことができるだろうか?」

このシミュレーションを頭の中でしておくかどうかで、いざという時の行動は全く変わってきます。暴落は避けられない自然災害のようなもの。ならば、私たちは防災訓練をしておくべきなのです。


結論:暴落は恐怖の対象から「最高の買い場」に変わる

バフェットの「皆が恐れているときに貪欲になれ」という言葉は、言うのは簡単ですが、実行するのは非常に困難です。渦中にいると、恐怖が合理的な判断をいとも簡単に狂わせます。

しかし、ここまでお話しした「①致命傷を負わないポートフォリオ」「②買い向かうための現金」「③心の準備」という3つの備えができていれば、話は別です。

暴落が来ても、あなたは冷静でいられるでしょう。市場から退場することなく、むしろ他の投資家が恐怖で投げ売る優良株を、バーゲン価格で買うことさえできます。

正しく恐れ、正しく準備をすれば、暴落は単なる「恐怖の対象」から、あなたの資産を大きく飛躍させる「最高の買い場」に変わります。お祭り相場の今だからこそ、来るべき日のために、静かに準備を始めませんか。

この記事を書いた人

大手化学メーカー営業。純資産1億円のサイドFIRE投資家。

20代借金300万から副業と資産運用で人生を逆転。30代で資産1億円を達成し会社に縛られないサイドFIRE生活に。

自身の経験を元にサラリーマンが自由を手に入れるための戦略を語ります。

※SNS無し。ご連絡は「お問い合わせ」からお気軽にどうぞ。

のまどサラリーマンをフォローする
サイドFIRE
スポンサーリンク
のまどサラリーマンをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました