ところで「ご記入の上ご返信」の使い方というか続くフレーズには、
「ご記入の上ご返信くださいますようお願い致します」
「ご記入の上ご返信のほどお願い致します」
「ご記入の上ご返信頂きますようお願い致します」
「ご記入の上ご返信賜りますようお願い致します」
「ご記入の上ご返信頂ければ幸いです」
というように主に4つあります。これって何が違うのでしょうか?
「ご記入の上ご返信くださいますようお願い致します」
の意味は「記入したのち返信してくれるようお願い」
※「くれる」の尊敬語が「くださる」
「ご記入の上ご返信のほどお願い致します」
の意味は「記入したのち返信してくれるようお願い」「記入したのち返信してもらうようお願い」
のどちらの意味にも取れる。
「ご記入の上ご返信頂きますようお願い」
「ご記入の上ご返信賜りますようお願い」
の意味はどちらも「記入したのち返信してもらうようお願い」
※「もらう」の謙譲語が「賜る・いただく」
「ご記入の上ご返信いただければ幸いです」
の意味は「記入したのち返信してもらえたら嬉しいなぁ・幸せだなぁ」
となり「ご記入の上ご返信くださる」なのか「ご記入の上ご返信いただく」なのか「ご記入の上ご返信のほど」なのか「ご記入の上ご返信いただければ〜」なのかでニュアンスが違います。
どれを使っても丁寧ではありますが使い分けについても考えてみます。
もっとも丁寧なのは「ご記入の上ご返信いただければ幸いです」
いろいろと考えてはみましたがこれまで示した例文はどれも丁寧であり、使い分けする必要性はありません。
強いて言うのであれば「ご記入の上ご返信いただければ幸いです」がもっとも丁寧なお願い・依頼のフレーズ。
これまでと同じようにビジネスメール結び締めとして使います。以下の例文をご参考にどうぞ。
- 例文「ご記入の上ご返信いただければ幸いです。何卒よろしくお願い致します」
- 例文「ご記入の上ご返信いただければ幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます」
- 例文「お忙しいところ大変恐れ入りますが、ご記入の上ご返信いただければ幸いです。何卒よろしくお願い致します」
かしこまった文章には「ご記入の上ご返信賜りますよう~」
かしこまった文章、カチッとしたビジネスメールに好まれる敬語は「賜る」をつかったフレーズですね。「いただく」も同じく「もらう」の謙譲語ではありますが、「賜る」のほうが堅苦しい表現になります。
- 例文「ご記入の上ご返信賜りますようお願い申し上げます」
- 例文「ご記入の上ご返信賜りますようお願い致します」
のようにしてビジネスメールの結びに使うと丁寧ですね。
ビジネスメールによく使うのは「ご記入の上ご返信のほど~」
もっとも使い勝手がよく、ビジネスメールでとくによく使われるのが「ご記入の上ご返信のほど宜しくお願い致します」「ご記入の上ご返信のほど宜しくお願い申し上げます」です。
「ご記入の上ご返信のほど~」は上司など社内の相手に限らず、社外取引先につかったとしても丁寧な敬語フレーズです。
ご記入の上ご返信のほど〜の「のほど」ってどんな意味?
ここで「ご記入の上ご返信のほど」の「のほど」は限定を避ける言い方で、意味としては「〜してもらうよう」「〜してくれるよう」と考えることができます。
断定をさけて表現をやわらげるのに用いる語です。
たとえば、
- ご査収のほどお願い申し上げます
意味「よく中身を確認して受け取るよう、お願い」 - お取り計らいのほどお願い申し上げます
意味「物事をうまく進めてくれるよう、お願い」 - ご検討のほどお願い申し上げます
意味「検討してくれるよう、お願い」 - ご了承のほどお願い申し上げます
意味「納得してくれるよう、お願い」 - ご容赦のほどお願い申し上げます
意味「許してくれるよう、お願い」
などのようにして使います。
これらはもともと「●●してください」という命令形なのですが、「〜のほど」を使うことによって相手に強制しないやんわ〜りとした表現となっています。
ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。
「いただく」vs「くださる」の使い分けは難しい
せっかくですので「ご記入の上ご返信いただきますようお願い」「ご記入の上ご返信くださいますようお願い」の違いを考えてみます。
たとえば結び・締めに使う「お願い」するときのシーンを考えましょう
すると…
「ご容赦くださいますようお願い致します」
「ご容赦いただきますようお願い致します」
「ご了承くださいますようお願い致します」
「ご了承いただきますようお願い致します」
「ご検討くださいますようお願い致します」
「ご検討いただきますようお願い致します」
こんな敬語フレーズをよく使います。
実はこれらは「くださる」を使うのが一般的です…
「いただく」としても丁寧ではありますが…
ところが、たとえば何かをもらった時のお礼のシーンを考えます。
「たいそうなお品をくださりありがとうございました」
「たいそうなお品をいただきありがとうございました」
もうひとつ、
「いつもご利用くださりありがとうございます」
「いつもご利用いただきありがとうございます」
上記の例文はどれも敬語としては正しい使い方。
ただ圧倒的に「いただき〜」とするほうが多いですね。
メール結び締めでは「くださいますよう」が一般的
で結論としては使う語によって「くださる」がよいのか「いただく」がよいのか、相性がありなんとも言えません。
結び・締めに使うフレーズとしては「くださいますよう」のほうが一般的で、お礼に使うフレーズとしては「いただきありがとう」を使うのが一般的です。
参考記事
➡︎「教えてください」の代わりに使えるビジネス敬語、メール電話の例文
➡︎「ご教示」「ご教授」の意味と違い、使い方・メール例文
➡︎上司へお願いするときに使える敬語10の言葉と、例文50選
➡︎「いただくことは可能でしょうか?」の敬語、目上の人への使い方