「ご自愛ください」は「健康に気をつけてほしい」という意味。
なぜこのような意味になるのか?
そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。
ご自愛の意味は”健康に気をつけること”
ご自愛(読み:ごじあい)のそもそもの意味は…
- 自分を大切にすること。自分の健康状態に気をつけること
- 自分の言行を慎むこと。自重
- 自分の利益を大事にすること。利己
たとえば、
【例文】まだまだ寒い日が続きますが、くれぐれもご自愛くださいませ → 「健康に気をつける」の意味
【例文】オーナー企業の社長は何かと自愛が過ぎる → 「自己愛・利己」の意味
のようにして使います。
“ご自愛ください”の意味は「健康に気をつけてほしい」
「ご自愛ください」としたときの意味は…
「健康に気をつけてほしい」
「健康に気をつけてくれ」
のような意味に解釈できます。
まぁ要は「お大事に!!」というような意味。
目上・ビジネスメールで「お大事に!!」だとカジュアルすぎるので、言い換え敬語として使われるフレーズです。
“ご自愛ください”の敬語の種類
「ご自愛ください」を敬語としてみていくと…以下のようになりたちます。
- もとになる単語「自愛」に尊敬語”お(ご)”で「ご自愛」
- さらに「くれる」の尊敬語”くださる”で「ご自愛くださる」
- さらに命令形にして「ご自愛ください」
※ 漢字表記「下さい」vs ひらがな表記「ください」はどちらもOK
このようにして元になる語「自愛」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
ちなみに敬語「お(ご)」は…
「自分がご自愛する」のであれば謙譲語としての使い方。
上司・目上・取引先などの「相手がご自愛くださる」のであれば尊敬語としての使い方。
というように2パターンあります。
なお「ご自愛してください」は間違い敬語であるためご注意を。
基本の使い方は”気づかいの挨拶”
ご自愛くださいは「体に気をつけてほしい」つまり「お大事に!」ということなので、相手を気づかう挨拶として使われます。
ということですがもっと実践的にイメージしやすくするため、ここでは具体的な使い方と例文を紹介していきます。
①ビジネスメール・文書・手紙の結び
「ご自愛ください」の基本となる使い方1
とくにビジネスメールや手紙・ビジネス文書の結びにつかうと丁寧です。
たとえば、
- 取引先への年賀状であれば「寒さ厳しき折から くれぐれもご自愛くださいませ」
- お見舞いのビジネスメールで「どうかご自愛ください」
- 暑中見舞いや寒中見舞いなどで「時節柄くれぐれもご自愛ください」
こんな感じで使いますね。
たとえ社交辞令であっても「体に気をつけてね!」「お大事にね!」というときに使うと相手も喜びます。
ただビジネスメールなど文書でつかうときには、より丁寧なフレーズに言い換えするべき。使い方をくわしく見ていきましょう。
②1月~12月の季節にマッチした表現を!
「ご自愛ください」の基本となる使い方2
それぞれの季節にマッチした敬語フレーズをつかいます。
たとえば、
1月であれば「寒さひとしお厳しき折、何卒ご自愛くださいませ」
7月であれば「暑さ厳しき折柄くれぐれもご自愛ください」
といった具合にしますね。
あまり難しいことはなく決まりきった定型文ばかりですが、ここで紹介するとそれだけで記事がおわってしまうため、後ろで1月〜12月までそれぞれ使える例文を紹介します。
▼ 年中使える”ご自愛ください”の例文
- くれぐれも体調を崩されませぬようご自愛ください。
- 風邪など召されませぬよう、くれぐれもご自愛くださいませ。
- 暑さ(寒さ)厳しき折、くれぐれもご自愛ください。
- 天候不順の折、何卒ご自愛ください。
- 時節柄、何卒ご自愛くださいませ。
- 時節柄、くれぐれもご自愛ください。
- 時節柄、どうぞご自愛くださいませ。
③添えるフレーズでより丁寧に!
「ご自愛ください」の基本となる使い方3
ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。
「ご自愛」の前置きに添えるフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」を使うとより丁寧な印象のメールとなります。
たとえば以下のようなフレーズがあります。
- どうかご自愛〜
「どうかご自愛ください」
「どうかご自愛くださいませ」 - 何卒ご自愛〜
「何卒ご自愛ください」
「何卒ご自愛くださいませ」 - くれぐれもご自愛〜
「くれぐれもご自愛ください」
「くれぐれもご自愛くださいませ」
使い方・ビジネスメール例文
こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。
ここでは「ご自愛ください」の使い方をビジネスメール例文を紹介します。
文字どおり上司・目上・取引先に「健康に気をつけてほしい」ときのビジネスメールにつかえます。
どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしていますので、ご参考にどうぞ。
使い方・メール例文①取引先への年賀状
▼年賀状①
あけましておめでとうございます
昨年中は格別のご厚情にあずかり心より御礼申し上げます
本年もかわらぬご厚誼のほどお願い申し上げます
寒さ厳しき折 くれぐれもご自愛くださいませ
▼年賀状②
あけましておめでとうございます
旧年中はひとかたならぬご厚情にあずかり厚く御礼申し上げますとともに
本年も変わらぬご愛顧のほどよろしくお願いいたします
まだまだ寒い日が続きます 何卒ご自愛ください
使い方・メール例文②取引先への暑中見舞い
暑中お見舞い申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
暑さ厳しき折、くれぐれもご自愛くださいませ。
平成●●年 盛夏
他にもある丁寧な言い換え敬語
つづいて「ご自愛ください」と似たような敬語と言い換えについて。
ビジネスメール・目上につかえる丁寧な言い換えをご紹介します。
①ご自愛くださいませ
目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「ご自愛ください」の言い換え敬語
- 例文「ご自愛くださいませ」
意味は『健康に気をつけてください』
※ 漢字表記「下さい」vs ひらがな表記「ください」はどちらもOK
尊敬語「ご自愛くださる」に丁寧語”ます”の命令形「ませ」をつかい丁寧な敬語フレーズにしています。
命令形である点において「ご自愛ください」とたいして違いはありませんが、丁寧語「ませ」を添えることで、よりやわらかい印象となりますね。
「〜くださいませ」は女性がよくつかうフレーズであるため、女性敬語だと言われることもあります。
ただ実際には男性であろうと女性であろうと違和感なくつかえます。
なお「ご自愛してくださいませ」は間違い敬語となるためご注意を。
②ご自愛のほどお願い申し上げます
目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「ご自愛ください」の言い換え敬語
- 例文「ご自愛のほどお願い申し上げます」
- 例文「ご自愛のほどお願い致します」
意味は「健康に気をつけてくれるようお願いします」となります。
※「お願い申し上げます」は「お願い致します」に言い換えOK
ここで「ご自愛のほど」の「のほど」は限定を避ける言い方で、意味としては「〜してもらうよう」「〜してくれるよう」と考えることができます。
断定をさけて表現をやわらげるのに用いる語です。
たとえば、
- ご査収のほどお願い申し上げます
意味「よく中身を確認して受け取るよう、お願い」 - お取り計らいのほどお願い申し上げます
意味「物事をうまく進めてくれるよう、お願い」 - ご検討のほどお願い申し上げます
意味「検討してくれるよう、お願い」 - ご了承のほどお願い申し上げます
意味「納得してくれるよう、お願い」
などのようにして使います。
これらはもともと「●●してください」という命令形なのですが、「〜のほど」を使うことによって相手に強制しないやんわ〜りとした表現となっています。
ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。
「お願い申し上げます」は「お願いいたします」「お願い致します」と言い換えできます。
③ご自愛くださいますようお願い申し上げます
目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「ご自愛ください」の言い換え敬語
- 例文「ご自愛くださいますようお願い申し上げます」
- 例文「ご自愛くださいますようお願い致します」
意味は『健康に気をつけてくれるようお願いします』
※「お願い申し上げます」は「お願い致します」に言い換えOK
「ください」単体としての意味は「〜してくれ」「〜して欲しい」の丁寧な言いまわしと考えることができます。
が、
「ください」は敬語ではあるものの、結局のところ命令形であるために強い口調となります。
そこで「ますようにお願い」と続けることで「お願い」とすり替え、やんわ〜りとした表現にしています。とても丁寧な敬語フレーズと言えますね。
たとえば、
- ご査収くださいますようお願い申し上げます
意味「よく中身を確認して受け取ってくれるようお願い!」 - ご検討くださいますようお願い申し上げます
意味「検討してくれるようお願い!」 - ご確認くださいますようお願い申し上げます
意味「確認してくれるようお願い!」 - ご了承くださいますようお願い申し上げます
意味「納得してくれるようお願い!」
などのようにして使います。
これらはもともと「●●してください」という命令形なのですが、「●●くださいますようお願い〜」を使うことによって相手に強制しないやんわ〜りとした表現となっています。
ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。
④お大事に・お体にお気をつけて~など
目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「ご自愛ください」の言い換え敬語
「ご自愛ください」はつまり「健康に気をつけてください」ということなので以下のような言い換えも使えます。
- 「お大事に」への言い換え
・お大事にどうぞ
・お大事にお過ごしください
・お大事になさってください - 「お体にお気をつけください」への言い換え
・お体にお気をつけてお過ごしください
・くれぐれもお体にお気をつけてお過ごしくださいませ
・どうか(何卒/どうぞ)お体に〜
ビジネス会話・電話では”お大事にどうぞ”
ビジネスメールではなく会話や電話シーンであれば…
「ご自愛ください」としてもいいのですが、あまり一般的ではありません。
あまりに改まった感じになりすぎちゃいますね。
そこでビジネス会話・電話では…
- 【例文】お大事にどうぞ
- 【例文】お大事にお過ごしください
- 【例文】お大事になさってください
- 【例文】お体にお気をつけてお過ごしください
※ もちろん「ご自愛ください」としても丁寧です
といったフレーズをつかうとよいでしょう。