「お手配いただけましたら幸いです」意味と使い方・メール例文

「お手配いただけましたら幸いです」は「手配してもらえたら嬉しいです」という意味。

ようは「手配してほしい!」「手配してください!」と言いたいわけですが・・・丁寧な敬語にするとこんな風にややこしい表現になります。

使い方は何かしら手配してほしいときのお願い・依頼ビジネスメール。社内上司や目上にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧なフレーズです。

くわしくは本文にて意味や敬語の種類、ビジネスシーンにふさわしい使い方、ビジネスメール例文、注意点を解説していきます。

※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ

意味

まずは「お手配いただけましたら幸いです」の意味と敬語について順をおって解説します。

“手配”の意味

手配(てはい)のそもそもの意味は…

  1. 物事に先だって役割や段取りを決めたり、必要な物を用意したりすること。てくばり。
  2. 犯人・容疑者を逮捕するため、指令を発して所要人員の配置その他の活動をすること。

たとえば、

【例文】ホテルを手配いたします。→「段取りする・用意する」の意味

【例文】帰りのタクシーを手配していただけますか?→「段取りする・用意する」の意味

【例文】指名手配犯が逃亡した。

のようにして使います。

“お手配いただけましたら”の意味は「手配してもらえたら」

まずは前半部分。

「お手配いただけましたら〜」の意味は…

手配してもらえたら〜

このように解釈できます。

「お(ご)〜いただけましたら」は「〜してもらえたら」という意味の敬語(謙譲語+丁寧語)

「〜いただける」は謙譲語「いただく」の可能表現。可能の表現をつかっているので意味としては「〜してもらえる」となります。

おなじような可能の表現にはたとえば、

「泳ぐ → 泳げる」
「書く → 書ける」
「聞く → 聞ける」

などあり。どれも「〜できる」という意味になりますね。

こまかい敬語の解説は長くなるため次項にて。

なお表記は、

漢字表記「お手配頂けましたら」vs. ひらがな表記「お手配いただけましたら」の両方ともOK。どちらをつかっても正しい敬語です。

“幸いです”の意味は「嬉しいです、幸せです」

つづいて後半部分。

「幸いです」の意味は…

嬉しいです
幸せです

このように解釈できます。

もととなる単語は「幸い(さいわい)」であり、丁寧語「です」を使って敬語にしています。

あわせると意味は「手配してもらえたら嬉しいです」

  1. お手配 = 手配すること
  2. ご・お~いただけますと = 「〜してもらえたら」の意味の敬語
  3. 幸いです= 「幸せです、嬉しいです」の意味

これらの単語を合体させて意味を考えます。

すると「お手配いただけましたら幸いです」の意味は…

「手配してもらえたら嬉しいです」

のように解釈できます。

ようは「手配してほしい!」「手配してください!」ということなのですが、このままではあまりにストレートすぎて目上や上司・取引先につかうにはイマイチです。

そこで「~してもらえたらと嬉しいです」というように遠回しにして、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。

そんなに丁寧にお願いする必要あるの?って思うくらい。

目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。

敬語の解説

「お手配いただけましたら幸いです」を敬語としてみていくと以下のとおりに成り立ちます。

難しいので敬語についてくわしく学ぶ必要のない方はスキップしてください。

  • もとになる単語「手配」
  • “〜してもらう”の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「お手配いただく
  • 可能形にして「お手配いただける
  • 丁寧語”ます”をくっつけて「お手配いただけます
  • 仮定の”たら”をくっつけて「お手配いただけましたら
  • “嬉しい”の意味である”幸い”に丁寧語”です”をくっつけて「幸いです

→ すべてあわせると「お手配いただけましたら幸いです」という敬語の完成

このようにして元になる語「手配」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。

相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

なお「お手配していただけましたら幸いです」は間違い敬語となりますのでご注意を。「手配していただけましたら幸いです」とすれば正しい敬語ではありますが…

長くなるため理由は省略。

補足

  • 漢字表記「お手配頂けましたら」vs. ひらがな表記「お手配いただけましたら」の両方ともOK。
  • 「〜いただける」は謙譲語「いただく」の可能表現。可能の表現をつかっているので意味としては「〜してもらえる」となります。

ちなみに敬語「お(ご)」は…

  1. 「自分がお手配する」「相手にお手配いただく」のであれば謙譲語としての使い方。
  2. 上司・目上・取引先などの「相手がお手配くださる・お手配になる」のであれば尊敬語としての使い方。

というように2パターンあります。

難しく感じるかたは「お(ご)〜いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。

【使い方】手配してほしい時の依頼・お願いビジネスメール

つづいて「お手配いただけましたら幸いです」の使い方について。

ようは「手配してほしい!」「手配してください!」という意味なので、そのような依頼・お願いビジネスメールに使います。

取引先など社外あてに限らず、上司や目上など社内あてのメールにも使える丁寧なフレーズですね。

例文

たとえば、

  • 【例文】お手配いただけましたら幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
  • 【例文】お手配いただけましたら幸いです。よろしくお願い致します。

※ 意味は「手配してもらえたら嬉しいです。よろしく」

のようにして何かの依頼・お願いをともなうビジネス文書やビジネスメールで結び・締めくくりとして使われます。

もちろん結びでなく文章の途中でつかっても丁寧です。

ビジネスメール例文(全文)

こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。

ここでは「お手配いただけましたら幸いです」の使い方をビジネスメール例文でご紹介。

どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。

なおビジネスメールにおいては以下の敬語もオススメです。

① それなりに丁寧「お手配くださいませ」

② 丁寧「お手配いただければと存じます」

③ かなり丁寧「お手配いただけましたら幸いです」など

④ ↓とくにビジネスメール結び/文末につかう↓

「お手配頂きますようお願い申し上げます」

「お手配くださいますようお願い致します」

ビジネスメール例文①サンプル送付の手配をしてほしい

メール件名:サンプルご提供のお願い

株式会社ビジネス
営業部 ご担当者 様 (社外取引先)

突然のご連絡、大変失礼致します。
私、(株)転職にて研究開発をしておりますノマドと申します。

さて、このたび新商品の一部材として貴社製品Aを検討いたしたく、よろしければ下記のとおりサンプルを頂戴したく存じます。

(中略)

お忙しいところ大変お手数ではございますが、
お手配いただけましたら幸いです。

宜しくお願い致します。

************
メール署名
************

※「ご対応」「お取り計らい」に言い換えても丁寧です。

ビジネスメール例文②社長の送迎車を手配してほしい

メール件名:社長送迎車・手配のお願い

製造部 ○○ 様(社内)

突然のご連絡失礼いたします。
営業部ノマドです。

さて、すでにご承知のこととは存じますが4月20日、xx社長が工場視察にいらっしゃいます。

そこで以下のとおり送迎車をお手配いただけますと幸いです。

①日時:
②お迎え:9:00@xxホテルロビー → xx工場
③お送り:18:00@xx駐車場 → xx空港
④同乗者(計2名)
xx社長
zz秘書

大変お手数ではございますが、どうぞよろしくお願い致します。

************
営業部 ノマド
************

※「ご用意・ご準備」に言い換えても丁寧です。

ビジネスメール例文③備品を手配してほしい

メール件名:4月20日展示会・用意のお願い

営業部 ○○ さん(社内)

お疲れ様です。

さて、すでにご承知のこととは存じますが4月20日、xx展示会に営業部より新商品を出展する運びとなりました。

そこで以下の物品リストを前日までにお手配いただきますようお願い致します。

①セロテープx10個
②クラッカーx20個
③水・お茶x20本
④お菓子(適量)

なお手持ちにない品に関しましてはご購入ください。また展示会の詳細につきましては添付ファイルに記載しております。

ご多忙のところ大変お手数ではございますが、
ご対応のほどよろしくお願い致します。

************
営業部 ノマド
************

※「ご用意・ご準備」に言い換えても丁寧です。

“お手配頂けますと幸いです”でも丁寧

「お手配いただけましたら幸いです」と似たような敬語には・・・

  • 【例文】お手配いただけますと幸いです

もあります。言いたいことは「手配してほしい」であり、どちらも丁寧な敬語なので使い分ける必要はありませんが…

いちおう意味と違いについて考えてみます。

“お手配頂けましたら vs. お手配頂けますと”の意味と違い

どちらも結局のところ「手配してほしい!」「手配してください!」という意味になるのですが…こまかくは以下のとおり意味と敬語の違いあり。

  • 「お手配いただけましたら」だと意味は「手配してもらえたら
    → 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形+丁寧語”ます”+仮定”たら”

いっぽうで、

  • 「お手配いただけますと」だと意味は「手配してもらえると
    → 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形+丁寧語”ます”+接続助詞”と”

となります。

「いただけますと」に仮定の「たら」をくっつけると「いただけましたら」という敬語になります。

※ 接続助詞「と」は助詞の一類。用言・助動詞について、それよりまえの語句をあとの語句に接続し、前後の語句の意味上の関係をしめすはたらきをする。

どちらも丁寧であり使い分けの必要はない

これまで見てきたように、どちらの敬語もこのうえなく丁寧なフレーズです。上司など社内の目上はもちろんのこと、社外取引先にもつかえる素晴らしく丁寧な敬語です。

どちらかお好きな方を使えばよく、使い分けする必要はありません。

“お手配頂けましたら幸甚に存じます”だとなお丁寧

さらに死ぬほど丁寧なメールや文書にしたいときには・・・

「幸い」ではなく「幸甚(こうじん)」をつかい、

  • 【例文】お手配頂けましたら幸甚に存じます
    → 意味は「手配してもらえたら、この上なく嬉しく思います」
  • 【例文】お手配頂けましたら幸甚です
    → 意味は「手配してもらえたら、この上なく嬉しいです」

とするともう、本当に死ぬほど丁寧になります。

※ 幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

※ 存じる(ぞんじる)は「思う」の敬語(謙譲語)

これまで紹介した敬語と言いたいことはおなじ。

ただ、幸甚(こうじん)というフレーズのほうがよりカチッとした表現になりますので、文書や手紙・公式なビジネスメールなど本当に堅苦しい文章にしたいときにオススメです。

普段づかいのメールであれば「幸い」で十分に丁寧です。

いちおう意味と違いについて簡単に解説しておきます。

“幸いです vs. 幸甚です”の意味と違い

どちらも結局のところ「嬉しいです!」「幸せです!」という意味になるのですが…

幸甚(こうじん)のほうがより、嬉しさや幸福度合いを強調したフレーズになります。

つまり「幸甚です」とすると意味は・・・

とてつもなく嬉しいです!」「大変ありがたいです!」「この上なく幸せです!」という感じになりますね。

手紙や公式なビジネスメールにおすすめ

これまで見てきたように、どちらの敬語もこのうえなく丁寧なフレーズです。上司など社内の目上はもちろんのこと、社外取引先にもつかえる素晴らしく丁寧な敬語です。

ただ、より堅苦しいというかビジネス文書や手紙むけというか・・・

カチッとした表現は「幸甚(こうじん)」のほうです。

本当に死ぬほど丁寧なメールや文書にしたいときに使いましょう。

ほかにも使える丁寧な敬語

これまで紹介した例文のほかにも・・・

似たような言い換え敬語で、おなじように丁寧なフレーズをまとめておきます。

どれも「手配してほしい!」「手配してください!」と依頼・お願いしたいときのビジネスメールに使えます。

『お手配いただければ幸いです』

「お手配頂けましたら幸いです」だけじゃない丁寧なビジネス敬語

  • 例文「お手配いただければ幸いです」

意味は『手配してもらえたら嬉しいなぁ、幸せだなぁ』

つまり『手配してもらえたら嬉しいです』

相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズですね。

「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+可能形+仮定の「~れば」

「幸いです」は「幸い」+丁寧語「です」

というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。

『お手配頂ければ幸甚に存じます』など

「お手配頂けましたら幸いです」だけじゃない丁寧なビジネス敬語

  • 【例文】お手配いただければ幸甚に存じます/幸甚です
    ※意味は「手配してもらえたら、とても有り難く思います/有り難いです」
  • 【例文】お手配いただけますと幸甚に存じます/幸甚です
    ※意味は「手配してもらえると、この上なく有り難く思います/有り難いです」
  • 【例文】お手配いただけましたら幸甚に存じます/幸甚です
    ※意味は「手配してもらえたら、この上なく有り難く思います/有り難いです」

なども似たような意味であり、とても丁寧な敬語です。

幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

「存じる」は「思う」の謙譲語

「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」

「いただけましたら」は謙譲語「いただく」+可能形+丁寧語「ます」+仮定「たら・れば」

『お手配賜れましたら幸甚に存じます』など

「お手配頂けましたら幸いです」だけじゃない丁寧なビジネス敬語

「いただく」よりもカチッとした敬語「賜る(たまわる)」をつかい、

  • 【例文】お手配賜れますと幸甚に存じます/幸甚です
    ※意味は「手配してもらえると、この上なく有り難く思います」
  • 【例文】お手配賜れましたら幸甚に存じます/幸甚です
    ※意味は「手配してもらえたら、とても有り難く思います/です」

とするとより丁寧な敬語になります。

幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

「存じる」は「思う」の謙譲語

「賜れますと」は謙譲語「賜る」+可能形+丁寧語「ます」+接続助詞”と”

「賜れましたら」は謙譲語「賜る」+可能形+丁寧語「ます」+仮定「たら・れば」

ビジネスメール結びをより丁寧にするコツ

あまり関係ないのかもしれませんが重要なので念のため。

ビジネスメールの文末・結び・締めとして使うことのおおい「お手配」

ここでは、

ビジネスメール結びをより丁寧にするためのコツをご紹介します。

①メール結びに使うときは「よろしく!」を加えると丁寧

ビジネスメール結びをより丁寧にするためのコツ。

「お手配いただけましたら幸いです」はそれだけではビジネスメール結び締めとしてイマイチ。

そこで結びにつかう時にはうしろに「よろしく!」的なフレーズを組み合わせて、セットで使うとより丁寧なメール結びになります。

すでに例文にはしましたが…

  • 【例文】お手配いただけましたら幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
  • 【例文】お手配いただけましたら幸いです。よろしくお願い致します。
  • 【例文】お手配いただけましたら幸いです。よろしくお願い申し上げます。

ビジネスメールの結び締めに使うときにはこんな感じにするとよいでしょう。

②どうか・何卒+お手配

ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。

「お手配」の前置きに添える丁寧なお願いフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」を使うとより丁寧な印象のメールとなります。

たとえば以下のようなフレーズがあります。

  • どうか/どうぞ
    例文「どうかお手配くださいますようお願い申し上げます」
    例文「どうかお手配くださいますようお願い致します」
    例文「どうかお手配いただけましたら幸いです」
    例文「どうかお手配いただければと存じます。何卒よろしくお願い申し上げます」
  • 何卒(なにとぞ)
    例文「何卒お手配くださいますようお願い申し上げます」
    例文「何卒お手配くださいますようお願い致します」
    例文「何卒お手配いただけましたら幸いです」
    例文「何卒お手配いただければと存じます。よろしくお願い申し上げます」

③恐縮・お手数+お手配

ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。

「お手配」の前置きには強調するフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」だけでなく、申し訳なく思う気持ちや、相手を気づかうフレーズをもってきても丁寧です。

たとえば「誠に勝手を申し上げますが」などと組み合わせ、以下例文のようにすると好感がもてますね。上司や目上にはもちろんのこと、取引先のメールにも使える丁寧な例文にしています。

  • 恐縮=申し訳なく思うこと
    「お忙しいところ恐縮ではございますがお手配〜」
    「大変恐縮ではございますがお手配〜」
    「たびたび恐縮ではございますがお手配〜」
  • 恐れ入る=申し訳なく思う
    「お忙しいところ恐れ入りますがお手配〜」
    「大変恐れ入りますがお手配〜」
    「たびたび恐れ入りますがお手配〜」
  • お手数=お手間
    「お忙しいところお手数お掛けしますがお手配〜」
    「大変お手数ではございますがお手配〜」
  • 勝手を申し上げる=自分勝手を言う
    「誠に勝手を申し上げますがお手配〜」
  • ご無理申し上げる = 無理を言う
    「ご無理申し上げますが、何卒お手配のほどお願い申し上げます」
  • ご多忙とは存じますが=忙しいとは思うけど
    「ご多忙とは存じますがお手配〜」

結局どれがもっとも丁寧?