「お尋ねいただけましたら幸いです」は「尋ねてもらえたら嬉しいです」という意味。
ようは「尋ねてほしい!」「尋ねてください!」と言いたいわけですが・・・丁寧な敬語にするとこんな風にややこしい表現になります。
使い方は何かしら尋ねてほしいときのお願い・依頼ビジネスメール。社内上司や目上にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧なフレーズです。
くわしくは本文にて意味や敬語の種類、ビジネスシーンにふさわしい使い方、ビジネスメール例文、注意点を解説していきます。
※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ
意味
まずは「お尋ねいただけましたら幸いです」の意味と敬語について順をおって解説します。
“尋ねる”の意味
尋ねる(たずねる)の意味は・・・
- 所在のわからないものなどをさがし求める。
【例文】母を尋ねて地球一周した - 物事のおおもとなどを明らかにしようと調べたり考えたりする。
【例文】お金の起源を尋ねる - わからないことを人に聞く。質問する。問う。
【例文】乗務員にお尋ねください
【例文】ひとつ、お尋ねします
“お尋ねいただけましたら”の意味は「尋ねてもらえたら」
まずは前半部分。
「お尋ねいただけましたら〜」の意味は…
「尋ねてもらえたら〜」
このように解釈できます。
「お(ご)〜いただけましたら」は「〜してもらえたら」という意味の敬語(謙譲語+丁寧語)
「〜いただける」は謙譲語「いただく」の可能表現。可能の表現をつかっているので意味としては「〜してもらえる」となります。
おなじような可能の表現にはたとえば、
「泳ぐ → 泳げる」
「書く → 書ける」
「聞く → 聞ける」
などあり。どれも「〜できる」という意味になりますね。
こまかい敬語の解説は長くなるため次項にて。
なお表記は、
漢字表記「お尋ね頂けましたら」vs. ひらがな表記「お尋ねいただけましたら」の両方ともOK。どちらをつかっても正しい敬語です。
“幸いです”の意味は「嬉しいです、幸せです」
つづいて後半部分。
「幸いです」の意味は…
「嬉しいです」
「幸せです」
このように解釈できます。
もととなる単語は「幸い(さいわい)」であり、丁寧語「です」を使って敬語にしています。
あわせると意味は「尋ねてもらえたら嬉しいです」
- お尋ね = 尋ねること
- ご・お~いただけますと = 「〜してもらえたら」の意味の敬語
- 幸いです= 「幸せです、嬉しいです」の意味
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「お尋ねいただけましたら幸いです」の意味は…
「尋ねてもらえたら嬉しいです」
のように解釈できます。
ようは「尋ねてほしい!」「尋ねてください!」ということなのですが、このままではあまりにストレートすぎて目上や上司・取引先につかうにはイマイチです。
そこで「~してもらえたらと嬉しいです」というように遠回しにして、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。
そんなに丁寧にお願いする必要あるの?って思うくらい。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
敬語の解説
「お尋ねいただけましたら幸いです」を敬語としてみていくと以下のとおりに成り立ちます。
難しいので敬語についてくわしく学ぶ必要のない方はスキップしてください。
- もとになる単語「尋ねる」
- “〜してもらう”の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「お尋ねいただく」
- 可能形にして「お尋ねいただける」
- 丁寧語”ます”をくっつけて「お尋ねいただけます」
- 仮定の”たら”をくっつけて「お尋ねいただけましたら」
- “嬉しい”の意味である”幸い”に丁寧語”です”をくっつけて「幸いです」
→ すべてあわせると「お尋ねいただけましたら幸いです」という敬語の完成
このようにして元になる語「尋ねる」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
なお「お尋ねしていただけましたら幸いです」は間違い敬語となりますのでご注意を。「尋ねていただけましたら幸いです」とすれば正しい敬語ではありますが…
長くなるため理由は省略。
補足
- 漢字表記「お尋ね頂けましたら」vs. ひらがな表記「お尋ねいただけましたら」の両方ともOK。
- 「〜いただける」は謙譲語「いただく」の可能表現。可能の表現をつかっているので意味としては「〜してもらえる」となります。
ちなみに敬語「お(ご)」は…
- 「自分がお尋ねする」「相手にお尋ねいただく」のであれば謙譲語としての使い方。
- 上司・目上・取引先などの「相手がお尋ねくださる・お尋ねになる」のであれば尊敬語としての使い方。
というように2パターンあります。
難しく感じるかたは「お(ご)〜いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。
【使い方】尋ねてほしい時の依頼・お願いビジネスメール
つづいて「お尋ねいただけましたら幸いです」の使い方について。
ようは「尋ねてほしい!」「尋ねてください!」という意味なので、そのような依頼・お願いビジネスメールに使います。
取引先など社外あてに限らず、上司や目上など社内あてのメールにも使える丁寧なフレーズですね。
例文
たとえば、
- 【例文】お尋ねいただけましたら幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
- 【例文】お尋ねいただけましたら幸いです。よろしくお願い致します。
※ 意味は「尋ねてもらえたら嬉しいです。よろしく」
のようにして何かの依頼・お願いをともなうビジネス文書やビジネスメールで結び・締めくくりとして使われます。
もちろん結びでなく文章の途中でつかっても丁寧です。
ビジネスメール例文(全文)
こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。
ここでは「お尋ねいただけましたら幸いです」の使い方をビジネスメール例文でご紹介。
どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。
なおビジネスメールにおいては以下の敬語もオススメです。
① それなりに丁寧「お尋ねくださいませ」
② 丁寧「お尋ねいただければと存じます」
③ かなり丁寧「お尋ねいただけましたら幸いです」など
④ ↓とくにビジネスメール結び/文末につかう↓
「お尋ね頂きますようお願い申し上げます」
「お尋ねくださいますようお願い致します」
ビジネスメール例文①別の人に尋ねてほしい(社内)
メール件名:返信RE:ご教示お願いします
xx課長 (社内上司・目上など)
お疲れ様です。
さてご質問の件、顧客Aは現在ノマドさんが担当しておりますので、ノマドさんにお尋ねいただけますと幸いです。
お役に立てず誠に申し訳ありません。
よろしくお願い致します。
——————
メール署名
——————
ビジネスメール例文②質問に知らないと返信する(社内)
メール件名:返信RE:食品用途に関するお問合せ
xx課長 (社内上司・目上など)
お疲れ様です。
研究部・ノマドです。
さてご質問の件、研究部では本用途に関する知見がなく、現時点ではお答えいたしかねます。
私の個人的な推測に過ぎませんが、このたびの問題はホットメルト系の接着剤を少量添加することで多少は改善できるかと存じます。メカニズムは~~。
また、もしかすると食品営業部に当該用途に詳しい方がいらっしゃる可能性があります。
よろしければ食品営業部の担当者にお尋ねいただきますようお願い致します。
この度はお役に立てず誠に申し訳ありません。
よろしくお願い致します。
——————
メール署名
——————
※「お問合せ」に言い換えても丁寧です。
ビジネスメール例文③分からないことがあったら尋ねてほしい
メール件名:リフォーム新規・価格見積のお願い
株式会社ビジネス
営業部 ●● 様
突然のご連絡、大変失礼いたします。
(株)転職にて総務を担当しておりますノマドと申します。
このたびは貴社HPを拝見し、下記条件にて価格見積をお願いしたく連絡いたしました。
記
施工内容:
価 格:
お支払い:
納 期:
その他 :
以上
お見積もり前提につきご不明な点等ございましたら、お尋ねいただけましたら幸いです。
よろしくお願い申し上げます。
***********
メール署名
***********
“お尋ね頂けますと幸いです”でも丁寧
「お尋ねいただけましたら幸いです」と似たような敬語には・・・
- 【例文】お尋ねいただけますと幸いです
もあります。言いたいことは「尋ねてほしい」であり、どちらも丁寧な敬語なので使い分ける必要はありませんが…
いちおう意味と違いについて考えてみます。
“お尋ね頂けましたら vs. お尋ね頂けますと”の意味と違い
どちらも結局のところ「尋ねてほしい!」「尋ねてください!」という意味になるのですが…こまかくは以下のとおり意味と敬語の違いあり。
- 「お尋ねいただけましたら」だと意味は「尋ねてもらえたら」
→ 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形+丁寧語”ます”+仮定”たら”
いっぽうで、
- 「お尋ねいただけますと」だと意味は「尋ねてもらえると」
→ 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形+丁寧語”ます”+接続助詞”と”
となります。
「いただけますと」に仮定の「たら」をくっつけると「いただけましたら」という敬語になります。
※ 接続助詞「と」は助詞の一類。用言・助動詞について、それよりまえの語句をあとの語句に接続し、前後の語句の意味上の関係をしめすはたらきをする。
どちらも丁寧であり使い分けの必要はない
これまで見てきたように、どちらの敬語もこのうえなく丁寧なフレーズです。上司など社内の目上はもちろんのこと、社外取引先にもつかえる素晴らしく丁寧な敬語です。
どちらかお好きな方を使えばよく、使い分けする必要はありません。
“お尋ね頂けましたら幸甚に存じます”だとなお丁寧
さらに死ぬほど丁寧なメールや文書にしたいときには・・・
「幸い」ではなく「幸甚(こうじん)」をつかい、
- 【例文】お尋ね頂けましたら幸甚に存じます
→ 意味は「尋ねてもらえたら、この上なく嬉しく思います」 - 【例文】お尋ね頂けましたら幸甚です
→ 意味は「尋ねてもらえたら、この上なく嬉しいです」
とするともう、本当に死ぬほど丁寧になります。
※ 幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
※ 存じる(ぞんじる)は「思う」の敬語(謙譲語)
これまで紹介した敬語と言いたいことはおなじ。
ただ、幸甚(こうじん)というフレーズのほうがよりカチッとした表現になりますので、文書や手紙・公式なビジネスメールなど本当に堅苦しい文章にしたいときにオススメです。
普段づかいのメールであれば「幸い」で十分に丁寧です。
いちおう意味と違いについて簡単に解説しておきます。
“幸いです vs. 幸甚です”の意味と違い
どちらも結局のところ「嬉しいです!」「幸せです!」という意味になるのですが…
幸甚(こうじん)のほうがより、嬉しさや幸福度合いを強調したフレーズになります。
つまり「幸甚です」とすると意味は・・・
「とてつもなく嬉しいです!」「大変ありがたいです!」「この上なく幸せです!」という感じになりますね。
手紙や公式なビジネスメールにおすすめ
これまで見てきたように、どちらの敬語もこのうえなく丁寧なフレーズです。上司など社内の目上はもちろんのこと、社外取引先にもつかえる素晴らしく丁寧な敬語です。
ただ、より堅苦しいというかビジネス文書や手紙むけというか・・・
カチッとした表現は「幸甚(こうじん)」のほうです。
本当に死ぬほど丁寧なメールや文書にしたいときに使いましょう。
ほかにも使える丁寧な敬語
これまで紹介した例文のほかにも・・・
似たような言い換え敬語で、おなじように丁寧なフレーズをまとめておきます。
どれも「尋ねてほしい!」「尋ねてください!」と依頼・お願いしたいときのビジネスメールに使えます。
『お尋ねいただければ幸いです』
「お尋ね頂けましたら幸いです」だけじゃない丁寧なビジネス敬語
- 例文「お尋ねいただければ幸いです」
意味は『尋ねてもらえたら嬉しいなぁ、幸せだなぁ』
つまり『尋ねてもらえたら嬉しいです』
相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズですね。
「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+可能形+仮定の「~れば」
「幸いです」は「幸い」+丁寧語「です」
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
『お尋ね頂ければ幸甚に存じます』など
「お尋ね頂けましたら幸いです」だけじゃない丁寧なビジネス敬語
- 【例文】お尋ねいただければ幸甚に存じます/幸甚です
※意味は「尋ねてもらえたら、とても有り難く思います/有り難いです」 - 【例文】お尋ねいただけますと幸甚に存じます/幸甚です
※意味は「尋ねてもらえると、この上なく有り難く思います/有り難いです」 - 【例文】お尋ねいただけましたら幸甚に存じます/幸甚です
※意味は「尋ねてもらえたら、この上なく有り難く思います/有り難いです」
なども似たような意味であり、とても丁寧な敬語です。
幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
「存じる」は「思う」の謙譲語
「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」
「いただけましたら」は謙譲語「いただく」+可能形+丁寧語「ます」+仮定「たら・れば」
『お尋ね賜れましたら幸甚に存じます』など
「お尋ね頂けましたら幸いです」だけじゃない丁寧なビジネス敬語
「いただく」よりもカチッとした敬語「賜る(たまわる)」をつかい、
- 【例文】お尋ね賜れますと幸甚に存じます/幸甚です
※意味は「尋ねてもらえると、この上なく有り難く思います」 - 【例文】お尋ね賜れましたら幸甚に存じます/幸甚です
※意味は「尋ねてもらえたら、とても有り難く思います/です」
とするとより丁寧な敬語になります。
幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
「存じる」は「思う」の謙譲語
「賜れますと」は謙譲語「賜る」+可能形+丁寧語「ます」+接続助詞”と”
「賜れましたら」は謙譲語「賜る」+可能形+丁寧語「ます」+仮定「たら・れば」
ビジネスメール結びをより丁寧にするコツ
あまり関係ないのかもしれませんが重要なので念のため。
ビジネスメールの文末・結び・締めとして使うことのおおい「お尋ね」
ここでは、
ビジネスメール結びをより丁寧にするためのコツをご紹介します。
①メール結びに使うときは「よろしく!」を加えると丁寧
ビジネスメール結びをより丁寧にするためのコツ。
「お尋ねいただけましたら幸いです」はそれだけではビジネスメール結び締めとしてイマイチ。
そこで結びにつかう時にはうしろに「よろしく!」的なフレーズを組み合わせて、セットで使うとより丁寧なメール結びになります。
すでに例文にはしましたが…
- 【例文】お尋ねいただけましたら幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
- 【例文】お尋ねいただけましたら幸いです。よろしくお願い致します。
- 【例文】お尋ねいただけましたら幸いです。よろしくお願い申し上げます。
ビジネスメールの結び締めに使うときにはこんな感じにするとよいでしょう。
②どうか・何卒+お尋ね
ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。
「お尋ね」の前置きに添える丁寧なお願いフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」を使うとより丁寧な印象のメールとなります。
たとえば以下のようなフレーズがあります。
- どうか/どうぞ
例文「どうかお尋ねくださいますようお願い申し上げます」
例文「どうかお尋ねくださいますようお願い致します」
例文「どうかお尋ねいただけましたら幸いです」
例文「どうかお尋ねいただければと存じます。何卒よろしくお願い申し上げます」 - 何卒(なにとぞ)
例文「何卒お尋ねくださいますようお願い申し上げます」
例文「何卒お尋ねくださいますようお願い致します」
例文「何卒お尋ねいただけましたら幸いです」
例文「何卒お尋ねいただければと存じます。よろしくお願い申し上げます」
③恐縮・お手数+お尋ね
ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。
「お尋ね」の前置きには強調するフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」だけでなく、申し訳なく思う気持ちや、相手を気づかうフレーズをもってきても丁寧です。
たとえば「誠に勝手を申し上げますが」などと組み合わせ、以下例文のようにすると好感がもてますね。上司や目上にはもちろんのこと、取引先のメールにも使える丁寧な例文にしています。
- 恐縮=申し訳なく思うこと
「お忙しいところ恐縮ではございますがお尋ね〜」
「大変恐縮ではございますがお尋ね〜」
「たびたび恐縮ではございますがお尋ね〜」 - 恐れ入る=申し訳なく思う
「お忙しいところ恐れ入りますがお尋ね〜」
「大変恐れ入りますがお尋ね〜」
「たびたび恐れ入りますがお尋ね〜」 - お手数=お手間
「お忙しいところお手数お掛けしますがお尋ね〜」
「大変お手数ではございますがお尋ね〜」 - 勝手を申し上げる=自分勝手を言う
「誠に勝手を申し上げますがお尋ね〜」 - ご無理申し上げる = 無理を言う
「ご無理申し上げますが、何卒お尋ねのほどお願い申し上げます」 - ご多忙とは存じますが=忙しいとは思うけど
「ご多忙とは存じますがお尋ね〜」