就職・転職先を探すとき、平均勤続年数はブラック企業を見わける指標となります。ただ目安が難しく、15年未満だったら短いの?10年未満だったら?5年未満だったらどう?という質問があります。
そこで平均勤続年数の目安ごとに、ブラック企業度・ホワイト企業度をランキングしていきます。
まずは基本として、高卒は18歳~60歳までの42年間、大卒は22歳~60歳までの38年間、院卒(修士)は24歳~60歳までの36年間、博士卒(ドクター)は27歳〜60歳までの33年間、働きます。したがってバランス良く従業員が居れば、大体平均勤続年数は15~20年位になり、従業員の平均年齢は、38歳~42歳位になります。それを一つの目安として考えましょう。
神ホワイト企業:勤続年数23年〜
平均勤続年数23年以上の企業は、間違いなくホワイト企業と言えます。
高卒であれば41歳〜、大卒であれば45歳〜、院卒であれば47歳〜まで平均して勤めている、ということ。
大企業例
平均勤続年数が23年を超えている企業って、実はほとんどありません。
- MS&ADインシュアランスG・HD (平均年収1147万円、平均年齢47歳、平均勤続23年)
- GS・ユアサ(1020万円、50.1歳、24.6年)
- 日本軽金属HD(973万円、51.9歳、24.5年)
- サッポロHD(890万円、47.0歳、23.0年)
- パナソニック(23.3年)
- 本田技研工業(23.8年)
- 東京電力(23.0年)→就職してはいけない!
※G=グループ、HD=ホールディングスの省略
※数字は2016年3月期の有価証券報告書より
ホワイト企業:勤続年数20〜23年
平均勤続年数20年以上~23年未満の会社も、従業員の定着率が高い、素晴らしい企業と言えます。
高卒であれば38~41歳、大卒であれば42~45歳、院卒であれば45~47歳まで平均して勤めている、ということ。
就職・転職先として十分におすすめできる、すばらしい大企業たちをまとめます。
メーカー業界(自動車・化学素材・他)
- JX・HD(1105万円、44.5歳、平均勤続20.3年)
- 横河電機(936万円、44.6歳、20.0年)
- 三菱ケミカルHD(1100万円、46.3年、20.5年)
- 信越化学工業(20.2年)
- デンソー(22.4年)
- 住友金属鉱山(20.3年)
- 富士通(20.3年)
- 日産自動車(20.3年)
- 日清紡HD(20.7年)
- TDK(20.5年)
- トクヤマ(20.8年)
- コニカミノルタ(20.2年)
- アマダHD(21.1年)
金融業界(銀行・証券・保険・カード)
- 三井住友トラストHD(1571万円、42.9歳、平均勤続20.9年)
- T&D・HD(981万円、44.1歳、20.7)
- ふくおかFG(21.5年)
その他(不動産・小売りなど)
- 東急不動産HD(1214万円、45.4歳、平均勤続20.6年)
- コムシスHD(22.8年)
- 三越伊勢丹HD(22.1年)
- Jフロントリテイリング(21.3年)
ノーマル企業:勤続年数15~20年
平均勤続年数15年以上〜20年未満の会社は数多くあり、この辺りが平均的な一部上場企業と考えることができます。
高卒であれば33~38歳、大卒であれば37~42歳、院卒であれば40~45歳まで平均して勤めている、ということ。
いちおう、企業例をまとめます(多すぎるため、業界の代表的な企業だけ)。
商社業界
丸紅、伊藤忠商事、三井物産、三菱商事、住友商事、豊田通商、双日、他多数
金融業界(銀行・証券・保険・カード)
東京海上HD、三井住友フィナンシャルG、大和証券G本社、りそなHD、損保ジャパン日本興亜HD、三菱UFJ・FG、みずほFG、静岡銀行、他多数
メーカー業界(化学・製薬・自動車・部品・食品)
ファナック、国際石油開発帝石、昭和シェル石油、旭化成、ソニー、中外製薬、アステラス製薬、協和発酵キリン、キャノン、日産化学工業、ニコン、日本碍子、花王、日本ハム、味の素、ヤマハ、トヨタ自動車、三菱電機、積水ハウス、旭硝子、住友電気工業、住友重機械工業、日本精工、日本板硝子、いすゞ自動車、東ソー、三井化学、リコー、東芝、三菱重工、日本電気(NEC)、カシオ計算機、DOWA・HD、安川電機、日本水産、クボタ、日清製粉G、大日本住友製薬、富士フィルムHD、日本たばこ産業(JT)、エーザイ、第一三共、明治HD、SCREEN・HD、日立製作所、東京エレクトロン、塩野義製薬、王子HD、他多数
その他(不動産・建築・プラント建設・他)
大成建設、大林組、清水建設、日揮、三菱地所、KDDI、鹿島建設、東宝、日本電信電話(NTT)、アドバンテスト、NTTドコモ、イオン、他多数
グレー企業:勤続年数10~15年
平均勤続年数10年以上〜15年未満の会社は、若干ですが難あり。一部上場企業の中では平均勤続年数が短い部類に入ります。
高卒であれば28~33歳、大卒であれば32~37歳、院卒であれば35~40歳まで平均して勤めている、ということ。
このクラスにいる一部上場企業は、まったり仕事をしてると上に行けない可能性があります。
大企業例
電通、三井不動産、日本郵政、JFE・HD、商船三井、東京建物、武田薬品工業、千代田化工建設、川崎汽船、オリンパス、平和不動産、ヤマトHD、大和ハウス工業、住友化学、松井証券、キッコーマン、NTTデータ、日東電工、新生銀行、あおぞら銀行、東レ、凸版印刷、第一生命保険、日立建機
ブラック企業・予備軍:勤続年数5~10年
平均勤続年数5年以上〜10年未満の会社は、完全に難あり。
高卒であれば23~28歳、大卒であれば27~32歳、院卒であれば30~35歳まで平均して勤めている、ということ。ベンチャー企業や完全成果主義の会社が多く該当。
このクラスにいる一部上場企業は、いつブラック企業認定されてもおかしくないです。
(すでにブラック企業と言われている会社もありますね…)
大企業例
- ソフトバンクG(1164万円、40.2歳、平均勤続8.0年)
- トレンドマイクロ(6.9年)
- リクルート(6.8年)
- ファーストリテイリング(5.1年)
ブラック企業・真性:勤続年数1~5年
平均勤続年数1年以上〜5年未満の会社も、完全に難あり。ほぼ全ての社員が5年未満で退職するって、普通では考えられないクレイジーな状況です。
高給でも激務すぎることが問題か、年収が低すぎることが問題、キャリアアップが望めないか、それの全てか…。こちらもベンチャー企業、成果主義の企業が多く該当。
高卒であれば18~23歳、大卒であれば22~27歳、院卒であれば25~30歳まで平均して勤めている、ということ。
このクラスにいる一部上場企業は、完全にブラック企業です。就職・転職するのは辞めておきましょう。
企業例
- 野村HD(1516万円、42.3歳、平均勤続3.6年)
- スカパーJSAT・HD(1246万円、48.5歳、2.8年)
- クックパッド(643万円、32.4歳、2.5年)
- グリー(747万円、32.3歳、2.7年)
- ミクシィ(759万円、32.3歳、3.3年)
- ディー・エヌ・エー(777万円、32.9歳、3.4年)
- 楽天(671万円、33.3歳、4.5年)
- サイバーエージェント(772万円、31.1歳、4.5年)
- みんなのウェディング(513万円、33.8歳、1.4年)
- 中小ベンチャー企業、他多数
※ホールディングス会社の平均勤続年数は実態と異なる可能性があります。
ブラック企業・ゴッド:勤続年数1年未満
平均勤続年数1年未満の会社は…。コメントする必要もないですね…。完全にブラック企業です。就職・転職するのは辞めておきましょう。
- KADOKAWA(641万円、39.8歳、平均勤続0.5年)
ホールディングス会社は実態と違う可能性あり
ホールディングス会社の平均勤続年数は、計算方法が企業によってマチマチ…。
計算方法の違いによって、結果が違います。
たとえば、ANAホールディングス(2.0年)など、明らかにホワイト企業なのに平均勤続年数が短い場合、ホールディングス会社に勤続した年数しかカウントしていません。
※持ち株会社とホールディングス会社のあいだを行ったり来たりする
年功序列の会社は一般的に平均勤続15~20年であることが普通です。
メーカーの平均勤続年数は高卒の数字
メーカーの場合、平均勤続年数は大卒・総合職の平均値を表しません。
なぜなら、メーカー勤務の9割以上は高卒の現場ワーカーだからです。
したがって平均値は多数の高卒ワーカーにひっぱられ、少数の大卒・総合職には当てはまりません。メーカーの平均年収が低く出ているのと同じことですね。
ブラック企業の関連記事
最後に、関連する参考記事をまとめます。
持株会社に転籍した人達の勤続年数が少ないのは当たり前だ
勤続年数が少ないからといってブラック企業と決めつけるのはおかしい