拝見いたしました(読み:はいけん)について、意味と上司や目上への正しい使い方、注意点をビジネスメールの例文つきで誰よりもくわしく解説していく記事。
まず簡単にまとめを。
「拝見いたしました」の意味は直訳すると「見ました」。謙譲語「拝見」をつかっているため実際にはもっと丁寧なニュアンスです。
使い方は以下のとおり上司や目上・取引先を前にして「何かしら見ました」と言いたい時につかいます。
- 【例文】貴社ホームページを拝見いたしました。
- 【例文】カタログを拝見いたしました。
- 【例文】貴社HPを拝見し、連絡いたしました。
- 【例文】貴社の求人広告を拝見し連絡いたしました。
あるいは。
- 【例文】会議資料を拝見いたしましたところ、いくつか修正をお願いしたい箇所が見つかりました。
- 【例文】貴社ホームページを拝見いたしましたが、製品スペックに関する記載が見あたらず問合せいたしました。
上記のように「見たところ~・見ましたが~」という意味でビジネスメールにつかっても丁寧です。どの例文も社内メールで目上(上司や先輩)につかっても、社外のビジネスメールにつかってもよい丁寧な敬語表現ですね。
ざっくりとした解説はこれにて終了。
くわしくは本文中にて意味と使い方、注意点を述べていきます。
※長文になりますので、時間の無い方は「見出し」より目的部分へどうぞ。
この記事の目次
“拝見いたしました”の意味と使い方
拝見(読み:はいけん)の意味は・・・
- 見ることをへりくだっていう語。謹んで見ること。
つまり「見ること」の謙譲語ですね。
「見る」に謙譲表現「拝」をくっつけているため上記の意味になります。
「拝見する」だと「見る」の意味。
この「する」を謙譲語「いたす」に変換すると「拝見いたす」となり、さらに丁寧語”ます”の過去形”ました”をくっつけると「拝見いたしました」という敬語になります。
身近な「拝見いたしました」のたとえ・例文
「拝見いたしました」って一体どんなシーンでつかえるのかというと身近ではたとえば…
- Facebookの投稿を見た
というとき「部長のFacebook投稿を拝見させていただきました。素敵な奥様ですね!」or「拝見しました」or「拝見いたしました」 - テレビCMを見た
というときに「貴社のテレビCM拝見いたしました。商品の魅力がわかりやすく伝わる、すばらしいCMでしたね!」 - 他人あての手紙を見たい
というときに「失礼ながら、お手紙拝見したく存じます。」
こんなシーンでつかいます。
「拝見する」のより丁寧な敬語
なお「拝見する」の使い方として。
例文にもしましたが「拝見する」を単体でつかうことはほとんどなく。「する」の部分を以下のようにもっと丁寧な敬語にしてつかいます。
- 【丁寧】丁寧語”ます”をくっつけて「拝見します」
- 【かなり丁寧】謙譲語”いたす”丁寧語”ます”で「拝見いたします」
- 【バカ丁寧】謙譲語”させていただく”丁寧語”ます”で「拝見させていただきます」
- 【許可を得る】謙譲語”させていただく”丁寧語”ます”で「拝見させてください」
- 【見たいとする時】謙譲語”存じる”丁寧語”ます”「拝見したく存じます」※希望の表現
なお過去のことには「~ました」をつかいます。
※「存じる」は「思う」の意味の敬語(謙譲語)。「~したく存じます・~いたしたく存じます」だと「~したいと思います」の意味になる。
※「拝見させていただく」は敬語として正しいものの、使い方によっては日本語としておかしくなる。適切なシーンを選んでつかう必要あり。→次項で解説
【注意点】”拝見いたしました”はこう使う!
つづいて「拝見いたしました」の使い方というか注意点について簡単に。
①”ご拝見いたしました”は二重敬語!
「拝見いたしました」をつかうときの注意点その一。
もっとも初歩的な敬語の使い方なのですが…「ご拝見いたしました」はNGです。
「拝見」はすでに「見ること」の敬語(謙譲語)なのに、さらに謙譲語「ご」をくわえてしまっています…
結果として「見ること」に①謙譲語「拝見」+②謙譲語「ご」としており二重敬語になりますね。※二重敬語とはひとつの単語におなじ種類の敬語を2回つかうことでありNGです。
あるいは。
「お(ご)~いたす」のひとかたまりを謙譲語として見たとき。「ご拝見いたしました」でもいいんじゃないのか?とする意見もあります。ただ「~」の謙譲語が「お(ご)~する」だという解釈を適用した場合には「拝見」が謙譲語であるため、そもそも二重敬語ということになります。
②”拝見してください”は間違い敬語!
「拝見いたしました」をつかうときの注意点その二。
こちらも初歩的な敬語の使い方なのですが…「見てほしい!見てください!」と言いたいときに「拝見してください!」は間違い敬語です。
「拝見」は謙譲語であるため自分の行為につかい相手の行為にはつかいません。※例外あり
たとえば以下の使い方は間違い敬語となりNGです。十分にお気をつけください。
- NG例×上司なり目上・取引先が拝見いたしました「添付のレポートを拝見してください」
- NG例×上司なり目上・取引先に拝見いただく「お手元の資料を拝見していただけますか」
相手の行為には基本的に謙譲語ではなく尊敬語をつかいます。※例外あり
したがって相手に見てほしいときには。
見ることの尊敬語「ご覧くださる」や例外的に謙譲語「ご覧いただく」をつかいます。以下のようにすると正しい敬語になりますね。
- 正しい例◎「添付のレポートをご覧ください」
- 正しい例◎「まずはお手元の資料をご覧ください」
いずれも上司なり目上・取引先に何かしら「見てください・見てほしい」といいたいときに使える敬語になります。
③”拝見いたします”は二重敬語ではない!
あとは注意点というよりもよくある敬語の勘違いについて。
「拝見いたします」は二重敬語だから誤りだという意見もあります。ただし答えは二重敬語ではなく100%正しい敬語です。
なぜ「拝見いたします」が間違い敬語のように感じてしまうかというと…
「拝見」はすでに謙譲語であり、さらに「する」の謙譲語「いたす」をつかって「拝見いたす」としているから…
「拝見=謙譲語」×「いたす=謙譲語」
「拝見いたします」は「謙譲語 x 謙譲語」だから二重敬語??
このようなロジックで二重敬語だという意見がでてくるのかと。
ただし答えは…「二重敬語ではない」です。
二重敬語とは「ひとつの語におなじ敬語を二回つかうこと」であり敬語のマナー違反です。
たとえば「お伺いいたす」「お伺いする」などが二重敬語の例。「行く・尋ねる」の謙譲語「伺う」をつかっているのに、さらに「お〜いたす」「お〜する」という謙譲語をつかっているためです。
ところが。
「拝見いたす」は以下のように「①見ること」「②する」という2つの異なる単語にそれぞれ謙譲語を用いているため二重敬語ではなく、正しい敬語の使い方をしているのですね。
①「拝見」=「見ること」の意味の謙譲語(単体では名詞)
②「いたす」=「する」の意味の謙譲語
くわしくは以下の記事にて。
④”拝見させて頂く”も正しい敬語だが…
あとはこちらもよくある敬語の勘違い。
「拝見させていただく」「拝見させていただきます」は二重敬語だから誤りだという意見もあります。ただし答えは二重敬語ではなく100%正しい敬語です。
「拝見させていただく」は以下のように「①見ること」「②させてもらう」という2つの異なる単語にそれぞれ謙譲語を用いているため二重敬語ではなく、正しい敬語の使い方をしているのですね。
①「拝見」=「見ること」の意味の謙譲語(単体では名詞)
②「させていただく」=「させてもらう」の意味の謙譲語
ただし。
使うシーンによっては日本語としておかしくなるため注意が必要。
「拝見させていただく」の意味は「見させてもらう」ということですから、何かしら相手にとって不都合なことにたいして許可を得るようなニュアンスです。
たとえば。
○「部長のご自宅を拝見させていただきました」としたとき。上司が自宅を大々的に自慢しているわけでないのでしたら、上司のプライバシーにかかわることです。そんなときには「自宅を見させてもらったよ、許してね」というニュアンスで「拝見させていただく」をつかうのは何ら問題ではありません。正しい日本語の使い方です。
ところが。
×「貴社ホームページを拝見させていただきました」とした場合。会社としてはお客さんなり誰かしらに訪れてもらうためにホームページを作っているわけです。それなのにこの使い方だと「ホームページ見させてもらったよ、許してね」というようようなニュアンスになります。
もし会社のホームページが極秘情報や会社のスキャンダルで埋められていて誰にも見られたくないようなものであれば、「ホームページを拝見させていただきました」でもまぁよいでしょう。ところが常識的にはそうじゃない訳です。
したがってこんな時には「ホームページを拝見しました/拝見いたしました」が正しい日本語の使い方ということになります。
【例文】ビジネスメール全文
こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。
ここでは「拝見いたしました」の使い方をビジネスメール例文とともにご紹介。
どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。
ビジネスメール例文①採用情報に関する問合せ(就活メール)
メール件名: 2020年卒・新卒採用予定の有無(就活大学・就活一郎)
転職株式会社
採用担当 様
突然のメールにて大変失礼いたします。
私、現在就職活動をしております、就活大学・就活学部の就活一郎と申します。
この度は今年度の新卒採用予定の有無について伺いたく、連絡いたしました。
貴社ホームページを拝見いたしましたところ採用情報に関する記載が見あたりませんでしたが、もし貴社にて新卒採用のご予定がおありでしたら、応募したいと考えております。
お忙しいところ大変恐れ入りますが、
ご教示いただけましたら幸いです。
何卒よろしくお願い致します。
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メール署名
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ビジネスメール例文②中途採用に関する問合せ(転職メール)
メール件名: 貴社求人の応募可否に関するお問い合わせ(氏名)
コンサルティング株式会社
人事部 採用ご担当
○○様
突然の連絡にて大変失礼いたします。
私、大手メーカー勤務の○○と申します。
さて、貴社Webサイトにてご掲載されている以下の求人を拝見し、応募したいと考えておりますが、現在応募は受け付けていらっしゃいますでしょうか。
- 求人内容:
・IT事業部 コンサルタントマネージャー
・IT事業部 コンサルタント - ご記載元URL:xxxxxxxxx
ご多忙のところ大変恐れ入りますが、ご教示いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
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メール署名
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ビジネスメール例文③製品に関する問合せ(to社外)
メール件名:貴社製品に関するお問合せ
株式会社転職
ご担当者 様
お世話になります。
突然のご連絡、大変失礼いたします。株式会社就活・開発担当の就活と申します。
この度は貴社ホームページを拝見し連絡いたしました。
さて、現在弊社では貴社製品を以下の用途へ適用することを検討しております。
①検討用途:電気自動車のエンジン部材
②求める物性:高耐熱性、高耐久性
貴社ホームページにて製品一覧を確認しましたところ、
商品AとBが目的に合致すると考えておりますが、いかがでしょうか。
不躾な質問にて大変恐縮ですが、
ご教示いただけますと幸いです。
宜しくお願い申し上げます。
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メール署名
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ビジネスメール例文④サービスに関する問合せ(to社外)
メール件名:xxサービス料金に関するお問合せ
株式会社転職
ご担当者 様
お世話になります。
突然のご連絡、大変失礼いたします。
私、のまどサラリーマンと申します。
このたびは貴社携帯電話サービスへの加入を検討しており、ホームページを拝見いたしましたが、料金プランに関する記載が見あたらなかったため問い合わせいたしました。
つきまして料金プランをご教示いただけますと幸いです。
ご多忙のところ大変恐縮ですが、
宜しくお願い申し上げます。
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メール署名
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