「ディベロッパー」「ゼネコン」の違いとは?建設業界の用語まとめ

ディベロッパーとゼネコンの違いを説明できますか?

建設業界、不動産業界を志望する就活生・転職者のよくある質問に「ディベロッパーとゼネコンって何が違う?」というのがあります。

まずはシンプルにわかりやすく違いを解説すると、

ディベロッパーとゼネコンは建設業界において役割が違います。ディベロッパーは不動産の開発者、ゼネコンは実際の工事をすべて請け負う会社です。

ディベロッパーは川下、ゼネコンは川中〜川上と定義することができます。決して逆の立場になることはあり得ません。

もっと細かい説明、具体的な例、それぞれどんな企業があるかについて、わかりやすく記事中で解説しています。

ディベロッパーとは?

ディベロッパーまたはデベロッパーとは英語「Developer(開発者)」が元になっている建設業界用語。

ディベロッパーの意味は文字通り、(不動産)を開発する人のこと。たとえば、巨大なオフィスビルを作る、駅の再開発をする、湾岸地域の不動産開発をする、マンションの不動産開発をする、リゾート開発をする、などの仕事をしている会社です。

代表的な企業には、

  • 財閥系(三井不動産、三菱地所、住友不動産、東京建物)
  • 私鉄系(東急不動産、京王不動産、小田急不動産、名鉄不動産、阪急不動産)
  • 金融系(野村不動産、ヒューリック)
  • ゼネコン系(清水総合開発、大成有楽不動産)
  • メーカー系(トヨタホーム、旭化成ホームズ)
  • 商社系(三菱、物産、住商、伊藤忠、丸紅、双日の一部門)
  • 独立系(森ビル、イオンモール)

などがあります。多すぎてまとめきれませんでしたが、何かしらの不動産開発を企画していれば、ディベロッパーといえます。

ゼネコンとは?

ゼネコンとは英語「General Contractor(ゼネラル・コントラクター)」が元になり、省略されて生まれた不動産業界用語。

ゼネコンの意味は直訳すると「総合契約者」となるのですが、もっとわかりやすくすると、上流から下流まで、一貫して不動産建設を請け負う建設会社のこと。たとえば、ダム建設などの公共事業を請け負ったりします。

下請け業者(サブコン)、専門業者(Special Contractor)に対して付けられた、業界用語です。ゼネコンは「建設元請け大手」と言われることもあります。

代表的な企業例には、

  • スーパーゼネコン(鹿島建設、清水建設、大林組、大成建設、竹中工務店)
  • 準大手〜中堅ゼネコン(長谷工コーポレーション、戸田建設、五洋建設、前田建設工業、三井住友建設、フジタ、西松建設、東急建設、熊谷組、奥村組、ほか多数)
  • その他(ナカノフドー建設、福田組、大豊建設、ほか多数)

などがあります。

ディベロッパーとゼネコンの違いまとめ

違いは「ディベロッパー = 不動産開発会社」「ゼネコン = 実際に工事する会社」というようになります。建設のどこに関わっているか、という点でこの2つは違うのです。

違いをまとめると、以下の通りになります。

  • ディベロッパーは不動産の開発者、ゼネコンは実際の工事をすべて請け負う会社
  • ディベロッパーは川下、ゼネコンは川中・川上に位置

また、ビジネスのフローを簡略化して図にすると以下のとおり。

  • 顧客 ⇄ 不動産販売会社 → ディベロッパー → ゼネコン → 下請け
    ▼ディベロッパーは企画
    ▼実際の工事はゼネコン

※ただし公共事業は別
※ゼネコンは子会社にディベロッパーを持つ場合もあり、すべてを一貫してやる場合もあり

これだと少しわかりにくい部分がありますので、具体例を出して考えてみましょう。

具体例①マンション開発で違いを考える

  • (顧客 ⇄ 不動産販売会社) ← ディベロッパー → ゼネコン → 2次下請け…

たとえば「タワーマンションの40階建てを作りたい」とすると、まずはディベロッパーが土地を取得し開発を企画します。ディベロッパーはデザイン・仕様書などの詳細を決めたら、あとはゼネコンに丸投げ(元請け)。ゼネコンは全てを自社で企画し作るのですが、めんどくさい部分は2次請けに丸投げしてしまいます。そして最終的にゼネコンがディベロッパーに納品し、マンションは完成します。

一方で販売側はどうかというと、

ディベロッパーはマンション完成前から、不動産販売会社を通して顧客に販売する仕組みとなっています。

具体例②公共事業で違いを考える

  • 政府、地方自治体 ⇄ ゼネコン → 2次下請け → 3次下請け…

たとえば「ダムを作りたい」とすると、政府もしくは地方自治体が入札で工事する会社を募集します。ここでゼネコン5社はいずれも、ダムを一貫して作れる力があるので、入札に参加。最終的に落札したゼネコンがすべての工事を請け負います。これも先ほどと同じで、めんどくさい部分は下請けに任せます。

ゼネコンって不要じゃないの?

さて、ここまで見てくると、ある疑問が浮かびます。

ゼネコンって別にいらなくね?

だって、どうせ実際の工事はゼネコンじゃなくて下請けがやってるんでしょ?

だから、ゼネコンなんて抜きにしてディベロッパーが下請けに直接発注すればええやん?

という就活生・転職者のためにゼネコンの存在意義をまとめておきます。

ゼネコンの機能と存在意義

もう疲れてきたので、ゼネコンの機能を箇条書きします。

  1. 下請けをまとめる機能
    ▼この機能をディベロッパーが持つことは現状、難しいです。なぜなら、膨大な下請け業者が存在するから。
  2. 工事の司令塔(工期の管理、施工の管理)
    ▼マネージャー的な機能。ディベロッパーは施工に関するノウハウが少ないため、現状ではこの機能を持つことは難しい。
  3. 施工に関するノウハウ
    ▼戦前からありとあらゆる施工を手がけてきたゼネコンならではの、施工ノウハウはディベロッパーには真似できません。

ディベロッパーって不要じゃないの?

ついでにもう一つ、別の疑問。

ディベロッパーって別にいらなくね?

だって、どうせ実際の工事はゼネコンがやってるんでしょ?

だから、ディベロッパーなんて抜きにしてゼネコンがすべてを手がければええやん?

という就活生・転職者のためにディベロッパーの存在意義をまとめておきます。

ディベロッパーの機能と存在意義

  1. もともとの土地がある
    ▼ディベロッパーが強いのは土地を持っているから。特に私鉄系、旧財閥系のディベロッパーはほぼ、昔からの土地財産だけで成り立ちます。
    一方のゼネコンは施工業者であるため、もともとの土地を持ちません。だからもし、ゼネコンがすべてをやろうと思ったら土地の買収から始めないといけず、リスクが高くなります。
  2. 企画力?デザイン力?販売力?
    ▼その他にも開発企画力があったり、グループ会社に販売力のある会社を持っていたりして、ディベロッパー各社それぞれ、ノウハウがあると思われます。リスクを取っているのは明らかにディベロッパーのほうで、ゼネコンはほとんどリスクゼロですね。強いて言うなら、競合が多いので談合でもしないと値段を叩かれて儲からない、ということでしょうか。

まとめ

「建設業界」といっても川上から川下まで膨大な工程があり、ゼネコンであっても自社ですべて施工するのはコスト高いし、ほぼ不可能に近い。そこで2次、3次請けを使っているわけです。かといって、ディベロッパーは下請けに直接頼むことは難しい、そんなノウハウもないし…。

ということでゼネコンとディベロッパーは機能が違い、それぞれの専門分野で仕事をしているのでした。

『「ディベロッパー」「ゼネコン」の違いとは?建設業界の用語まとめ』へのコメント

  1. 名前:あか 投稿日:2017/06/26(月) 20:09:58 ID:6537e1465 返信

    「川上」と「川下」の定義が間違っていないでしょうか?
    文章を拝読すると、ディベロッパーが「川上」で、ゼネコンが「川下」のような気がするのですが…

  2. 名前:しろ 投稿日:2017/07/09(日) 16:51:48 ID:f04bbd3bc 返信

    1の方の言う通り、ディベロッパーが川上でゼネコンは川下です。
    立場はディベロッパーが常に監理(いわゆる皿かん)として存在することが多いので、ゼネコンの管理(いわゆるくだかん)と立場は同列扱いです。ただ、ディベロッパーが事実上のお客さんなので、ゼネコン側は自分が同列と知っていても、お客さん扱いします。
    っていうか、丸投げって表現が気になる。
    下請負=協力業者=専門工事業者だから(ただ呼び方が違うだけ)、専門の業者に請け負ってもらうってことで、別に元請けに知識がないわけではない。機材やそれを専門としている人が集まっている業者に委託しているだけ。彼らがやっている作業内容や技術は元請が指定したり、元請が彼らに技術指導してやってもらっているので、丸投げすることはありえない。
    あと、談合という言葉を使用していますが、大変危険な表現なので、この記事を書いているのがどういう輩なのかわかりませんが、気を付けて下さい。