「ご選択いただけましたら幸いです」の意味、ビジネスシーン(メール・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい使い方、注意点について。
ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。
※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ
この記事の目次
意味
「ご選択いただけましたら幸いです」は「選択してもらえたら嬉しいです」という意味。
ようするに「選択してほしい!」「選択してください!」と言いたいわけですが…
なぜこのような意味になるのか?
そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。
“選択”の意味は「選ぶこと」
「選択」の意味は・・・
「多くのものの中から、よいもの、目的にかなうものなどを選ぶこと」
たとえば、
【例文】以下の選択肢より正しいものをえらべ。
【例文】究極の選択
のようにして使います。
“ご選択いただけましたら”の意味は「選択してもらえたら」
まずは前半部分。
「ご選択いただけましたら〜」の意味は…
「選択してもらえたら〜」
このように解釈できます。
「お(ご)〜いただけましたら」は「〜してもらえたら」という意味の敬語(謙譲語+丁寧語)
「〜いただける」は謙譲語「いただく」の可能表現。可能の表現をつかっているので意味としては「〜してもらえる」となります。
おなじような可能の表現にはたとえば、
「泳ぐ → 泳げる」
「書く → 書ける」
「聞く → 聞ける」
などあり。どれも「〜できる」という意味になりますね。
こまかい敬語の解説は長くなるため次項にて。
なお表記は、
漢字表記「ご選択頂けましたら」vs. ひらがな表記「ご選択いただけましたら」の両方ともOK。どちらをつかっても正しい敬語です。
“幸いです”の意味は「嬉しいです、幸せです」
つづいて後半部分。
「幸いです」の意味は…
「嬉しいです」
「幸せです」
このように解釈できます。
もととなる単語は「幸い(さいわい)」であり、丁寧語「です」を使って敬語にしています。
あわせると意味は「選択してもらえたら嬉しいです」
- ご選択 = 選択すること
- ご・お~いただけますと = 「〜してもらえたら」の意味の敬語
- 幸いです= 「幸せです、嬉しいです」の意味
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「ご選択いただけましたら幸いです」の意味は…
「選択してもらえたら嬉しいです」
のように解釈できます。
ようは「選択してほしい!」「選択してください!」ということなのですが、このままではあまりにストレートすぎて目上や上司・取引先につかうにはイマイチです。
そこで「~してもらえたらと嬉しいです」というように遠回しにして、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。
そんなに丁寧にお願いする必要あるの?って思うくらい。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
敬語の解説
「ご選択いただけましたら幸いです」を敬語としてみていくと以下のとおりに成り立ちます。
難しいので敬語についてくわしく学ぶ必要のない方はスキップしてください。
- もとになる単語「選択」
- “〜してもらう”の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「ご選択いただく」
- 可能形にして「ご選択いただける」
- 丁寧語”ます”をくっつけて「ご選択いただけます」
- 仮定の”たら”をくっつけて「ご選択いただけましたら」
- “嬉しい”の意味である”幸い”に丁寧語”です”をくっつけて「幸いです」
→ すべてあわせると「ご選択いただけましたら幸いです」という敬語の完成
このようにして元になる語「選択」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
なお「ご選択していただけましたら幸いです」は間違い敬語となりますのでご注意を。「選択していただけましたら幸いです」とすれば正しい敬語ではありますが…
長くなるため理由は省略。
補足
- 漢字表記「ご選択頂けましたら」vs. ひらがな表記「ご選択いただけましたら」の両方ともOK。
- 「〜いただける」は謙譲語「いただく」の可能表現。可能の表現をつかっているので意味としては「〜してもらえる」となります。
ちなみに敬語「お(ご)」は…
- 「自分がご選択する」「相手にご選択いただく」のであれば謙譲語としての使い方。
- 上司・目上・取引先などの「相手がご選択くださる・ご選択になる」のであれば尊敬語としての使い方。
というように2パターンあります。
難しく感じるかたは「お(ご)〜いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。
【使い方】選択の依頼・お願いビジネスメール
つづいて「ご選択いただけましたら幸いです」の使い方について。
ようは「選択してほしい!」「選択してください!」という意味なので、そのような依頼・お願いビジネスメールに使います。
取引先など社外あてに限らず、上司や目上など社内あてのメールにも使える丁寧なフレーズですね。
例文
たとえば、
- 【例文】ご選択いただけましたら幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
- 【例文】ご選択いただけましたら幸いです。よろしくお願い致します。
※ 意味は「選択してもらえたら嬉しいです。よろしく」
のようにして何かの依頼・お願いをともなうビジネス文書やビジネスメールで結び・締めくくりとして使われます。
もちろん結びでなく文章の途中でつかっても丁寧です。
なお「ご了承をいただけましたら幸いです」というように「を」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。
ビジネスメール例文(全文)
こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。
ここでは「ご選択いただけましたら幸いです」の使い方をビジネスメール例文でご紹介。
どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。
なおビジネスメールにおいては以下の敬語もオススメです。
① それなりに丁寧「ご選択くださいませ」
② 丁寧「ご選択いただければと存じます」
③ かなり丁寧「ご選択いただけましたら幸いです」など
④ ↓とくにビジネスメール結び/文末につかう↓
「ご選択頂きますようお願い申し上げます」
「ご選択くださいますようお願い致します」
「ご選択のほど宜しくお願い致します」
ビジネスメール例文①候補から選択してほしい(社内)
メール件名:社員旅行に関するアンケートご協力のお願い
営業部の皆さま
お疲れ様です。
このたび、皆さまのご要望を受け社員旅行を実施する運びとなりました。
そこで皆様のご希望を最大限に反映するため、社員旅行に関するアンケートを下記のとおり実施いたします。
候補をそれぞれ挙げておりますので、ひとつずつご選択いただけますと幸いです。
▼アンケート項目
①旅行地候補
・韓国ソウル
・中国上海
・パリ
・ニューヨーク
・その他
②アクティビティー
・ショッピング
・歴史的建造物
・その他
③その他ご要望など
④ご回答期日:4月20日まで
なおご回答は添付のエクセルファイルにご記入をお願いいたします。
また誠に勝手を申し上げますが準備の都合により、
4月20日までにご回答くださいますよう、よろしくお願いいたします。
***********
メール署名
***********
ビジネスメール例文②プランを選択してほしい
メール件名: 会員プランの件
○○ 様
このたびは楽天ショップ会員にお申込みいただき、誠にありがとうございます。
カスタマーサポート担当・ノマドと申します。
さて、○○ 様のお申込み内容に関しまして一点確認したいことがございます。
会員プランをお選びでないようでしたので、以下のプランよりご選択いただけましたら幸いです。
①シルバープラン
②ゴールドプラン
③プラチナム
それぞれのプランに関するご説明はホームページにて記載しておりますので、よろしければ以下URLよりご参照くださいませ。
ご説明URL:~
以上
大変お手数ではございますが、ご返答のほどお願い申し上げます。
***********
メール署名
***********
“ご選択いただけますと幸いです”でも丁寧
「ご選択いただけましたら幸いです」と似たような敬語には・・・
- 【例文】ご選択いただけますと幸いです
もあります。言いたいことは「選択してほしい」であり、どちらも丁寧な敬語なので使い分ける必要はありませんが…
いちおう意味と違いについて考えてみます。
“ご選択頂けましたら vs. ご選択頂けますと”の意味と違い
どちらも結局のところ「選択してほしい!」「選択してください!」という意味になるのですが…こまかくは以下のとおり意味と敬語の違いあり。
- 「ご選択いただけましたら」だと意味は「選択してもらえたら」
→ 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形+丁寧語”ます”+仮定”たら”
いっぽうで、
- 「ご選択いただけますと」だと意味は「選択してもらえると」
→ 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形+丁寧語”ます”+接続助詞”と”
となります。
「いただけますと」に仮定の「たら」をくっつけると「いただけましたら」という敬語になります。
なお「ご選択をいただけましたら幸いです」というように「を」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。
※ 接続助詞「と」は助詞の一類。用言・助動詞について、それよりまえの語句をあとの語句に接続し、前後の語句の意味上の関係をしめすはたらきをする。
どちらも丁寧であり使い分けの必要はない
これまで見てきたように、どちらの敬語もこのうえなく丁寧なフレーズです。上司など社内の目上はもちろんのこと、社外取引先にもつかえる素晴らしく丁寧な敬語です。
どちらかお好きな方を使えばよく、使い分けする必要はありません。
“ご選択賜れましたら幸いです”だとなお丁寧
さらに死ぬほど丁寧なメールや文書にしたいときには・・・
「いただく」ではなく「賜る(たまわる)」をつかい、
- 【例文】ご選択賜れますと幸いです
- 【例文】ご選択賜れましたら幸いです
とします。
これまで紹介した敬語と言いたいことはおなじ。
ただ、賜る(たまわる)という敬語のほうがよりカチッとした表現になりますので、文書や手紙・公式なビジネスメールでは「賜る」をよく使います。
普段づかいのメールであれば「いただく」で十分に丁寧です。
いちおう意味と違いについて簡単に解説しておきます。
“ご選択頂けましたら vs. ご選択賜れましたら”の意味と違い
どちらも結局のところ「選択してほしい!」「選択してください!」という意味になるのですが…こまかくは以下のとおり意味と敬語の違いあり。
- 「ご選択いただけましたら」だと意味は「選択してもらえたら」
→ 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形+丁寧語”ます”+仮定”たら”
いっぽうで、
- 「ご選択賜れましたら」だと意味は「選択してもらえたら」
→ 敬語は謙譲語“お(ご)~賜る”+可能形+丁寧語”ます”+仮定”たら”
となります。
「お(ご)〜賜る」「お(ご)〜いただく」はどちらも「〜してもらう」の敬語(謙譲語)。
したがって意味としてはどちらも同じです。
ただし「賜る」のほうがよりカチッとした表現になりますので、文書や手紙・公式なビジネスメールでは「賜る」をよく使います。
なお「ご選択を賜れましたら幸いです」というように「を」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。
手紙や公式なビジネスメールにおすすめ
これまで見てきたように、どちらの敬語もこのうえなく丁寧なフレーズです。上司など社内の目上はもちろんのこと、社外取引先にもつかえる素晴らしく丁寧な敬語です。
ただ、より堅苦しいというかビジネス文書や手紙むけというか・・・
カチッとした表現は「賜る」のほうです。
本当に死ぬほど丁寧なメールや文書にしたいときに使いましょう。
ほかにも使える丁寧な敬語
これまで紹介した例文のほかにも・・・
似たような言い換え敬語で、おなじように丁寧なフレーズをまとめておきます。
どれも「選択してほしい!」「選択してください!」と依頼・お願いしたいときのビジネスメールに使えます。
『ご選択いただければ幸いです』
「ご選択頂けましたら幸いです」だけじゃない丁寧なビジネス敬語
- 例文「ご選択いただければ幸いです」
意味は『選択してもらえたら嬉しいなぁ、幸せだなぁ』
つまり『選択してもらえたら嬉しいです』
相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズですね。
「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+可能形+仮定の「~れば」
「幸いです」は「幸い」+丁寧語「です」
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
『ご選択いただけましたら幸甚に存じます』など
「ご選択頂けましたら幸いです」だけじゃない丁寧なビジネス敬語
- 【例文】ご選択いただければ幸甚に存じます
※意味は「選択してもらえたら、とても嬉しく思います」 - 【例文】ご選択いただけますと幸甚に存じます
※意味は「選択してもらえると、とても嬉しく思います」 - 【例文】ご選択いただけましたら幸甚に存じます
※意味は「選択してもらえたら、とても嬉しく思います」
なども似たような意味であり、とても丁寧な敬語です。
幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
「存じる」は「思う」の謙譲語
「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」
「いただけましたら」は謙譲語「いただく」+可能形+丁寧語「ます」+仮定「たら・れば」
『ご選択賜れましたら幸甚に存じます』など
「ご選択頂けましたら幸いです」だけじゃない丁寧なビジネス敬語
「いただく」よりもカチッとした敬語「賜る(たまわる)」をつかい、
- 【例文】ご選択賜れますと幸甚に存じます
※意味は「選択してもらえると、とても嬉しく思います」 - 【例文】ご選択賜れましたら幸甚に存じます
※意味は「選択してもらえたら、とても嬉しく思います」
とするとより丁寧な敬語になります。
幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
「存じる」は「思う」の謙譲語
「賜れますと」は謙譲語「賜る」+可能形+丁寧語「ます」+接続助詞”と”
「賜れましたら」は謙譲語「賜る」+可能形+丁寧語「ます」+仮定「たら・れば」
ビジネスメール結びをより丁寧にするコツ
あまり関係ないのかもしれませんが重要なので念のため。
ビジネスメールの文末・結び・締めとして使うことのおおい「ご選択」
ここでは、
ビジネスメール結びをより丁寧にするためのコツをご紹介します。
①メール結びに使うときは「よろしく!」を加えると丁寧
ビジネスメール結びをより丁寧にするためのコツ。
「ご選択いただけましたら幸いです」はそれだけではビジネスメール結び締めとしてイマイチ。
そこで結びにつかう時にはうしろに「よろしく!」的なフレーズを組み合わせて、セットで使うとより丁寧なメール結びになります。
すでに例文にはしましたが…
- 【例文】ご選択いただけましたら幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
- 【例文】ご選択いただけましたら幸いです。よろしくお願い致します。
- 【例文】ご選択いただけましたら幸いです。よろしくお願い申し上げます。
ビジネスメールの結び締めに使うときにはこんな感じにするとよいでしょう。
②どうか・何卒+ご選択
ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。
「ご選択」の前置きに添える丁寧なお願いフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」を使うとより丁寧な印象のメールとなります。
たとえば以下のようなフレーズがあります。
- どうか/どうぞ
例文「どうかご選択くださいますようお願い申し上げます」
例文「どうかご選択くださいますようお願い致します」
例文「どうかご選択いただけましたら幸いです」
例文「どうかご選択いただければと存じます。何卒よろしくお願い申し上げます」 - 何卒(なにとぞ)
例文「何卒ご選択くださいますようお願い申し上げます」
例文「何卒ご選択くださいますようお願い致します」
例文「何卒ご選択いただけましたら幸いです」
例文「何卒ご選択いただければと存じます。よろしくお願い申し上げます」
③恐縮・お手数+ご選択
ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。
「ご選択」の前置きには強調するフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」だけでなく、申し訳なく思う気持ちや、相手を気づかうフレーズをもってきても丁寧です。
たとえば「誠に勝手を申し上げますが」などと組み合わせ、以下例文のようにすると好感がもてますね。上司や目上にはもちろんのこと、取引先のメールにも使える丁寧な例文にしています。
- 恐縮=申し訳なく思うこと
「お忙しいところ恐縮ではございますがご選択〜」
「大変恐縮ではございますがご選択〜」
「たびたび恐縮ではございますがご選択〜」 - 恐れ入る=申し訳なく思う
「お忙しいところ恐れ入りますがご選択〜」
「大変恐れ入りますがご選択〜」
「たびたび恐れ入りますがご選択〜」 - お手数=お手間
「お忙しいところお手数お掛けしますがご選択〜」
「大変お手数ではございますがご選択〜」 - 勝手を申し上げる=自分勝手を言う
「誠に勝手を申し上げますがご選択〜」 - ご無理申し上げる = 無理を言う
「ご無理申し上げますが、何卒ご選択のほどお願い申し上げます」 - ご多忙とは存じますが=忙しいとは思うけど
「ご多忙とは存じますがご選択〜」