「お渡しいただきますようお願い致します」は直訳すると「渡してもらうようお願いします」という意味。
ようは「渡してほしい!」「渡してください!」と言いたいわけなのですが・・・丁寧な敬語にするとこんな風にややこしい表現になります。
使い方は社内上司や目上・社外取引先に渡してほしいときのお願い・依頼ビジネスメール。
とくにメール結び・締め・文末によくつかわれます。
くわしくは本文にて意味や敬語の種類、ビジネスシーンにふさわしい使い方、ビジネスメール例文、注意点を解説していきます。
※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ
意味
まずは「お渡しいただきますようお願い致します」の意味と敬語について順をおって解説します。
“渡す”の意味
渡す(わたす)の意味は・・・
- 人や荷物を舟で向こう岸に運ぶ。「ヒトを向こう岸に渡す」
- 物の上を越えて、一方から他方へ物がとどくようにする。またがらせる。かける。「ナイル川に橋を渡した」
- こちらの手から相手の手へ移す。手渡す。「上司に資料を渡す」「書類をxxさんにお渡しいただけますか?」
- 自分の持っているもの、権利などを他の人に与える。「オーナーに賃貸マンションをあけ渡す」
“お渡し頂きますよう”の意味は「渡してもらうように」
「お渡しいただきますよう~」の意味は直訳すると「渡してもらうように」
「お(ご)~いただきますよう」は「~してもらうように」という意味の敬語。
「~してもらう」の敬語(謙譲語)「お(ご)~いただく」をつかい、さらに丁寧語「ます」+「よう(様)」を組み合わせて敬語にしています。
「ますよう」ってどんな意味?
“お渡しいただきますよう”の「ますよう」は「(〜する)ように」の意味。
なぜこのような意味になるのでしょうか?
先ほども示しましたが「ますよう」は「①ます+②よう(様)」という2つの単語からなります。
まず前半部分の「ます」はシンプルに丁寧語の「ます」
つづいて後半の「よう(様)」の意味はいろいろありますが…
ここでは「婉曲 (えんきょく) な命令・希望の意を表す」言葉として使われます。
希望をあらわす「よう(様)」にはたとえば、
- 【例文】時間に遅れないよう、ご留意ください
- 【例文】部長に怒られないように気をつける
- 【例文】風邪などお召しになりませんように
などあり。
ちなみに「ように」でも「よう」でも正しい日本語ですが、「お渡しいただきますようにお願い致します」はあまり一般的ではありません。
※ なお表記は漢字「ます様に」でも平仮名「ますように」でも、どちらも正しい日本語です。
お願い致します は「お願いする」よりも丁寧な敬語
「お願い致します」の意味は「お願いする」
ただしよりカチッとした敬語「お(ご)~致します」をつかっているため実際にはもっと丁寧なニュアンス。
もととなる単語は「願う」であり、
謙譲語「お(ご)〜致す」を使い「お願い致す」とし、さらに丁寧語「ます」を使って敬語にしています。
「お願い致します」は「よろしくお願い致します」としてもOK。
さらに「どうか」という意味の「何卒(なにとぞ)」を使い「何卒よろしくお願い致します」としても丁寧。
あるいは「お願い申し上げます」に言い換えるとなお丁寧です。
※ なお表記は漢字表記「お願い致します」& ひらがな表記「お願いいたします」のどちらでも構いません。
あわせると意味は「渡してもらうよう、お願いします」
- お渡しいただく =「渡してもらう」の意味の敬語(謙譲語)
- ますよう =「(〜する)ように」の意味の敬語(丁寧語)
- お願い致します = 「お願いする」よりもかしこまった敬語
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「お渡しいただきますようお願い致します」の意味は…
「渡してもらうように、お願いします」
のように解釈できます。
ようするに「渡してほしい!」「渡してください!」というあなたの希望をあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。
そこで遠まわりに「~してもらうようにお願い!」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。
そんなに丁寧にお願いする必要あるの?って思うくらい。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
敬語の解説
「お渡しいただきますようお願い致します」の敬語の種類についても整理しておきます。
ややこしいので敬語について学ぶ必要のない方はスキップしてください。
- もとになる単語「渡す」
- 「〜してもらう」の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「お渡しいただく」
- 丁寧語”ます”をくっつけて「お渡しいただきます」
- 希望を表す”よう(様)”で「お渡しいただきますよう」
- 「お願いする」よりもかしこまった敬語「お願い致します」
→ あわせると「お渡しいただきますようお願い致します」という敬語の完成
上記のようにして元になる語「渡す」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
補足
※ 漢字表記「頂きますよう」vs ひらがな表記「いただきますよう」はどちらも正しい
※ 漢字表記「ます様」vs ひらがな表記「ますよう」はどちらも正しい
※ 漢字表記「お願い致します」& ひらがな表記「お願いいたします」のどちらも正しい
ちなみに敬語「お(ご)」は…
- 「自分がお渡しする」「相手にお渡しいただく」のであれば謙譲語としての使い方。
- 上司・目上・取引先などの「相手がお渡しくださる」のであれば尊敬語としての使い方。
というように2パターンあります。
“お渡し頂きますよう vs 頂けますよう”の違い
“お渡しいただきますようお願い致します”と似たような敬語には…
“お渡しいただけますようお願い致します”もあります。
これって何が違うのでしょうか?
念のため「お渡しいただきますよう vs お渡しいただけますよう」の違いについて簡単に説明しておきます。
意味と敬語の違い
どちらも結局のところ「渡してほしい!」「渡してください!」という意味になるのですが…こまかくは以下のとおり意味と敬語の違いあり。
- 「お渡しいただきますよう」だと意味は「渡してもらうよう」
→ 敬語は”お(ご)~いただく”+丁寧語”ます”+希望”よう”
いっぽうで、
- 「お渡しいただけますよう」だと意味は「渡してもらえるよう」
→ 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形+丁寧語”ます”+希望”よう”
となります。
謙譲語「いただく」に可能表現をつけくわえると「いただける」。
ということなので可能表現をつかうのか、そうでないかという点において違いますね。
可能の表現をつかうと意味としては「〜してもらえるよう」となります。
おなじような可能の表現にはたとえば、
「泳ぐ → 泳げる」
「書く → 書ける」
「聞く → 聞ける」
などあり。どれも「〜できる」という意味になりますね。
“お渡し頂けますよう~”のほうが丁寧
「お渡しいただきますよう vs お渡しいただけますよう」の違い
で結局どちらがより丁寧かというと…
「お渡しいただけますよう~」のほうがより丁寧な敬語になります。
可能の表現をつけくわえることによって「もしよかったら渡してもらえますか?」というようなニュアンスになるからですね。
よりやわらか~いお願い・依頼のフレーズと解釈できます。
本当に些細なことなので誰も気にしないとは思いますが…
ただ結論としては、
とにかくどちらも上司・社内の目上にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧な敬語です。
ご安心ください。
【使い方】ビジネスメールの結びetc…
つづいて「お渡しいただきますようお願い致します」の使い方について。
意味のとおりで何かしら「渡してほしい!」「渡してください!」と言いたいビジネスシーンに使います。
ただしビジネス会話や電話対応でつかわれることはほとんどなく、ほとんどの場合ビジネスメールで、とくに結び・締め・文末につかいます。
ビジネスメール結び・締め・文末につかう特有のフレーズとお考えください。
※もちろん結びでなくても使えないことはありませんが…
使い方①例文
「お渡しいただきますようお願い致します」はたとえば、
- 【例文】どうかお渡しいただきますようお願い致します
- 【例文】何卒お渡しいただきますようお願い致します
- 【例文】大変恐れ入りますが、どうかお渡しいただきますようお願い致します
のようにして使います。
ほとんどの場合ビジネスメールで、とくに結び・締め・文末としてつかいますね。
まぁようするに「渡してほしい!」「渡してください!」という意味なのですが丁寧な敬語にすると、こんな風にややこしい文章になります。
使い方②”お渡し頂きますようお願い申し上げます”だとなお丁寧
ところでビジネスシーンでは、
「お渡しいただきますようお願い致します」としても丁寧ではありますが…
「お願い致します」とおなじ意味の「お願い申し上げます」をつかい、
- 【例文】お渡しいただきますようお願い申し上げます
としても丁寧です。
「お願い申し上げます vs. お願い致します」の違いはというと・・・
「お願い申し上げます」は「お願い致します」よりも堅苦しい敬語フレーズとなりますので、とくにカチッとした敬語がもとめられるシーンでよく使います。
- 上司など社内の相手であれば「お願い致します」で十分。
- 社外の相手にはシーンにおうじて「お願い申し上げます」とすると丁寧度UP。
使い方③”どうか・何卒・宜しく”などを添えるとより丁寧
すでに例文にはしましたが・・・
ビジネスメールを丁寧にするコツとして「どうか・何卒・宜しく」などの語を添えるとより丁寧というか、やわらかい印象のフレーズになります。
どれも深い意味はありませんが、お願い・依頼の際に添える語としてよくつかいますね。
たとえば、
- +どうか
「どうかお渡し頂きますようお願い致します」
「どうかお渡しくださいますようお願い申し上げます」
「どうかお渡し頂ければ幸いです」 - +何卒(なにとぞ)=どうか
「何卒お渡し頂きますようお願い致します」
「何卒お渡しくださいますようお願い申し上げます」
「何卒お渡し頂けますと幸いです」 - +宜しく・よろしく
「お渡し頂きますよう宜しくお願い致します」
「お渡しくださいますよう宜しくお願い申し上げます」 - +何卒/どうか & 宜しく・よろしく
「お渡し頂きますよう何卒よろしくお願い致します」
「お渡しくださいますよう何卒よろしくお願い致します」
のようにすると丁寧です。
なお「何卒・どうか・宜しく」は「何卒お願い致します」のようにお願いの部分にかけても、「何卒お渡し〜」のようにお渡しの部分にかけても、どちらも丁寧です。
また表記は漢字・ひらがなのどちらでも構いませんが、文章のバランスを考えて読みやすいようにしましょう。
“お渡しくださいますようお願い致します”でも丁寧
「お渡しいただきますようお願い致します」の他にもビジネスメール結び・締め・文末によく使う敬語には、
- 【例文】お渡しくださいますようお願い致します
- 【例文】お渡しくださいますよう宜しくお願い致します
※意味はどちらも「渡してくれるようお願いします」
もあります。
「渡してください!」とストレートに言うのではなく遠回しに自分の意思や気持ちをつたえる、とても丁寧なフレーズですね。
ニュアンスとしては「渡してください、お願いします」みたいなイメージ。
意味と違い
「お渡しいただきますよう」vs「お渡しくださいますよう」の意味と違い。
どちらも言いたいことは結局のところ「渡してほしい」なのですが…
意味と敬語の使い方に違いあり。以下のような違いがあります。
- 「お渡しいただきますよう」だと意味は「渡してもらうよう」
→ 敬語は謙譲語”お(ご)~いただく”+丁寧語”ます”+希望”よう”
いっぽうで、
- 「お渡しくださいますよう」だと意味は「渡してくれるよう」
→ 敬語は尊敬語”お(ご)~くださる”+丁寧語”ます”+希望”よう”
※ 尊敬語「お(ご)~くださる」の意味は「~してくれる」
となります。
「ください」単体としての意味は「〜してくれ」「〜して欲しい」の丁寧な言いまわしと考えることができます。
が、
「ください」は敬語ではあるものの、結局のところ命令形であるために強い口調となります。
そこで「ますようにお願い」と続けることで「お願い」とすり替え、やんわ〜りとした表現にしています。とても丁寧な敬語フレーズと言えますね。
どちらも丁寧であり使い分けの必要なし
で、どちらが丁寧かという話。
結論としてはどちらも丁寧であり使い分けする必要はありません。
どちらかというとビジネスメールの結びには「~くださいますよう」をつかうことが多いのですが…
これは年代によって違いますし地域によっても差があるかと。
若い世代は「いただきますよう」を好み、私のようなおっさんは「くださいますよう」を好む傾向にあり。
ということで心底どちらをつかっても差し支えありません。
“お渡しいただけますと幸いです”だとなお丁寧
“渡してほしい!”と言いたいときに使える敬語。
他にもビジネスメール結び・締め・文末によく使う敬語には…
「お渡しいただけますと幸いです」「お渡しいただけましたら幸いです」などあり。
ビジネスメール結び・締め・文末につかうときにはたとえば、
- 【例文】お渡しいただけますと幸いです。宜しくお願い申し上げます。
→意味は「渡してもらえると嬉しいです」 - 【例文】お渡しいただけましたら幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
→意味は「渡してもらえたら嬉しいです」 - 【例文】お渡しいただけましたら幸いです。お願い致します。
のように、あとに「お願いします!」的な文章をつけくわえて使います。
意味と敬語
どれも言いたいことは結局のところ「渡してほしい」なのですが…
敬語の使い方に違いあり。
- 謙譲語「いただく」を可能形にすると「いただける」という敬語になり、
- さらに丁寧語「ます」をくっつけると「いただけます」
- さらにさらに仮定の「たら・れば」をくっつけると「いただけましたら」
というような感じで敬語の使い方が違いますね。
そうすると意味も変わってきます。
「お渡しいただけますと幸いです」のニュアンスとしては「渡してもらえると嬉しいのだけど…」であり、
「お渡しいただけましたら幸いです」だと「渡してもらえたら嬉しいのだけど…」というような感じになります。
違い
「お渡しいただきますようお願い致します」でも遠回しにあなたの希望を伝える敬語なのですが…
「お渡しいただけますと幸いです」だともっと大げさになります。
「お渡しいただけましたら幸いです」だと、もっともっと大げさになります。
かな〜り遠回しにお願いをしているわけで、目上・上司・取引先への言葉づかいとしてはこの上なく丁寧ですね。
そんなに丁寧にする必要あるの?って思うくらい。
まぁ、ひとつのオプションとしてお好みでお使いください。
メール結びでなければ”お渡し下さいませ”なども丁寧
ここまではとくにビジネスメール結び・締め・文末によくつかう敬語フレーズを紹介しました。
ところでメール結び・締めではなく、普通に上司や目上に「渡してほしい」と言いたいときの敬語としては…
たとえば、
- 【例文】お渡しくださいませ
→意味は「渡してください」
で十分に丁寧です。
あるいは、
- 【例文】お渡しいただきたく存じます
→意味は「渡してもらいたいと思います」 - 【例文】お渡しいただければと存じます
→意味は「渡してもらえたらと思います」 - 【例文】お渡しいただきたく、お願い致します
→意味は「渡してもらいたい、お願いします」
としても丁寧です。
ようはどれも「渡してほしい!」と言いたいわけですが、敬語の使い方がびみょ〜に違います。目上・上司・取引先への言葉づかいとしてはどれも丁寧です。
“お渡しください vs くださいませ”の違い
“お渡しください vs くださいませ”の違い
もともと”お渡しくださいませ”は「お渡しください」という命令形。
ただ、
「お渡しください」だとシーンによっては強い口調に感じられることがあり、目上・上司などに不快感をあたえる恐れがあります。
(実際には敬語なので決して失礼ということはないのですけど…)
そこで、
丁寧語の命令形「ませ」を添えることで、やんわ〜りとした依頼・お願いの敬語フレーズにしています。
敬語の解説
念のため「お渡しくださいませ」の敬語の成り立ちを整理しておきます。
- もとになる単語「渡す」
- 「〜してくれる」の尊敬語”お(ご)〜くださる”で「お渡しくださる」
- 丁寧語”ます”の命令形「ませ」をくっつけて「お渡しくださりませ」
- 楽に発音するため「り→い」にして「お渡しくださいませ」
※ 漢字表記「下さい」vs ひらがな表記「ください」はどちらもOK
※「くださりませ → くださいませ」への変化を「イ音便」といいます
このようにして元になる語「渡す」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
ビジネスメール例文(全文)
こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。
ここでは「お渡しいただきますようお願い申し上げます」の使い方をビジネスメール例文でご紹介。
どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。
なおビジネスメールにおいては以下の敬語もオススメです。
① それなりに丁寧「お渡しくださいませ」
② 丁寧「お渡しいただければと存じます」
③ かなり丁寧「お渡しいただければ幸いです」など
④ ↓とくにビジネスメール結び/文末につかう↓
「お渡し頂きますようお願い申し上げます」
「お渡しくださいますようお願い致します」
ビジネスメール例文①郵送物を渡してほしい(社内)
メール件名:【お願い】xx部長あて郵送物
営業部 ○○さん (社内上司・目上など)
お疲れ様です。
業務部・ノマドです。
さて、本日xx部長あての郵送物を業務部にてお預かりいたしましたが、不在とのことでしたので連絡いたしました。
大変お手数ではございますが、B1階の集荷センターにてお引取りいただき、xx部長がお戻りになりましたらお渡しいただきますようお願い致します。
以上
お取り計らいの程お願い致します。
——————
メール署名
——————
ビジネスメール例文②郵送するので渡してほしい(社外)
メール件名:【お願い】xx部長のお忘れ物
株式会社ビジネス
営業部 ○○課長 (社外取引先)
いつもお世話になっております。
(株)転職・ノマドでございます。
さて標記の件、xx部長のお名刺入れを弊社にてお預かりしております。前回ご挨拶にいらした際にお忘れになったようです。
そこで○○課長あてに郵送いたしますので、xx部長にお渡しいただけましたら幸いです。
大変お手数お掛け致しますが、
よろしくお願い致します。
——————
メール署名
——————
ビジネスメール例文③上司に渡してほしい
メール件名: お願い(資料お渡し)
●●さん
お疲れ様です。
さて標記の件、来週まで出張で不在にしており対応が困難であるため、添付ファイルの資料をプリントし▲▲部長へお渡しいただけますと幸いです。
(▲▲部長よりご依頼の資料です)
大変お手数ではございますが、お取り計らいの程よろしくお願い致します。
************
営業部 のまど
************
ビジネス会話・電話対応では”お渡し頂けますか?”
ビジネスメールではなく会話や電話対応シーンであれば…
「お渡しいただきますようお願い申し上げます」などは絶対につかいません。
長いうえに丁寧すぎて気持ち悪いですからね。
そこでビジネス会話・電話対応では…
- 【例文】お渡しいただけますか?
- 【例文】お渡しいただけますでしょうか?
- 【例文】お渡し願えますでしょうか?
といった質問フレーズをつかいましょう。
「お(ご)~いただけますか?」の意味としては「~してもらえますか?」であり、敬語をつかって丁寧な表現にしています。
※もちろん「お渡しください」「お渡しくださいませ」としても丁寧
渡して頂けますか?でもOK
あるいはもっとシンプルに、
- 【例文】渡していただけますか?
- 【例文】渡していただけますでしょうか?
としてもOKです。
「~いただけますか?」の意味は「~してもらえますか?」であり、敬語をつかって丁寧な表現にしています。
会話シーンでムダに堅苦しい敬語をつかうと、相手とのコミュニケーションが上手くいかなくなってしまいます。
そういった意味で若干カジュアルな敬語をつかうことをオススメします。
※「すでにお渡ししましたか?」と催促・確認するときは過去形「お渡しいただけましたか?」「お渡しいただけましたでしょうか?」とすると丁寧。もちろん「渡していただけましたか?」でもOK。
※「お渡しください」「お渡しくださいませ」としても丁寧
敬語の解説
「お渡しいただけますか?」「お渡しいただけますでしょうか?」
の敬語の成り立ちとしては…
- “渡す”に「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「お渡しいただく」
- 可能形にして「お渡しいただける」
- さらに丁寧語”ます”で「お渡しいただけます」
- 疑問形にして「お渡しいただけますか?」
“〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」を使うと「お渡しいただけますでしょうか?」
どちらの表現も謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。
したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。
どちらかというと「〜いただけますでしょうか?」のほうが丁寧なのですが…バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけますか?」を使うのをオススメします。