「お見送りくださいませ」の意味、ビジネスシーンにふさわしい使い方(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)、注意点について。
ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。
※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ
この記事の目次
意味・敬語の解説
「お見送りください」は「見送ってほしい」という意味。
なぜこのような意味になるのか?
そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。
“見送る”の意味
見送る(読み:みおくる)のそもそもの意味は…
- 遠ざかる物や人をその後方で眺める。
- 出発する人をその場所まで行って送る。
- やりすごす。さしひかえる。
- 人が死ぬまで世話をする。
- 葬送する。
というように色々あり。
たとえば、
【例文】受付で客を見送る →「眺める」の意味
【例文】部長を空港まで見送る →「送る」の意味
【例文】マイホームの購入を見送る →「控える」の意味
のようにして使います。
ちなみに敬語は「見送る」に尊敬語or謙譲語「お(ご)」で「お見送り」というようになります。
「自分がお見送りする」のであれば謙譲語としての使い方。
上司・目上・取引先などの「相手がお見送りくださる」のであれば尊敬語としての使い方。
というように2パターンあります。
“お見送りくださいませ”の意味は「見送ってください」
「お見送りくださいませ」の意味は直訳すると「見送ってくれ」となります。
ただし敬語をつかっているため実際にはもっと丁寧なニュアンス。
結局のところ、
「見送ってほしい」「見送ってください」ということが言いたいのですね。
「ませ」ってどんな意味?
“お見送りくださいませ”の「ませ」に深い意味はなく、丁寧語「ます」の命令形です。
ほとんどの場合は「お(ご)〜くださいませ」のワンセットで使われ、
「〜してください」「〜してほしい」の意味になります。
敬語の種類
まとめとして「お見送りくださいませ」の敬語の成り立ちを整理しておきます。
- もとになる単語「見送る」
- 「〜してくれる」の尊敬語”お(ご)〜くださる”で「お見送りくださる」
- 丁寧語”ます”の命令形「ませ」をくっつけて「お見送りくださりませ」
- 楽に発音するため「り→い」にして「お見送りくださいませ」
※ 漢字表記「下さい」vs ひらがな表記「ください」はどちらもOK
※「くださりませ → くださいませ」への変化を「イ音便」といいます
このようにして元になる語「見送る」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
ちなみに敬語「お(ご)」は…
「自分がお見送りする」のであれば謙譲語としての使い方。
上司・目上・取引先などの「相手がお見送りくださる」のであれば尊敬語としての使い方。
というように2パターンあります。
“お見送りください vs くださいませ”の違い
“お見送りください vs くださいませ”の違い
もともと”お見送りくださいませ”は「お見送りください」という命令形。
ただ、
「お見送りください」だとシーンによっては強い口調に感じられることがあり、目上・上司などに不快感をあたえる恐れがあります。
(実際には敬語なので決して失礼ということはないのですけど…)
そこで、
「〜ください」に丁寧語の命令形「ませ」を添えることで、やんわ〜りとした依頼・お願いの敬語フレーズにしています。
“お見送りくださいませ”のほうが丁寧
“お見送りください vs くださいませ”の違い
命令形である点において「お見送りください」とたいして違いはありませんが、「ませ」を添えることで、よりやわらかい印象となりますね。
ちなみに「〜くださいませ」は女性がよくつかうフレーズであるため、女性敬語だと言われることもあります。
ただ実際には男性であろうと女性であろうと違和感なくつかえます。
【使い方】見送ってほしい!と伝えるビジネスシーン
つづいて「お見送りくださいませ」の使い方について。
意味のとおりで何かしら「見送ってほしい!」「見送ってください!」と言いたいビジネスシーンに使います。
①電話対応・ビジネスメールどちらにも使える
「お見送りくださいませ」の使い方
上司や社内の目上・社外取引先になにかしら「見送ってほしい」とき。
電話対応・商談などの会話シーンでもつかえますし、ビジネスメールなど文章にもつかえる丁寧な敬語フレーズです。
お願いごとや依頼事項のたくさんあるビジネスメールではとかく「いただく」ばかりつかってしまい、文章や言い回しが気持ち悪くなるケースあり。
そんなとき、
「お見送りくださいませ」にかぎらず「〜くださいませ」というフレーズはサラッとつかえてかつ、やわらかい印象になるので重宝しますね。
②例文
「お見送りくださいませ」はたとえば、
- 【例文】お客さんを空港までお見送りくださいませ
- 【例文】社長をお見送りくださいませ
- 【例文】玄関先までお見送りくださいませ
のようにして依頼・お願いをともなうビジネスシーン(会話・電話対応・メール)に使われます。
ようするに「見送ってほしい!」という意味なのですが丁寧な敬語にすると、こんな風にややこしい文章になります。
“お見送りいただく”に言い換えても丁寧
ビジネスシーンでは「お見送りくださいませ」でも十分に丁寧ではありますが…
敬語「お見送りいただく」をつかったフレーズに言い換えても丁寧です。
たとえば、
- 【例文】お見送りいただければと存じます
- 【例文】お見送りいただければ幸いです
などあり。
例文は後ろでまとめて紹介します。
違いと使い分け
「お見送りいただく vs お見送りくださる」の違いについて簡単に。
どちらも結局のところ言いたいことは同じ。
「見送ってもらう・見送ってくれる」
と言いたいわけですが…
- “お見送りいただく“だと意味は「見送ってもらう」
→敬語は謙譲語「お(ご)〜いただく」
vs.
- “お見送りくださる“だと意味は「見送ってくれる」
→敬語は尊敬語「お(ご)〜くださる」
というように意味と敬語の使い方が違います。
が、言いたいことは全く同じなわけです。
したがって、
敬語の使い方には違いはあれど、どちらもひとしく丁寧な敬語であり目上・上司・社外取引先につかえるフレーズです。
ただ少しニュアンスの違いというか敬語の使い方が違うよ、ということですね。
ちなみに「お見送りいただく」をつかったほうが、やんわ~りとしたニュアンスになります。
が、だからといって「いただく」ばかり使っていては気持ち悪い文章になります。バランスを考えてつかいましょう。
【補足】敬語の種類(ざっくり復習)
① 尊敬語とは?
相手をうやまって使う敬語の一種。
相手の行為にたいして使い、自分の行為には使わないことが基本。
敬語の種類はほかに②謙譲語、③丁寧語がある
② 謙譲語とは?
自分をへりくだって下にすることで、相手への敬意をあらわす敬語。
自分の行為に使い、相手の行為には使わないことが基本(例外あり)。
③ 丁寧語とは?
いわゆる「です・ます」口調のこと。
ビジネスメールによく使う丁寧な言い換え
「見送ってほしい」ときにつかえるビジネス敬語。
じつは…
「お見送りくださいませ」だけではなく、もっと丁寧な(というか堅苦しい)敬語フレーズというのはたくさんあります。
ということで、
ここではとくにビジネスメールにおいて活躍する丁寧な敬語フレーズを紹介します。
①お見送りいただければと存じます
「見送ってほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語
- 例文「お見送りいただければと存じます」
意味は『見送ってもらえたらと思います』
「~してもらえたらと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+可能形+仮定の「れば」
「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」
②お見送りいただきたく存じます
「見送ってほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語
- 例文「お見送りいただきたく存じます」
意味は『見送ってもらいたいと思います』
「~してもらいたいと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
「いただきたく」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+願望の「~たい」
「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
③お見送りいただければ幸いです
「見送ってほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語
- 例文「お見送りいただければ幸いです」
意味は『見送ってもらえたら嬉しいなぁ、幸せだなぁ』
つまり『見送ってもらえたら嬉しいです』
相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズですね。
「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+可能形+仮定の「~れば」
「幸いです」は「幸い」+丁寧語「です」
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
「~いただければ幸いです」という敬語フレーズはお願い・依頼のビジネスメールでよく使います。以下の例文もご参考にどうぞ。
ほかにも似たような敬語には以下のようなフレーズもあります。
- 例文「お見送りいただけましたら幸いです」
- 例文「お見送りいただけましたら幸甚に存じます」
- 例文「お見送りいただければ幸甚に存じます」
- 例文「お見送りいただけますと幸いです」
- 例文「お見送りいただけますと幸甚に存じます」
補)幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
④お見送りくださいますようお願い申し上げます
「見送ってほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語
- 例文「お見送りくださいますようお願い申し上げます」
- 例文「お見送りくださいますようお願い致します」
意味は『見送ってくれるようお願いします』
とくにビジネスメールの結び・締めによくつかうフレーズですね。
「ください」単体としての意味は「〜してくれ」「〜して欲しい」の丁寧な言いまわしと考えることができます。
が、
「ください」は敬語ではあるものの、結局のところ命令形であるために強い口調となります。
そこで「ますようにお願い」と続けることで「お願い」とすり替え、やんわ〜りとした表現にしています。とても丁寧な敬語フレーズと言えますね。
たとえば、
- ご査収くださいますようお願い申し上げます
意味「よく中身を確認して受け取ってくれるようお願い!」 - ご検討くださいますようお願い申し上げます
意味「検討してくれるようお願い!」 - ご確認くださいますようお願い申し上げます
意味「確認してくれるようお願い!」 - ご了承くださいますようお願い申し上げます
意味「納得してくれるようお願い!」
などのようにして使います。
これらはもともと「●●してください」という命令形なのですが、「●●くださいますようお願い〜」を使うことによって相手に強制しないやんわ〜りとした表現となっています。
ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。
⑤お見送りいただきますようお願い致します
「見送ってほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語
- 例文①お見送りいただきますようお願い申し上げます
- 例文②お見送りいただけますようお願い致します
意味は『①見送ってもらうようお願いします』『②見送ってもらえるようお願いします』
とくにビジネスメールの結び・締めによくつかうフレーズですね。
「いただきますよう」は”〜してもらう”の謙譲語「お(ご)〜いただく」+丁寧語”ます”+”ように”
「いただけますよう」は”〜してもらう”の謙譲語「お(ご)〜いただく」+可能形+丁寧語”ます”+”ように”
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
「くださいますよう」「いただきますよう・いただけますよう」はニュアンスが違うものの、どれも結局のところ「~してほしい」と言いたいので同じです。
⑥~その他いろいろな言い換え敬語
敬語の種類というのは本当にいろいろあります。
ほんの一例ですが他にもある使い方を例文にまとめておきます。なお下にある例文ほど丁寧なフレーズになります。
- 例文「お見送りいただきたく、お願い致します」
意味は「見送ってほしい、お願いします」 - 例文「お見送りいただけますか?」
※意味は「見送ってもらえるか?」でとくに会話シーンで使われるフレーズ - 例文「お見送りいただけますでしょうか?」
※意味は「見送ってもらえるだろうか?」でとくに会話シーンで使われるフレーズ - 例文「お見送りいただけますと幸いです」
※意味は「見送ってもらえると嬉しいです」 - 例文「お見送りいただけましたら幸いです」
※意味は「見送ってもらえたら嬉しいです」 - 例文「お見送りいただければ幸甚に存じます」
※意味は「見送ってもらえれば、大変嬉しく思います」 - 例文「お見送りいただけますと幸甚に存じます」
※意味は「見送ってもらると、大変嬉しく思います」 - 例文「お見送りいただけましたら幸甚に存じます」
※意味は「見送ってもらえれば、大変嬉しく思います」
・「存じる」は「思う」の謙譲語
・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+願望「~たい」
・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」・幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
ビジネスメール例文
こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。
ここでは「お見送りくださいませ」の使い方をビジネスメール例文とともにご紹介。
なおビジネスメールにおいて「お見送りくださいませ」としてもいいのですが、
「お見送りいただきたく存じます」
「お見送りいただければと存じます」
「お見送りいただければ幸いです」
などの敬語もオススメです。
どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。
ビジネスメール例文:来客を見送ってほしい
メール件名:お願い
生産部 xx 様
お疲れ様です。
たびたび失礼いたします。
先般お願いいたしました4/20三井化学来訪の件、帰りの交通アレンジを失念しておりました。小職、別件があるためお見送りすることが困難な状況です。
つきまして大変恐れ入りますが、どなたかお手すきの方がいらっしゃいましたら工場見学のあと顧客をxx空港までお見送りいただきたく存じます。
先方は3名ですので、車1台をご用意いただけますと大変助かります。
ご多忙とは存じますが、
ご対応の程よろしくお願い申し上げます。
***************
メール署名
***************
ビジネス会話・電話対応では”お見送りください”で十分
ビジネスメールではなく会話や電話対応シーンであれば…
「お見送りくださいますようお願い申し上げます」などは絶対につかいません。
長いうえに丁寧すぎて気持ち悪いですからね。
ビジネス会話・電話対応では「お見送りください」だけでも十分に丁寧です。
あるいは、
- 【例文】お見送りいただけますか?
- 【例文】お見送りいただけますでしょうか?
- 【例文】お見送り願えますでしょうか?
といった質問フレーズをつかっても丁寧。
これらの意味としては「見送ってもらえますか?」であり、敬語をつかって丁寧な表現にしています。
「〜いただけますか?」サラッと言えるためビジネスシーンで重宝するフレーズです。
敬語の解説
「お見送りいただけますか?」「お見送りいただけますでしょうか?」
の敬語の成り立ちとしては…
- “見送る”に「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「お見送りいただく」
- 可能形にして「お見送りいただける」
- さらに丁寧語”ます”で「お見送りいただけます」
- 疑問形にして「お見送りいただけますか?」
“〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」を使うと「お見送りいただけますでしょうか?」
どちらの表現も謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。
したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。
どちらかというと「〜いただけますでしょうか?」のほうが丁寧なのですが…バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけますか?」を使うのをオススメします。