「ご検品いただきたく存じます」意味と使い方・ビジネスメール例文

「ご検品いただきたく存じます」は「検品してもらいたいと思います」という意味。

ようは「検品してほしい!」「検品してください!」と言いたいわけですが・・・丁寧な敬語にするとこんな風にややこしい表現になります。

使い方は何かしら検品してほしいときのお願い・依頼ビジネスメール。社内上司や目上にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧なフレーズです。

くわしくは本文にて意味や敬語の種類、ビジネスシーンにふさわしい使い方、ビジネスメール例文、注意点を解説していきます。

※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ

意味と敬語

「ご検品いただきたく存じます」は「検品してもらいたいと思います」という意味。

なぜこのような意味になるのか?

そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。

“検品”の意味は「品物・製品を検査すること」

検品(読み:けんぴん)のそもそもの意味は…

品物・製品を検査すること。

たとえば、

【例文】出荷前には必ず検品すること。

【例文】検品時には製品の不良に気づかなかった。

のようにして使います。

“ご検品いただきたく”の意味は「検品してもらいたい」

まずは前半部分。

“ご検品いただきたく〜”の意味は、

検品してもらいたい

検品してもらいたく

のように解釈できます。

「ご検品」のもととなる単語は「検品」であり、「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」をつかって敬語にしています。

「いただきたく」の部分は謙譲語「いただく」に意思・希望「〜したい」をつかっています。

ここで「ご検品」の「お(ご)」の部分は向かう先を立てるために使う敬語であり謙譲語の「お(ご)」です。

余談ですが尊敬語にも「お(ご)」の使い方があり混同しがち。

難しく感じるかたは「お(ご)●●いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。

なお表記は、

漢字表記「ご検品頂きたく」vs. ひらがな表記「ご検品いただきたく」の両方ともOK。どちらをつかっても正しい敬語です。

“存じます”の意味は「思います」

つづいて後半部分。

“存じます”の意味は「思います」

“思う”の敬語(謙譲語)「存じる」に丁寧語”ます”をつかって敬語にしています。

あわせると意味は「検品してもらいたいと思います」

  1. ご検品 = 検品すること
  2. お(ご)~いただきたく = 「〜してもらいたい」の意味の敬語(謙譲語)
  3. 存じます = 「思います」の意味の敬語(謙譲語)

※漢字表記「ご検品頂きたく」vs. ひらがな表記「ご検品いただきたく」の両方ともOK。

これらの単語を合体させて意味を考えます。

すると「ご検品いただきたく存じます」の意味は…

「検品してもらいたいと思います」

であり、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

「検品してください!」とストレートに言うのではなく遠回しに自分の意思や気持ちをつたえる、とても丁寧なフレーズですね。

ニュアンスとしては「検品してもらいたいと思うのだけど…」みたいなイメージ。

あまりに堅苦しくて大げさかもしれませんが、とにかく目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズになります。

敬語の解説

ややこしいので、これまでの敬語の解説をまとめておきます。

「ご検品いただきたく存じます」を敬語としてみていくと以下のとおりに成り立ちます。

  • もとになる単語「検品」
  • “〜してもらう”の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「ご検品いただく
  • 意思・希望”〜したい”で「ご検品いただきたい
  • “思う”の謙譲語「存じる」に丁寧語”ます”をくっつけて「存じます

→ すべてあわせると「ご検品いただきたく存じます」という敬語の完成

このようにして元になる語「検品」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。

相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

なお「ご検品していただきたく存じます」は間違い敬語となりますのでご注意を。

この場合、謙譲語「お(ご)」をなくして「検品していただきたく存じます」とすれば正しい敬語になります。

理由は長くなるので省きますが、あくまでも「ご検品いただきたく存じます」をつかうことをオススメします。

それでは次項より使い方についても見ておきましょう。

【使い方】検品してほしい!と伝えるビジネスシーン

「ご検品いただきたく存じます」の使い方は…

意味のとおりで何かしら「検品してほしい!」と言いたいビジネスシーンに使います。

①おもにビジネスメールに使われる

「ご検品いただきたく存じます」の使い方その1

「ご検品いただきたく存じます」にかぎらず「〜いただきたく存じます」という表現は電話対応や商談よりも、どちらかというとビジネスメールで多くつかいますね。

会話でつかうにはあまりに堅苦しいフレーズだからです。

だからと言って電話対応などにつかったら失礼とかではなく、堅苦しいというだけ。

ようするにビジネスメールで上司や目上・社外取引先に「検品してほしい!」と言いたいシーンであれば使えます。

②電話対応・会話では”ご検品いただけますか?”など推奨

「ご検品いただきたく存じます」の使い方その2

わたし個人としては電話対応や会話シーンに「ご検品いただきたく存じます」のような堅苦しいフレーズをつかうのがあまり好きではありません。

そこで、

  • 【例文】ご検品ください
  • 【例文】ご検品くださいませ
  • 【例文】ご検品いただけますか?
  • 【例文】ご検品いただけますでしょうか?

など会話シーンにふさわしい、ちょっとカジュアルな敬語をつかって意思や希望をつたえますね(下の例文ほど丁寧な敬語になります)。

とくに「〜いただけますか?」サラッと言えるためビジネスシーンで重宝するフレーズです。

※「~いただけますか?」の意味は「~してもらえますか?」

※「~いただけますでしょうか?」の意味は「~してもらえますでしょうか?」

敬語の補足

念のため「ご検品いただけますか?」「ご検品いただけますでしょうか?」の敬語について少し。

  • “検品”に「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「ご検品いただく」
  • 可能形にして「ご検品いただける」
  • さらに丁寧語”ます”で「ご検品いただけます」
  • 疑問形にして「ご検品いただけますか?」

“〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」を使うと「ご検品いただけますでしょうか?」

どちらの表現も謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。

どちらかというと「〜いただけますでしょうか?」のほうが丁寧なのですが…

バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけますか?」でも十分に丁寧です。

“ご検品いただければと存じます”だとなお丁寧

“検品してほしい!”と言いたいときに使える敬語。

「ご検品いただきたく存じます」でも十分に丁寧ではありますが…

「ご検品いただければと存じます」とすると、より丁寧な敬語になります。

意味と敬語

どちらも言いたいことは結局のところ「検品してほしい」なのですが…

「ご検品いただければと存じます」の意味は…「検品してもらえたらと思います」

謙譲語「ご検品いただく」を可能形にして「ご検品いただける」とし、

さらに仮定の「たら・れば」をくっつけると「ご検品いただければ」という敬語の完成。

かな〜り遠回しにお願いをしているわけで、目上・上司・取引先への言葉づかいとしてはこの上なく丁寧ですね。

そんなに丁寧にする必要あるの?って思うくらい。

違いと使い分け

「ご検品いただきたく存じます」vs.「ご検品いただければと存じます」の違いと使い分けについて簡単に。

  • 「ご検品いただきたく存じます」だと意味は「検品してもらいたいと思います」
    → 敬語は”お(ご)~いただく”+希望”~したい”+謙譲語”存じる”+丁寧語”ます”

いっぽうで、

  • 「ご検品いただければと存じます」の意味は「検品してもらえたらと思います」
    → 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形”いただける”仮定”たら・れば”+謙譲語”存じる”+丁寧語”ます”

「ご検品いただきたく存じます」だと「~してもらいたい」と言いながらも「思います」として、遠回しにあなたの希望を伝える敬語にしています。

いっぽうで、

「ご検品いただければと存じます」だと「~してもらえたらと思います」というように、もっと遠まわしかつ大げさなお願いのフレーズになります。

まぁ、どちらも丁寧な敬語であり使い分けの必要はありませんが…

より丁寧なメールがもとめられるシーンでは「ご検品いただければと存じます」を使うとよいでしょう。

シンプルに”ご検品いただきたくお願い致します”でも丁寧

“検品してほしい!”と言いたいときに使える敬語。

「ご検品いただきたく存じます」「ご検品いただければと存じます」だけでなく、

「ご検品いただきたく、お願い致します」もあります。

言いたいことは結局のところ「検品してほしい」なのですが…

“存じます”ばかりのメールは気持ち悪い

ビジネスメールで「存じます」つまり「思います」を多用すると気持ち悪い文章になってしまいます。あなたの意思が伝わらずぼんや〜りとしたメールになって「結局なにが言いたいの?」ということになりかねません。

そんなときに活躍するのが「ご検品いただきたく、お願い致します」です。

「ご検品いただきたく存じます」だと「検品してもらいたいと思います」という意味であり、

「ご検品いただきたく、お願い致します」だと「検品してもらいたい、お願い!」というような意味になります。

敬語としてはどちらも、これでもかというくらい丁寧なので使い分けする必要はありません。

文章のバランスを考えてお好みでお使いください。

なお「ご検品いただきたく、お願い致します」というように「」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。

敬語の解説

一応「ご検品いただきたく、お願い致します」の敬語の成り立ちをまとめておきます。

  • もとになる単語「検品」
  • “〜してもらう”の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「ご検品いただく
  • 意思・希望”〜したい”で「ご検品いただきたい
  • “願う”に謙譲語”お(ご)〜いたす”で「お願いいたす
  • 丁寧語”ます”をくっつけて「お願いいたします

→ すべてあわせると「ご検品いただきたく、お願いいたします」という敬語の完成

※「お願い申し上げます=お願いいたします」言い換えOK

※「お願いいたします」の表記は漢字「お願い致します」としてもOK

謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

したがって上司・目上やビジネスメールで使うのにふさわしい表現、と言えるでしょう。

もっとシンプルに”ご検品をお願い致します”でもOK

“検品してほしい!”と言いたいときに使える敬語。

あとはシンプルに、

  • 【例文】ご検品をお願い致します/ご検品をお願い申し上げます
  • 【例文】ご検品をお願いします

としてもOKです。

意味としては「検品をお願いします!」であり、

言いたいことは結局のところ「検品してほしい」となります。

社内メールや懇意にしている取引先につかう

基本の使い方はこれまでとおなじ。

なにかしら「検品してほしい!」というときに使います。

とくに懇意にしている社外取引先や社内コミュニケーション(上司・目上)であれば、そこまで堅苦しい敬語をつかう必要はありません。

あまりに丁寧すぎる敬語は相手との間に壁をつくってしまいますからね。

ということで相手をみてシンプルに「ご検品をお願い致します」としてもなんら問題はありません。

※ ただし上下関係に厳しい上司・目上や初めての相手には丁寧すぎるくらいの敬語がオススメです。

ほかにも使える丁寧な敬語

これまで紹介した例文のほかにも…

  • 【例文】ご検品いただければ幸いです
    ※意味は「検品してもらえたら嬉しいです」
  • 【例文】ご検品いただけますと幸いです
    ※意味は「検品してもらえると嬉しいです」
  • 【例文】ご検品いただけましたら幸いです
    ※意味は「検品してもらえたら嬉しいです」
  • 【例文】ご検品いただければ幸甚に存じます
    ※意味は「検品してもらえたら、とても嬉しく思います」
  • 【例文】ご検品いただけますと幸甚に存じます
    ※意味は「検品してもらえると、とても嬉しく思います」
  • 【例文】ご検品いただけましたら幸甚に存じます
    ※意味は「検品してもらえたら、とても嬉しく思います」

なども似たような意味であり、とても丁寧な敬語です。

補足

※ 幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

※ 「幸い」は「幸せであること、嬉しい気持ち」の意味

※ 「存じる」は「思う」の謙譲語

※ 「いただきたく」は謙譲語「いただく」+希望「~したい」

※ 「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」

※ 「いただけましたら」は謙譲語「いただく」+丁寧語「ます」+仮定「たら・れば」

ビジネスメール例文

こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。

ここでは「ご検品いただきたく存じます」の使い方をビジネスメール例文とともにご紹介。

どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。

なおビジネスメールにおいては以下の敬語もオススメです。

① それなりに丁寧「ご検品くださいませ」

② 丁寧「ご検品いただければと存じます」

③ かなり丁寧「ご検品いただければ幸いです」など

④ ↓とくにビジネスメール結び/文末につかう↓

「ご検品頂きますようお願い申し上げます」

「ご検品くださいますようお願い致します」

「ご検品のほど宜しくお願い致します」

ビジネスメール例文①しっかりと検品してほしい(社外)

メール件名: 転送FW:製品A 100袋欠品の報告

ビジネス物流
営業部 ○○ 様 (社外取引先)

いつもお世話になっております。
転職化学・ノマドです。

さて標記の件、このたび顧客より転送メールのとおり製品Aに関して100袋の欠品を指摘されております。

当該注文(弊社注文No.xxx)をトレースしましたところ、貴社に在庫・出荷手配をお願いした分であることが判明いたしました。

つきまして下記の点につき、至急ご対応いただきたく存じます。

①追加100袋の手配(最速納期)
②原因の調査・今後の防止策レポート
③〜

※同様のクレームを防ぐため、出荷前には必ずご検品いただきますようお願い致します。

以上

ご不明な点等ございましたら何なりとお申し付けください。
宜しくお願い致します。

************
メール署名
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ビジネスメール例文②発送前の検品を強化してほしい(社内)

メール件名:【クレーム】ssジーンズ

業務部 xx部長

お疲れ様です。

さて標記の件、製品「ssジーンズ」を出荷した顧客から多数の欠陥報告を受けております。具体的には今月だけで以下のクレームが発生しました。

事例①穴あき(写真添付)
事例②ほつれ〃
〜〜

これらのクレームは検品を強化することで防げると考えております。つきまして、これまで以上に発送前の検品を強化くださいますようお願い致します。

以上

ご不明な点等ございましたら何なりとお申し付けください。

宜しくお願い致します。

************
メール署名
************

結局どれがもっとも丁寧?