「ご連絡いただけますと幸いです」は「連絡してもらえると嬉しいです」という意味。
ようは「連絡してほしい!」「連絡してください!」と言いたいわけですが・・・丁寧な敬語にするとこんな風にややこしい表現になります。
使い方は何かしら連絡してほしいときのお願い・依頼ビジネスメール。社内上司や目上にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧なフレーズです。
くわしくは本文にて意味や敬語の種類、ビジネスシーンにふさわしい使い方、ビジネスメール例文、注意点を解説していきます。
※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ
意味
まずは「ご連絡いただけますと幸いです」の意味と敬語について順をおって解説します。
“連絡”の意味
連絡(れんらく)の意味は・・・
- 関連があること。「3億円強奪と連絡のある事件をしらべる」
- 気持ちや考えなどを知らせること。情報などを互いに知らせること。また、その通知。「上司に連絡する」「顧客にご連絡ください」
- 二つの地点が互いに通じていること。また、異なる交通機関が一地点で接続していること。「連絡通路、連絡する駅」
“ご連絡いただけますと”の意味は「連絡してもらえると」
まずは前半部分。
「ご連絡いただけますと〜」の意味は…
「連絡してもらえると〜」
このように解釈できます。
「お(ご)〜いただけますと」は「〜してもらえると」という意味の敬語(謙譲語+丁寧語)
「〜いただける」は謙譲語「いただく」の可能表現。可能の表現をつかっているので意味としては「〜してもらえる」となります。
おなじような可能の表現にはたとえば、
「泳ぐ → 泳げる」
「書く → 書ける」
「聞く → 聞ける」
などあり。どれも「〜できる」という意味になりますね。
こまかい敬語の解説は長くなるため次項にて。
なお表記は、
漢字表記「ご連絡頂けますと」vs. ひらがな表記「ご連絡いただけますと」の両方ともOK。どちらをつかっても正しい敬語です。
“幸いです”の意味は「嬉しいです、幸せです」
つづいて後半部分。
「幸いです」の意味は…
「嬉しいです」
「幸せです」
このように解釈できます。
もととなる単語は「幸い(さいわい)」であり、丁寧語「です」を使って敬語にしています。
あわせると意味は「連絡してもらえると嬉しいです」
- ご連絡 = 連絡すること
- ご・お~いただけますと = 「〜してもらえると」の意味の敬語
- 幸いです= 「幸せです、嬉しいです」の意味
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「ご連絡いただけますと幸いです」の意味は…
「連絡してもらえると嬉しいです」
のように解釈できます。
ようは「連絡してほしい!」「連絡してください!」ということなのですが、このままではあまりにストレートすぎて目上や上司・取引先につかうにはイマイチです。
そこで「~してもらえると嬉しいです」というように遠回しにして、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。
そんなに丁寧にお願いする必要あるの?って思うくらい。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
敬語の解説
「ご連絡いただけますと幸いです」を敬語としてみていくと以下のとおりに成り立ちます。
難しいので敬語についてくわしく学ぶ必要のない方はスキップしてください。
- もとになる単語「連絡」
- “〜してもらう”の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「ご連絡いただく」
- 可能形にして「ご連絡いただける」
- 丁寧語”ます”をくっつけて「ご連絡いただけます」
- 接続助詞”と”をくっつけて「ご連絡いただけますと」
- “嬉しい”の意味である”幸い”に丁寧語”です”をくっつけて「幸いです」
→ すべてあわせると「ご連絡いただけますと幸いです」という敬語の完成
このようにして元になる語「連絡」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
なお「ご連絡していただけますと幸いです」は間違い敬語となりますのでご注意を。「連絡していただけますと幸いです」とすれば正しい敬語ではありますが…長くなるため理由は省略。
補足
- 漢字表記「ご連絡頂けますと」vs. ひらがな表記「ご連絡いただけますと」の両方ともOK。
- 「〜いただける」は謙譲語「いただく」の可能表現。可能の表現をつかっているので意味としては「〜してもらえる」となります。
- 接続助詞「と」は助詞の一類。用言・助動詞について、それよりまえの語句をあとの語句に接続し、前後の語句の意味上の関係をしめすはたらきをする。
ちなみに敬語「お(ご)」は…
- 「自分がご連絡する」「相手にご連絡いただく」のであれば謙譲語としての使い方。
- 上司・目上・取引先などの「相手がご連絡くださる・ご連絡になる」のであれば尊敬語としての使い方。
というように2パターンあります。
難しく感じるかたは「お(ご)〜いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。
【使い方】連絡の依頼・お願いビジネスメール
つづいて「ご連絡いただけますと幸いです」の使い方について。
ようは「連絡してほしい!」「連絡してください!」という意味なので、そのような依頼・お願いビジネスメールに使います。
取引先など社外あてに限らず、上司や目上など社内あてのメールにも使える丁寧なフレーズですね。
例文
たとえば、
- 【例文】ご連絡いただけますと幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
- 【例文】ご連絡いただけますと幸いです。よろしくお願い致します。
※ 意味は「連絡してもらえると嬉しいです。よろしく」
のようにして何かの依頼・お願いをともなうビジネス文書やビジネスメールで結び・締めくくりとして使われます。
もちろん結びでなく文章の途中でつかっても丁寧です。
なお「ご了承をいただけますと幸いです」というように「を」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。
ビジネスメール例文(全文)
こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。
ここでは「ご連絡いただけますと幸いです」の使い方をビジネスメール例文でご紹介。
どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。
なおビジネスメールにおいては以下の敬語もオススメです。
① それなりに丁寧「ご連絡くださいませ」
② 丁寧「ご連絡いただければと存じます」
③ かなり丁寧「ご連絡いただけますと幸いです」など
④ ↓とくにビジネスメール結び/文末につかう↓
「ご連絡頂きますようお願い申し上げます」
「ご連絡くださいますようお願い致します」
「ご連絡のほど宜しくお願い致します」
ビジネスメール例文①飲み会の出欠を催促する(社内)
【to社内・各位・上司など】
社内の催促メールで「飲み会の出欠確認を催促する」ときのビジネスメール例文。メールで案内をしていなければ新たに催促メールを作り、すでに案内済みのときには「転送Fw」「履歴付き返信Re」を使い、出欠の確認ができていない相手だけを宛先にする。催促するときには「●●はいかがでしょうか?」という敬語フレーズを使う。
メール件名①新規:懇親会・出欠のご確認
メール件名②転送Fw:【再送】懇親会・出欠のご確認
営業部 各位(社内)
お疲れ様です。
さて、先般お願いしておりました3月10日・懇親会の件、皆さまのご都合はいかがでしょうか。
お忙しいところ大変恐れ入りますが、予約等の手配が必要なためあらかじめ人数を把握しておきたく、出欠につき明日中にご連絡いただけましたら幸いです。
なお、このメールは懇親会へのご出欠連絡がまだの方へ送付しております。行き違いでご連絡をいただいておりましたら申し訳ありません。
何卒宜しくお願い致します。
************
メール署名
************
※「ご返答・ご返信・ご回答」にも言い換えできます
ビジネスメール例文②出欠の催促をする(社外)
【to社外・取引先など】
社外の催促メールで「展示会などイベントへの出欠確認を催促する」ときのビジネスメール例文。メールで案内をしていなければ新たに催促メールを作り、すでに案内済みのときには「転送Fw」「履歴付き返信Re」を使い、出欠の確認ができていない相手だけを宛先にする。催促するときには「●●はいかがでしょうか?」という敬語フレーズを使う。
メール件名①新規:新商品披露イベント・出欠のご確認
メール件名②転送Fw:【再送】新商品披露イベントのお誘い
ビジネス 株式会社
営業部 ●● 部長(社外ビジネス取引先)
たびたび申し訳ありません。転職・ノマドでございます。
さて、先般お誘いしておりました11月10日・新商品披露イベントの件、●● 部長のご都合はいかがでしょうか。大変失礼とは存じますが、念のため仔細につき転送メールにて送付いたします。
また誠に勝手を申し上げますが会場等の準備を進めたく、11月1日までに出欠につきご連絡いただけますと幸いです。
なお行き違いでご連絡をいただいておりましたら申し訳ありません。
お忙しいところ大変恐れ入りますが何卒宜しくお願い申し上げます。
************
メール署名
************
※「ご返答・ご返信・ご回答」にも言い換えできます
“ご連絡いただけましたら幸いです”としても丁寧
「ご連絡いただけますと幸いです」と似たような敬語には・・・
- 【例文】ご連絡いただけましたら幸いです
- 【例文】ご連絡いただければ幸いです
もあります。言いたいことは「連絡してほしい」であり、どれも丁寧な敬語なので使い分ける必要はありませんが…
いちおう意味と違いについて考えてみます。
“こ連絡頂ければ vs. 頂けますと vs. 頂けましたら”の意味と違い
どちらも結局のところ「連絡してほしい!」「連絡してください!」という意味になるのですが…こまかくは以下のとおり意味と敬語の違いあり。
- 「ご連絡いただけますと」だと意味は「連絡してもらえると」
→ 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形+丁寧語”ます”+接続助詞”と”
いっぽうで、
- 「ご連絡いただけましたら」だと意味は「連絡してもらえたら」
→ 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形+丁寧語”ます”+仮定”たら” - 「ご連絡いただければ」だと意味は「連絡してもらえたら」
→ 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形+仮定”れば”
となります。
まとめると・・・
謙譲語「いただく」を可能形にすると「いただける」になり、
「いただける」に丁寧語”ます”+接続助詞”と”をくっつけると「いただけますと」になり、
「いただける」に仮定の「れば」をくっつけると「いただければ」になり、
「いただけますと」に仮定の「たら」をくっつけると「いただけましたら」になります。
なお「ご連絡をいただけましたら幸いです」というように「を」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。
どれも丁寧であり使い分けの必要はない
これまで見てきたように、どの敬語もこのうえなく丁寧なフレーズです。したがって上司など社内の目上はもちろんのこと、社外取引先にもつかえますね。
お好きなフレーズを使えばよく、使い分けする必要はありません。
“ご連絡いただけますと幸甚に存じます”だとなお丁寧
さらに死ぬほど丁寧なメールや文書にしたいときには・・・
「幸い」ではなく「幸甚(こうじん)」をつかい、
- 【例文】ご連絡いただけますと幸甚に存じます
→ 意味は「連絡してもらえると、この上なく嬉しく思います」 - 【例文】ご連絡いただけますと幸甚です
→ 意味は「連絡してもらえると、この上なく嬉しいです」
とするともう、本当に死ぬほど丁寧になります。
※ 幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
※ 存じる(ぞんじる)は「思う」の敬語(謙譲語)
これまで紹介した敬語と言いたいことはおなじ。
ただ、幸甚(こうじん)というフレーズのほうがよりカチッとした表現になりますので、文書や手紙・公式なビジネスメールなど本当に堅苦しい文章にしたいときにオススメです。
普段づかいのメールであれば「幸い」で十分に丁寧です。
いちおう意味と違いについて簡単に解説しておきます。
“幸いです vs. 幸甚です”の意味と違い
どちらも結局のところ「嬉しいです!」「幸せです!」という意味になるのですが…
幸甚(こうじん)のほうがより、嬉しさや幸福度合いを強調したフレーズになります。
つまり「幸甚です」とすると意味は・・・
「とてつもなく嬉しいです!」「大変ありがたいです!」「この上なく幸せです!」という感じになりますね。
手紙や公式なビジネスメールにおすすめ
これまで見てきたように、どちらの敬語もこのうえなく丁寧なフレーズです。上司など社内の目上はもちろんのこと、社外取引先にもつかえる素晴らしく丁寧な敬語です。
ただ、より堅苦しいというかビジネス文書や手紙むけというか・・・
カチッとした表現は「幸甚(こうじん)」のほうです。
本当に死ぬほど丁寧なメールや文書にしたいときに使いましょう。
ほかにも使える丁寧な敬語
これまで紹介した例文のほかにも・・・
似たような言い換え敬語で、おなじように丁寧なフレーズをまとめておきます。
どれも「連絡してほしい!」「連絡してください!」と依頼・お願いしたいときのビジネスメールに使えます。
『ご連絡いただければ幸いです』
「ご連絡頂けますと幸いです」だけじゃない丁寧なビジネス敬語
- 例文「ご連絡いただければ幸いです」
意味は『連絡してもらえたら嬉しいなぁ、幸せだなぁ』
つまり『連絡してもらえたら嬉しいです』
相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズですね。
「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+可能形+仮定の「~れば」
「幸いです」は「幸い」+丁寧語「です」
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
『ご連絡賜れますと幸いです』など
「ご連絡頂けますと幸いです」だけじゃない丁寧なビジネス敬語
「いただく」よりもカチッとした敬語「賜る(たまわる)」をつかい、
- 【例文】ご連絡賜れますと幸いです
※意味は「連絡してもらえると嬉しいです」 - 【例文】ご連絡賜れましたら幸いです
※意味は「連絡してもらえると嬉しいです」
とするとより丁寧な敬語になります。
「お(ご)~いただく」と「お(ご)~賜る(たまわる)」はどちらも「~してもらう」の謙譲語ですが「賜る」のほうがよりかしこまった表現になります。
『ご連絡賜れますと幸甚に存じます』など
「ご連絡頂けますと幸いです」だけじゃない丁寧なビジネス敬語
「いただく」よりもカチッとした敬語「賜る(たまわる)」をつかい、さらに「幸い」よりも大げさな「幸甚(こうじん)」をつかって…
- 【例文】ご連絡賜れますと幸甚に存じます/幸甚です
※意味は「連絡してもらえると、この上なくありがたく思います/です」 - 【例文】ご連絡賜れましたら幸甚に存じます/幸甚です
※意味は「連絡してもらえたら、この上なくありがたく思います/です」
とするとより丁寧な敬語になります。
幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
「存じる」は「思う」の謙譲語
「賜れますと」は謙譲語「賜る」+可能形+丁寧語「ます」+接続助詞”と”
「賜れましたら」は謙譲語「賜る」+可能形+丁寧語「ます」+仮定「たら・れば」
ビジネスメール結びをより丁寧にするコツ
あまり関係ないのかもしれませんが重要なので念のため。
ビジネスメールの文末・結び・締めとして使うことのおおい「ご連絡」
ここでは、
ビジネスメール結びをより丁寧にするためのコツをご紹介します。
①メール結びに使うときは「よろしく!」を加えると丁寧
ビジネスメール結びをより丁寧にするためのコツ。
「ご連絡いただけますと幸いです」はそれだけではビジネスメール結び締めとしてイマイチ。
そこで結びにつかう時にはうしろに「よろしく!」的なフレーズを組み合わせて、セットで使うとより丁寧なメール結びになります。
すでに例文にはしましたが…
- 【例文】ご連絡いただけますと幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
- 【例文】ご連絡いただけますと幸いです。よろしくお願い致します。
- 【例文】ご連絡いただけますと幸いです。よろしくお願い申し上げます。
ビジネスメールの結び締めに使うときにはこんな感じにするとよいでしょう。
②どうか・何卒+ご連絡
ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。
「ご連絡」の前置きに添える丁寧なお願いフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」を使うとより丁寧な印象のメールとなります。
たとえば以下のようなフレーズがあります。
- どうか/どうぞ
例文「どうかご連絡くださいますようお願い申し上げます」
例文「どうかご連絡くださいますようお願い致します」
例文「どうかご連絡いただけますと幸いです」
例文「どうかご連絡いただければと存じます。何卒よろしくお願い申し上げます」 - 何卒(なにとぞ)
例文「何卒ご連絡くださいますようお願い申し上げます」
例文「何卒ご連絡くださいますようお願い致します」
例文「何卒ご連絡いただけますと幸いです」
例文「何卒ご連絡いただければと存じます。よろしくお願い申し上げます」
③恐縮・お手数+ご連絡
ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。
「ご連絡」の前置きには強調するフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」だけでなく、申し訳なく思う気持ちや、相手を気づかうフレーズをもってきても丁寧です。
たとえば「誠に勝手を申し上げますが」などと組み合わせ、以下例文のようにすると好感がもてますね。上司や目上にはもちろんのこと、取引先のメールにも使える丁寧な例文にしています。
- 恐縮=申し訳なく思うこと
「お忙しいところ恐縮ではございますがご連絡〜」
「大変恐縮ではございますがご連絡〜」
「たびたび恐縮ではございますがご連絡〜」 - 恐れ入る=申し訳なく思う
「お忙しいところ恐れ入りますがご連絡〜」
「大変恐れ入りますがご連絡〜」
「たびたび恐れ入りますがご連絡〜」 - お手数=お手間
「お忙しいところお手数お掛けしますがご連絡〜」
「大変お手数ではございますがご連絡〜」 - 勝手を申し上げる=自分勝手を言う
「誠に勝手を申し上げますがご連絡〜」 - ご無理申し上げる = 無理を言う
「ご無理申し上げますが、何卒ご連絡のほどお願い申し上げます」 - ご多忙とは存じますが=忙しいとは思うけど
「ご多忙とは存じますがご連絡〜」